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西洋音楽で転調が自由にできるわけ。

西洋音楽をやっていると12のキー全てで自由自在に演奏できなければいけない、ということになっています。なんでこうなったかというといわゆる平均率ができたからです。それまでの調律法では純正律ベースだったり他にも様々な調律法があったわけですが、倍音をベースにした調律なので、他の調に移調すると音程がグダグダになってしまうのでした。つまり、他のユーラシア大陸の民族音楽と同じで、使われる楽器でキーが決まっていたわけです。ところが平均率は1オクターブ12音の間隔を単純に12で割って合わせています。なので、どこのキーからでもダイアトニックスケールが弾けるのです。その代償として響きが少し犠牲になりました。コード進行のルールみたいなところはさほど複雑ではないのですが、それを12のレイヤーで自在に使えないといけないことが音楽を厄介なものにしているのかもしれません。

 

調律の違いで響きがどう変わるのかはこのサイトが参考になると思います。

 

 

西洋音楽の巨大なバグについて考える(2)

西洋音楽の記譜のことについてなんとなく考えていたんですが、記譜における小節の分割って基本は2の累乗なんですよね。でも使われているスケールは7音。だから8分音符でスケールを弾いた時に小節の頭にルートの音が戻れないし、前回のバグのところで書いたように、Cスケールなのに下降音形ではCを弾けないなどの不具合があります。Cスケールで拍の頭にコードノートを乗せるにはG#一択です、これを置くことで、8分音符でスケールを弾くと小節の頭に必ずルートが乗りますし、上昇でも下降でも常に拍の頭にCのコードノートがきます。ジャズの理論ではビバップトニックスケール(バリー.ハリスはビバップスケールという言葉は一切使わなかった)になります。1小節でループするのでミニマリスティックになるなぁ、と考えてたらこの曲を思い出しました。バリー.ハリスの言っていた6th diminish scaleの考えを当てはめると、スケールをアルペジオするとトニックとディミニッシュしか出てこなくなって、ディミニッシュには8トニックが暗示されているので音楽的には非常に自由な空間が生まれると理解できるのですが。この曲、譜面が手元にあるので、ちょっとアナリーゼしたくなってきました。

ジャズの和声の高度化にはシェーンベルグ などのアメリカ亡命組の作曲家の影響が大きく、20世紀中期のアメリカ音楽におけるクラシックとジャズの交雑は面白いので、こんな考え方もアリだと思うのです。

 

 

西洋音楽におけるスケールの巨大なバグについて。

西洋音楽理論はダイアトニックスケールをベースにした音楽なのですが、実は巨大なバグがあると考えています。それはダイアトニックスケールが「7音」であるのに、記譜の基本は1小節を「2の乗数」で分割して考えることにあります。全音符、二分音符、四分音符、八分音符、十六分音符など、分割のルールは2の乗数です。ところがダイアトニックスケールは7音なので、記譜のルールに対してスケールが文字足らずなのです。西洋音楽の暗黙のルールは「拍のアタマにコードノートが乗る」ということなのですが、八分音符で下降スケールを弾くと、拍の頭に来るのはCAFD、即ちCmaj7ではなくDm7になってしまうのです。Cメジャースケールなのに、下降ではCメジャーにならない、ということになってしまうのです。そしてクラシック音楽ではC Maj7上で下降スケールを使うには、最初のCを四分音符にするのがデフォルトです。これが私の考える西洋音楽のバグです。

 

これを解決するには、ダイアトニックスケールにもう1音足して8音スケールにする必要があります。一つ経過音を追加してあげれば良いのです。Cmaj7に対応させるにはG#一択です。こうすると1オクターブに対して8音になるので、4/4であれば常に小節の頭にルートであるCを置くことが可能になります(G#を経過音にする手口はクラシックにも早くから存在します)。このスケールはジャズでは一般的にビバップトニックスケールと呼ばれます。これはダイアトニックとは「違うモード」になるので、ダイアトニックといわゆるビバップトニックを適宜組み合わせることで2つのスケールを使い分ける、ということができます。バリー.ハリスが提唱した6th diminish scaleという呼称は、ダイアトニックといわゆるビバップトニックスケール(バリーはビバップスケールという呼び方を一切しませんでした)。一つの音楽に2つのモードを取り入れるだけで、音楽表現は非常に能弁になります。教会旋法はダイアトニックをどこから始めるかだけの話で、一つのスケールに準拠したもものに過ぎません。西洋音楽が「ダイアトニックスケールを軸足にしながらそこから逸脱することも可能」になるための最も基本的なものがこのビバップトニックスケールにあるのです。