元祖フレンチメタル。

元祖にして唯一、ANTHRAXによって日本の一般メタル者にも知られるフランスのメタルバンド。

 

 

TRUST

 

 

パリ郊外ナンテール出身、77年結成、VoのバーニーとGのノノを中心とする4人組。

調べて知ったが同じくフランスのINDOCHINE、彼らのPVに出てきた巨大な立方体の建物はナンテールとパリの間にある。

79年、メジャーのCBS/EPICからデビュー、1stは持ってないしまだメタルにハマる前だったから当時のことは知らないが、フランスのバンドでありながらNWOBHMの一派とされるのは音楽性はもちろん、この年代によるところが大きい。

 

大物だからちゃんとCD化されてる、買ってみた。79年のデビューアルバム。93年の再発盤。

 

TRUST

 

 

70年代のHRやブギー感、あるいはもっと昔のジャズ/ブルーズなんかのロックの源流、AC/DCはもちろん時代のNWOBHMやパンク/ニューウェーヴをも取り込み、そこにフランスっぽさが出てるようなTRUSTの個性はすでに確立、後に国民的バンド、フランスを代表するHR/HMバンドとなっていくこれが彼らの1stアルバムであるという強い説得力がある。フレンチメタル好きも納得の原点的アルバムであり名盤。メタルとは言えないかもしれないが、ジャンルなどどうでも良くなるような熱いロックを聴かせてくれる。

 

 

“Ride On” はAC/DCのカヴァー。

 

80年2nd。代表曲 “Antisocial” が登場。この2ndがヨーロッパで大ヒット、NWOBHM期とも重なり好機と見たバンドは並行して英語バージョンも発売、日本で発売されたのもこちら、ジャケも違うからリアルタイムじゃないと混乱する。

 

REPRESSION

 

 

前回のOCEAN同様、AC/DCの影響が強い。このアルバムが80年2月に亡くなったボン・スコットに捧げられていることからも分かる。

 

 

バーニーの声がボン・スコットに似てるからOCEANよりもっと古い、泥臭い初期AC/DCみたいな感じ。“Paris Is Still Burning” なんか特にそう、基本は渋いブルーズロック。

骨太でシンプルなタテノリR&Rはパンクとも親和性が高い、パンクっぽく感じていたTRUSTも結局は根っこはAC/DCにあるのだろうが、そう思って聴くからかANTHRAXのカバーした “Antisocial” などは改めて聴くとNYっぽい香りが感じられて(知ってる限りで例えばTHE DICTATORSとかSHAKIN’ STREETみたいな)パンクなイメージがあったのはそういう部分を感じ取ったからかもしれん。

それと歌詞かな。反体制とか抑圧された者とか、そういったことをテーマに歌ってる印象があるから。

実際、初期はパンクスにも人気があったらしい。歌詞の英訳を手助けたのもSHAM 69のVoだそう。

ANTHRAXの “Antisocial” は小気味良さはあるが、味わいが減退しているように思う。オリジナルにはやはりどこかフランスらしい柔らかさというか優しさ、あるいは陰のようなものがある。

 

 

スティーブ・ハリスに気に入られMAIDENの前座に起用、ヨーロッパでの人気を不動のものとする。日本盤が出たおかげでフランスのバンドでありながらNWOBHMの波に乗り、日本でもそれなりに名を知られるようになる。

81年3rd、オリジナルは「MARCHE OU CREVE」で、これも英語版があってジャケが違う。

 

SAVAGE

 

 

プロデュースをAC/DCやCHEAP TRICなどで知られる大物、トニー・プラットが手掛ける。

Drが元パット・トラバースバンドのニコ・マクブレインに交代。プロデューサーのおかげかDrが代わったせいか泥臭さが消え軽快さが出た。歌メロやコーラスにも細やかさ見え、ノリだけでない耳を引く箇所が増えてきた。基本は変わってないのに幅が広がった。個人的には前作より好み、聴いてて気持ちいい。

3rdは日本盤は出なかったのかな?日本ではそんなにウケなかったけど、ヨーロッパやフランス本国では国民的バンドレベルの大人気、この辺りがTRUST全盛期。

 

 

83年の4th、これはオリジナルも持ってる。

 

IDEAL

 

 

今回プロデュースを担当するのは、これまた大物アンディ・ジョンズ。

この英語バージョンがBURRNでレビューされたことによりTRUSTがフランスのバンドであることを知り、MAIDENとの関わりも知る。初めて聴いたのもこれ。

 

MAN’S TRAP

 

 

。。と思ったが違うような気がする。「REPRESSION」のが先だったかな?忘れた。

ANTHRAXのことはもっと後だし。そもそもあんまり聴いた覚えがない。少なくともオリジナルの「IDEAL」買ったのはもっと後、それは覚えてる。どっちにせよリアルタイムじゃないし、結局聴いたのはANTHRAXがやった後だったのかな?

ニコは一作のみで脱退、MAIDENへ栄転、代わりに元MAIDENのクライヴ・バーが参加という話もあったが詳細は不明、日本盤ライナーでも触れられてはいるが、実際にDrとして加入したのはファリドとなっている。

 

 

クライヴはレコーディングのみ参加だったのかな。

 

基礎の部分は変わらない、でも一層メジャー感が出たというか少しずつメインストリームに寄せてきているような印象。これもプロデューサーによるものなのか凄く80年代な音、クリアでゴージャス、曲調の幅も広がり、明るくなってさらにメロディが強くなってる。

ただ、こうなるとバーニーの語るようなVoが合わなくなってきてるような気もする。このVoでないとTRUSTでなくなってしまうのだが。。

英語版はレコーディングし直されているようで、ゴージャス感はオリジナルの方が上、こちらのがお勧め。

そろそろ "Antisosial" を超える代表曲が欲しかった。個人的な好みで言えばポップな "Ideal" や "Le Pacte" 〜 "La Luxure" のドラマティックさは "Antisosial" より好きだ。

 

 

84年に5th「ROCK ’N’ ROLL」発売後姿を消し、解散していたのかもしれない、長い間音沙汰もなく、日本ではもう誰も覚えていない88年にANTHRAXによる “Antisocial” がヒット(PVに本人らも出演)、再び脚光を浴びることとなり再結成、その時に出たライブアルバム。

 

LIVE! PARIS BY NIGHT

 

 

この後、活動と休止を繰り返しながら作品を発表し続け、2018年、2019年にも新作を出している。

元祖であり現在も活動するフランスメタルの超大物ではあるが、その後に現れる数多くのいかにもフランスなバンド群とは大きく音楽性が違うから、あまりTRUSTをフランスと意識したことがないというのが正直なところ、思い入れの面でも少々低い。

 

 

“Antisocial”

 

“The Big Illusion”

 

“The Savage”

 

"Le Pacte"

 

"Ideal"

 

“Prefabriqués”

 

“L’elite”