月曜は「さびしんぼう」を観てから1時間後、俺のバランスセンサーが働いて、人の命が安い映画が観たくなり(笑)、かみさんから白い眼で見られながら録画しておいたこれを観たのだった!
ジョン・ウィック:チャプター2 (2017年)
JOHN WICK: CHAPTER 2
監督 : チャド・スタエルスキ 製作 : ベイジル・イヴァニク、エリカ・リー 製作総指揮 : ジェフ・ワックスマン、ロバート・ベルナッキ、デヴィッド・リーチ、ケヴィン・フレイクス、ヴィシャル・ルングタ キャラクター創造・脚本 : デレク・コルスタッド 撮影 : ダン・ローストセン プロダクションデザイン : ケヴィン・カヴァナー 衣装デザイン : ルカ・モスカ 編集 : エヴァン・シフ 音楽 : タイラー・ベイツ、ジョエル・J・リチャード
出演 : キアヌ・リーヴス、コモン、ローレンス・フィッシュバーン、リッカルド・スカマルチョ、ルビー・ローズ、フランコ・ネロ、クラウディア・ジェリーニ、ブリジット・モイナハン、ランス・レディック、トーマス・サドスキー、デヴィッド・パトリック・ケリー、ピーター・ストーメア、トビアス・シーガル、ピーター・セラフィノウィッツ、ルカ・モスカ、ジョン・レグイザモ、イアン・マクシェーン、ワス・スティーヴンス、マーガレット・デイリー
愛車を盗まれ、愛犬を殺されたことで怒り心頭、引退状態から復帰しロシアンマフィアに単身復讐を遂げた前作は無茶苦茶面白かった。レビューはこちら
本作はその5日後の物語。
前作で犬の復讐は遂げたものの取り返せなかった愛車を取り返すべく、前作で始末したロシアンマフィアの弟のところに向かうジョン。
マフィア弟は5日前に何があったかわかっているからアジトを手放してでも返したかったのに時すでに遅し。ジョンは車を奪うが追撃され肝心の車も何度も撥ねられたジョンもボロボロ(笑)
相手もビビっているんだから、強奪する前に話せば無傷で車も戻ってきそうな気もするが、そんなことしたら掴みはOKのファーストシーンがなくなっちゃう(笑)。カーチェイスの果てに向かってくる連中が何故か素手で、ジョンの肉弾戦は体捌きが今ひとつで強そうに見えないが(笑)、デカい奴には躊躇なく銃で撃つのが笑ってしまう。
前作は「許すまじ!」の静かな復讐の情念を纏っていたジョンだったが、これでまた引退状態に戻れるかと思うとそうは問屋が下ろさない。てか映画としてもここで終われるわけがない(笑)。
かつて「誓印」を取り交わしジョンに“貸し”があるイタリアン・マフィア「カモッラ」の幹部サンティーノが、彼の実の姉ジアナ暗殺の依頼を持ち込む。
一度は断るジョンだが、妻との思い出の家を爆破されてしまう。
取り交わした「誓印」は絶対で、止む無くその依頼を実行すべくイタリアに向かうジョン。
ジオナは世界各地の犯罪組織たちを束ねる「主席連合」に就任するところ。弟であるサンティーノがその座を狙ってジョンに依頼をしたわけだが、ジョンはジオナとは友人で、彼女を守るカシアンも実力を認め合う仲。そりゃ気乗りしないし、断りたくもなるよね。それでもやるからには準備しなくてはならない。
前作でも登場した殺し屋たちの裏社会「コンチネンタル」の世界が前作以上にクローズアップされているのが本作の肝。
前作でも登場していた裏世界でしか流通しないコインや前述の「誓印」などの独自の仕組みが端的に示されて面白い。
ホテル内で血を流すのは御法度、ニューヨークではウィンストン(イアン・マクシェーン)が取り仕切っていたが、ローマではなんとフランコ・ネロ演ずるジュリアスがオーナー兼支配人なのだ。
