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前TM. Walikin’ Blues「ｱｻｰ」入り / Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson- Rhino 8122 798434 0

N おはようございます、ﾜﾂｼｲｻｦです。「幻」ﾓｰﾆﾝ・ﾌﾞﾙｰｽﾞ2021年2月27日

　を始めましょう。「2月は逃げる」というように、今年も早く過ぎて行った如

　月二月。もう3月、年度末です。今年は暖冬、と言い切れない気候でした。

　先週深夜の地震、皆さん大丈夫でしたか。わたしは入浴中でして、このまま

　じゃ逃げられないな、と思案しました。

　　さて今朝の1曲目です。「青春の孤独」という放題が付いていたと思います。

　　ﾛｰｽﾞ・ﾛｲｽで「ｱｲ・ｦﾅ・ｹﾞｯﾄ・ﾈｸｽﾄ・ﾄｩ・ﾕｰ」。

M01.I Wanna Get Next To You(3’55”) Rose Royce

-N.Whitfield- Whitfield 3475-2

N 男女9人編成のｳﾞｫｰｶﾙ・ｱﾝﾄﾞ・ｲﾝｽﾄｩﾙﾒﾝﾀﾙ・ｸﾞﾙｰﾌﾟ、ﾛｰｽﾞ・ﾛｲｽ、1976年の

　ﾋｯﾄ曲「ｱｲ・ｦﾅ・ｹﾞｯﾄ・ﾈｸｽﾄ・ﾄｩ・ﾕｰ」。でした。このﾛｰｽﾞ・ﾛｲｽはﾉｰﾏﾝ・ｳｨｯﾄ

　ﾌｨｰﾙﾄﾞが育てて売り出したﾌｧﾝｸ・ｸﾞﾙｰﾌﾟで、映画「ｶｰｦｯｼｭ」の音楽を担当し

　て華々しく世に出ました。「ｶｰｦｯｼｭ」、文字通り洗車屋の日常を描いた何でも

　ない黒人風俗音楽映画で、ﾎﾟｲﾝﾀｰ・ｼｽﾀｰｽﾞもｹﾞｽﾄ出演していました。ｽｲﾝｸﾞ・

　ｼﾞｬｰﾅﾙ社のﾌｭｰｼﾞｮﾝ音楽誌ｱﾄﾞﾘﾌﾞがﾌﾟﾛﾓｰﾄに力を入れて、毎号ｸﾞﾗﾋﾞｱで特集し

　てましたね。日本では映画自体の入りもあまり芳しくなく、2枚組のｻﾝﾄﾗもあ

　まりﾊﾟｯとしなかったですけれど、ﾛｰｽﾞ・ﾛｲｽ自体の売り出しはまずまずでし

　た。

　　ｱｰｽ、ｳｲﾝﾄﾞ、ｱﾝﾄﾞ・ﾌｧｲｱ以前の黒人ｳﾞｫｰｶﾙ・ｱﾝﾄﾞ・ｲﾝｽﾄｩﾙﾒﾝﾀﾙ・ｸﾞﾙｰﾌﾟは

　殆どがﾃﾞｨｽｺ市場で活躍しました。ﾛｰｽﾞ・ﾛｲｽも同じようにﾃﾞｨｽｺ路線を突っ走

　ったのです。

M02.Is It Love Yo’re After(3’18”) Rose Royce

-M.Gregory- Whitfield 3475-2

N 典型的な70年代のﾃﾞｨｽｺ・ﾀﾞﾝｽ曲「ｲｽﾞ・ｲﾄ・ﾗｰｳﾞ・ﾖｰ・ｱﾌﾀ」、完璧な造り

　ですね。流石は変人ﾉｰﾏﾝ・ｳｨｯﾄﾌｨｰﾙﾄﾞです。彼はﾃﾑﾌﾟﾃｲｼｮﾝｽﾞ第二期の制作担

　当で名を挙げた男です。この後すぐに自身の「ｳｨｯﾄﾌｨｰﾙﾄﾞ」ﾚｺｰﾄﾞを設立して、

　ｳﾞｫｰｶﾙ・ｸﾞﾙｰﾌﾟのﾏｽﾀ・ﾋﾟｰｽなんかを世に出していました。世代的には先代の

　大御所たちより若いので、完全にｲﾚｸﾄﾘｯｸで多少ﾛｯｸ的なところが特徴です。

