檸檬爆弾 -2ページ目

檸檬爆弾

純国産の英語教育を受けてきた人間が、洋書を読んで思ったことを述べる。
ライトで適当なツッコミ系感想が多い。洋書を快適に読むために必要なスキルは何なのか、自分の体験をもとに探っていく。
備忘録というよりは、すでに忘れたことを思い出しながら記録し直すのが目的。

by Jeffery Deaver

515ページ


帰省していたため、しばらく更新が滞ってしまった。

10日坊主にならないようにがんばろう!


実家でDeaverの短編集をちょぼちょぼ読んでいる。

まだ全部読み終わってはいないのだけど、レビューを書いてしまう。


Deaverの作品は、それほどなじみがあるわけではない。

Lincoln Rhymeを主人公にした有名シリーズは未読。そのスピンオフ作品であるKathryn Danceシリーズを2作読んだのみ。例によって、NHKの「週刊ブックレビュー」で大々的に紹介されていたので、Deaverに興味を持った。

これから、ちょっとずつチェックしていきたい作家。


なんだかんだで長編の方が好きで、短編集は久しぶりに読んだのだが、たまにはいいなぁという感じだ。

長編のようにどっぷりストーリーにつかることはないけれど、うまくできた話をお手軽に楽しめるという点では、集中力が続きにくい環境にいるときの読書にぴったり。


たった30ページやそこらでも、しっかり最後にどんでん返してくれるのがいい。

いいヤツが実は悪かったり、被害者が実は加害者だったり、にぶそうなのが実は全てを見通していたり。

どんでん返しがデフォルトみたいなもんなので、「え!? まさか!」とはならないが、今回はどこでひっくり返すんだろうと考えながら読み、最後に「ほ~、なるほどねぇ」と納得できる。



短編集は、短い分とっつきやすい洋書と思いがちだが、意外とそうでもないことがわかった。

面白い長編は、読めば読むほどストーリーに入り込めるし、情報量も多いので、後半どんどん楽になっていく。

一方短編の場合は、ようやく波に乗ってきたというところでまた新しい話に変わるので、全てを一から仕切り直さなければならない。サーファー洋書読み(?)にとっては、それがけっこう辛いのだ。


そう考えると、めちゃくちゃハマれる長編シリーズものを見つけるのが一番ということか。

すでに何冊か出ていて、まだ続いていて、邦訳はなかなか出版されない、みたいな。

やっぱり「好き」という気持ちに勝る原動力はない、ということで。



全然どうでもいい話。

今持っているDeaver本は、POCKET BOOKSという最安値のペーパーバックなのだが、裏表紙の著者近影が存在感あり過ぎて気になる・・・。なんかとりあえずブックカバーかけたくなります(笑)。

著者と犬が写っている写真なのに、犬2匹みたい(←超失礼)。



面白さ:★★★☆☆~★★★★☆

英語の読みやすさ:★★☆☆☆~★★★☆☆

旅のお供におすすめ度:★★★★★





あ、タイトルに入りきらないや↑

"The Curious Incident of the Dog in the Night-time"

by Mark Haddon

272ページ


アスペルガー症候群の少年Christpherが主人公。

ある夜、お隣の犬がでかいフォークに突き刺されて殺されているのを発見し、犯人探しを始める。

というあらすじだが、謎解きはどちらかというとおまけで、Christpherの思考や行動パターンを興味深く読む本、といった感じだ。


彼はまだ15歳だが、数学がよくできる頭のいい子。しかし、何事も論理的にシロクロつけなければ気がすまないので、人の感情の微妙なニュアンスが理解できない。比喩や曖昧な表現、皮肉なんかも、言葉どおりに受け取ってしまう。

冒頭部分で、Christpherが自己紹介をしているが、そこにはこうある。


自分は(^∇^)や、(ノ_-。)がどんな気持ちを示しているのかはわかるが、

( ゜∋゜)とか、(*゚ー゚*)とか、(-з-)とかはわからんと(顔文字は超適当です)。


今まで、ひとりで自宅の通りから先に出かけたこともなかったChristpherが、一歩前へ踏み出し成長してゆく過程を描いた、さわやかでユーモア溢れる作品だ。



この話、児童書も含めてうちにある洋書の中で、おそらく一番読みやすいのではないかと思う。某大学の入試問題にも使われたくらいだから、まさしく受験英語レベルなんですね。

