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タイムは他人に合わせるものではない

バンドをやっているとタイムが走るとかモタるとか様々な問題が出てきます。大抵の人達はドラムやベースに合わせる感じなんですかね?それ違うと思うんです。だって彼らもバンドを構成する演奏家の1人に過ぎず、クリックをキープするための存在ではないからです。理想的なのは「全員で同じタイムを共有する」ことで、誰かに合わせに行くことではないと思います。ライブ盤などでは最初と最後でかなりテンポが変わっちゃうけど名演、なんてのも沢山あります。もちろん安定したテンポではあるべきですが、それを作るために誰かをクリック役にするのは筋が違うと思います。

スティーブンス=コステロメソッドをディグる

我々の世代でトランペットのハイノートに有益として人気があったのはカーマイン.カルーソーとクラウド.ゴードンで次席がマジオというイメージです。2人は20世紀後半のレッスンプロの巨頭で、例えばヨーロッパのオケがアメリカにツアーするとレッスンつけてもらう、みたいな感じだったようです。私がカルーソーについて話を聞いたのは80年代後半のランディ.ブレッカーのクリニックでした。資料も何もなく話を聴いただけでした。後にカルーソーもゴードンも本人に長く習った方のレッスンをスポットで受けました。カルーソーをやっても効果があまり感じられなかったのは、あの本に書いてある"blow steady"が不十分であったことをゴードンを使った練習で気付かされたのでした。


もう6〜7年前になるのですが、イタリアのアンドレア.トファネリ氏と話す機会がありました。メイナードやキャット.アンダーソンの話でめっちゃ盛り上がったのですが,彼自身がアンブシュアのことでアルマンド.ギターラ(元ボストン響主席、シュリーターの前任)から受けたアドバイスが非常に印象的だったこと、ギターラはスティーブンス=コステロメソッド(以下コステロ)の信奉者であったことから、俄然コステロに興味が湧いてきました。しかし資料が全くありません。昔エリックさんがパイパーズから出してたエチュード紹介本にも詳しいことは書いてありません(これでアップストリーム奏法で有名なことは知りました)。しかし、コステロメソッド支持者にギターラやキャット.アンダーソンがいるのに完全に黙殺されているのはあまりにも勿体無いのでネットで本を取り寄せました。その中で印象的だったのは顎の使い方でした。亡くなったカール.サーンダースも顎の使い方を良く言っていたのですが、それに近いことが詳細に述べられていました(カールは独学なので本を読まずに体得した可能性が高い)。顎について詳細に書いてあるのはこの本くらいです。ゴードンもカルーソーも触れていません。トランペットを吹く時の顔のパーツで動かせるのは顎なのだから、これは大事な項目で、カールの言っていたことと併せて考えて吹いている時の力点のポイントを少し変えたら鳴りも耐久力も改善しました。まだいつでも縦横無尽にできるようになったわけではないですが、かなり良くなった感じがします。これを調べ始めたのと同じ頃にイギリスのポール.メイズのTLR(Top Lip Relaxed)という映像を見て、これとの親和性も感じています。つまるところ、楽器を鳴らすための振動の主体である上唇を如何にストレス無く自然に振動させられるか、がカギなのだな、と。そこまでわかったので、コステロはもう少し深掘りしようと思っています。


ハーバート.クラークとキャット.アンダーソンの共通点を探る。

ハーバート.クラークは20世紀前半を代表するコルネットの名手で、彼の残した数多くのエチュードは今なお多くの人が使っています。私はテクニカルスタディしか持っていないのですが、そこには「最小限の音量でワンブレスでできるだけ長く演奏すること」が課されています。
かたやキャット.アンダーソンです。彼はデューク.エリントンバンドのリードトランペットを永年務め、その驚異的なハイノートがトレードマークでした。トランペットの歴史上でも指折りのハイノートヒッターでした。彼のメソッドにSilent Gというのがあります。これはチューニングするCの下のGの音を最小限の音量でできるだけ長くロングトーンする、というものです。私はロングトーン1分、インターバル30秒というセッティングで練習しています。この2人の練習方法には共通点があります。いずれも「最小限の音量でワンブレスでできるだけ長く」という点です。キャットはスティーブンス=コステロメソッドを信頼していたという説がありますが、どうもクラークとスティーブンス=コステロは対立していた、というか、クラーク一派はかなり嫌っていたような気配が感じられるのです。「最小限の音量でワンブレスでできるだけ長く」というところは共通しているのに、です。コステロの本は日本にはほとんど情報がないのですが(カルーソーやマジオやゴードンはそこさこ情報はあった)、本は既に手に入れているので、照らし合わせながら接点を探したいと思っています。