虎の土佐丸・犬神了〜伊藤将志の幻惑(会長記) | 堂島猛虎会のブログ

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タイガースファンの3人が綴る、猛虎愛ゆえの強く厳しい評論を発信していくブログです。

 

SPONICHI ANNEX

 

 

本日2月8日は日本ハムファイターズとの今季初の対外試合。

阪神OBのBIGBOSS新庄剛志監督の注目度もあってオープン戦でもない平日の練習試合が民放で放送される。なかなかないことだろう。

 

タイガースの先発は及川が予定されている。

今季は先発ローテーションの期待がかかる。

及川=オヨヨん関しては昨季5月のデビュー戦のタイミングで解析した。

 

 

 

心配している肘はいまのところまだ大丈夫なようだ。

 

今日は及川のあと、湯浅ー石井大の継投予定が報じられている。

この2名もおおいに期待しているので楽しみだ。

 

さて今記事は先日の紅白戦で藤浪晋太郎とともに先発した伊藤将司について解析してみたいと思う。

 

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伊藤将司(いとうまさし)  背番号27

 

1996年生 千葉県山武郡出身  左投/左打 178cm /85kg 

横浜高校~国際武道大学~JR東日本ー2020年ドラフト2位

 

大卒社会人のドラ2だからもちろん即戦力として獲得したのだと思う。

それでもキャンプのブルペン投球を最初に見た印象はとてもインパクトの薄いものだった。

 

グラブを持った右手を高く上げてボールの出所を見にくくするフォーム。

それを最初に見た私の目には「小細工」に映った。

 

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印象よりは178cmとまぁまぁ上背はあるのだがなぜか小柄に見える。

そのせいもあってか・・・フォームから最初に思ったのは、土佐丸・犬神了。

 

 

昨年、亡くなられた水島新司先生の代表作「ドカベン 」に出てくるキャラクターで土佐丸高校・犬飼小次郎の後継者だ。

 

奇声を発しながら投げるとかビーンボールを投げたりとかちょぅ・・・っと

イメージは良くないが、、

 

山田太郎との初対戦で見せたのが長いアンダーシャツの中に握りを隠してボールの出所を見にくく・・というよりは隠す投法。

 

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東の名門・横浜高校で2年春の新メンバーからエース。

2年夏、3年春・夏と3度の甲子園に出場。

同学年に渡邊佳明(明治大学→楽天)、淺間大基・髙濱祐仁(ともに日本ハム:髙濱は髙濱卓也の実弟)がいる。

 

伊藤はルーキーだが淺間、髙濱などは高卒でNPB入りし、もう7年のシーズンを過ごしている。

同じ大卒社会人の渡邊も楽天入団は2018年と2年早くプロ入りしている。

 

大学は国際武道大学。

オリックスの鈴木康平投手は2学年上。

阪神では柴田講平(2008年ドラフト2位)、高橋光信(2006年中日→阪神に入団)がいる。

 

昨季の開幕は藤浪晋太郎。

ローテは2戦目青柳晃洋、3戦目ガンケル。

 

次カードのカープ戦、第2戦に伊藤将志は先発する。

1戦目・西勇輝、3戦目は秋山。

結局このまま伊藤将司は1年間ローテーションを守る事になるのだ。

 

昨季の成績

 

 

10勝7敗、防御率2.44を記録し、新人王は37Sの栗林に譲ったものの、佐藤輝明・中野拓夢

そして牧秀悟(DB)、奥川恭伸(S)とともに新人特別賞を受賞。

 

 

●23試合登板・・・青柳25試合、西勇・秋山24試合に次ぐチーム4位。

※青柳・西勇はすべて先発。伊藤と秋山は1試合ずつ中継ぎ登板)

 

●自責点38点 ・・・ガンカル=37点(20試合登板)に次ぐチーム2位。

 

●防御率2.44・・・堂々のチームトップ。

青柳=2.48、秋山=2.71、ガンケル=2.95。

 

●WHIP1.09・・・チーム1位。

 

堂々たる成績。

特に防御率2.44は青柳(2.48)を凌ぎ、

柳 裕也(D)の2.20に次ぐリーグ2位の数字。

 

しかし誠に残念ながら規定投球回数にあと

わずか2回と2/3足らずであったためランクインならなかった。

(規定投球回=試合数143×1.0)

 

チームが優勝争いの渦中になければ、またはコロナの影響で9回打ち切りでなければきっと規定投球回に達していたはず。

 

きっと誰もここまで安定した数字を残すとは思っていなかっただろう。

ちなみにリーグ1位の柳 裕也(D)は同じ横浜高校の2学年上の先輩にあたる。

 

上記と同じ理由でWHIPもランクインしていないが・・・

 

