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こんばんは
一応、今日のお話で、ほぼ完結ですって、言ったらきっと怒りますよね
指南=心理カウンセリングか
って
みんなの声が聞こえてきそうなので、指南編を頑張ります←今更発言ですね
でも、ヨンのウンスへの想いの、私なりの解釈は、大体書いたつもりです
皆さんはどういう風に考えてましたか
あと、初めての連載でした。こんなに長くお話書いたの初めてで…
どうしよう、男子トーク長すぎてつまらなかったかな
途中心配になりました…
お話
「少し眠ったほうが良いのでは?」
二人が飲み始めてからもう二刻近くなる
兵舎で夜番のウダルチ達はすっかり寝静まり、二人の話す声が狭い部屋に響く
何時になく明け透けに想いを語るチェヨンの話をもっと聞いていたい思う気持ちと
とはいえ、もうこんな時間だ…
少しは眠りを取らねば、色々と差支えも出てくるだろう、それではまずいのでは?
そう心配する気持ちが錯綜した
チュンソクは明日の事が気にかかり、寝る気はないのかとチェヨンの様子を窺うと…
「どうせ屋敷に戻っても眠れやせぬ」と、首を左右に振り微笑み返してきた
「確かに」
俺もそうだったと自分の事を思い返し、チュンソクはチェヨンの言葉に同調する
「叔母上が女人は色々とすべき事があると…今宵は共に過ごすなと煩くてな」
それにこんな昂った気持ちでは、一人天井を見て過ごすのがオチだとチェヨンは笑う
「なら良いのですが…」
それも俺と同じ。所詮この男も単なる男なのだと妙に嬉しくなった
「俺は気分がいい。寝ないと差し支えるなどと、うるさい事を言うなよ?」
読まれていた事にどきっとし、まさか、そんな事を言いませんと慌てて首を振る
「それよりお前こそ大丈夫か?」
こんな時間まで付き合わせてしまった…と申し訳ない気持ちが過る
そう思いながらも、鼻先でひと笑いし、どうなんだと顎を突出して言うと
「これしきの事問題ありません」
その気持ちを察してか、チュンソクはいつになく、きっぱりと言い返した
「それで、いかがされたのですか?」
チェヨンの意志が固い事を悟り、チュンソクはまた話を促しチェヨンは応えた
「そう…あの日と同じだった」
「あの日…ですか?それは…?」
俺はイムジャを助けに行く最中、苦しい胸の片隅であの時と同じ想いを抱えていた
「メヒを探し回ったあの日と…」
「メヒ殿を…?ですか?」
そうメヒを探したあの日と同じ…
この胸騒ぎが単なる思い過ごしでいてくれ
目の前に無事な姿を見せ、血相を変え助けに来た俺を、馬鹿な事を考えたものねと呆れた顔で笑ってくれと
今、胸を覆うこの想いがすべて取り越し苦労で、どうか無事であってくれと
たった今自分が助けようとするその人が、まさに今この瞬間、もう既にこの世の人ではないかもしれない…
既に今手遅れなのだと、そんな風に思う事がどれ身を抉る想いか
「イムジャも同じ事に…と…」
メヒのあの日の出来事は思い返したくもなく、その事と同じなどと考えたくもなく
当時は俺自身も、それが同じ状況であった事を意識をしたわけではなかったが…
今思ってみればそうだったと分かる
手遅れ。そんな言葉が脳裏をよぎる
「既に遅いかもしれない…」
と、浮かんでくる最悪の状況を何とか振り払おうとするが、振り払ったと思った瞬間に、また湧き上がってくる
またなのか?また俺は戦う事も何もできずに、失わねばならないのか
胸が張り裂けてしまいそうだった
心の中にあの日の出来事が暗雲となり、それが靄がかって次から次へと立ちこめた
「分かるかチュンソク。メヒは自ら死に逝く道を選び、イムジャは自ら生きようと懸命にもがいていた」
チェヨンの黒い眸はメヒの死を悼む悲しみの奥に、柔らかい光を湛えていた
「大護軍……」
チュンソクはそう呟くのがやっとで、それ以上何も答えられなかった
目の前の余りに哀愁に満ちた表情に、喉元がぐっと締め付けられたからだ
しかし、その想いとは裏腹に、チェヨンは口の端で笑みを浮かべるとポツリと言った
「有り難くて…」
緩やかに移り変わるチェヨンの表情に、まるでその場の情景をこの目で見ているようで、チュンソクの胸が熱くなる
口を一文字にぎゅっと引くと瞼を閉じ、本当に…と、こくこくと頷いた
「ただ生きていてくれと願い、俺がやっとメヒを見つけた時、既にあいつは冷たくなり、固い屍となっていたが…」
いざ言葉にすると、その時の苦しみがこみ上げ胸が苦しくなり、押し殺したような小さな言葉尻となっていった
手と体が微かに震えだし、唾を飲み込むと、拳を強く握りしめそれを止めた
もう今日で思い出すのは最後だ
メヒもうお前の事を忘れても、許してくれるか?俺をそこから手放してくれるか…?
