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つりぼり十番勝負≪FO編≫③

今までのわたくしと熱き塊にsay good-byeしたわたくしはポンドに戻り、先程までの位置から大きく場所を変えて「三平師匠こと・パックン」(コンビニで「何飲む?」の問いに「サスケ」と平然と答える昭和のわすれな草)の釣果は「気付けば見える」程まで離れてキャスティングに入ります。


早々に一本釣り上げて気持ちも落ち着きを取り戻していくのを感じるのでした。

それでも釣果に大きく遅れをとっているのは事実。一気に爆釣へと結びつけるべくスプーン(ルアー)のカラーチェンジを細かくしてみます。

なかなか当たりを見つけられず、釣果もバイト(アタリ)も減ってきたそのころ、真横に一投する度必ずといっても良いほど魚をキャッチするアングラーを見つけました。


春の澄み切った青空を思わせるようなダウンジャケットを身に纏い、アウトドアの定番ペインターパンツにカーキ色のワークブーツ。セミロングの髪は緩やかなパーマが赤いキャップの裾から揺れています。

この都会派・フィッシングエリアのポートレートから飛び出したかのようなそのお姿。

わたくしは心の中でこう呼びました。



「キムタク師匠」………と。



対岸ですっかり釣果が下がって意気消沈している、全身に「貼るホッカイロ」をベタベタ貼っている、ライントラブルにイライラしながら老眼鏡を取り出している、「三平師匠」とはエライ差です。


わたくしはそんなスマートな「キムタク師匠」に心の中で師事を申し上げ、そして食い入るようにそのルアーを凝視しました。


「蛍光色の薄い黄色」。


わたくしはすぐさま似たような色のスプーンに変更、そして一投目にしてニジマスをキャッチする事が出来ました。


「さ、さすがです………『キムタク師匠』!!」


わたくしは心の中で賛辞を送ります。

何匹かそのルアーでキャッチし、少々魚に飽きられた感じがしたので、さらにそのルアーに似たルアー、黄色系でチェンジをしました。

爆釣とまでは行かないまでもコンスタントに結果が出ます。

勿論その間も華麗な動きでどんどんと魚をキャッチしてはリリーサー(針を外す道具)を巧みに操る「キムタク師匠」。


素敵です。


対岸では上げたニジマスに噛まれたんでしょうか、切れたらしい指をチュッパチュッパ「自己指〇ェラ」している「三平師匠」。


……… 。


そんな折、わたくしのキャスティングした黄色系のスプーンによって今まで味わったことのない大きなアタリと、ドラグ(糸が切れないよう自動的に糸を出す機能・ジージーと音がする)の大きな音がポンドに響くのでした。

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【キムタク違い】

                                                       <止めない>

つりぼり十番勝負≪FO編≫②


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「三平師匠」の「パックン」(好きなアイドルは「倉田まりこ」と豪語、知らないと言うとファーストシングル「グラジュエイション」を熱唱してくれる昭和の落とし物)と「おまつり」覚悟で近いポイントにキャストするも何故か全く相手にされないわたくし。


早々にミノー(魚の形のルアー)を噴水とは反対側、岸辺近くにキャストします。

激しいバイト。

そして本日初のキャッチです。何とか一匹目を上げるも、釣果の差は歴然。


「おお!早々ミノーですかあ?」


確実に上からの物言いです。完全に見下されています。このままでは「万年・五平」でこの後悲しい処遇に耐えなくてはなりません。

一気に場所を変えてこの苦しい状況を打破しましょう。

「三平師匠」の背後を通り受付のあるログハウスへ向かいます。


「どした?」



嗚呼。

これまた確実に「上から」の問いかけ。その姿に「葉巻をくわえ、ブランディグラスを揺すって居るくらい威張った」幻想が重なります。



「う〇こ!!」


失笑とも言うべき笑みを浮かべる三平師匠。しかし構っていられません。


マジで「うん〇」がしたいのですから。




美しいログハウス調の建物内の清潔なトイレットで、わたくしは着込んだ衣服を一枚一枚ズリ下ろし、「爆弾投下」の体制へと入るのでした。

そして反省するのです。


これほど釣果の差が出てしまうのはテクニックでもポイントの差でもない、己の心の動揺だと…。

ファーストキャッチを取られ、焦りが釣りに出てしまい、そして満足な釣果もあげられぬまま…………敗北。


いつもの筋書きが容易に浮かびます。そんな昨日までの自分と宿便にサヨナラとばかりにイキみ、気合いを入れるためセクシーランジェリエとヒートテックを「長州力ばり」にズリあげてポンドへと戻るのでした。

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                                                       <つづける>

つりぼり十番勝負≪FO編≫①

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『人の皮を被った悪魔め!…てめえの血は何色だっ!』

                                        (「北斗の拳」南斗六聖拳「義星」 レイ)








「釣りキチ三平」の称号を賭け、「パックン」(スーパー銭湯の入場券売機のタッチパネル方式に「解らんっ!」とマジ切れする昭和の寵児)と激戦を続けた『つりぼり十番勝負』も早二年目に突入。


「もう十番越えてね?」

と言う素朴な疑問も、


「大体、「三平タイトル」の移動ねえじゃん!」

と言う耳の痛いご意見も、



「大して釣りに興味ないから楽しめねえ。」

と言うごもっともなご感想も、


「長いばっかりで全然面白くねえ。」

と言う誹謗中傷も、


この際一切聞き入れず、今年も突き進もうと思います。




今回は管理釣り場『FO』。 都会です。

1日券は無いけれど、どうせ釣りの前の日は翌日遠足の小学生のごとし。寝てられません。ならば朝一番決めてやろうと午前6時にはポンド(池)のほとりに立っておりました。


大して広くないポンドとタカを括っていた2人の目の前には大きな水面が、都会派な整備の行き届いた外灯でキラリと輝いておりました。


「おお!いいね、いいね!」


四十路の大台をひた走る「釣りキチ三平タイトルホルダー・パックン」は、老眼の影響からタックル(釣具)の準備は殆ど前日にしてあるため、受付後はすぐさまキャスティングの体制に入っているのでした。


二人でさしあたり噴水前でキャスティング開始です。

朝マズメはコレ!と決めている銀のスプーン(ルアー)も全くバイト(アタリ)無し。派手めなカラーチェンジでポツポツとバイトが始まりました。しかしながらなかなかフッキング(針に魚が掛かること)に至らない。


「バシャバシャ………よおし!」


そんなわたくしめを尻目に早速のファーストキャッチを決める「三平師匠」。

まだまだ。釣りは始まったばかり。焦っては本来


「バシャバシャ………よおし!」


さらに続ける「三平師匠」。さすが三平の名に恥じな


「バシャバシャ………よおし!」


…………す、凄いです………ね。でもわたくしも負けて


「バシャバシャ………よおし!」


…………そこの噴水、そんなに釣れ


「バシャバシャ………ここかっ!!」




「ここかっ!」ってイヤみったらしいっ!

邪魔になるといけないから噴水の所避けてやってるのにっ!じゃあ投げてやるからな!

「おまつり(他人の糸と絡むこと)上等」じゃ!!




「バシャバシャ………絶好調!また釣れちゃった!」




中畑清(元読売巨人軍24・燃える絶好調男)」か!?・・・ボケェ!


 

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                                                        <つづく>