【幻】モーニン・ブルーズ 2024/05/04 | 澤田修ブログ

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ラジオDJ、ナレーター、音楽ライター、肉好き男、
澤田修のブログ

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TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino / Elektra 8122 798434 0

 

 

N    ボブ・マーリーとか、ボビー・ダーリンなど、珍しく特集的な構成が続きました

 が、今朝はいつものようにバラバラな、うまくまとめられない内容でお送りし

 ます。

 気分転換に出かける喫茶店が三つ程あります。ずっと「書斎」で仕事的な

 事をしていますと、わたしでも気分が煮詰まって来るので、散歩を兼ねて出

 かけるようにしています。喫茶店というよりもカフェといった方がいいかな。

 条件としては、1.長くいられる事、2.それ程うるさくない事、3.明るい

 事、などがあります。そこへ行って読みかけの本などの頁を捲るのです。

 もちろん流れている音楽も重要です。この間、馴染みのカフェで久しぶりに聞

 きました。これがその曲でした。

 

M01.Turn! Turn! Turn!(To EveryThing There Is A Season)(3’49”)The Byrds

-The book of Ecclesiates, P.Seeger- Sony Columbia 487995 2 

 

 

N    バーズの「ターン、 ターン、ターン」です。これを聞くのは、少なくとも40年ぶりで

 しょうね。突然カフェの天井に埋め込まれたスピーカーから流れて来たのです。始め

 は何の歌だか分かりませんでした。皆さんもよくあるでしょう、聞き覚えは

 あるのですが題名が浮かんで来なかったのです。「『タムバリンマン』じゃない

 な」としばし考えて、繰り返しのリフでバーズの「ターン、 ターン、ターン」だと分かり

 ました。その時には嬉しかったですね。「でも何故だろう」という思いが浮

 かんだのも事実です。その前に流れた曲にヒントがあったかも知れません。

 次にお聞き頂くのは、寝がけに浮かんで来て、眠ってしまうまで心の中で

 鳴っていたこの歌です。

 

M02.Ms. Fine Brown Frame(3’51”)シル・ジョンソン

-S.Johnson, G.Cooke-  P-ヴァイン PCD-1257

 

N   シル・ジョンソンの「ミズ・ファイン・ブラウン・フレイム」でした。最初の発売が1982年で

 すからもう40年以上前になります。彼は ハイから出ていた「あっと驚く」ジャケ

 ット写真のLPで知られていましたが、特にこの国では決定的なヒット曲がなく

 存在のみが取沙汰されているような唄い手でした。北米本国でも同じような

 もので、そこを心機一転したかったのでしょうか、この曲で第一線に躍り出

 て来たのです。

 古臭いブルーズの形ではなく、新しいファンクのスタイル、先進のラップ調でもありま

 す。新しいブルーズの展開をしていたジェイムズ・コットンのグループが協力して、この

 サウンドに仕立てたようです。ただし、彼が自主的に造った1枚でもあり、結果

 は芳しくありませんで、その後87年に「スーパー・ソウル・ショウ」の一員として来日

 した時にも、やはり「セイム・オールド・ブルーズ・シンガー」の姿がやけに印象的で

 した。

 このレコードはその頃から持っていました。CDがPヴァインから出ていた事を失

 念していた位です。確か放送使用のために持って行ったら針が飛んでしまっ

 て使えませんでした。ですので、しっかり覚えています。

 

 

M03.Stand By Me(2’52”)Otis Redding

-King, Glick- Atco /  Rhino 8122 79827 4

 

 

N   さてバーズを聞いた所とは違うカフェで流れていたのが「スタンド・バイ・ミー」、し

 かもオーティス・レディングでした。当初はわたしも「まさか」と思いましたが、間 

 違いありませんでした。帰りに「音楽は有線放送ですか」と従業員に訪ねた

 位です。チェイン展開をしている店では全店舗で同じ音楽を流している所がある

 そうで、このカフェもそのひとつでした。以前からここで流れる音楽には何度

 か「おや」と感じていましたが、やっぱりだったのです。ベン・Eならともか

 く、まさかオーティスの「スタンド・バイ・ミー」を外で聞くとは・・・長生きはしてみ 

 るもんですね。

 しばらく前に「三拍子の音楽が好きだ」という人にあった事があります。

 その時わたしの想像力は大いに刺激を受けまして、いろいろと持っているレコー

 ドで「三拍子の音楽」を考え始めました。今朝はそれをネタに進めていきまし

 ょう。

 

M04.Tennessee Waltz(2’56”)Otis Redding  

-Stewart, King-  Atoco / Rhino 081227944156

 