胸の奥深くでメヒとの永遠の別れを告げる
さらにチェヨンは息をついて、それをやり逃すと再び薄笑いを浮かべて言った
「イムジャは温かくて」
「あっ…」
この夜、辛い思いを抱えた日々を、自分に包み隠さずすべてを曝け出してくれた
チュンソクの頭の中で全て欠片が一つにつながり、思わず小さく声があがる
「メヒ殿は死を選び、医仙殿は生きようとした。つまり御二人は違う道を選ばれた」
「あぁ。イムジャはあいつらに必死に抵抗した。手首なんか酷い痣になっていて…きっと激しく暴れたのだろう」
ウンスの暴れ回る様子が手に取るように分かるようで、チェヨンは肩を震わせ笑う
「イムジャのその温かさが、俺にはどれほど有り難く感じた事か…」
俺が抱えた不安な想いは同じでも、イムジャとメヒは違う道を選ぶ女だった
「あの方は生を生きている方だから…」
メヒは死を選び、俺は死に行く日を待った
しかし、イムジャは…あの方は、メヒや俺とは違い、生きる事を喜びとした
生きていてくれさえすれば、どんな暴言を吐かれても受け止める覚悟で、むしろそうしてくれる事を望んだはずなのに…
イムジャは助けに乗り込んだ俺の顔を驚いたように見つめて、俺に「生」がある事に喜びを見せてくれたんだ
「生きている…」
そう嬉しそうに言って笑い、俺の頬を温かなイムジャの手が、まるで傷ついた俺を慈しむように包み込んだ
天界で脅かす者もなく何不自由なく暮らしていたはずのイムジャは、突然俺に攫われそしてキチョルらに襲われた
傷ついたのはあの方のはずなのに…
出口のない闇の中で寒さに震え、ただ死が訪れる時を待っていた俺の心と体
それをイムジャがあの日温めてくれた
「惹かれずにはいられなかった…」
だから、俺は受け入れるしかなかった
動き出してしまった俺のすべてを…
一度たりとも歩を進め、時を刻み始めた秒針を、俺はもう止める事はできなかった
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小説でちょうどこのシーンを読んで、チェヨンの心情は合わせたつもりです
チェヨンがウンスに惹かれていくその過程が伝わっていればいいのですが…
お話
「イムジャが王命で、キチョルの屋敷に無理やり連行された事を覚えておるか?」
「もちろん覚えておりますとも」
チュンソクは深く頷いた
徳成府院君キチョルの屋敷に、半ば脅されるような形で連れ去られてしまった
それは意識を取り戻した俺を待ち受けていた、思いもよらぬ報告だった
耳にした瞬間、身の毛がよだった
それと共に己のあまりの不甲斐なさに、腹の底からこみ上げる激しい怒りに震えた
守るなどと軽々しく口にしておいて、俺は何もできず意識を失っていたというのか…
情けない自分をこの場で斬り捨てる事が出来れば、どんなに良いだろうか
怒りにわなわなと震える体を鎮めようと、歯茎を食いしばり強く拳を握りしめた
あいつがイムジャを連れ去った明確な真意が掴めぬ今、状況は一刻をも争う非常事態
自分の体の痛みなど、あの方が置かれている立場を思えば、気に掛ける余裕すらなく
息をつくのも苦しい身を起こし、決死の覚悟でイムジャを連れ戻せんと馬を走らせた
「生死を彷徨ったばかりの、あのような衰弱された体で敵地に乗り込むとは、正気の沙汰ではないと皆…」
どれ程あの時この方の事を、ウダルチの仲間達が心配をしたか、忘れられるわけがないと、チュンソクは思った
義を通すためであれば自分の身の危険をも顧みず、平気で無茶をなさる御方だから
「それに王命でしたので…」
王命に逆らう事が何を意味をするか
無事にあの方を取り戻しても、その後に待ち受けている沙汰を思えば、心穏やかで居られる者など何処におるだろう
もう過ぎた事とはいえ、ウダルチの皆は寿命が縮む思いだったと…酒も入った今、ここぞとばかりに苦言を呈す
当時を思い返し、苦笑いを浮かべたチュンソクに、反省の情が湧き上がってきた
「お前にはいつも迷惑をかけ…これでも、心からすまなく思っておるのだ…」
気まずく思い、チェヨンもつられて頬を引きつらせると、直視するのが憚れ伏せ目がちに視線を向け謝罪思いを伝えた
「正気の沙汰ではない…よな」
あのような体では、まともに立ち向かえぬ事も分からない俺ではない
「少しはご自覚はあるのですね」
そう言いチュンソクは笑いを堪える
それも相手は他でもない徳成府院君キチョル 、屋敷の防備に手抜かりはない
まるで手ぐすね引いて燃え盛る業火の中心へと、飛んで入る愚かな夏の虫だ
「だがそうせずにはいられなかった」