　　では出世作映画「ｶｰｦｯｼｭ」から、その主題歌をどうぞ。

M03.Cart Wash(3’18”)Rose Royce

-N.Whitfield- Whitfield 3475-2

M04.またいつの日にか(3’27”)ﾀﾞｲｱﾅ・ﾛｽ&ｽﾌﾟﾘｰﾑｽ

-J.Beabers, J.Bristl, H.Fuqua- ﾎﾟﾘﾄﾞｰﾙ / ﾓｰﾀｳﾝ POCT-1523/4

N ﾉｰﾏﾝ・ｳｨｯﾄﾌｨｰﾙﾄﾞ企画制作の「ｶｰｦｯｼｭ」、ﾛｰｽﾞ・ﾛｲｽでした。そして、同じ

　頃やはりﾓｰﾀｳﾝで企画制作を請け負っていた同僚、ｼﾞｮﾆｰ・ﾌﾞﾘｽﾄﾙの手になる

　ｽﾌﾟﾘｰﾑｽﾞの「またいつの日にか」です。ﾀﾞｲｱﾅ・ﾛｽがﾋﾟﾝになってｸﾞﾙｰﾌﾟを離

　れる時のﾜｻﾞとらしいｼﾝｸﾞﾙ曲です。ﾜｻﾞとらしさを通り越して「あざとい」と

　いう表現の方が当たっているかも知れません。唄い出しが「You Found A Way」

　ですよ。あんまりだ。主語が違うだろうに。こちらも流石です。何せ御大ﾍﾞﾘ

　ｰ・ｺﾞｰﾃﾞｨの女だからねえ。　

　　そんな背景はともかくとしても、この「またいつの日にか」は、ﾀﾞｲｱﾅ・ﾛｽ

　以外のﾊﾞｯｸ・ｸﾞﾗｳﾝﾄﾞ・ｳﾞｫｰｶﾙが非常に充実しています。この時唄っているｽﾌﾟ

　ﾘｰﾑｽﾞはﾌﾛｰﾚﾝｽ・ﾊﾞﾗｰﾄﾞとﾒｱﾘ・ｳｲﾙｽﾝではありませんが、見事なｺｰﾗｽ・ﾜｰｸで

　す。嫌だったでしょうけどね、こんな唄うのは。そしてﾀﾞｲｱﾅのﾘｰﾄﾞ・ｳﾞｫｲｽ

　に対してﾚｹﾞのMCﾏﾝのように時折相槌を打つ男の声、これが全体に濃淡をつ

　けていまして、味わいが深くなっています。

　　その主がこの人です。

M05.Do It To My Mind(4’47”)Johnny Bristol

-J.Bristol- Play Back PBR8504

N 「枯葉色の街」、ｼﾞｮﾆｰ・ﾌﾞﾘｽﾄﾙです。実はこの邦題に自信がなかくてﾈｯﾄ上

　で検索して調べたら、何と2016年の「ﾓｰﾆﾝ・ﾌﾞﾙｰｽﾞ」の記事が出て来てしま

　いました。苦笑いというのはこういう時にするんでしょうね。それを信じれ

　ば、「枯葉色の街」という邦題には間違いがありません。

　　ｼﾞｮﾆｰ・ﾌﾞﾘｽﾄﾙは1939年ﾉｰｽ・ｷｬﾛﾗｲﾅ州の生まれ、60年代後半から70年

　代初頭までﾓｰﾀｳﾝで働いて、その後ｿﾛ歌手として活動しました。小さな独立ﾚｲ

　ﾍﾞﾙを渡り歩いていたので、表立った売り出しの恩恵にあやかる事もなかった

　のですが、堅実な制作能力を高く評価する人たちが今もいます。わたしもそ

　のひとりでしょう。

　　次の「ﾗｽﾃｨ・ﾚｲﾃﾞｨ」は15年経って、ﾈｳﾞｨﾙ・ﾌﾞﾗｻﾞｰｽﾞの「ｲｴﾛｳ・ﾑｰﾝ」に

　影響を与えたそうです。2曲続けて聞いてみましょう。

M06.Lusty Lady(3’05”)Johnny Bristol

-J.Bristol- Play Back PBR8504