N  「三拍子の音楽」と聞いて、まず誰でも思い浮かべるのがこの歌「テネシー・ヲー  

 ツ」でしょう。オーティスもサム・クックの影響か、『ソウル辞典』でちゃんと「三拍子」

 のリズムで唄っていました。この国では江利チエミでしょうが、パティ・ペイヂが唄

 って世界的な大ヒットになったものの日本語仕様でした。

 

 では一般的にオリジナルと言われるものを聞いてみましょう。ピー・ウィー・キング

 と彼のゴールデン・ウエスト・カウボーイズの唄と演奏です。

 

M05.Tennessee Waltz(2’58”)Pee Wee King & His Golden West Cowboys

-Stewart, King-  Union Square  METRSL 038

 

 

M06.Slow Poke(3’02”)Pee Wee King & His Golden West Cowboys

-Price,Stewart, King- Union Square  METRSL 038

 

 

N   ピー・ウィー・キングと彼のゴールデン・ウエスト・カウボーイズで、「テネシー・ヲーツ」でし

 た。この歌が作曲されたのは1946年だそうです。作曲者のピー・ウィー・キングは

 これで一生を食ってたんじゃないかな。続けたのは同じグループの「スロウ・ポー

 ク」でした。極めて平均的なカントリー・バンドである事が分かりますね。

 さて、「三拍子の音楽」という事で最近面白い表現を見つけました。日本

 国立の東京ゲー大の教授だった小泉文夫の「歌謡曲の構造」という著書の中

 にあった「三拍子は調子がいい」という行りです。わたしもこの類の音楽は

 どのように表現したらいいものかと考えあぐんでおりましたが、確かにこの

 表現は当たっている、と考えます。ワルツはファンクのように方向性が定まっていま

 す。演奏者はそれに乗っていれば良い。ある程度は楽ですね。もちろん前進

 方向ですが。であるからこそ「円舞曲」と呼ばれて宮廷の舞踏会に使われた

 のではないでしょうか。「ドン・タッタ、ドン・タッタ」という刻みは実に調子も元

 気も大変によろしい。これがおフランスパリーでは少々物憂げな雰囲気を醸し出す

 ようでもありますが、この国では「調子がいい」方が優っているようです。

 ゴスペルでも「三拍子」はたくさん用いられています。それを上手に使った のが、「キング」ソロモン・バークでした。

 

 

M07.ワーズ(2’25”)ソロモン・バーク

-S.Burke-  ワーナー WPCR-27555

 

M08.Blues Waltz(6’28”)

-M.Roch-  Atlantic / Rhino R274731

 

N   ソロモン・バーク自作の「ワーズ」そしてジャズです。レイ・チャールズの実況録音で「ブル 

 ーズ・ヲーツ」ドラマー、マクス・ローチの作曲でした。

  さてカントリーにもワルツは多くがあります。初期には教会の賛美歌からの延長、と

 言っても過言ではないでしょう。ではその中からハンク・ウイリアムズの3曲、「ネヴ

 ァ・アゲイン」「富は魂を救えない」「神その子らを「集め給う時」です。

 

 

M09.ネヴァ・アゲイン

-H.Williams-  ポリドール POOP 29001/7

 

M10.富は魂を救えない

-H.Williams-  ポリドール POOP 29001/7

 

M11.神その子らを集め給う時

-H.Williams-  ポリドール POOP 29001/7

 

N    ハンク・ウイリアムズの初期の吹き込みから「ネヴァ・アゲイン」「富は魂を救えない」   

 「神その子らを集め給う時」の3曲でした。極めて宗教的でしたね。最近で

 はカントリーと宗教の関係もそれほど密接ではなくなりまして、こういう背景を持

 たない愛の歌がほとんどです。ではウイリー・ネルスンが羨ましくも多くの女性との 

 デュウオを実現させたアルバムから三拍子をふたつどうぞ。まずドリー・パートンと「フロ 

 ム・ヒア・トゥ・ザ・ムーン・アンド・ザ・バック」、そして「シー・ヲズ・ノー・グッド・フォ 

 ー・ミー」、こちらはミーランダ・ラムバートと一緒に唄っています。

 

M12.From Here To The Moon And Back(4’01”)

Willie Nelson With Dolly Parton

-D.Parton-  Sonny / Legacy 88883769982

 

M13.SheWas No Good For Me(3’47”)Willie Nelson With Miranda Lambert

-W.JenniNgs-  Sonny / Legacy 88883769982

 

M14Put It Until Tomorrow(2’27”).Jenni Muldaur & Teddy Thompson

 