イムジャが、下った王命で連れていかれた以上、既に交渉の余地は残されてない
「みな、分かっておりました。テジャンがきっと迎えに行かれるだろうと」
気づけば、懐かしい呼び名が口に出た
チェヨンも懐かしい響きに、チュンソクを横目でみると、手に持つ杯を大きく煽って残った酒を飲みほした
薄汚い男達がイムジャに危害を加えていたらと思うと、喉元が激しく締め付けられるような思いだった
あいつらは頭を下げて易々と返すような相手ではなく、むしろ弱みを見せたら最後
だがあの方を人質に取られては強気に出る事もかなわず、だからといって下手に出て済む相手でもない
つまり打つ手は既にないも同然
それでも居てもたってもいられず、どうかあの方の無事な姿を見せてくれと…
一縷の望みにすべてを託した
お帰しすると約束を交わしたから?
お帰しするその日までお守りするのだと、責務を果たす必要があったから?
あの時の俺には「理由」など存在せず、義務も名分も何もかもがどうでもよく…
まともな策すらなくただあの方の元へと、なにかが俺を突き動かしていたのだ
ただ無事でいてくれと…それが全てで…
「だが何も策を持たぬ事が、それが時には最高の奇策となりうる」
チェヨンはポツリと呟くと、言っている自身に呆れくっくと喉を鳴らして笑う
「俺たちには到底真似出来ません」
あんぐりと半開きにした口から息をついて、もっと苦い顔をして見せた
「策がもう何処にもなければ…」
しかしそういう男だから、国を束ねる事が出来るのだとチュンソクは分かっていた
万人が思いつくような策であれば敵の意表をつく事など出来ないのだから
そしてそんなこの男に憔悴しているからこそ、常に傍にと自分自身が願っている
ならば気苦労はむしろ望むところだ
この役目は俺にしか務まらぬという自負がウダルチとしての、引いては副将としての誇りでもあるからだ
開き直った様子のこの方に、俺はむしろ畏敬の念を頂くのだから致し方ない
チュンソクは一度下向き笑いを漏らすと、凛と顔を真っ直ぐあげてその男に強い視線を向け言い放った
「正面突破ですね」
「正面突破だ」
互いが行き着いた「答え」が同じである事に二人は満足し、兵舎の部屋の中に二人の男の笑い声が響き渡った
そしてこいつは俺のもう一人の、最高のぱぁとなぁだと、チェヨンは思うのだ
あの時の事は生涯忘れられまい
チェヨンは当時の事を再び思い返した
生死すら分からぬ状況下で不安で胸が震え、呼吸する事さえ苦しく締め付けられる
その状況を直視する事は出来るのか?
あの方に万が一にも、もしもの事があれば俺は一体どうしたらよい?
自分の中で自問自答を繰り返すも、まともな答えなど出るわけがない
望まぬ現実を受け止める答えなど、もともと持ち合わせていないからだ
どうか御無事であってくれ…
そしてどうか再び俺に元気な姿を見せ、守りきれなかった愚かさを責め立ててくれ
全てを失ってもいいから…俺の命で代えられるものならそうさせてくれと…
俺は心底からそう願った
目を背けたくなる現実を見るのが怖くて、震える手に何とか力を込め扉を開いた
しかし天は非情ではなかった
目にしたのは凄惨な現実ではなく、ぱっと華開いたようなあの方の笑顔と涙だった
まさに闇と光が転じた瞬間
きっとそうなんだ…
あの瞬間から俺の心の中を覆っていた闇が取り払われ、少しずつ、少しずつ、俺は再び光を取り戻し始めた
「生きている…」
そういってイムジャは俺の頬を、暖かな掌で包み込むように触れた
どんなに責められても、それを受け止める覚悟はとうにできていたはずが…
不意打ちを食らったように、俺の体はぴたりと凍り付いてしまった
触れた頬に意識を向けて見れば、イムジャの掌の温度が俺の頬に伝わってくる
そして今まで目にした事もないような、満面の笑みが眼下に映り込んできた
それは間違いなくあの瞬間
俺はあの瞬間から息を吹き返し、止まっていた時が音を鳴らし動き始めたのだ
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ついに病院に行ってきました
まぁ、あれですよ…
レントゲンをとって「骨には異常はありません。痛み止めと湿布、リハビリに週2、3回通って下さい」
一応、フルタイムなんですよね
過去の経験上、リハビリ通っても…ね…あんまりね…画期的には良くならんですよね
今日はお休みだったので、続きを書きましたっが、指南には至らず見捨てないでね
お話 
心のどこかに消える事なく住み着いていた、冷たく重苦しい足枷のような存在
こんなに飲んだのはいつぶりだ?
