ダイノサトウ MotionImage -2ページ目

第11回 マスクの使い方 1

●次は、illustratorでいうところのクリッピングパス的な使い方です。

ダイノサトウ MotionImage-tv1
左図のような、TVを用意します。




ダイノサトウ MotionImage-tv2
今度は、コンポジション内のソース(フッテージ)を
必ず選択した状態で、ペンツールを使い、
モニター画面をトレースします。

トレースが出来ると、モニター画面のみになりました。




ダイノサトウ MotionImage-tv3
コンポジションウィンドウで、マスクの「反転」をチェックします。
すると、モニター画面だけが見えなくなりました。



ダイノサトウ MotionImage-tv4
"TV"のレイヤーの下に、海岸の画像を配置します。
必ずTVのしたに置きます。
すると、切り取られたモニター画面の穴を通して
海岸の画像が見えます。

下の画像を移動、スケールすれば、テレビ内の映像も表現可能です。
細かい詰めは必要ですが。



もっとも簡単なマスクの使い方でした。

(まだ、続きます。)
 

第11回 「タイムリマップ」

タイムラインにある、クリップ(映像素材)の時間を操作することは、
以前にも、全体の速度を変えて倍速にしたり、ゆっくりにしたりしてきました。
タイムリマップはこの速度操作をもっと自由度高く、変えることが可能になります。

それでは、細かく見ていきます。


この素材を使用します。これは何もいじっていない素材です。


remap01
ムービークリップで新規コンポジションを作成します。


remap02
コンポジション内のムービーを選択した状態で、


remap03
レイヤー>時間>タイムリマップ使用可能 を選択します。


remap04
すると、クリップにタイムリマップという項目が現れます。
これには、最初からキーフレームが2つ付けられます。
頭とおしり、INとOUTの時間です。
タイムリマップは、時間をキーフレーム化して扱う機能です。


remap05
ここで、クリップの一番左(上図の赤丸部分)に白い矢印があります。
これをクリックすると、次のキーフレームに進めることが出来ます。


remap06
押してみます。
すると、タイムリマップの最後にキーフレームに到達しますが、
この場所は、コンポジションの時間外になります。
なので、コンポジションウィンドウ(今まで船が表示されていた画面)は
灰色になってしまいました。つまり表示するものがないということです。
これは、タイムリマップを使う際のAdobeの用意した落とし穴です。罠です。
何故か、後ろのタイムリマップのキーフレームは、クリップの最後のフレーム+1にされているのです。
何か深い考えがあるのかはわかりませんが、もう20年近くこの仕様です。謎です。
なので、最後のフレームは、1フレーム前で新たにキーフレームを打って
最後のキーは消してしまうことをオススメします。


remap07
さて、進めます。
コンポジションのインジケーターを2:15に移動させます。
この位置でキーフレームを追加します。


remap08
この2:15フレームでのキーフレームを、図のように右側に移動させます。
この例では、9:00の位置に動かしました。

つまり、元は00:00~02:15という2秒15フレーム分しかない映像の尺を、
キーフレームを動かすことで、9秒分に伸ばしたのです。
つまり、伸ばした分、ゆっくりな再生になりました。
その半面、後半部分は元々8秒近くあった尺が、1秒半程度に縮小されたので、
高速再生となりました。




タイムリマップを調整したムービーです。
前半部分は、かなりスローモーションになりましたが、
元々、30fpsで撮影された素材なので、伸ばせばカクついた映像になってしまいます。

ただ、フレームブレンドをONにするとモノによってはきれいになります。

 

CMなのでよく見る、きれいなスローモーションを作るためには
1秒間に60~240fpsといった、ハイスピードカメラでの撮影が必要です。
ちなみに、iPhone6以降では、240fpsで撮影可能です。

 

また、昨年6/19にNVIDIAが、「ディープラーニングを活用して超スローモーション動画を作成するシステム」という研究を発表しました。恐ろしい技術です。

 

 


remap09
再び、元の状態、頭とおしり、2:15の位置にタイムリマップのキーフレームが
ある状態に戻します。


remap10
そしてコンポジションのインジケーターを5:00の位置にして、
頭のキーフレームをコピーして、5:00でペーストします。

時間的には、ムービーは0:00~2:15に一回進み、また、0:00にもどり、その後、駆け足で
ムービーの最後に到達するという事です。わかります?