N  「フロム・ヒア・トゥ・ザ・ムーン・アンド・ザ・バック」ドリー・パートン、そして「シー・

 ズ・ノー・グッド・フォー・ミー」、ミーランダ・ラムバート。男の声はウイリー・ネルスンです。そ

 れに続けましたのは、マリア・マルダーの娘のジェニとテディ・トムプスンのアルバムから、 

 「それは明日にして」でした。いい味わいですね。このLPはよく知られたカン

 トリーのデュエット曲を採り上げています。企画盤なのに収録時間が短いのがちょっ

 と不満ですが、余計な歌がなくてしっかり仕上げられています。「可」をあ

 げて60点で合格かな。

 

M15.アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー(4’32”)クリーデンス・クリアヲーター・リヴァイバル

-J.Hawkins-   ビクター VICP-62071

 

N   ご存知クリーデンス・クリアヲーター・リヴァイヴォーの「呪いかけてやる」です。このカヴァ 

 は俗に三連と呼ばれる4/4拍の音楽ですが、オリヂナルはどうも三拍子としての解

 釈で演っているのではないか、とわたしは考えています。

 

M16.I Put A Spell On You(2’29”)Screamin’ Jay Hawkins

-J.Hawkins-16.(2’29”) CBS / Rhino R2 70944 7

 

 

N   どうですか。クリーデンスのは 4/4の二拍と四拍の位置にスネアのヒットが来てました

 から、4拍子だと分かりますが。ジェイ・ホウキンズのはそうじゃないですね。ドラ

 ムズを聞くと3拍子として演奏しているのがよく分かります。他のみんなも3拍

 子で乗ってます。

 子供の頃この形をわたしたちは「三連」という言葉を知る前には「12ビート

 のスロウ」などと呼んでいました。四分音符のひとつひとつをを三つずつ打て

 ば一小節に12個ですから、間違ってはいません。ブギーウーギの付点感覚が分

 からなかったのでしょうか。初めて「三連」に挑戦した「絶望の人生」で

 は、ハイハットのビートを数えて「これは三拍子 か」と思った位でした。

 では始めは3拍子と勘違いした「絶望の人生」、バタフィールド・ブルース・バンド

 です。

 

M17.絶望の人生(4’59”)バタフィールド・ブルース・バンド

-p.d.-  ワーナー 20P2-2106

 

M18.Catch The Wind(2’16”)Donovan

-Donovan Leitch-  Epic / Legacy 88691958682

 

N   簡単なギター弾き語りの時に、三拍子は「調子よく方向性の明らかな」特性

 が有効な武器になります。このドノヴァンのよく知られた「風を集めて」などは

 その代表かも知れません。

 ザ・ビートルズにもいくつかのワルツがあります。これは主にジョン・レノンのへそ曲

 がりな感覚の作用かも知れません。最後のアルバムとなった『レット・イト・ビ』か

 ら、あの屋上で演奏された「デイグ・ア・ポニー」を聞きましょう。

 

M19.Dig A Pony(3’38”)The Beatles

-J.Lennon, P.McCartney-   EMI / Parlophone / Apple 07243 595713 2 4

 

M20.Ther’s No Tomorrow(3’43”)Elton John & Leon Russell

-John,Russell- Mercury 2748480

 

M21.How High The Moon(8’09”)Ella Fitzgerald

 -Hamilton, Lewis- ポリドール POCJ-2491

 

 

TM  Born In Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

 

  N    最終曲重視の「幻」です。先週触れた『エラ・イン・ベルリン』から「ハウ・ハイ・

 ザ・ムーン」でした。先週の「マック・ザ・ナイフ」の後に、改めて聞いたんですよ。 

 これは何回聞いてもその都度、舌を巻きますね。まだ貫禄を付ける前のエラ、

 まだ若い声の可愛らしさと、神がかり的なその才能の底知れぬ恐ろし

 さ・・・。敵わないですね、本当に。その前の重たいヲーツは、エルトン・ジョンと

 リオン・ラッソーの「明日なんて来ないよ」、こういう表現も3拍子は得意です。

 

 

 今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

 https://89.gigafile.nu/0509-b6183790eb141a411787a0f1e9de60c21

 ダウンロード・パスワードは、いつものようにありません。

 使用音楽素材図絵は、ここです。

 https://89.gigafile.nu/0509-d35bf19b3d0bf1afd5340e4d117b1621e

 

 ダウンロード・パスワードは、同じく「なし」。

 共に7日間の限定です。

 

 今朝も、ちょうど時間となりました。

 こちらは、https://ameblo.jp/djsawada よろしくお願い致します。

 どんなコメントでも受け付けています。どうぞご自由にご投稿下さい。

 エックスのhttps://twitter.com/hashtag/blues761?f=live も便利です。お好き

 な方で構いません。聞いているだけのあなたも、是非どうぞ。

 

 「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。今朝も首都圏で9人のあなただけに。

 そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。今日は暑いそうですよ。

 

 

 

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