アウトロー | 映画物語(栄華物語のもじり)

映画物語(栄華物語のもじり)

「映画好き」ではない人間が綴る映画ブログ。
読書の方が好き。
満点は★5。
茶平工業製記念メダルの図鑑完成を目指す果てしなき旅路。

★★★☆☆

 今まで車の運転免許を取得したこともない経歴不詳の流れ者が、街中で余裕でカーチェイスをするという話。無免許運転、ダメ絶対。

 

 地味~な作品である。他の方のレビューを読むと「80年代のハードボイルド作品」という表現がなされていたのだが、まさにそんな感じ。アクションシーンで派手な爆発やカメラワークがあるわけでもなく、陰謀もまあよくある「利権問題」パターンで、最終決戦の場所はもちろん採石現場である。古いアクション映画と戦隊ヒーローものの決戦場所は採掘場と相場が決まっている。

 トム・クルーズ主演の『アウトロー』なんていういかにもなタイトルの作品なので、ド派手なアクションを期待して観てしまったのだが、チンピラとの肉弾戦のシーンはびっくりするほど地味であった。また『アウトロー」なんていういかにもなタイトルの作品なので、正体不明の超人的かつ冷徹な男が「悪・即・斬」的な新選組ばりの圧倒的な強さで天誅を食らわしていくものだとばかり思っていたのだが、びっくりするほどピンチになるし、ようけ殴られる。もちろん所々すごさを醸し出すのだが、あまり圧倒的感はなく、無様な戦い方を余儀なくされる方が多い。また、『アウトロー』なんていいかにもなタイトルの作品なので、てっきり「俺に法律なんて無意味だ」といわんばかりの豪快な非合法手段に出るのかと想像していたら、これが映画作品ということを加味すれば特に目に余るような強引な捜査手法はなく、目に余ったといえば運転免許を所持したことがないのに豪快に車を乗り回していたことくらいである。

 経歴を詳しくは調べられないように免許を取らなかったり社会保障を受けなかったりと策を弄しているのだが、「謎の男」と呼ぶにはちょっと不足していて、陸軍の憲兵隊に所属していたことはあっさりと割れるし、立派な身バレとなっている。

 要するにイマイチな主人公なのである。いまいちパッとしない。強すぎず、謎過ぎず、頭脳明晰過ぎない、非常に現実的な主人公であるといえる。もちろん私よりはイケてるが。だって、トム・クルーズだし。トム・クルーズだよ?

 ストーリーとしては、平穏な昼下がりの公園でスナイパーによって5人が射殺されるという事件が発生し、容疑者として捕まった元陸軍スナイパーの男は取り調べで黙秘を貫き、代わりに「ジャック・リーチャーを呼べ」というメモを取調官に見せる――というところから始まる。ジャック・リーチャーがもちろんトム・クルーズで、呼ぶ前にもう来ちゃうという茶目っ気たっぷりのお人である。謎の男っぽい宣伝の仕方であるが陸軍の憲兵隊員(軍隊の警察)であったことは早々にわかり、やることも、というか生き方もまんま憲兵隊員のままで、ああ確かに古いハードボイルド作品っぽいという感じである。組織のしがらみは俺には合わないから、自分の流儀で正義を貫く的な。

 もちろん元陸軍スナイパーが犯人ではないので、真犯人はだれか、5人も無差別に射殺した目的は何だったのかを暴くミステリー仕立てとなっている。事件の真相を追うパートナーとして元陸軍スナイパーに付いた弁護士がヒロイン役として同行するのだが、このヒロインがあんまり可愛くないので、ラブロマンス臭は最初から最後までゼロに等しい(途中ヒロインがちょっと勘違いするシーンがあるが。トム・クルーズが勘違いさせるような態度をしたせいもあるが)。

 

↓ヒロイン役の弁護士。いまいち可愛くないのが、トムが変な気を起こさず逆に良い。『ゴーン・ガール』の人ですな。

 

 事件の真相としてはなんやらの「利権」が絡む話で、まあよくあるパターンである。私が女性に振られる理由が「冴えないから」というくらいありきたりなものである。「陰謀」≒「利権」だね。「私」=「冴えない」だね。年齢を正直に答えると、「もっと上かと思いました」と平気で言われます。

 敵の闇の組織もいまいちパッとせず、黒幕のおじいちゃんは結構あっさり死ぬ。シベリアだかどこかで「ものすごい覚悟で生き延びた」的な話を自分でするのだが、なんだかその甲斐もなくあっさりとやられる。結構おバカなやりとりでトムに「あっ、やば」と思わせちゃったもんであっさりと殺されるのである。小物感がハンパなかった。

 総評としては、容疑者の男が一切しゃべらず「ジャック・リーチャーを呼べ」というメモだけ見せてきたときまでは非常にキャッチ―で最初の掴みは良かったのだが、その後がイマイチであった。それもこれも、主人公トム・クルーズの「謎感」が薄かったせいだろう。トム・クルーズが演じる謎の男なら『コラテラル』の方が断然よかった。主人公じゃないけど。

 

 

 そんな雑感。

 ちなみに超絶なまでに余談であるが、本作は初めて「アマゾン・プライムビデオ」で鑑賞した。私は数年前からAmazonプライム会員であったにも関わらず、このサービスを使ったことがなかった。私のように映画を観るたびに映画ブログを書かねばならない人間にとっては、これは恐ろしいサービスである。「無料なので気軽に観始める」→「ブログを書かなければならない」→「書かなければならない作品が溜まっていく」→「課題に追い詰められた学生時代を思い出す」→「常に得体のしれない焦燥感に追われることになる」という悪循環である。初めて利用したという興奮もあり、調子に乗って3本連続で鑑賞してしまったので、「忘れないうちに早く書かねば」という焦燥感に追われる今現在である。仕事とかマジどうでも良いし。

 準新作級かつ話題となった作品が、家に居ながらにして無料で観られるのである。映画が好きであったなら、休日ともなればいつまででも観ていることであろう。そうではないので、そうはしないが。

 ツタヤもゲオも、マジで経営危機だ、これは。実際、ツタヤに行くことはもう2度とないだろうとすら思っている。私にとって、とても大切な、とても特別なあのツタヤにも……(無駄に意味深)。

 

 

↓オリジナル記念メダル配布情報!

今まで観た映画

記念メダル