・1ページの単語数が少ない

・1章が短い

・絵や図が多い

・主人公の性質上、曖昧な表現やスラングは使われない

と、英語学習者にとって非常に優しい作りになっている。


丸善や紀伊国屋の洋書コーナーでも、とっつきやすい本として紹介されていた時期があった。「TOEIC○点以上」なんて書いた帯がついていたりして。

ただ、この「TOEIC○点以上」ってやつは、ぶっちゃけ全然信用ならない気がする。そもそもTOEICって長文読むスキルは問われないし。本読むのにリスニング関係ないし。

まぁ、英語力を数値化できるメジャーな手段が、TOEICか英検くらいしかないから仕方ないのか。せめて、「リーディングパート○点以上」なら、多少あてにできるかな?


それはともかく、へたな児童書より読みやすいにもかかわらず、大人の小説として面白さも一級品という点がすばらしい!

ペンギンリーダーでは満足できないので、普通のペーパーバックが読みたいと思うヒトがいたら、まずおすすめする本だ。


面白さ:★★★★★

英語の読みやすさ:★★★★★

数学を勉強し直したいと思わせる度:★★★★★



by Jodi Picoult

451ページ


Picoultの作品にちょっとハマった時期があり、何冊か続けて読んだ。

一番有名なのは、"My Sister's Keeper"(邦題「わたしの中のあなた」)だろう。キャメロン・ディアス主演で映画化されたやつ。


この作品は、都会の敏腕女弁護士Ellie(39)と、新生児の殺人容疑がかかっているアーミッシュの少女Katie(18)が中心となりストーリーが進行する。

ジャンルは法廷モノだと思うのだけれど、何よりも特徴的なのは、アーミッシュを題材にしている点だ。

アーミッシュ(Amish)とは・・・アマン派というプロテスタントの一派(?)を信仰する人々。ヨーロッパで迫害を受け、18世紀以降ペンシルベニア州を中心とした米国中西部に居住。独自の生活様式・言語・教育を保持したコミュニティを形成。
・・・だそうで。自分はこの本を読むまで、彼らの存在すら知らなかった。

・アーミッシュの人々は、農耕・牧畜を生活の基盤としている。電気はほとんど使わず、家には電話もない。服装は、伝統的な無地のシャツとワンピース(アメリカ入植当時を舞台にした映画に出てきそうな・・・)。

・アーミッシュの人々は、厳格な教会の規則(Ordnung)に従って暮らしている。個人を重んじることをせず、コミュニティの皆が同じであることを理想とする。 もしもOrdnungに反する道を選ぶなら、その者はコミュニティから追放されなければならない(Katieの兄のJacobは、高等教育を受けることを望み、自らアーミッシュであることを止めた)。

↑一見非常に厳格で抑圧的だけれど、一概にそうとは言えないかもしれない。
なぜなら、彼らの根底にあるのは「赦し」だから。
普通の裁判は、罪人を「どう裁くか」が問題となる。それに対して、アーミッシュのコミュニティでは、罪を犯した者を「どう赦すか」を1番に考える。

・アーミッシュの人々は、他者を傷つけない。 自分よりも他人を優先する。 殺すか、殺されるか、という選択肢を与えられたら、殺される方を選ぶ。 だから、骨の髄までアーミッシュのKatieに殺人は不可能である。

というような、現代アメリカ社会に180度背を向けた考えを持つ人々の中で、Ellieは殺人容疑のかかっているKatieを弁護しようとするものの、当然マニュアル通りにはいかず、ずいぶんと苦労をする。その苦労っぷり、適応っぷり、成長っぷりは読んでいて楽しかった。

Katieの心理描写が何とも切ない・・・。 そして、ラストをどのように解釈するかが、なかなか難しい。
感想:悲しくて、あたたかくて、すこし不気味なお話。


異色とはいえ一応法廷モノなので、そういうのが好きか嫌いかによって読みやすさの印象はだいぶ違うと思う。

それと、自分が買ったHodder Paperback Editionというバージョンの本には、最後にディスカッション用のクエスチョン集がついていた。「この場面の誰々の発言についてどう思うか?」みたいな。高校や大学の授業で使うのだろうか?


面白さ:★★★★★

英語の読みやすさ:★★★☆☆

何か新しいものを読んだ!という実感:★★★★★