酔いがだいぶ回っているのだろうか
体の重心が定まらず気が纏まらない
だがむしろその感覚が悪くない
内に秘めた全て曝け出した事で、無意識に深く根付いた闇が取り払われたのか
体が宙に浮きあがるように軽くなった
強くありたいと思うのが男というもの
きっと俺が何を話そうとも、その小さな体で何処にそんな力が…と思うくらい
俺の何もかもを、全身全霊で受け入れて下さろうとするあの方だからこそ
過ぎし日の女人との柵など、イムジャに言いたくもなく、無論知られたくもない
なれば事さら蓋をし、心の奥底に追いやっていたはずの目を背けていた存在
自分の中に存在がある事すら、イムジャという存在がそれを忘れさせてくれた
しかし確実に俺の中にある闇の残像
全てを取り払う事などそう出来る物ではないと、思っていたはずなのに…
自分の言葉にして吐き出しただけの行為がこんなにも気持ちを楽にするものか
そう思いながらふぅと息を大きくつくと同時に、目の前の男との絆を痛感する
この男は長い月日に渡り支え、傍で見守り続けてくれていた俺の副将だ
それはきっと俺が思う以上に
今宵の事は、お前のおかげだな
そして全てもう終わった幻想なのだのと…
悪夢は去ったのだ
もう過ぎし日を振り返る事はしまい
イムジャと共に作り上げる、未来(ミレ)は輝かしいものであるはずで
そして俺が必ずそうさせてみせる
これから迎える初宵を前に、チェヨンは生まれ変わったような気分だった
目の前に座るチェヨンその男の和らいだ表情に、チュンソクは心がじんと温かくなる
感慨深く慈愛の眼差しを向けると
「御心を動かされたのが、誰彼かまわずお触れになると…あれは…」
そこまで言いかけた所で、ある事に気づき、はっと息を飲みこんだ
一連の話を聞いていたチュンソクは、そこにきて頭の中で糸がつながったようだ
チェヨンはそれに答えるよう下向けていた顔をあげると、鼻息で笑いを漏らした
「もしや女人に触れる事ができなかった男と、それを構わず強引に触れようとされる天界の女人?」
チュンソクが自分が導いた答えを窺うと
「正解だ」と目配せをして微笑んだ
「なんとも都合の良い組み合わせだろ?」
肩を小さく震わせながら片側の口の端を上げると、自嘲気味の笑みを浮かべた
「本当に…そう言う事でしたか」
御二人はなんとも絶妙な御組み合わせだったのですね…とチュンソクも頷いた
「だな」
チェヨンはもう一度鼻先で笑う
「では…」
「だがなチュンソク。それだけではない」
首を左右にゆっくり振る
チュンソクは驚いて数度瞬きをした
続けてチェヨンはチュンソクが思ったのとは、少し違った方向に話をし始めた
「王命だったろ?」
当時のチェヨンは、自身に小さく芽生えはじめた想いに困惑をして過ごしたのだ
チュンソクは再び話を見失った事を怪訝に思い、眉を少し寄せて見返した
「医仙殿を留めよと…ですか?」
「あぁ。そうだ」
別にあれ以来、虎と馬に囚われて女人に触れられなくなったわけではなかった
自分でもそう意識したわけでもない
ただ、特段そうする必要性が無いし、そうしたいとも思わなかっただけだ
しかし俺は逃げ纏うイムジャを捕えるため、イムジャの手を掴み、そしてその身を抱え上げる事になった
「俺には、イムジャを捕まえる、必然性があったのだから…」
しっとりと吸い付くような肌だった
イムジャから発せられる華の香りに、触れ合う互いの肌と肌から伝わる感触
「不快ではなかったむしろ…」
心地良く思えた事に小さな戸惑いを覚えた
「それは…?」
「イムジャに初めて触れた時…」
女人に触れるのはあの時以来の事
思い返すと初めてイムジャに触れたあの瞬間から、俺はもうあの方から逃れられなかったのかもしれぬ
「この地にお連れした折ですか?」
チェヨンはその時の光景を脳裏に思い描きながら、問いかけたチュンソクに「そうだ」と頷いて見せた
そして此の地に戻ってからも逃げようとするイムジャを囲い、イムジャの手や体を何度も強く引き寄せた
「あの方は酷く暴れたから…」
当時の大暴れするウンスの姿を思い出し、おかしくなって喉ならして笑うと
