明日は会社の同期との忘年会(せいぜい4~5人)です。コロナがあったので、3年ぶりくらいです。

いつもは他人の噂話と悪口ばかりで余り面白くもなく、ひとりは幼稚な左翼丸出しなので議論にもなりません。

今回は、元社長(ずっと昔は総裁と呼んでいた)で経団連の副会長もした同期の男が参加するので、何を話すのか楽しみです。

日本の政治や経済・財政のことに話が及んだらMMTのことを話そうかなと思っています。

経団連の会長は増税賛成ですし、財政再建ばかり言っていますが、一応ポジション・トークだとは思いますが、経団連のお偉方はみんなアホな日経新聞しか読んでいないようなので、ポジション・トークではなくて、債務残高1000兆円超えで大変だ、緊縮だ、増税だと本気で思っている可能性があります。

 

Cargoのブログより

「経団連の十倉会長が「消費税増税から逃げてはいけない」と発言し大炎上しました。
人々からは「国民を殺す気か」「法人税増税から逃げるな」との声があがっています。FLASHの記事では「税を含めて一体的な改革をしなければ、日本の社会保障制度はもたない」と強調したとありますので、十倉氏が真正の経済ド素人であることがわかります。」

 

 

また経団連のトップや企業のトップは日経新聞の馬鹿げた記事や論説しか読んでいないから、日本経済のことなんて全く分からないし、本気で分かろうともしていないんだろう。

これもCargoブログを読むとよくわかる。

 

 

 

明日の忘年会でMMTを持ち出して議論しても、あまりの基本的な疑問を出されると素人としては説明が下手で説得などできないかもしれない。というのも、何度MMTを勉強しても深く分かったという感がないからだ、残念ながら。

ただ想定できることはおそらくはMMTを知らないか反感を持っているか、どちらかだと思う。

三橋貴明氏がいれば簡単に解説してくれるし、下らない質問・反論は論破してくれると思うのだが。

まあ忘年会なので余計なことは言わないほうがいいかも。

 

その三橋貴明氏が今日のブログで、日本の財政破綻論の変遷について簡単にまとめてくれている。

 

 

 

「日本銀行の「中央銀行の財務と金融政策運営」について」

 日本の財政破綻論は、以下のように変遷してきました。
1.日本は財政破綻する=日本国債が暴落し、国債金利が暴騰し、デフォルト(債務不履行)になる
 

 これは、何しろ財務省自ら否定しています。
【外国格付け会社宛意見書要旨】
『(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。』
 当たり前ですが「デフォルトは考えられない」というのは「自国通貨建て国債」限定です。未だにギリシャだのアルゼンチンだの持ち出す人がいます。是非とも「自国通貨建て国債」の意味を学んでください。

2.日本銀行が国債を買うと、ハイパーインフレーション(インフレ率年率13000%)になる

 現実には、2013年以降、日本銀行が500兆円近い国債を買い取ったにも関わらず、インフレ率は低迷したままでした。やっとこさ物価上昇率が上向いたのは、輸入物価上昇に起因するコストプッシュ型インフレで、日銀の金融政策とは無関係です。

   【日本銀行保有の日本国債の推移(兆円)】

 

3.日本銀行が保有する国債の価格が暴落すれば、債務超過となり破綻する

 上記が、財政破綻論者たちが編み出した「最後の逃げ場」だったわけですが、現実にはあり得ません。何しろ、日本銀行は時価会計を採用していないのです。国債価格が上がろうが下がろうが、日銀のバランスシートに計上された国債の金額は変動しません。当然、債務超過はあり得ないというか「起こりえない」のですよ。


 それでも、日銀の信任がどうのこうのとしつこい連中(代表が藤巻健史)がいるため、ついに日本銀行が公式に論文を出さざるを得なくなった。というか、忙しい日銀に迷惑をかけるなよ、藤巻。

 

中央銀行の財務と金融政策運営 (日本銀行企画局 2023.12.12)