それでは、完成ムービーです。





こうやって、時間をも自在にアニメーション出来るのは楽しい作業です。

さきほど、ムービーを極端にゆっくりにすると、カクついてしまう話をしましたが、
実は、AfterEffects内でゼロから動きを付けた場合、(例えば、ボールの落下アニメなど)
タイムリマップで思いっきり伸ばしても、カクつくことはありません。
きれいなままスローモーションを作ることができます。
しかし、全てAfterEffects内で完結する事は、なかなかありません。

また、コンポジションの入れ子構造を作って作業する場合、素材などの段階から、
タイムリマップを使い始めてしまうと、後でタイミングの修正をする場合、
全くわけがわからなくなります。相当危険です。

できるだけ、大まかでも、アニメーションのタイミングは決めて作業し、
最後の最後で微調整などに使うのが懸命な使い方だと思います。

 

(追記:2021/6/25)

Aftereffectsのフレームブレンディングが改善されています。

素材にもよりますが、フレームミックスとピクセルモーションそれぞれ試してみてください。

 

第10回 「マスクパスのアニメーション」

マスクのパスで、アニメーションする方法、つまり、ベジェ曲線のアニメーションです。

ダイノサトウ MotionImage-pacman01まず、コンポジションを作成します。

ここでは、1280x720pxl 30fps
デュレーション00:00:05:00としました。



ダイノサトウ MotionImage-pacman02次に、平面を作成します。
レイヤー>新規>平面

好きな色で、コンポジションと同じサイズの平面を設定します。



ダイノサトウ MotionImage-pacman03タイムラインの「平面1」を選択し、ペンツールを選びます。



ダイノサトウ MotionImage-pacman04左図のように、マスクパスを描きます。

(シェイプでも同様のことが可能ですが、
 シェイプは設定が多いので、
 今回は、マスクパスでのアニメーションとしました。)



ダイノサトウ MotionImage-pacman05「平面1」の「位置」と「マスク」というプロパティを表示します。

三角マークをクリックし展開する、

もしくはPキーを押して位置情報を、
その後、shift+Mキーで、マスクを表示します。



ダイノサトウ MotionImage-pacman06「平面1」を右端にずらし、
位置のキーフレームを打ちます。



ダイノサトウ MotionImage-pacman07タイムラインを00:00:03:00まで進め、
「平面1」を左端に移動させます。

これで、「平面1」を、右から左に移動させる
3秒のアニメーションが出来ました。



ダイノサトウ MotionImage-pacman08次に口をパクパクさせます。

マスクパスのアニメーションを開始します。
(ストップウォッチマークをクリック)



ダイノサトウ MotionImage-pacman093フレームほど、タイムラインを進め、
パスの点を画面上で直接移動させ、
左図のように口を閉じたパスにします。

この時、すべてのパスの点が選択状態だと別々に動かせません。

その時は、マスク1の左にある三角マークを2回クリックして下さい。
マスクパスの下に、3つプロパティが増えたと思います。


この3つのウチのどれかをクリックすると、パスの点が非選択状態になります。
そこで、初めて動かしたい点だけを動かせるようになります。

マスクの点を移動すると、キーフレームが打たれます。



ダイノサトウ MotionImage-pacman10後は、この2つのキーフレーム(口の開閉)をコピーして、
繰り返してペーストしていけば
下記のようなムービーになります。







パスアニメーションは、自由な変形が出来るツールですが、
出来上がった後の修正や、キーフレームが大量になった場合、制御に苦労します。

また、途中でパスの点を増やすと、思いがけない挙動になるので、
アニメーションをする前に、パスの点を決めておく必要があります。

この手法も、単独で使うことにこだわらず、パペットピンや、親子構造(リンク)などと
併用することで、様々な表現が可能になります。