WHIP=1.09は防御率と同じく柳裕也(1.01)に次ぐリーグ2位。

青柳を抑えて(1.22)球団トップだ。

 

 

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阪神の新人投手でルーキーイヤーに二桁勝利をあげたのは過去6人。

 

2013年藤波晋太郎(10勝)、

1999年福原忍(10勝)、

1967年の江夏豊(12勝)、

1959年村山実(18勝)など。

 

6名中、左投げは江夏豊だけでなんと54年ぶり。

そのことだけでも新人賞特別賞に値する。

 

1960年以降タイガースの新人王選手は田淵幸一(1969年)から岡田彰布(1980年)など7名を数えるがそのうち投手は藪恵壹と上園啓史の2名。

だがふたりとも二桁には到達していない。

(藪恵壹=9勝9敗、上園啓史=8勝5敗)

 

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伊藤将司の投球内容をもう少し詳しく見ていく。

 

 

球種はおよそ4割を占めるストレートを中心に

スライダー、ツーシーム、チェンジアップ、カーブ。

 

被打率の一番高いのがチェンジアップで被打率0.263。

今季は三振を奪える決め球として磨きたいとコメントしている。

 

 

ストレートは最速146km/hだが平均して140~143くらい。

最近では遅い方だろう。

 

だがそれとスライダー・ツーシームの球速差が少なくバッターは絞りづらい。

 

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 打者557人に対して119安打。

 

与四球34は大野雄大(D)26、大瀬良大地(C)31に次ぐリーグ3位。

西勇輝(40)を抑えてチームトップだ。

 

一方で奪三振は79個と極端に少ない。

GB/FB%が1.38%だからこれはゴロピッチャーと言える。

 

※GB/FB%=ゴロとフライの割合。数字は大きいほどゴロピッチャーとなる。

 

 

SO=ストライクアウト(三振)が少なく、ゴロが多いのだから「打たせてとる投手」となる。

だが、42失点で自責点38だから4点は味方のエラーに足を引っ張られた事になる。

 

このあたり・・同じゴロピッチャーの青柳も48失点の自責点43だから5点をチームエラーにさらわれた事になる。

 

昨日の失策記事でも触れたが、チーム挙げての積年課題だ。

 

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さて・・・ここまでデータを追いかけてみて伊藤将司という投手のおおよその姿が見えてきたと思う。

 

先述したように規定投球回数にわずか2回と2/3足らなかったためすべてのランキングに名前がないのだが・・・。

 

自責点、防御率、WHIPどれをとってもリーグ上位どころか12球団でも上位の数字。

にもかかわらず奪三振が少ない事で大投手のイメージはない。

 

DELTA社が算出しているセイバーメトリクスの数字でこの伊藤将司にぴったりの指標がある。

 

それが先の失策記事中でもご紹介したLOB%だ。

LOB% (Left On Base %) =「残塁率

 

 

つまり、ヒットやファーボール、エラーで出した走者をホームへ生還させなかった割合である。

 

 

 

この数値が伊藤将司は84.4%とでている。

単純に走者を出しても8割5分は無得点に抑えるよ、という数字だ。

 

相変わらずこれもランク外の参考記録ながらこれは12球団トップの数字なのだ。

 

1位は山本由伸(Bs)。2位が青柳晃洋、以下、森下暢仁(C)、柳裕也(D)と続き宮城(Bs)は79.5%で80%を超えるのは伊藤を入れて5名のみ。

 

当会編成部長がこの伊藤将司をして「のらりくらり投法」と命名した証拠がここに見て取れる。

 

ちなみに西勇輝はこの数字が69.9%でリーグ最下位。

「Mr.クオリティ・スタート」はいつも「ちょっと失点」するのだ。

 

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上に名前の出た上園啓史は新人王の8勝の翌年から4勝→0勝。

同じくルーキーイヤーに8勝をあげた遠山奬志も翌年から0勝→2勝。

 

藪もルーキーイヤー9勝から8勝→7勝と数字を上げることはできなかった。

 

伊藤将司は今季自主トレを能見篤史と行い、

宝刀・フォークボールを伝授されている。

 

と同時にストレートの重要性も教え込まれたらしいから上園や遠山のようにはいくまいと思ってはいるが果たしてどうだろうか。

 

ドラフト2位の鈴木勇斗、ドラフト3位の桐敷拓馬と新加入の先発左腕も2名いるし高橋遥人も加われば一気に左腕王国となる。

 

その中「のらりくらり」で存在感を示すことができるか。

 

まずは規定投球回数クリアして先輩・柳裕也と各部門のタイトルを争って欲しい。

 

 

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最後に・・・

この伊藤将司の代名詞とも言うべき右手を高く上げるフォーム。

 

水島先生ならこういう擬音を乗っけるだろうなと思ってみていた。

 

 

 

 

 

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