「かような大男に、突然攫われたら最もな事でしょう。しかし、医仙殿の騒ぎに皆驚いておりましたね」
チュンソクもそれに合いの手を打つ
「暴れ馬より口がたつ分たちが悪い」
「まさに、じゃじゃ馬ですね」
「乗りこなすのも容易じゃない」
「乗りこなすどころか、大護軍が他ならぬ馬を追いかけているように思えますが?」
「乗せてもらえぬのだと…?」
「さぁ、どうでしょうか」
ウンスとの間に繰り広げられた幾多の攻防を思い返し、二人は声をあげ共に笑った
「だがそれは結局は全て言い訳だ」
笑いを止め吐き捨てるよう言い放った
突然のその一言にチュンソクも慌て黙る
予期もしなかった突然の言葉に驚き瞼をあげると、そのまま丸い目をしてチェヨンを見返した
「えっ、言い訳ですか??」
そうなのだ、あの時の俺は…
暴漢に攫われ大層怯えた様子のイムジャを、ふいに思い立ちその身ごと抱きかかえた
驚いたあの方は呆気に取られたのか、そのまま暫く大人しく俺の腕に抱かれていた
何かが胸を突き上げるような感覚に、自然と隠し切れない笑みが漏れ出てしまった
あの方は逃げようとせずに目を大きく見開き、俺の顔をまじまじと見つめていた
たった数分にも満たないであろう時がこのまま続けば良いのにと、心の片隅でどこかそんな風に思った
その後、我に返ったイムジャは再び暴れ、終いには蹴りを食らったが、その痛みさえ胸をチクンと擽った
そうあの時の俺の中には…
気づけばイムジャに自らの意志で、そうしたいと願い触れている自分がいた
王命故あの方を逃がすわけにはいかぬ…
と、そんな名分があればこそ、俺自身も踏みだす事が出来たのだろう
俺にとって「王命」は言わば「名分」だ
名分を立てる事が出来る行動は、俺にとっては非常に都合が良かった
しかし言い換えてみれば、名分は「言い訳」ともなりうるわけで…
イムジャと関わりを持つための名分
俺は「王命」という名を持つ「言い訳」
この上ない「名分」を手に入れたわけだ
そしていつしか自分自身が、何をもって行動しているのか、分からなくなっていった
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*画像の再配布は一切禁じます。それに抵触した場合は、すべての責任は自己責任でお願いします。ご自身のパソコンや携帯等で閲覧のためのみお楽しみください
※海外サイトからお借りちゃいました(闇のヨンのイメージに!)
こんばんは、りおです
このまま一気にラストまで書いてしまいたかったのですが…
今朝起きたら寝違えたのか●十肩か、右肩~腕が激痛で
仕事がパソコン使うので、疲労とか腱鞘炎的なのだったら困る~
ちょっと良くなるまでお休み下さい
私も暫し運気調息してきます
過去の傾向によると
ちょび間が空く=お話の続きをさぼる習性がある私…今までサボったお話を完結するのが、当面の目標だから何としても復活しますね
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音ひとつない闇の中に身を置いていた
そこは自分の吐く枯れた息の音だけが、木霊するような沈黙の世界だ
俺は命が尽きるその日が訪れるのを、じっとその場所で待っているだけだった
********
生涯を誓い合ったメヒの死後、俺は女人への興味がぱたりと無くなった
今思えば天界の言葉で言う、一種の虎と馬だったのかもしれぬと思う
自分自身その自覚はまったくなかった
だが七年もの長い間、二十過ぎの若い男が、女に興味が無いというのは尋常じゃない
そう思い返してみれば俺は、やはり虎と馬に囚われていたのだろう
虎と馬が闇の世界へと俺を導いた
俺の心を守っていたのはこの身を覆う闇
しかし闇は闇でも単なる闇ではなく、冷たい氷の世界を包み込むそんな闇だ
そうでもせねば非情な現実を目の当たりにし、己を保つことなど出来ぬだろう
冷たく硬いメヒから伝わったその感覚…
それから逃れるため、俺自身が冷たく固い氷の壁で、この身を覆い逃げ込んだ
そうやって俺自身が凍り寒さから逃れた
だからこうして今日まで、生き長らえてくる事ができたのだろう
俺の眠りを妨げるのは誰だ?
