天体写真を撮るとき、長い露光をするときはオートガイドが必須ですね。
ところが、なかなかオートガイドが上手く作動してくれず、星が流れてしまうことがよくあります。私も上手く行かず悩むことが多いです。
私はASIAIR PROをASIAIRアプリのオートガイド機能で使っています。
このオートガイド機能は私のような初心者には優しい仕様ですが、それでも飛んだり跳ねたりして上手く作動してくれないことがよくあります。
多くの方も同じように上手くできないことがあるのではないかと思います。
そこでオートガイドをする際、私が日ごろ気を付けていることについて書いてみたいと思います。
まず各論に入る前に、オートガイドをするときに気を付けたいことですが、手を抜かないということだと思います。基本的なことをしっかりやっていきましょう。
● オートガイドをする前に気をつけておきたいこと
● 架台を重量オーバーにしない。
架台が重量制限を超えると回転軸、モーター、減速ギア等に負担がかかる場合があります。
● 架台の赤経軸、赤緯軸、鏡筒の回転方向の各バランスをしっかり取る。
各バランスが取れてないと、モーターや減速ギアに余分な力がかかり、不具合の原因に
なります。
● 極軸をしっかり合わせる。
極軸が合ってないと、合っているときと比べ赤緯軸の微調整を度々行うことになり負担
がかかります。
● ガイドスコープのピントをしっかり合わせておく。
ピントが合ってないと星像が大きくなり、細かい制御をしにくくなります。
● フィルターを入れてみる。
ガイドスコープのピントをしっかり合わせても星像がぼやけて大きい場合は、色収差が
出ていることがあります。
私はUV IRカットフィルターを入れて星像をシャープにしています。
IRパスフィルターを入れている方もいるようです。
自分の場合はある程度効果があるようです。
● 架台とASIAIR 〇〇の電源を別にしてみる。
ASIAIRのマニュアルには架台とASIAIR 〇〇の電源を別にすることを推奨しています。
ASIAIR ○○から架台の電源を取ると一時的に電力不足になる場合もあるようです。
調子が悪い時は別電源にすることも考えてみるとよいと思います。
また、電源の容量が十分かも確認しておきましょう。
● 架台に原因がある場合もあると思います。スムーズに回転するか、グリス切れになって
ないかなど普段から手入れをしておきましょう。
● ASIAIR PROの場合はWi-Fiが弱いので、架台とASIAIR PROの間を有線接続すると
効果があります。そのことはフォロワーさんに教えていただきシリアルケーブルで接続
しています。
(また、ASIAIR PROはランケーブルで家庭内ランに接続し、タブレットとは家庭内ラン
を通じて接続しています。結局、ASIAIR PROのWi-Fiは使っていません。)
架台との接続を有線接続にすることは、ASIAIR PLUSなどにもある程度有効かもしれま
せん。ASIAIR ○○が使用しているWi-Fiの周波数は2.4GHz帯のみで、これはスマホから
家電に至るまで多くのもので使われています。ですから、特に都会では何らかの障害を
受けることも考えられるからです。
● ASIAIRアプリを使う時に気を付けたいこと
上の画像は少し前のバージョンのものです
(下の説明に使用している番号は上の画像のものです)
● オートガイドの画像表示画面は、ガイドカメラのゲインとEXP(露光時間)を調整して
ちょうど良い明るさに調整しておきましょう。
EXPの推奨値は1秒~4秒です。(マニュアルに記載)
EXPを変えることによって上手くガイドできる場合があります。
その時はゲインも変化させて適正な明るさになるようにします。
EXPが短いほど細かい制御になりますが、必ずしもガイドが良くなるわけではありません。
風などの外力が周期的にかかる場合などであれば、共振してひどくなる場合もあります。
いろいろ変えてみて最適なEXPにするのが良いと思います。
● キャリブレーションは使用する前に必ずするようにしましょう。
● キャリブレーションは移動量の大きい天の赤道付近に向けてするのが効果的だと思います。
● 架台を変えた場合は、必ずキャリブレーションをやり直さないと上手くいきません。
● 同じ架台でも、鏡筒を変えた場合などはやり直しましょう。
● 上手くできないときは、キャリブレーションをやり直すと上手くいく場合があります。
● オートガイドを開始してからしばらくの間は、ギアのバックラッシュの関係などから
振れが大きいので落ち着くまで待つ必要があります。
● オートガイドを開始した直後に、ガイドスターが表示枠からかけ離れている場合は⑥の
ボタンをタップしたのち、④ => ⑤のボタンをタップしてやり直すと上手くできる場合
があります。
● ライブスタック画面などにしているときに上手くできないときは、オートガイド画面に
しておくと多少違う場合があります。(経験上の感触)
● ③のボタンを押したときの線は、キャリブレーションの結果として計算されたRA、DEC
のガイドスターレートなので、一般的にほぼ各線に垂直でなければなりません。
(マニュアルに記載)
● キャリブレーションは手動で星を選択することもできますが、その場合は最も明るい星を
選択しないでください。
通常、①のHFDの値が3~6の画像で中程度の明るさのものを選択してください。
(マニュアルに記載)
● オートガイドの画面は、通常デフォルトの設定値を保持する必要がありますが、ガイド
グラフが非常に不安定な場合は、⑦のDECAggr、RAAggrを僅かに調整してガイドグラフを
平坦化することができます。(マニュアルに記載)
● オートガイドは風の影響をかなり受けるので、なるべく風のないところでするのが良いと
思います。
● 薄い雲が出ていたり、ガイドスコープが少し曇っているだけでオートガイドが上手くでき
ないことがあるので、何が原因か探ってみることも必要だと思います。
【2023.06.04追記】
● 最近感じることですが、ASIAIRを動かしている端末の性能が劣る場合は、オートガイド
以外の処理があった場合に大きくガイドが振れることがあるように感じています。
ASIAIRを動かしている端末(スマホやタブレット)が古い場合など動作速度が遅い場合
は、動作速度の早いものに替えてみるのも対策になるかもしれません。
【参考】・DECAggr、RAAggrの%の意味は、100%のときが架台の各軸の回転を微調整
してガイドさせるのに必要な回転量ですが、80%にすると回転量を80%に
減らすということらしいです。
・オートガイドを始めてすぐのときは、合計エラー値が正しくないときがあるので、
始めてから10~20フレーム取得したときに②のボタン[Clear]をタップする
と正しい数値になります。
まだ他にも気を付けると良いことがあるかもしれませんが、思いついたものを書いてみました。他にあれば追加したいと思います。
以下は、このブログ内の関連記事のリンクです。