M07.ｲｴﾛｰ・ﾑｰﾝ(4’04”)ﾈｳﾞｨﾙ・ﾌﾞﾗｻﾞｰｽﾞ

-A.Nevil, J.Nevil- ﾎﾟﾆｰ / A&M D22Y3354

N 「ﾗｽﾃｨ・ﾚｲﾃﾞｨ」ｼﾞｮﾆｰ・ﾌﾞﾘｽﾄﾙ、そして「ｲｴﾛｳ・ﾑｰﾝ」ﾈｳﾞｨﾙ・ﾌﾞﾗｻﾞｰｽﾞでし

　た。確かに雰囲気が似ていますが、直接の参考になったのかなあ。ｿﾆｰ・ﾏﾛｳ

　という愛好家の説です。

　　彼の絶頂期とも言える1974年から81年までのﾋｯﾄを集めたﾍﾞｽﾄ盤が東欧の

　ﾌﾟﾚｲ・ﾊﾞｯｸ・ﾚｺｰﾄﾞから2015年に出ています。2004年に本人が亡くなってか

　らの発売です。これを見ても評価の確実さがわかるというものですね。

　　そのﾍﾞｽﾄ盤は熱心な人のまごころが伝わって来る暖かい仕上がりで、「嗚呼

　ﾌﾞﾘｽﾄﾙの事を好きなのは俺ひとりじゃないんだ」という思いに浸れます。

　　では彼が独り立ちして放った初めてのﾋｯﾄ曲です。

　　「ﾊﾝｸﾞ・ｵﾝ・ｲﾝ・ｾﾞｱ・ﾍﾞｲﾋﾞ」、1974年の事でした。

M08.Hang On In There Baby(3’54”)Johnny Bristol

-J.Bristol- Play Back PBR8504

M09.Lady Love(3’40”)Lou Rawls

-K.Gamble,L.Huff- Knight / Philadelphia intl. KNCD 82001/8

N 「ﾊﾝｸﾞ・ｵﾝ・ｲﾝ・ｾﾞｱ・ﾍﾞｲﾋﾞ」、ｼﾞｮﾆｰ・ﾌﾞﾘｽﾄﾙ、そしてﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞ、1977年

　のﾋｯﾄ「ﾚｲﾃﾞｨ・ﾗｰｳﾞ」でした。

　　今回この東欧製ﾍﾞｽﾄ盤を聞いていまして、強い連想を抱いたのがﾌｨﾗﾃﾞﾙﾌｨ

　ｱ・ｲﾝﾀﾅｼｮﾅﾙ・ﾚｺｰｽﾞ時代のﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞでした。甘美に洗練された編曲、力強く

　堅実な演奏の上で拡げられる男女の恋愛絵図、両者に共通する要素です。

　　なんて想いを強くしていたら、先のｿﾆｰ・ﾏﾛｳという人がこの盤の解説で書

　いていました。「枯葉色の街」でｼﾞｮﾆｰ・ﾌﾞﾘｽﾄﾙは、ﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞの甘さとﾊﾞﾘｰ・

　ﾎﾜｲﾄ的な弦編成の編曲取り入れたんだってね。やっぱりそうでした。

　　ただし決定的に違うのは唄声です。世紀のｳﾞｧﾘﾄﾝ・ｳﾞｫｲｽ、ﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞに他

　の人間がそう簡単に敵うわけがありません。ではここからはﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞがﾌｨﾗﾃﾞ

