元祖フランスメタルとして世界的にも有名なTRUST、77年に結成され、フランスのバンドでありながらNWOBHMの一派的な捉え方をされることもある。イギリスでなくとも活動時期によって同列に考えられ、スペインのBARON ROJOやスウェーデンのEF BANDなどと似たような感覚で受け入れられていた。

ややパンク風の音楽性で、メタルというよりR&R寄りな印象のバンドだったが、Drのニコ・マクブレインがMAIDENに加入したり、ANTHRAXが代表曲 “Antisosial” をカバーしたりと、長い活動歴の中でTRUSTはメタルバンドとして現在も認識されている。

彼らほど世界的に有名ではないものの、もうひとつフランスHR/HM界の祖として知られているバンドがあった。その原型は1974年にまでさかのぼる。

 

 

OCEAN

 

 

パリ出身の4人組。76年にデビュー、これは81年の3rdらしい。これしか持ってないから他は知らん。

 

OCEAN

 

 

聴き始めてすぐに音楽性を一言で言い表すことができる。AC/DCだ。コピーバンドと言っていいほど。骨太でありながら適度な隙間があるシンプルなヘヴィR&R、自然に体が動く。Voもボン・スコットかブライアン・ジョンソンそのまま。フランス語なのに違和感なし。普遍的なR&Rであるから古臭いのに今でも十分楽しめる。

A-2の “A Force de gueuler” はそこに僅かにフランスっぽさが含まれてるような、そういう部分がチラリと見えるとフランス好きはノリながらも顔がにやける。

もっと後に出てくるフランスメタルが盛り上がった時代のバンドに比べると能天気というかノリ重視というか、メロディアスで叙情的な部分、あの独特の上品さというのは出てこないが、ここにも間違いなくフランスらしさは感じられる。AC/DCをドイツっぽくやるとACCEPT2ndの頃みたいになって、フランスっぽくやるとこうなる、みたいな。そんな違い。特にA面最後の “Qu’on me laisse le temps” などは本家にはあまり出せない暗い影のような物を感じる。

この曲が最高とかこのフレーズが良いとかじゃなくって、アルバム全体で楽しみたい。メタルにこだわらない、力強いR&Rが聴きたければお勧め。

聴いてたらこのVo、ブライアン・ジョンソンっぽくもあるし、ウドっぽく聴こえるときもある。

どっちにせよ耳に突き刺さる。

 

 

再結成したのか2016年にアルバムを出してるから、今でも続いてるのかもしれない。

tube探してたら2019年のライブがあったから今もやってるな。

 

 

“Aristo”

 

“A Force de gueuler”