◆要旨
 日本銀行は、1990年代後半以降、ゼロ金利制約に直面するもとで、様々な非伝統的な金融政策を実施してきた。主要な海外中央銀行においても、グローバル金融危機の発生以降、大規模な資産買入れなどを実施してきた。こうした大規模なバランスシートの拡大を伴う非伝統的な金融政策は、その引き締め局面で、中央銀行の財務に影響をもたらし得るとして、そのことと金融政策運営能力、ひいては通貨の信認を関連付けた議論がみられている。(後略)』
 日銀は、保有する国債(資産)に対しては金利が付されるが、負債である日銀当座預金は金利が不要であるため、収益を安定的に上げることができる。保有する国債が増加すれば利息収入等も増え、全体の収益が増加する。
 そもそも(時価会計を採用していない日本銀行の場合は起き得ないが)中央銀行が債務超過になったところで、金融政策に支障はない(例:オーストラリア準備銀行)。

 結局、
『(引用)管理通貨制度のもとで、通貨の信認は、中央銀行の保有資産や財務の健全性によって直接的に担保されるものではなく適切な金融政策運営により「物価の安定」を図ることを通じて確保される。そうした前提のもとで、中央銀行は、やや長い目でみれば、通常、収益が確保できる仕組みとなっているほか、自身で支払決済手段を提供することができる。したがって、一時的に赤字または債務超過となっても、政策運営能力に支障を生じない。
 これに尽きるわけですね。


 中央銀行や通貨の「信任」とやらは、中銀のバランスシートや収益によって担保されるものではない。

 金融政策により物価の安定を図ることで確保される(そりゃそうです)。当たり前です。何しろ、中央銀行は「書くだけ」で日銀当座預金を増やし、資産(主に国債)を買い取ることが可能なのですよ。

 書くだけで、金利が要らない日銀当座預金を発行し、金利がつく国債を買い取れる機関が「破綻」するはずがないでしょ。

 ちなみに、日銀は、
『(引用)中央銀行の財務リスクが着目されて金融政策を巡る無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがある。』
 とも書いています。

 つまりは、存在しない「危機」を騒ぎ立てるお前らこそが、リスクそのものなんだよ。分かったか、藤巻?

(引用終わり)

 

この藤巻健史は今もしつこく日銀は破綻すると叫んでいますね。日銀も業を煮やして「存在しない「危機」を騒ぎ立てるお前らこそが、リスクそのもの」と藤巻らを論難しているわけです。

 

 

藤巻健史ブログより

・「財政危機が来た時には国民の最低限の生活の保障が大切」「中銀は国債を消化するための機関であってはならないことはマクロ経済学の初歩」「どうしてド素人の意見が跋扈するのか?」他」

  2023年10月25日

1.「財政危機が来た時には国民の最低限の生活の保障が大切」

 昨日、以下のリツイートを私のTwitterにいただいた

「清滝プリンストン大教授「財政破綻に備えを」

以下のように返信した。

「5年前の動画ではありますが、危機はいつ来るかわからないが、突然来るとおっしゃっていましたね。その通りだと思います。清滝教授は『日本人でノーベル経済学賞を取る人が出るのなら清滝教授』と言われている方です。財政危機は増税、出カット、インフレの組み合わせで対処するしかないとおっしゃっていますが、前2つは、日本の政治では無理。しかも5年前から財政赤字はさらに大幅に悪化しています。ハイパーインフレ(=円の紙くず化)しかないでしょう、残念ながら。)

 更に教授は財政危機が来た時には「国民の最低限の生活の保障が大切」と、わざわざおっしゃっています。それすら保障されない可能性を示唆しているのでしょう。この言葉の意味は重い。

2.「中銀は国債を消化するための機関であってはならないことはマクロ経済学の初歩」

 本日の日経新聞「経済教室」は植田健一・東京大学教授の論考。

「財政政策と金融政策の基本は中央銀行の独立性だ。中銀は通貨の番人とされ、国債を消化するための機関であってはならないことはマクロ経済学の初歩でもある。中銀が無制限に国債を受け入れざるを得ないと無制限に通貨が発行され、通貨価値が毀損するからだ」で論考は始まり「すなわち物価の安定は中銀に任せ、財政問題は中銀に任せないという姿に戻すべきだ。そして適切な国債管理政策の下でも長期金利が上昇するのならば、それは根本要因の財政赤字に対する市場からの警告として、素直に受け入れるべきだ」の文章で論考は終わる。

まさに私の主張と全く同じである。学者先生だから私のような過激な結論は書かれていないが、行間から「もう駄目感」が、むんむんと匂ってくると感じ取るのは私だけか?