せっかく此処で独り静かに、残りの命が尽きる日を待っていたのに…
風一つ吹かぬ鬱蒼とした静けさの中、あの方のけたたましい声が響き渡った
「漆黒の闇に身を置いた男に、突然陽の光が当たったら何と思うか分かるか?」
チェヨンは頬杖をついて、右に持つ空になった杯をくるりと回しながら問いかけた
「突然、陽の光が…ですか?」
さぁ、どうでしょうかと小首を傾げる
直ぐにはその質問に答えを見つけられないでいると、質問の主が先に口を開いた
「鬱陶しく感じる事だろう。煩わしさに少し身を反らせば、陽がまたあてられる」
変化の無い静寂の世界が一転する
突然の変化は心に戸惑いを生み出す
戸惑いという胸のざわめきは、命尽きる日を待っていた俺には煩わしく思えた
「そういうものでしょうか?」
「さぁな。他の皆は分からぬが…」
薄々気づいてはいたが、チュンソクはそこでその話がチェヨン自身の話だと察す
「もしやご自身の事ですか?」
チェヨンは視線でそうだと目配せし、何かを描くようぼんやり宙を見上げた
「避けても、再びあてられる光。また避けても…そんな事を繰り返しているようで」
「では、そのおっしゃっている陽の光とは、もしやあの方の事ですね?」
チュンソクの問いかけに、小さく頷き、穏やかな微笑みと共にそうだと返した
「眩しすぎて目を背けたくて…」
俺の目に映るイムジャが眩しすぎて、直視することを憚られた
だから目を細め幾度もあの方を、陰からこっそりと覗き見たのだ
「逃れられないんだ」
ある日突然自分に差し向けられた、燦々たる光に俺は戸惑って…
いくらその光から逃れようとしても…頭と心が上手く折り合いがつかず
結局は気づけば釘づけられていた
自分の心を俺自身が計りかねるが、それを越える何かが俺を突き動かした
「差し出がましいですが…」
チュンソクが躊躇いがちに口を挟んだ
「なんだ?」
意義を申し立てる事に多少の躊躇があったチュンソクは、一度座り直し向き直る
「それを鬱陶しく感じる者もおれば、希望を見い出す者もおるのではないですか?」
先程は答えられなかった問いかけに、チュンソクはそこで自分の考えを言葉にする
漆黒の闇に身を置いた男に、ある日突然暖かな陽の光が当てられたら…
鬱陶しく思う者もいるが、その陽の光に希望を見い出す者もいるのではないかと
チュンソクは真っ直ぐ見上げ窺った
「希望を…見い出すか…確かにそうだ。それも間違えては居らぬ。むしろ…」
考え深く鼻からすぅと息を吐いた
闇の中に長く居た男は、だんだん自分がその中に居る事すら忘れていってしまった
何故なら置かれた現実に、無理に抗おうとすれば辛すぎるからだ
目を背けたいならば目を瞑れば済む
そして男はたった独り目を閉じた
つまりそれは同時に心も閉じた事になる
「闇に差し込めた希望の光…」
だが一度その光に目を向け、その世界に飛び込んでしまえば立ち位置は異なる
改めて振り返り後ろに見た闇が、どれ程悍ましく思える事だろうか…
一度知った世界からはもう抜け出せない
気付けば追い求めるのは俺のほうだった
輝かしいあの方の笑顔が見たくて、いつしかイムジャから目が離せなくなってた
此の地に来たことを憂いて、輝きを失いかけた事もあったが…
再び見たあの方の笑顔に敵うものは、もうどこにも存在しなかった
そんな日々がずっと続くと思っていた
俺に新しい世界が開けたはずだった…
だが現実は甘くない。あの日の悪夢
ある日、差し向けられていたはずの光が、突然目の前で消えてなくなった
やっとこの手にしたはずが、全てがまるで夢だったかのように消えていった
だが、俺はもう闇に逃げる事をしなかった
前を向いて陽の当たる世界を探し求めて、再び陽が登る日を強く願って待った
やはり男は光に希望を見たのだろう
「もしもイムジャが色香を漂わせ、男に項垂れ掛かるような女であれば…」
きっと俺の今は無かったはずだ
「ずかずかと平気で、人の心に入りこんでいくような方だから…」
そう言いかけると悪戯におどけた
「不意打ちを食らったのだ」
不変だった静かな闇の突然の変化
「思いもよらぬ行動をされる方なので、守備も十分ではなかったのですね」
チュンソクは不意打ちという言い様が可笑しくて、話を合わせ喉を鳴らし笑う
「奇襲を受けたようなものだ」
そうでなければ俺は、きっと変わることができなかったのではないかと思う
新たな世界が切り開かれると言うのは、往々にしてそんなものではないか