　ﾙﾌｨｱ・ｲﾝﾀﾅｼｮﾅﾙで描いた男女の愛憎絵巻をご覧いただきましょう。どれもほ

　ぼ完璧な出来栄えを誇ります。表立って評価する人はあまりいませんが、永

　遠の傑作と言っても良いでしょうね。何よりもﾙｳが気持ち良く存分に唄って

　います。

　　では行きましょう。まずは決定的なこれからです。

　　「別れたくないのに」。

M10.You Never Find Another Love Like Mine(3’30”)Lou Rawls

-K.Gamble, L.Huff- Knight / Philadelphia intl. KNCD 82001/8

M11.See You When I Get There(4’27”)Lou Rawls

-K.Gamble, L.Huff- Knight / Philadelphia intl. KNCD 82001/8

N 「別れたくないのに」、「ｼｰ・ﾕｰ・ｳｪﾅｲ・ｹﾞｯｾﾞｱ」、ﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞでした。彼の

　唄った世界というのは当時黒人たちが日常生活の中で心の中に描いていた憧

　れを強く反映していたような気がします。あちらでﾋｯﾄを連発したのも頷けま

　す。日本ではR&Bﾌｧﾝからは「ﾅﾑﾊﾟだ」と嫌われ、ﾎﾟﾋﾟｭﾗｰ音楽ﾌｧﾝには「黒

　すぎる」と敬遠され、あまり良い評価をえられませんでした。この世界をそ

　っくりﾊﾟｸろうとした業界関係者もいましたが、無理だったようです。何より

　こんないい声の持ち主がいませんでしたからね。

M12.Sit Down And Talk To Me(3’16”)Lou Rawls

-K.Gamble,.L.Huff- Knight / Philadelphia intl. KNCD 82001/8

N ﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞで「ｼｯﾄ・ﾀﾞｳﾝ、ｱﾝﾄﾞ・ﾄｰｸ・ﾄｩ・ﾐｰ」1977年の作品です。P.I.R.

　のﾜﾝ・ﾊﾟﾀｰﾝ規格にｽｯﾎﾟﾘﾊﾏった楽曲ですが、何とも言えぬ味わいがあります。

　　ﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞは1971年の春頃に来日していますね。確かﾌｼﾞﾃﾚﾋﾞのﾐｭｰｼﾞｯｸ・

　ﾌｪｱに出てた。わたしの家ではその頃そのﾁｬﾈﾙが見れなくてね。近所に下宿を

　してた級友が休みで実家に帰るってんで、奴のﾃﾚﾋﾞを借りて自分の部屋に持

　ち込んで観た思い出があります。ﾌﾞﾙｰｽﾞ的な構成ではなかったんですが、「ﾄﾊﾞ

　ｰｺ・ﾛｰﾄﾞ」を唄ってくれたな。

　　さてP.I.R.からﾌﾞﾙｰ・ﾉｰﾄに移ったﾙｳは1993年に『ﾎﾟｰﾄﾚｲﾄ・ｵｰｳﾞ・ｻﾞ・ﾌﾞ

　ﾙｰｽﾞ』というｱﾙﾊﾞﾑを発表します。収録曲も演奏陣も文句なしなんですが、こ

　れまた狭量な日本のﾌﾞﾙｰｽﾞ愛好家には評判の悪い1枚でして、そういう人達

　の前ではこの盤が好きだ、なんて口に出来ませんでした。わたしはよく聞い

　ていましたがね。

　　ではﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞです、「ﾊﾟｰｽﾝ・ﾄｩ・ﾊﾟｰｽﾝ」。

M13. ﾊﾟｰｿﾝ・ﾄｩ・ﾊﾟｰｿﾝ(2’42”) ﾙｰ・ﾛｳﾙｽﾞ

-C.Singleton- 東芝 / Manhattan TOCJ-5744

N ﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞで「ﾊﾟｰｽﾝ・ﾄｩ・ﾊﾟｰｽﾝ」、ちっとも悪くないでしょう。そりゃ40

　年代の野外録音とは違いますが、ﾌﾞﾙｰｽﾞの愛敬は失われていませんね。商業

　的な展開に成功したので、ひがみっぽい日本の音楽愛好家はﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞの事を

　決して評価しませんが、そんな時にはこれを聞かせます。ｻﾑ・ｸｯｸの「悲しき

　叫び」です。ここでｻﾑの相方を務めているのがﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞなんですよ。彼は、