(トラ注 バカは藤巻だけではなかった。この東大教授も「存在しない「危機」を騒ぎ立てるお前らこそが、リスクそのもの」の輩だ!) 

3.「どうしてど素人の意見が跋扈するのか?」.「どうしてど素人の意見が跋扈するのか?」

 日経新聞「経済教室」に一昨日書かれた塩路一橋大教授、本日書かれた植田東京大学教授、先日文化勲章受章が決定された吉川東大名誉教授、「日本人でノーベル経済学賞を貰うならこの人」と言われた清滝プリンストン大教授など昨今、めちゃくちゃに警戒警報が発信されている。

どうして世間は経済学会で認められている学者先生の意見を無視し、土木学者や数学学者、ど素人の経済学説を信じるのか?脳外科手術の執刀を専門の脳外科医の先生ではなく、私に依頼する人は皆無なはずなのに。ちなみに、昔こう書いたら埼玉医大の藤巻脳外科教授から「脳手術なら私にお任せください」との返信が入った(注:藤巻教授は親戚ではない)。そのユーモアのセンスに爆笑したものだ(笑)

(トラ注 藤巻が挙げた塩路、植田、吉川、清滝らの大学教授も「存在しない「危機」を騒ぎ立てるお前らこそが、リスクそのもの」の輩だ!) 

 

・「円にとっては、日銀財務が崖っぷちなのが致命的」「日本円の発行量は25年間で11倍」

  2023年11月27日

1.「円にとっては、日銀財務が崖っぷちなのが致命的」

先週土曜日の日経新聞「経済論壇」いわく「東京女子大学特任教授の長谷川克之氏(週刊エコノミスト10月31日号)は(略)伝統的な為替理論では説明ができない歴史的な円安は、低成長の日本が抱える財政リスクに対する市場の警鐘であると指摘する」

その通り。ドル/円の先行きを日米金利差で予想するなど枝葉末節にとらわれているとしか思えない。日銭を稼ぐデイトレーダー的発想。(もっとも私は今後更なる日米金利差拡大でそれもドル高要因になるとは思っているが)。

40年間断トツのビリ成長の国の通貨が弱くなるのは当然だが、その上に日銀財務が崖っぷちなのが致命的。日米金利差よりも「回収されて希少価値が高まる」ドルと、「未来永劫バラマキ続けられ価値の棄損が進む」円の差こそが、ドル/円の方向を決める。当然ドル高/円安。それも激しく。

2.「中央銀行を無くすアルゼンチンの未来」

昨晩、以下のリツイートを私のX にいただいた。

「アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が中央銀行を閉鎖することを承認しました。中央銀行が消えたらアルゼンチンどうするの?」

以下のように回答した。

「中央銀行はそれこそ社会にとって重要なインフラですから別の中央銀行を作ることになりでしょう。要は中央銀行のとっかえ。日本の近未来と同じ(=円は紙くず化、新しい通貨の発行)。もしくはアルゼンチンの場合、中央銀行機能を政府に取り込む可能性はありますが、そうなれば彼の国は終わり。政府が中央銀行機能を取り込めばまさに統合政府。きっと政治家の圧力で紙幣の刷り放題。そして紙幣価値は大幅棄損し、さらに醜いハイパーインフレ

4.「日本円の発行量は25年間で11倍」

 昨晩、以下のリツイートを私のX にいただいた。

「89年よりも現在3倍ほど日本円の通貨発行量を発行してるのに物価も株価も給料も3倍に上がってない。どこ言った日本円」

以下のように回答した。

「発行銀行券だけを円の発行と誤解していませんか?あなたの財布に入っているお金と銀行に預けてある預金に変わりはないように日銀の発行しているお金とは日銀発行券と日銀当座預金(民間銀行が日銀に預けてる預金)の合計。

89年の数字は取れませんが98年だと発行銀行券55.9兆円、日銀発行券4.4兆円の計60.3兆円、2023年9月では発行銀行券120.6兆円、日銀当座預金549.4兆円で計670.0兆円。11倍になっています。これに貨幣(コイン)通貨量を合わせてベースマネーと言いますが、景気が良くなり信用創造が起こると、ベースが大きいのですから、市中にお金が洪水のようにあふれかえります

