音楽と方言
ずいぶん昔にピーター.アースキンとマイケル.デイヴィスのインタビューを撮影したことがありました。その時にピーターが"musical dialect"という言葉を使ったことが印象に強く残りました。つまり音楽のジャンルやスタイルの違いは方言のようなものである、と。ここをきちんと押さえていないと、例えて言うと関西の言葉を知らない人による関西言葉のナレーションを聴いた時に感じる違和感みたいなものが音楽にも出てしまうのだと思います。昔から言われているジャズの人にクラシックは吹けない、とかその逆とかもそういうことではないかと。管楽器のアーティキュレーションでも、英語圏の人のものと日本人では違うのですが、この違いは英語圏の人には説明できないものなので、我々日本人が自分で考えないといけません。が、これに気がついている人はほとんどいません。ここを研究することは大事です。
循環とは?
ジャズ関係者の中でいわゆる"I got rhythm"みたいなコード進行の曲を「循環」ということがあります。
まぁわかりやすいと言えばわかりやすいのですが、実はジャズを勉強していると英語には循環を表す言葉が2つあることがわかります。それは、"Turn around"と"Cycle"です。いわゆる2-5-1みたいなのがTurn Aroundで、サビのドミナントの展開がCycle。まぁドミナントは何吹いても大丈夫だから、Cの循環って言われたらCのメジャースケール吹いてたら音楽的にはほぼ破綻しないんですけどね。
それはそうと私は昔言われてた「逆順」ってのが何なのかいまだによくわかりません。まあ別にそんな言葉関係なしにベースラインとか聴きながらコードも読まないで吹いてることも多いので。
ジャズでは2-4が重要というのは誤解。
ジャズやアメリカ音楽では「2拍目と4拍目が『重要』」ということが今でも時々言われているような気がします。それ、誤解です。
バリー.ハリスのワークショップでは足のタップは1-3であることが強要されました。2-4で踏んでいる人がいたら即ストップさせて1-3に修正させるまで先に行きませんでした。「2-4は心の中にあるべきものであって表に出してはいけない」と言ったこともありましたし、足で1-3をタップして手で2-4をタップして「これがスィングだ。」と言ったこともありました。
アメリカ音楽では2-4に「アクセント」が乗りますが、それをもってして「重要」というのは少し違うという感じです。他方、ファンクの世界ではJBのいう"One"の重要性というのがあります。これrはブーツィー.コリンズやジャボ.スタークスが語っている動画もたくさん残っています。すなわち、明確な「1」があってこそのグルーヴ、ということです。正確な「1」無しに正確な2-4もまた存在しないのだとも考えられます。
考えてみればアメリカに古くからある音楽雑誌にDownbeatというのがありますが、これは1-3のビートのことです。2-4はupbeatなのです。そして私はジャズの英文の書物でupbeatについて詳細に書かれた本は見たことがありません。かなり減りましたが、日本にはまだこうした誤解が色々残っているような気がします。もちろん我々より上の世代で入ってくる情報が少ない中で音だけを聴いてそうした考えに辿り着くのは素敵なことでもあるのですが、それが必ずしも正しいというわけではないので、少しずつ変えていかないといけない、と思ったりします。