　ｺﾞｽﾍﾟﾙの名門、ﾋﾟｸﾞﾘﾑ・ﾄﾗｳﾞｪﾗｰｽﾞの出身で師J.W.ｱﾚｸﾞｻﾞﾝﾀﾞｰの下でｻﾑと一緒

　に活動していた間柄です。

M14.Bring It On Home To Me(3’05”)Some Cooke

-S.Cooke- RCA PD87127

N 「悲しき叫び」ｻﾑ・ｸｯｸ、ﾌｨｰﾁｭｱﾘﾝｸﾞ・ﾙｳ・ﾛｳﾙｽﾞでした。

　　さて、「幻」ﾓｰﾆﾝ・ﾌﾞﾙｰｽﾞはここのところ昔の音楽ばかりです。わたしの身

　上は「既に音楽に新旧は無くなった」ですから別に気にしなくてもいいか、

　というところですが、懐ﾒﾛ番組になってしまうのは避けたいところです。何

　故ならば、みんな今を生きているからです。

　　しかしながら、ﾊﾟｯｹｲﾁﾞ音楽の低調ぶりは如何ともし難く、出てくる音源も

　昔の物ばかり。悲しく叫びたくもなります。けれども、欧米以外ではたくさ

　んの新しい音楽が生まれていました。自らの不明を恥じます。

　　外出を控えた事もあって、半年ぶりくらいに渋谷公園通りにあるﾚｺｰﾄﾞ店へ

　行って来ました。1階がﾒﾛﾝパン屋から不動産屋に変わったのも知らなかった。

　そこで店主と雑談をしながら、気になったｼﾞｬｹｯﾄの新譜を聞かせて貰ったら、

　力の入った質の良い音楽ばかり。R&Bやｶﾝﾄﾘｰは冬眠しているような状態で

　すけど、民族音楽、特にｱﾌﾘｶの底力はまだまだ枯れていないようです。

　　来週時間をかけてお届けする前に、今朝少しだけお届けしておきましょう。

　　まずﾏﾘという名前の世襲音楽家、ｸﾞﾘｵが残した録音です。

　　「ｻﾇｹﾞ・ｼﾞﾑﾊﾞ」。

M13.Sanuge Jimba(5’27”)Mali

-unknown- Meg-aip 119

N おそらく野外、あるいは普通の民家での収録でしょう、ﾏﾘの「ｻﾇｹﾞ・ｼﾞﾑﾊﾞ」

　でした。終了部分、ﾌｪｲﾄﾞ・ｱｳﾄ際が何とも素敵な響きでした。

　　次はｶﾞｰﾅの一弦楽器奏者、ｱﾛｽﾄﾏﾝ。この盤はもうじき刊行される「音楽雑

　誌ｴﾘｽ」次号で、北中正和さんが「ﾋﾋﾞﾉｵﾄ」で取り上げていました。あの人も

　ﾊﾟｯｹｲﾁﾞ派らしく、「注文した盤がまだ届かない」と書いていましたが、もう

　手に入ったかな。

　　力いっぱいの唄と演奏です、ｱﾙﾊﾞﾑ冒頭曲「ｺﾛｺﾞ」。

M14. Kologo(4’17”)Alostmen feat.Wanlov Kubolor

-unknown- Strut STRUT2344CD

M15.Argos Fartish(4’40”)Sharhabil Ahmed

-unknown- HABIBI013

N 今のはｼｬｰﾊﾋﾞﾙ・ｱｰﾒﾄﾞという、これは演奏集団の名前かなあ。ｴﾚｷ歌謡とｸﾞ

　ﾙｰﾌﾟｻｳﾝｽﾞの中間、正に昭和30年代洋楽風邦楽曲の響きですね。曲名は「ｱﾙｺﾞ

　ｽ・ﾌｧﾙﾃｨｼｭ」でいいのでしょうか。このｸﾞﾙｰﾌﾟは大変面白いので、来週をお

　楽しみに。

　　そして最後は若干ｼｰﾘｱｽな響きです。ｻﾝﾄﾛﾌｨで、ｱﾙﾊﾞﾑ表題曲「ｱﾚﾜ」。

M16.Alewa(5’34”)Santrofi

-unknown- Out|There OH034

M17.ﾌｫｰ・ｻﾞ・ﾗｳﾞ・ｵﾌﾞ・ｲｯﾄ(7’12”)ﾛﾆｰ・ｽﾐｽ

-L.Smith- Solid / Groove Marchant CDSOL-45955

後TM Born In Chicago 「ｱｻｰ」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites- Rhino 8122 798434 0