(トラ注 どこに市中にお金が洪水のようにあふれかえっているんだ藤巻さん!日銀当座預金の仕組みを全く分かっていないねぇ

6.「株価暴落はハイパーインフレリスク」

 昨晩、以下のリツイートが私のX に来た。

「実物資産に紐づいている株式みたいなリスク資産の資産価値下落による日銀の財務悪化。その経路の『日銀の財務悪化』とハイパーインフレは結びつかないはず」

以下のように回答した。

「無無茶苦茶に結びつく。日銀が債務超過になるから」

(引用終わり)

 

次に国会で藤巻はどんな議論をしているか見てみよう。

第198回国会 参議院 財政金融委員会

令和元(2019)年5月23日

 

藤巻健史君 じゃ、次の問題に行きますけれども、日銀は邦銀に保有債券の時価会計を一生懸命推薦していますけれども、依頼というか指導しておりますけれども、日銀自身はなぜ時価会計をやらないで原価償却法、簿価会計なんでしょうか、お教えください。

 

参考人(日銀副総裁若田部昌澄君) まず、先生も御案内のとおり、会計基準を整備する役割を担っておりますのは、これは財務会計基準機構の中に設置されております企業会計基準委員会でございまして、日本銀行は銀行が用いる会計手法について指示しているわけではございません。そう申し上げた上で、日本銀行では有価証券の評価方法については中央銀行としての財務の特性や保有の実態等を踏まえた方法を採用しています。この中央銀行というのは、アメリカの連邦準備制度理事会も欧州中央銀行、ECBも同様に行っている手法でもって行っているということです。

具体的には、国債については、一部の例外を除くと、昭和四十八年以来売却を行っていないことなどを踏まえて償却原価法を採用しております。

 

藤巻健史君 要するに、それ昔の話であって、確かに民間金融機関も満期まで持つものは簿価会計でいいことになっていますよ。ということは、逆に言うと、日銀は今買っている大量の国債を、インフレになろうと金融引締めがなろうと、ずっと保有しているということですか。売るんじゃないんですか。もし満期まで全部持つつもりであるならば、それ、お金じゃぶじゃぶのままですよ。今と反対のことをできないということですよ。 それ、やる気ないんですね。要するに、幾らインフレ率が上がっていっても、お金回収する気はない、世の中にお金じゃぶじゃぶのままだ、こういう考え方でよろしいんでしょうか。

(トラ注 藤巻は日銀当座預金と国債の関係がまるでわかっていない。日銀が銀行から買って国債を保有しても、その金は日銀ネットから外に出ることはなく、民間銀行の日銀当座預金が増加するだけだ。市中に出回ることはない。ここを藤巻は市中に出回るつまりお金がじゃぶじゃぶとなると勘違いしている。バカというしかない)

 

参考人(若田部昌澄君) 金融政策にとって何が望ましいかというのは、日本銀行が独自にこれは判断するものでございますが、今の御質問は、あくまでその有価証券の評価方法について中央銀行がどのように行っているかということについての御質問だと思います。その意味におきましては、先ほども申し上げましたように、米国の連邦準備制度理事会も欧州の中央銀行であるECBも同様に、日銀同様に、その有価証券の評価方法については償却原価法を採用しているということでございます。

 

藤巻健史君 それは思うに、例えば株、株は、この前も申し上げましたけれども、日本銀行だけですよ、金融政策で株持って、それも日本最大の株主になるというね。そんな、ほかの、FRBも持っていないでしょう。それから国債、国債も、例えば私が金融マンだったときは三か月国債までで、ほとんど長期国債なんていうのは成長通貨を供給する以外買わなかったですよ。だから、持っているのはほとんど短期国債だったから、時価会計する必要なかったんですよ、満期までで。事態が変わっちゃっているんですよね。だから、当然のことながら時価会計しないといけないと思います。

 日銀が簿価会計だからといっても、もし実質的に債務超過になったら、市場は当然のことながら時価会計やりますよ。これは当たり前の話です。簿価会計で大丈夫だというんだったら、山一証券だってリーマンだって潰れていないんですから。みんな時価会計をして、日銀といえども、中央銀行といえども、財務内容がおかしくなったといえばお金はすっと逃げていくわけです。要するに、円が暴落していっちゃうということなんです。ですから、簿価会計、ここでこの会計については終わりますけれども、こんな簿価会計やっているから日銀の債務状況は大丈夫だという話にはならないと思います。  で、お聞きしますけれども、今莫大なる国債を日銀は持っていますけれども、長期金利が幾らまで上がると評価損が生じるんでしょうか。