「奇襲とは、これまた人聞きが悪い」
「そうだろ?あんな女がどこにおる」
「おっ、この話を、医仙殿に密告すれば、婚儀も取りやめに…」
「何だと?」
にんまりと不敵に笑うチュンソク
「あ~ならぬ!言ったらどうなるか?お前、やっぱりイルシンの所に行きた…」
「行きたくありません!!」
二人は絡んだ視線に、ぷっと吹き出して、声を大きく上げて笑った
大笑いをしすぎて、目の端に漏れ出た涙を、手の甲で拭い取ると…
「では、内密にする代わりに、婚儀の後はしばし俺に、長の座を明け渡して下さい」
チュンソクはそう交換条件を出した
そしてこうも付け足した
「皆も望んでおります」
これはウダルチ皆の意なのです
「チュンソク…」
「鬼のしごきを受けるよりも、俺の稽古のが幾分ましだと」
提示された条件にはチュンソクを始めウダルチ達の思いが込められていた
その男の意を察して胸が熱くなる
「何日欲しい?」
話を合わせふざけ半分にチェヨンが言うと
「存分に…溺れて下さい」
チュンソクはこみ上げる涙に耐え、皆の思いをはっきりと伝えた
そして、目を合わせて深々と頷いた
チェヨンの目頭が熱くなる
今日まで特段意識もしなかった
しかし、確かにそこに存在していた、もう一つの深い絆があった
あの七年間も俺にとって、あながち悪くはなかったのかもしれない
不毛な日々も無駄ではなかった
チェヨンはチュンソク肩に手を置く
そして大きな掌に、その男や仲間逹への言葉にならない思いをそこに押し込めた
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おはようございます
当分、指南には辿り着かなそうで、開き直ってもうしばらく回想を続けます(笑)
皆さん、ミアネヨ
お話
心地よい酔いを感じながら、ぼんやりと兵舎の天井を見上げていると
「体中を撫でられては気も失えません」
自分が言ったあの時の言葉が思い浮かぶ
イムジャの刃(やいば)がこの身を貫く
痛みに気を差し向ける事すらままならぬ程、混沌とした意識の中を、一刻、また一刻と命の灯が先細るのを感じ…
全身の気が、次第に落ち細っていった
俺は生と死を行ったり来たりしながら、置かれた運搬具の揺れに身を任せた
ただ一つ、確実に分かる事があった
俺の上を忙しなく這い回るなにか
それは誰かが俺に触れる感触だ
「あの方は今も昔も変わらない」
昔を懐かしみチェヨンが言うと
「本当に変わらぬ御方ですね」
この二人を誰よりも傍で見守り続けてきた、チュンソクがそれに首を頷かせ答えた
あの時俺は、しがないこの世に別れを告げ、やっと懐かしい皆の元へと…
生き長らえてるだけの生を終いにし、もう逝くことが出来ると、そう思ったのに…
「あの時の事を覚えておるか?」
「あの時…とは?」
「イムジャの剣を受け、生死を彷徨ったあの時だ。俺はもう逝ってしまいたかった」
「あの時ですね…忘れはしません」
チュンソクは思わず姿勢を正し呟いた
未練と言えば武士の名にかけて誓ったイムジャとの約束を果たせなかった事だけだ
それ以外未練どころか煩わしい事ばかり
チェヨンが当時の思いを初めて明かすと
「させてはもらえませんでしたね。でも、だからこそ今の幸せがあるのでは?」
死を選ぼうとされていた御心は、言わずとも全て分かっておりました
そう思いつつも敢えて言わずに、ただチュンソクはおどけた顔をしてみせた
その表情で十分通じあう歳月を過ごしてる
チェヨンは柔らかに微笑む
「まぁな。置いてけと言っても聞く方ではないが。それも自分で刺しておいて、とんでもない女だ」
あの時のウンスの剣幕を思い出し、くっくと込み上がる笑いに肩を震わせた
本当にと、共に笑い二人の男の声が響いた
そうだ!突然笑いを止め、何か思い付いたとチュンソクは声をあげた
あまり覚えておられないでしょう?刺した後のウンスの武勇伝を語りだした
「あの時もあの方は…その女だてらに毅然とされて、邪魔をするチョ・イルシンをあしらっておいででした」
「あいつか。イムジャもイムジャだ。自分を曲げぬだろ?気が強いのは変わらぬ」
「医仙殿の強い決意に、ウダルチの皆もあの男に対抗して…お守りしようと」
チョ・イルシンは曲がりなりにも重臣
俺らだけであれば王の重臣相手に、あそこまでの決意は持てなかっただろう
「でも、今となっちゃ、あいつのおかげで、この今があるのだから」
なんだか可笑しいと思わぬか?
