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つりぼり十番勝負≪HF編≫③


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帽子だけにとどまらず、身体まで飛ばされそうな強い風は湖面に浮く桟橋の上ではさらに激しく少々きつくなってきました。耐えてそこにいたい程の釣果もありません。

すると「三平坊ちゃん」の「パックン」(「美味しそう……」と「GOGOカレー」のバイトの女の子をガン見。ハマった原因はカレーの味だけではなさそうなおっさん)はわたくしの目を見つめるのです。

しかしながら言葉は発せず。

でもわたくしには三平坊ちゃんの言いたいことは伝わるのでした。


前回、雪で延期したその翌週に三平坊ちゃんは様子見と言いつつここ管理釣り場「HF」にやってきたのです。

そして様子見と言いつつ竿を垂らし、

様子見と言いつつ本気を出し、

様子見と言いつつ自己最高匹数「116」という記録を出しました。


確かに素晴らしい記録。しかしながらわたくしがいまいち尊敬の念を向けられないのは、この広大な湖を前に「とある一カ所だけ」で釣り続けたその「ちっさい釣り」に他なりません。

1、2時間の釣りならば分かりますが、12時間「そこだけ攻め」。

しつこいのを通り越し、もう『マニア』の域と言うほかありません。


三平坊ちゃんはその過去の栄光がチラつくその場所に行きたくてウズウズしているのでした。じらせにじらせて

「もうっ!ボキ、アソコに行くズラっ(泣)!!」

と発狂するのを待とうかとも思いましたが、この湖ほど大きな心の持ち主のわたくしはそっと伝えてあげるのです。


「じゃあ、アソコ行ってみますか?」


モゲるほど大きく首を縦に振る三平坊ちゃん。

そして桟橋を降りると釣りながらそのポイントまで向かうのかと思いきや、一気に岸からかけ上がり、湖を囲む通路を走るかの如く通って一気に「アソコ」へと向かうのでした。

その後ろ姿は完全に「ウン〇を我慢して家に帰ろうとする小学生」ほど焦っているように映るのでした。


                                                  【つづく】

つりぼり十番勝負≪HF編≫②


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「ワァ~ン、ワァン!糸が見えないよお…糸が見えなくてお魚が釣れないよぉ…ワァ~ン!」

「おやおや、この声は三平坊ちゃん。どうしたんだい?」

「ああ、おじちゃん!」

「何を泣いているんだい?」

「風は強いし、真っ暗だし、糸が見えなくてお魚が釣れないんだい!」

「おやおや。三平坊ちゃん、おじちゃんは釣れているよ。」

「えっ!?どうしてだい?」

「おじちゃんはね、目なんていらないんだよ。」

「え!?見えなくても釣れるのかい?」

「ああ、そうさ。」

「どうしてだい?」

「おじちゃんはね、目なんか使わなくてもお水の中が見えるのさ。」

「ええ!?ど、どうやって?」

「竿から出てる糸が全部教えてくれるのさ。」

「え!?本当に?」

「ああ。お魚が追ってきてることもおじちゃんには手に取るように分かる………






夜明け前の暗闇。


漂う濃霧。


湖面に白波が立つほどの強い風。



ラインは全く見えない状況でわたくしは己の真骨頂とも言うべき釣りを展開することにしたのです。


ロッドを寝かせラインから伝わる感覚のみでアタリをとる、「管釣り」ならぬ『感釣り』

座頭市かのごとき態勢でグリップに伝わる振動を読みとるべく神経を研ぎ澄ませる。


一方、「現・釣りキチ三平ホルダー」の「パックン」(最近金沢カレー「GOGOカレー」にハマった41歳。)こと「三平坊ちゃん」は全く困り果てた様子でキャスティングを続け、「ライン見えない(泣)」を連発しているのでした。

湖の上はひどい状況ですが、気温も高く、手に伝わる振動でなかなかの好活性とふんだわたくし「五平」改め「感釣り・座頭市」はあとはポイントを探るべく四方へとキャスティングを続けます。

それでも余りに強い風で風上には全く投げられず右へ左へとポイントをずらせていくのです。


ここ管理釣り場「HF」は湖面にTの字に桟橋が設置してあり、広大な湖の真ん中からもキャスティングができます。今桟橋の入り口辺りから湖面の真ん中を横一直線に走る桟橋の中央辺りでキャスティングをしていましたが、余りの強風で桟橋は揺れ、帽子なども持って行かれそうな勢いです。それでも元気にライズする魚めがけキャストを続け「蓄光スプーン」で本日のファーストキャッチをわたくし「感釣り・座頭市」が上げました。


久しぶりのファーストフィッシュ。

おもむろに「三平坊ちゃん」を見ると素知らぬフリ。

ここはさらにと立て続けに二匹、ニジマス、コーホーと上げまたまた「三平坊ちゃん」をガン見したのです。

とうとうわたくしの眼力か、はたまた立て続けてあがる「感釣り」の威力にかこちらを向きぼそりとつぶやきました。




「す…すごい…なあ…」


言いたくなかったセリフなのでしょう。わたくしはその気持ちをくんであげるため極めて爽やかに、そして元気よく答えました。






「それほどでもっ!!目






強い風のせいか、「三平坊ちゃん」の竿先はプルプルと震えていました。


                                                   【つづく】

つりぼり十番勝負≪HF編≫①

あれから 1ヶ月。


雪のために延期となった前回のリヴェンジよろしく、今回は人工湖の管理釣り場「HF」での戦いと相成りました。

今回こそはベストコンディションでとの願いも虚しく、早朝に起きてみると激しい雨足。

しかしながら気温は高め。天気予報も昼までには雨は上がるとの予報に予定通り「HF」へ向かいます。

さすがは「嵐を呼ぶ男」との呼び声高い「現・釣りキチ三平・タイトルホルダー」、三平師匠こと「パックン」(大人気の映画「アバター」を見に行くもそれ以来目の調子がおかしいという3D非対応の身体を持つアナログな41歳)です。


風もだいぶ吹いてます。

こんなときベテランアングラーならば早朝を避けゆっくりと釣行へ向かうのでしょうが、「覚えたて」の中学2年生のような「荒フォー」の二人にそんな余裕はありません。

早々と起きてしまい(そもそもドキドキして寝れてない)テレビ東京の「アニソン☆ぷらす」 をつけて準備に取りかかってしまうのでした。


早朝のがら空きの国道を抜け、湖へと繋がる県道は雲の中かと思うほどの霧。

何とかたどり着くと夜明け前で暗いのはともかく激しい風。雨はそれほど落ちてはいませんでしたが、「湯けむり旅情・男だらけのしっぽリ温泉の旅」とタイトルが上がりそうなほど霧が立っています。

ポツポツとついている灯りに前日購入しておいた蓄光スプーン(蛍光塗料の塗ってあるルアー)をかざして光を充填。


そしてキャスティング。

巻ききったらまたまた充填。

そしてキャスティング。


真っ暗闇と深い霧、激しい風でどこに飛んでいったのか全く分からないような状況です。勿の論、ラインだって見えない上、風で煽られ激しく揺れてしまってはそれでアタリをとるのは至難の業です。

わたくしはすぐさまロッド(竿)を寝かせ、真骨頂とも言うべきあの態勢に入っていくのでした。



                                                    《つづく》