 

参考人(若田部昌澄君) 日本銀行では、保有国債の評価方法について償却原価法を採用しているというのは先ほど述べたとおりでございます。そのため、長期金利が上昇し、国債の市場価格が下落したとしても、決算上の期間損益において評価損失が計上されることはございません。

 その上で申し上げますと、平成三十年九月末において日本銀行が保有する国債には七・二兆円の含み益がございました。また、同時点の長期国債の保有状況を前提として、国債の金利がイールドカーブ全般にわたり一%上昇するという場合の影響を試算すると、長期国債の時価総額は二十九兆三千億円程度減少するということになります。こうした下で、平成三十年九月末時点での国債保有状況を前提として、あくまで機械的に計算しますと、国債金利が〇・二%強上昇すると、保有長期国債の時価が簿価を下回る計算になります。  ただ、繰り返しになりますが、日本銀行においては国債保有の評価方法について償却原価法を採用しておりますので、決算上の期間損益において評価損失が計上されることはございません。

 

藤巻健史君 時価会計、何度も申し上げますけれども、時価会計だから大丈夫だって、もう自己満足でしかありませんよ、そんなもの。一発で市場は、簿価会計で大丈夫なんていうのは自己満足でしかなくて、やっぱり全て危ないと思えば時価会計でするのが市場ですからね。

 それと、申し上げますけれども、今一%上がると二十九兆円とか評価損が出ると言いましたけど、今、内部留保というか、資本金一億円と内部留保は八・四兆円しかないんですよ、これ。一%上がったらば、たった一%に上がったらば物すごい評価損が出るんですけど、それを見て、日銀の信用とか日銀券の信用というのは失墜しないと思っていますか。やっぱり、中央銀行が債務超過になったり、たとえ時価評価であってもですよ、簿価会計になれば、簿価会計で債務超過になったらとんでもない話で、さっきみたいに、短期金利が上がっていけば簿価会計上でも債務超過になる可能性は十分あると思うんですけどね。でも、時価会計であっても、これだけの債務を持っていて長期金利が上がってきたらば、評価損がむちゃくちゃだということになって、世界の人間は、投資家は大慌てしますよ。大丈夫ですか。

 

参考人(若田部昌澄君) これはそもそも論になりますけれども、委員御指摘のように、中央銀行の財務が悪化することによって、それが通貨の信認あるいは中央銀行の政策遂行能力を毀損することを懸念する見方があるということについては私どもも認識してはおります。

ただ、これは中央銀行、特に管理通貨制度で不換紙幣を発行している中央銀行においては、そもそも継続的に通貨発行益が発生してまいりますので、やや長い目で見るならば必ず収益が確保できる仕組みになっております。ですから、民間の企業体と、それと中央銀行の違いというのはそこにあるということです。

 また、中央銀行は、自身で支払決済手段を提供できます。国債を購入するためには、日銀当座預金にあるその銀行の口座に振り込むと。日銀が人件費やその他の経費を払うときにも同じように日銀が支払うことができるということになっていますので、収益が振れても債務不履行に陥るということはなく、金融政策や金融システム安定のための政策遂行力には影響がないというのが、これが中央銀行の中央銀行たるゆえんだと考えます。

 いずれにせよ、管理通貨制度の下では、通貨の信認を担保するものは適切な金融政策運営によって物価の安定を図ることでございまして、これはまさに日銀法に書かれているとおりでございます。日本銀行としては、ただ、財務の健全性についても留意しつつ、適切な経済政策運営を努めていく方針でございます。

 

藤巻健史君 今、副総裁は、通貨発行益が長い間には必ず確保できるから日銀の信認は保たれるとおっしゃいましたけど、今問題になるのは、先ほど来問題にしているのは、通貨発行損が出てくる、巨大な通貨発行損がしばらくの間ずっと続くということ、それでも信認が確保できるのかという話ですよ。  いいですか、通貨発行益、当然のことながら受取利息と支払利息の差ですからね。昔みたいに発行銀行券だけだったなら、負債がね、日銀当座預金、私の頃でも四兆円から六兆円ありましたよ、ほぼゼロ。発行銀行券であれば通貨発行益ありますよ。国債から受取収入があって、発行銀行、金利ゼロなんですから。

