こんにちは、日本母親支援協会の柴田です。今日は、正しいしつけは子供に伝わる言葉からをご紹介します。
- 「早くしなさい!」
- 「ママの言うことを聞きなさい!」
- 「静かにしなさい!」
こんな言葉で子供を「しつけ」ようとしていませんか?この言葉の裏には「親の言うことは正しいのだから黙って言う通りにすることでルールやマナーが身につく」という考えがあるのです。
その親の親も、また同じような子育てをしていました。代々引き継がれてきた「しつけの方法」です。
どうしてそのような考えが身についてしまったのでしょうか?それは私達が育ってきた教育環境が大いに影響しているのです。
学生時代の先生は、何年も何年も同じことを生徒に教えています。担当している生徒たちがテストでいい点数を上げることが出来ればその先生の評価が上がります。そこで、いい点数を取らせるために「ここはテストに出るぞ!」と教えます。
生徒は、教えられたことを一生懸命ノートに書き、覚えようとします。つまり、テストのためだけの授業が当たり前になっているのです。
また、部活に入ると監督や先輩の言うことが絶対です。中々上達しないときは、監督や先輩の厳しい言葉で叱咤激励を受けます。
叱咤激励とは「大声をあげて励はげましたり叱ったりして、相手の気持ちを奮ふるい立たせること」です。
叱咤激励であればいいのですが、時には感情の高まりを抑えきれず暴言となり、暴力となっている場合も多々あります。
そんな理不尽なことをされても生徒たちは黙って従うだけではなかったでしょうか?それが当たり前となって高校だけでなく大学や少年のスポーツ活動でも監督の暴力事件が頻発しています。
もう、忘れ去られようとしていますが日本大学のアメフト部でも監督やコーチの命令によってボールを投げ終えて無防備だった相手チームのクオーターバックの選手に背後から激しくタックルし、全治3週間のけがをさせました。
世間では大騒ぎになりましたが、日大アメフト部の学生からは監督やコーチを非難する声は上がりませんでした。
監督やコーチの言うこと聞くのが当たり前ということが長年の慣習によって身に染み付いていたのです。つまり、洗脳されていたといっても過言ではないでしょう。
そのように上の言うことには異論を唱えず素直に従うという学生を企業も欲しがっていました。そこで就職のことを考えると上の言うことに異論を唱えることは自分のためにもならないと自分自身を抑え込んできたのではないでしょうか?
日大アメフト部は極端な例かもしれませんが、どこの部活でも大なり小なり同じように上意下達(じょういかたつ)がシステムとして確立されています。
そんな教育を受け入れてきた人間がプロになっても考えを変えるということはありません。
プロ野球では有名な話です。イチローが二軍で首位打者を獲得して一軍に上がると当時の土井正三監督やコーチから「その振り子打法は間違っている」とフォームの矯正を命令されました。
そうすると形がどんどん崩れてきたイチローは打率も落ちてしまいました。そこで監督やコーチは「まだまだフォームが悪い。俺たちの言うことを聞けなければ二軍に落とす」と言ったのです。そこでイチローは自ら二軍に帰っていきました。
翌年、仰木彬氏に監督が代わり新井宏昌氏が打撃コーチに就任するとイチローの振り子打法を絶賛し、すぐに一軍に登録しました。そしてその年、プロ野球史上初となる200本安打を放ったのです。
さて、前置きが長くなりましたが、多くの親は、イチローの才能を見いだせなかった土井正三監督スタイルではないでしょうか?
土井正三監督は現役時代には読売ジャイアンツの二塁手としてダイヤモンドグラブ賞を獲得するなど超一流選手の一人でした。しかし、その輝かしい成績を持って監督に就任したので、「俺のやり方が一番だ」と選手にも自分の考えを強制したのです。
あなたも立派な大人になって結婚し子どもを生むことが出来ました。そこで、もしかしたら「私の言う通りにすれば間違いない」と心の何処かで思ってはいませんでしょうか?
もしそうだとするならば、イチローの才能を見つけられなかった土井正三監督と同じかもしれません。つまり、あなたのお子様の才能を潰してしまう可能性があるのです。
日本の多くのスポーツ界では、「技量が上達しないのは根性がないからだ」と考えています。「出来るまで練習を増やせ!」「頭で考えるな!体で覚えろ!」など全く非論理的な思考を持っています。
しかし、イチローやいま大活躍している大谷翔平選手などの本当の一流選手は、根性論などは微塵もありません。
自分が何をしたら上手くなれるか、どんな練習方法を取り入れればいいのかということを自分で考え、それを毎日試行錯誤しながら自分を鍛えています。
冒頭に書いたママの言葉
- 「早くしなさい!」
- 「ママの言うことを聞きなさい!」
- 「静かにしなさい!」
こんな言葉でしつけをしていると子どもは自分が考えて行動するような大人に育つことは出来るのでしょうか?
出来れば、イチローの個性的な振り子打法を絶賛した仰木彬監督のようになりたいと思いませんか?
そのためには、「子育て」の主役は親ではなく子どもなのだということを意識して頂きたいと思います。
子どもが主役だということは、親が「指示命令」を出すことをやめることです。子どもが自ら考えて動くようにするためには、何事にも「一緒に」行動しようと促すことです。
たとえば、「ご飯だからお片付けしてね」ではなく「そろそろ、ママはご飯の準備をしなければいけないから、一緒にお片付けを始めようね」。こんな言葉に変えてみることです。
- 「一緒にお買い物に行こうね」
- 「一緒にお風呂に入ろうね」
- 「一緒にお洗濯ものを畳もうね」
子どもはママのやることにチャレンジしたいと思っています。ママから誘われると嬉々として取り組みます。大好きなママと一緒のことが出来ることで自分に自信が生まれてくるのです。
そして、上手にできた時には
- 「まあ、すごい!ママより上手ね」
- 「美味しいね。あなたがお手伝いしてくれたからいつも以上に美味しく出来たわ。ありがとう」
- 「自分で頭を洗えるようになったのね。ママは嬉しいわ」
などと褒めてあげることで、「よし、次もやるぞ!」という意欲が湧いてくるのです。
それを繰り返すことで、自然に子どもは自分で考えて行動できるようになるのです。これこそが「しつけ」ではないでしょうか?
子育ての期間は、苦しい時もありますが、あっという間に終わってしまうのも事実です。かけがえのない素晴らしい育児という時間を楽しんでいただきたいですね。
せっかく天使があなたの所に舞い降りてきてくれたのです。育児で悩むのは、もったいないことです。
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