N ｱﾌﾘｶのｺﾝﾃﾑﾎﾟﾗﾘ音楽、力が漲っていますね。それに較べて普段わたしの耳

　にするものと言えば・・・、主にﾃﾚﾋﾞ、商店からで聞こえて来るこの国のｺﾝﾃ

　ﾑﾎﾟﾗﾘ音楽はお寒い限り。こういうのを聞いていると、間違いなくこの国は

　近々滅びる、と確信します。卵と鶏どっちが先かは分かりませんが、国情の

　正直な反映でしょう。せめてわたしがこの世にいる間は惨めに滅びない事を

　祈るばかりです。後は若い人たちが好きなようにやって呉れればいいですね。

　　お別れは、先週に引き続いて、ﾛﾆｰ・ｽﾐｽのｼﾝｾｻｲｻﾞ・ｱﾙﾊﾞﾑからです。先に

　ﾌﾙｰﾄやｻｸｽﾌｫﾝにｿﾛを行かして、自分は「今度はこの音」と新兵器ｻｲｻﾞを前に

　じっくりと選んでいるﾛﾆｰ・ｽﾐｽの姿が見えるような「ﾌｫｰ・ｻﾞ・ﾗｳﾞ・ｵﾌﾞ・ｲｯ

　ﾄ」、ｱﾙﾊﾞﾑ『ﾌｧﾝｸ・ﾘｱｸｼｮﾝ』からでした。こんなにｼﾝｾｻｲｻﾞに夢中になってい

　たﾛﾆｰは、　結局ｵﾙｶﾞﾝに帰りました。楽器として物足りなかったのでしょう

　かね。

　さて、今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

　 https://firestorage.jp/download/76272620f168f5f75d8e7edec0643aadb65be1d7

　ﾀﾞｳﾝﾛｰﾄﾞ・ﾊﾟｽﾜｰﾄﾞは、uinf5iceです。

　　使用音楽素材図絵は、こちら。

　 https://firestorage.jp/download/a4304d35213b5a1cc6e2d74451bd4963bbd7a2f4

　ﾀﾞｳﾝﾛｰﾄﾞ・ﾊﾟｽﾜｰﾄﾞは、同じくuinf5iceです。

　　なお、特別付録音声が今週は78分3秒なんです。普通のCD-Rには焼き切

　れない可能性があります。最終曲で事故がありまして、3秒溢れました。すみ

　ません。

　　今朝もちょうど時間となりました。

　こちらは、https://ameblo.jp/djsawada 新所在地です。以降、ここへ直接お越

　し下さい、あ、既にご覧になってますね。ｺﾒﾝﾄも受け付けていますが、ｱﾒﾌﾞﾛ

　のﾄｰﾛｸが面倒で入れない方が何人かいるようですね。PC通信の達人、澤田修

　の案内が必要かな。ｸﾞﾘｺさんはちゃんと入ってましたね。お便りありがとう

　ございます。元気で良かった。

　　ﾂｲﾀのhttps://twitter.com/hashtag/blues761?f=live の方が便利かも知れ

　ません。わたしはﾂｲﾀに関しても門外漢でして、詳しくはﾂｲﾀ専門家委員長、

　澤田修にお尋ね下さい。悪しからず。

　「幻」ﾓｰﾆﾝ・ﾌﾞﾙｰｽﾞ、鷲巣功でした。来週も首都圏で9人のあなただけに。

　　　そして全国で9500万人のあなたにも、ｱｻｰ。

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【幻】モーニン・ブルーズ 2021/2/27