 今問題なのは、三百九十兆もある日銀当座預金に金利を払う。さっき言いましたように、三百九十兆あれば一%ならば三・九兆円、受取利息は一・二兆円、物すごい通貨発行損が巨大に発生するわけですよ。それがプラスの通貨発行益になるまで日銀保っていないと思うんです。時間軸の問題ですよ。  そんな損を垂れ流している、債務超過になったところが、いずれ十年後に通貨発行益が出るから日銀大丈夫なんて、誰が思います。そんな長くないと言うんだったら、さっき申し上げたようにシミュレーション出してくださいよ。シミュレーション出していただいて、通貨発行益がすぐ出てくるんなら、私だって納得しますよ。どう考えて、通常、私の悪い頭だったらば、通貨発行益というのは相当先ですよ。それまで日銀保っていられるんですか。

 

参考人(若田部昌澄君) これはまたそもそも論になりますけれども、中央銀行において債務超過というのをそれほど心配する必要がないというのが元々の話でございますので、管理通貨制度の下でまさに不換紙幣を発行しているところで、やはり長い目で見れば通貨発行益が発生すると。このことが私は国民にも理解されているというふうに考えますので、そのことについて我々が懸念しているということはございません。

 

藤巻健史君 過去、債務超過になった中央銀行はありますか。

 

参考人(若田部昌澄君) 海外において中央銀行が債務超過になった事例は存在します。

 例えば先進国の例と、比較可能な先進国という例でございましたらば、一九七〇年代に旧西ドイツのブンデスバンクにおいて、マルク高が生じたために保有外貨資産に多額の評価損が発生したことから債務超過となった事例がございます。その後は当期利益を処理に充当して債務超過を解消しました。この間も、旧西ドイツにおけるインフレ率というのは第二次オイルショックの影響で多少、五%程度にも上がったことがございますが、七八年二・七%、七九年四%、一九八〇年五・四%と、それから後はインフレ率も非常に低位で安定したということでございますので、この間も中央銀行に対する信認は維持されており、物価や金融システムの安定の面で大きな問題は生じていないというふうに考えます。  つまり、歴史的な事例を見ても、中央銀行が債務超過になったということにおいて、日本が比較可能な先進国においてそれが大変大きなインフレになったというようなことはないということでございます。

 

藤巻健史君 私、ブンデスの例はちょっと存じ上げなかったんですけれども、マルク高でそういうことになったということは、スイス・ナショナル・バンクなどと同じだと思うんです。つい最近はスイス・ナショナル・バンク、確かに債務超過になっていますよ。同じようにスイス・フラン高になって、どんどんスイス・フラン高が進行していくから介入をやったわけですよ、スイス・フラン売りのユーロ買い。ユーロをたくさん持っちゃった。でも、介入が止まらなくてどんどんどんどんスイス・フランが強くなって、ユーロが安くなっていった。でも、そういうようなのはきっと、ブンデスも同じだと思いますけど、そういう場合には、逆に通貨が、ドイツ・マルクにしろスイス・フランにしろ安くなればユーロが、例えばスイス・フランでいえば保有のスイス・フランが値段が上がる、債務超過がすぐ解消されるわけです。それはマーケット分かっているからですよ。一時的に通貨が高くなって債務超過になるんだったら、逆転すればすぐ戻ると。そういうことによって通貨がクラッシュすることはない。通貨がクラッシュすれば、すぐ債務超過が改善、純資産になるわけですから。そういうことがマーケットは分かっているから、中央銀行は大したことないわけですよ。

 今の日銀の状態はそれとは全く違いますからね。しかも、財務が、財政赤字が極めてでかいわけです。要は、財務、どうなっちゃうのと。要するに、債務超過になったときどうなるのか、誰がお金を入れてくるのか。国が入れる、国は赤字ですから。これが黒字だったら大したことないんですよ、政府がお金を入れることによって純債務になるんですから。でも、国は大赤字なんですよ。

大赤字なんですから、それどうやっちゃう。まさにネズミ講、ポンジーゲームじゃないかという話になるわけで、これはもう大変なことになるんだと私は思います。これは後、続けてやりたいと思います。ありがとうございました。

(引用終わり)

 

どこまでも藤巻は中央銀行の仕組みを理解できないようだ。