「やる」「やらない」を決めるスピードを速めて時間を味方につける | 心意気から始める経営改革のススメ

心意気から始める経営改革のススメ

感情と紐づき、その人を突き動かす原動力である「心意気」を言葉にし、売上アップや人材育成に活かす「心意気経営」。「孤立無援」の状況を個性が立って応援される「個立応援」に変えることで、一人ひとりが自然体で成長し、真価を発揮する世界を目指します。

ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。

経営者の大事な仕事は決めること

・このプロジェクトをやるのか、やらないのか
・やるとする場合、いつまでやるのか
・また、いくらまでならお金をかけるのか

決めれば、結果はどうであれ、前へ進みます。しかしながら、実際には決められない経営者も多いのが現実です。


また、「行動が大事です」と言う人はたくさんいます。

そして、行動するには「『目標』が大事だ」「『経営理念』が大切だ」ということで、それを決めるためのセミナーや講座も山のようにあります。

でも、「決められない」「行動できない」人の場合、頭では分かっていても次の一歩が出ないということが多いのではないでしょうか。


東証グロースに上場した会社の経営者の講演を聞く機会があった時のこと。

その経営者はまさに決断の人であり、行動の人。理屈は分かっても、今一つ次に進めないという場合、「決断し、行動している人に直接触れる」というのは、あれこれ悩むよりも効果があります。


講演終了後に、そのの会社の株式上場をサポートした証券会社の方とお話したのですが、「A社長は経営スピードが速い」というエピソードを聞かせていただきました。

ベンチャー企業が株式公開する場合、人材の確保や社内体制の整備など、今まで会社としてできていなかったことを補完する部分がどうしても発生します。

主幹事証券会社が、株式公開に向けて「こういった人材を揃えて下さい」とアドバイスをしても、多くの会社は先延ばしにします。


人を採用するにしてもコストがかかりますし、社員として雇うと、人件費の負担も増します。

また、特に管理面での仕事の強化・充実に関しては、売上に直結する訳ではないので、どうしても二の足を踏む傾向にあるのです。

しかし、A社長の場合、証券会社の人が「実現するのはすぐには難しいかもしれない」と思って行った提案も、翌月訪問してみると、たいていその通りにできていたそうです。


講演の内容は、成長する事業・組織をどうやって作っていくかということでしたが、A社長曰く「やはり、それなりのコストがかかります」

よく経常利益率で10%を目指せと言われます。

しかし、同じ10%でも上場会社と非上場会社では余計にかかるコストの内容が違うので、「非上場会社で経常利益率が13~15%ぐらいないと、上場した後、経常利益率10%は達成できない」というご指摘でした。


A社長のお話を聞いていて感じたのは、「コストに対する割り切り方がすごくシンプルだ」ということです。

・必要なものだったらお金を使って調達する
・高い品質のものだったら、多少値段が高くても仕方がない
・当初は資金負担も発生するが、長い目で見れば会社の成長にとって必要だ

株式上場という具体的な目標があったからかもしれませんが、「目標を一日でも早く達成するために必要なコストを迷わず払う」という姿勢が首尾一貫しているため、第三者から見て、経営スピードが速いと感じられたのだろうと思います。

お金は大事です。しかしながら、人の一生には期限があることを踏まえれば、時間はもっと大事です。

お金を大事に思うあまり、必要なお金をかけずに貴重な時間を浪費してしまうことは長期的に見ると、もっと大切なことを失うことになります。

今日皆さんが使うお金は経営のスピードアップに貢献しているでしょうか?


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