あいつが王を焚き付けねばイムジャを此の地に無理矢理留めることはなかった
不条理な王命が俺達の架け橋となった
そう言いチェヨンは頬を高くした
「あの男に、感謝せねばならぬくらいだ。墓前にでも華でも手向けようか?」
チェヨンが悪戯に言うと
「良き日を前に縁起が悪い御冗談を…万が一にも祟られたらどうするのです?」
チュンソクはぷるっと肩を震わせた後、不敵な笑みを作り上げ覗き込んだ
「もしや死んだ方が良かったですか?あの男が待っておるやもしれませんが?」
俺にこんな日が来ると思いもよらなかった
「勘弁してくれ」
三途の川に向かおうとする俺を煩わしい何かが、けたたましい声をあげ引き止めた
もう苦痛な何もかもを放り出してしまい、楽になってしまいたい許して欲しいと…
俺自身が心の底からそう願ったのに
その厄介者が邪魔をしようとする
安らかな眠りを邪魔される困惑の中で、俺は限界に達した痛みに意識を手放した
「生きてて本当に良かった」
チュンソクの問いには答えず深く目を瞑り、心の底から今、生ある事に感謝をした
イムジャに、ウダルチに、そして天に
その後はちょっとした戦いだった
俺の病状を診ようと、迫ってくる手から逃れようと逃げ回った
まるで俺をこの世に引き戻したその憎らしい手が、煩わしく思うかのように…
それから逃げ回っているみたいだ
「イムジャはいつも一生懸命で」
「そういえば隊長は何処だと、いつも兵舎の中を追い掛け回しておりましたね」
「本当に煩わしく…」
「それにしては嬉しそうでしたが?」
「そんな風に見えたか?」
「皆は分かっておったようです。分からないで居られたのは当の本人だけでは?」
「なんだと?」
調子に乗り軽口を叩きだしたチュンソクを呆れた顔で一瞥した後、自分の想いを知らぬのは自分だけだったかと笑う
何度あの方の手を振り払った事か
今であれば、あの時のイムジャの行動が、単なる診察のためだったのだと分かるが
当時の俺はそんな事わかりやしない
「しかし、かように触れ回る女人はおりませんね。俺たちも度胆を抜かれました」
「そうだろう?昔っからだ。あの方は無意識だから本当にたちが悪い」
振り払っても、振り払っても、イムジャの手が俺へと差し迫ってくる
女が男にとにかく触れようと立ち回る、天界からきたイムジャに大層困惑した
しかし想いとは分からないものだ
直接接すれば鬱陶しい事間違いない、と分かっていたのに何故か俺は…
どう考えても煩わしいはずのイムジャの事が、兎に角気にかかって仕方なかった
「御御足を徐にお出しになって、ウダルチの皆の前に現れた事を?」
「何だ覚えておるのか?」
「えぇ。それはもう鮮明に…今でも夢に出てくるほどで」
チュンソクは目をくるりと大きくさせると、チェヨンをからかうように言った
「はっ、何だと?」
「真っ白で…柔らかそうな…」
途端に真顔になり始めたチェヨンが面白く、追い打ちをかけてみた
「あ~?忘れろ!忘れろって!!」
チェヨンは顔を強張らせ、唾が飛ぶんじゃないかと思うほど強く捲し立てた
さらにジロリと睨み付けられ、調子に乗り過ぎたと怯んだ時には手遅れだった
「じょっ、冗談です!!」
もう遅いと、憎らしいチュンソクの頬をギュゥッと、つねりあげた
「どうだ、まだ覚えておるか?」
「イタタタ…ごむらいなぁ」
「これではどうだ?忘れたか?」
「ひゅっっかりと…わふれました…」
「もしやイルシンに会いたいのか?」
「ろんでもらい~おゆるひお~」
「二度と?」
「おもいらしもしません…」
頬が絞られて痛くて涙目になる
チェヨンが振り切るように手を放すと、チュンソクはイテテテと頬をさすった
そんな事もあったな…チェヨンの胸の中に懐かしい思い出の情景が浮かぶ
天界から突然目の前に現れたイムジャに、自分自身がその想いを計り兼ねてた
だがその感覚に向き合うなど面倒だと…
面倒が何より嫌いな俺は、自分の中に生まれるモヤモヤが不快にすら思った
なのに不快なはずの心に、それを越える好奇心が芽生えたのを感じて戸惑ったのだ
その厄介者を愛しく思い、妻として迎えようとしておるわけだから、人の心ほど不確かなものはないだろうと思う
一寸先は闇ではなく、
一歩踏み出せば春の薫りがしてきた
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