武器調達の“ソムリエ”や防弾仕様のスーツのオーダーを受ける“仕立屋”などが存在し、テキパキとジョンのオーダーに応える様がちょっと気分が上がる(笑)。
結局色々あって仕事を遂行したジョンはわらわら湧いて出る追手を振り切るも、口封じのためにサンティーノ配下の連中にも襲われる。
結果それを振り切るものカシアンとやり合うのだが、戦いの途中でたまたまコンチネンタルホテルに入ってしまい「ホテル内の殺しは御法度」ルールで強制終了となる。
前作に続きジョンの接近銃撃戦は殆どがダブルタップ、一発で止めて確実にヘッドショットでトドメを刺す丁寧な仕事ぶり。おまけにほとんどジョンには弾が当たらないので景気良く倒しまくりますな(笑)。
しかし、サンティーノが無茶苦茶卑怯者で、「実の姉殺し」の口封じのためにローマで仕損じたジョンに700万の賞金をかけ、コンチネンタルアカウント部に連絡、帰国したジョンはニューヨーク中の殺し屋から狙われることに。
アカウント部がオーダーを受け自動送信でジョンが賞金首になったことを知らせると、ストリートパフォーマーから清掃員など様々な人間が携帯を確認して、そこら中に殺し屋がいて襲ってくる。
複数の殺し屋の襲撃を時間軸をずらして並列させて見せるとこなんざ憎いね(笑)
おまけに
ジョンの始末をし損なったサンティーノの部下の聾唖の殺し屋女性が今度こそと息巻き、さらに復讐に燃えるカシアンも追いかけてくるという絵に描いたような敵だらけの状況。
カシアンと地下鉄通路で対峙、サイレンサーを付けているとはいえ、往来の中でプシプシ撃ち合うのが凄かったな(笑)。
結果ジョンはコンチネンタルに属さないキング(ローレンス・フィッシュバーン)の協力もあり、しぶとく生き抜き、自分を嵌めたサンティーノへの逆襲に転じる。
美術館内の展示「鏡の間」での戦いもスリリング。「燃えよドラゴン」の昔から無条件に燃えてしまう(笑)。
結果、卑怯者サンティーノを追い詰めるもコンチネンタルホテル内で始末するというTPOをわきまえずの行為で、ジョンはコンチネンタル追放とあう次作へ繋がるラストは非情な世界だ。
前作のレビューでも書いたのだが「新必殺仕置人の」「寅の会」的なコンチネンタルが効いているよなあ。
必殺シリーズでも、藤田まことが元気なうちに、中村主水が江戸中の同業殺し屋から狙われて死力を尽くす物語が観たかったなあ。
工藤栄一監督の「必殺!裏か表か」も非情だったが、あの敵が同業殺し屋での物語、しかもそれで主水がボロボロになって果てる様を観たかったものだ。
おっと話が横に逸れた(笑)。
前作は「復讐」の想いの中、真っ直ぐ戦いに赴くジョンの姿がスタイリッシュで良かったけど、今回は自分の意思だったのは冒頭のみ。
あとは止むに止まれず、巻き込まれてしまう戦い。しかも同業相手が増えて全然余裕がない。前作も「伝説の男」の割にボロボロだあと思ったが、今回も激闘が続いて「大変だなあ」と同情したくなる一作だった。
もちろん相手の弾丸がほぼ当たらないという点はあるが(笑)、昨今の細かいカット割で何が何だかわからないアクションではなく、カメラが常に引き気味で、キアヌが疲れながらも動きまわるアクションをきちんと見せてくれるのが好きだ。
リロードしたり、弾が尽きれば敵の銃をもぎ取ったりと必死さもしっかり描けているのも好み。
さて、ボロボロのジョンの行く末は如何に?
続編は本作の「1時間後」なのかな。こらも早めに観たいものだ。