つりぼり十番勝負≪HF編≫② | human being

つりぼり十番勝負≪HF編≫②


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「ワァ~ン、ワァン!糸が見えないよお…糸が見えなくてお魚が釣れないよぉ…ワァ~ン!」

「おやおや、この声は三平坊ちゃん。どうしたんだい?」

「ああ、おじちゃん!」

「何を泣いているんだい?」

「風は強いし、真っ暗だし、糸が見えなくてお魚が釣れないんだい!」

「おやおや。三平坊ちゃん、おじちゃんは釣れているよ。」

「えっ!?どうしてだい?」

「おじちゃんはね、目なんていらないんだよ。」

「え!?見えなくても釣れるのかい?」

「ああ、そうさ。」

「どうしてだい?」

「おじちゃんはね、目なんか使わなくてもお水の中が見えるのさ。」

「ええ!?ど、どうやって?」

「竿から出てる糸が全部教えてくれるのさ。」

「え!?本当に?」

「ああ。お魚が追ってきてることもおじちゃんには手に取るように分かる………






夜明け前の暗闇。


漂う濃霧。


湖面に白波が立つほどの強い風。



ラインは全く見えない状況でわたくしは己の真骨頂とも言うべき釣りを展開することにしたのです。


ロッドを寝かせラインから伝わる感覚のみでアタリをとる、「管釣り」ならぬ『感釣り』

座頭市かのごとき態勢でグリップに伝わる振動を読みとるべく神経を研ぎ澄ませる。


一方、「現・釣りキチ三平ホルダー」の「パックン」(最近金沢カレー「GOGOカレー」にハマった41歳。)こと「三平坊ちゃん」は全く困り果てた様子でキャスティングを続け、「ライン見えない(泣)」を連発しているのでした。

湖の上はひどい状況ですが、気温も高く、手に伝わる振動でなかなかの好活性とふんだわたくし「五平」改め「感釣り・座頭市」はあとはポイントを探るべく四方へとキャスティングを続けます。

それでも余りに強い風で風上には全く投げられず右へ左へとポイントをずらせていくのです。


ここ管理釣り場「HF」は湖面にTの字に桟橋が設置してあり、広大な湖の真ん中からもキャスティングができます。今桟橋の入り口辺りから湖面の真ん中を横一直線に走る桟橋の中央辺りでキャスティングをしていましたが、余りの強風で桟橋は揺れ、帽子なども持って行かれそうな勢いです。それでも元気にライズする魚めがけキャストを続け「蓄光スプーン」で本日のファーストキャッチをわたくし「感釣り・座頭市」が上げました。


久しぶりのファーストフィッシュ。

おもむろに「三平坊ちゃん」を見ると素知らぬフリ。

ここはさらにと立て続けに二匹、ニジマス、コーホーと上げまたまた「三平坊ちゃん」をガン見したのです。

とうとうわたくしの眼力か、はたまた立て続けてあがる「感釣り」の威力にかこちらを向きぼそりとつぶやきました。




「す…すごい…なあ…」


言いたくなかったセリフなのでしょう。わたくしはその気持ちをくんであげるため極めて爽やかに、そして元気よく答えました。






「それほどでもっ!!目






強い風のせいか、「三平坊ちゃん」の竿先はプルプルと震えていました。


                                                   【つづく】