信義(シンイ)二次小説 -20ページ目

信義(シンイ)二次小説

りおのシンイParty☆


  お話

「まぁ、男なんて元来そんなもんさ。ほらよ、温かいうちに食いな」
手に持つしゃもじをくるりと回すと、マンボ妹は温かなクッパと共に手渡した
受け取った大きな椀を卓に置くと、わぁ、美味しそうと高い声をあげる
顔の前で両手を合わせて顔を輝かせた
「新作のクッパだよ、味見してご覧」
早く食って見ろとばかりに目配せをした
「そんなもん考えるより、食い気だろ?食っちまえば忘れちまうさ」
「そんなもんって姉さんったら…でも、あの人は違うって思いたいの」
顔を向けて話しをしている間も、出来立てのクッパから良い香りが漂ってきた
でも、考えるにも腹ごしらえが先ねと…クッパに視線を落とした
ん~いい匂い。胸いっぱいに、美味しそうな匂いをウンスはすぅと吸い込んだ
「じゃぁ、思えばいいじゃね~か」
あっけらかんと答えるマンボ妹に声に反応して、落とした視線を再び向ける
つい先ほどまで、目の前の御馳走にきらきら輝かせた目を、くしゃりと押し潰す
不満顔して唇を小さく尖らせると、ウンスはうーんと悩ましげに卓にうつ伏せた
「あんたは本当に忙しいね」
まったく止まる事をしらないよこの娘は
そう思って笑いながら様子を見ていると
ウンスは突然バッと面をあげるなり、頬杖をついてゆらゆらと体を揺らしだした
「でも、気になったら、本当の事を聞かずにはいられないじゃない?」
一度芽生えた懸念はなかなか払拭できない
「じゃぁ、聞きゃぁいいじゃねーか」
だけど、やっぱり聞きづらいのよ…
「そっ、そうなんだけど。聞くのが怖くて…嫌な答えだったらどうするの?」
あ~どうしようと、先ほどから顔をあげては伏して、また上げた顔を伏せる
そんな事をウンスは繰り返していた
「なぁ、この世にはさ、聞かない方がいい事って言うのもあるんだよ?」
マンボ妹は少し離れたところに腰を下すと、ウンスをおかしそうに見つめている
「まぁ、きっと。あんたみたいな若いもんには分からないかいね~?」
あいつが目を離せないわけだ
この娘(こ)の百面相は、ヨンあいつじゃなくても本当に見てて飽きない
暇つぶしには持ってこいだと思う
くるくると表情をかえ、自分に懐いているウンスを、常々可愛く思っていた
「止めときなって。望まない答えだったら、あんたはどうするんだい?」
「え~望まない答えなんて…う~ねぇ、そうしたら、どうしよう」
「ほらみろ。今そうやって考えても、眉間にこーんな風に皺よってるじゃねぇか」
マンボ妹は両ひとさし指を立てると、眉頭をぎゅっと押し怪訝な顔をしてみせた
「えっ、私そんな顔してる?」
「してるさ。酷い顔だ。そんな景気の悪い顔してちゃ他の女に目が言っちまうぞ」
「もう、心配させるような事言わないで。ただでさえ、落ち込んでいるんだから。いいわ、決めた!!今晩聞くわ」
「あたしの話を聞いてたのかい」
「姉さんごめんね…せっかく相談に乗ってもらったのに。でも私、気になったら、やっぱり聞かずにいられない」
「後悔するなよ?」
「大丈夫。覚悟は出来た!!私頑張ってあの人に聞いてみる事にする」
よしっ、そうと決まったら食べないと
腹が減っては戦も出来ないわと、ウンスは温かなクッパで腹を満たす事にした


  その夜の事

婚儀から三か月が過ぎたその日の夜
窓に座るヨンをちらりと見て溜息をついた
姉さんには強がりを言ってみたものの、やっぱり聞くのはそれなりに勇気がいる
でも、やっぱり気になるし…
きっと答えを聞くまで、ずっと悩み続けてしまう自分の様子が目に浮かぶようだ
思い切って勇気を出し聞いてみよう
ウンスは重い腰を上げる事にした
「ねぇ、ヨンァ…話があるんだけど」
窓の淵に足を投げ出し座り、書物に手をかけていたチェヨンの側に歩みよると、椅子をずずいと引いて近くに座った
「なんですか?」
書に目を落とした視線をあげて、改まった物言いをした新妻ウンスの顔を覗き込んだ
「あのね…」
上目づかいで窺うと
「はい」
ヨンがそれに答える
「そのね…」
切り出せず曖昧にまた問う
「なんですか?」
ヨンがそれに答える
「だから…」
あ~聞きづらいのよね…
「だから?」
ヨンがそれに答える
「その…」
ウンスという人を知りだいぶたつ
この方を知らない者であれば、迂闊にもこれが真剣な話と誤解するだろう
目を丸くさせそわついた表情で、ろくでもない話の所以なのだろうとヨンは察知した
怖い顔。言わなきゃ良かったかしら
「イムジャ!きちんと話して下さい。そんなに話しにくい事ですか?」
ヨンの言葉尻がきつくなった
ウンスの行動が手に取って分かるようで、可笑しくて吹き出しそうになるが…
すぐ調子に乗るウンスに甘い顔を見せてならぬと、ヨンは厳しい表情を取り繕った
「呆れない?」
やはり呆れるような話なのだと、ヨンは腹の中でくっと笑いを耐える
あん、もう誤魔化せなくなった
ウンスは聞き方を誤ったと後悔した
「分かりません」
そりゃ、まだ何も言ってないし
「そんな事聞くなんてって、絶対、絶対、呆れないって約束して?」
自分でも馬鹿げた質問だって分かっているの…だから、聞きづらいのよ
「呆れるような事なのですか?」
けど、ヨンァあなたのせいでもある
「分からないけど…」
だから、ちゃんと確証が欲しい
「分かりました。呆れぬと約束します。イムジャ話してくれますか?」
約束を漕ぎつけた事にやったぁと、目を大きくし勢いをつけてこくこくと頷いた
ヨンはウンスがこれから、どんなおかしなことを言うかと期待を高めた
約束を漕ぎつけてウンスは少しほっとし、今度こそ聞こうと姿勢を正しなおす
「あのね…そのね…一年に一度しか会えないけど、その日は好きなだけ出来るのと、毎日会えるけど、絶対出来ないの」
「なんです?好きなだけ出来る?出来ない?それはどういう…」
「だから、例え話よ」
「例え話?仮の話ですか?」
「だからね…私ともし一年に一度だけど、その日は”出来るの”と、毎日会えるけど、一生”出来ないの”どっちを取る?」
同じ問いを、ポイントを強調して言い、ヨンの目を覗き込み意味を暗に伝えた
ここ最近暇さえあれば、私の事を抱いて過ごそうとするこの人に…
嬉しい反面、もしかしたら、この人が好きなのは私じゃないんじゃないの?
もしかして、私の躰なんじゃないか何て馬鹿な事を考えてしまった
せっかくの休みには遠出もしたいし、美味しい物だって食べに行きたいのに…
結局気づけばせっかくの二人の貴重な休日もそれだけで終わり、夜になってたなんてここ最近では珍しくない
そういうことをするのだって幸せだし、求められるのは嬉しいけれど…
でも、限度ってのがあるじゃない?
マンボの姉さんや、仲良くなったムガクシのオンニ達に相談しても
行きつく先はみんな同じだった
「四年分だから、あんたが受けとめな」
と、それに至りヨンの味方ばかりだ
別に自慢しているわけでもないのに、惚気ている女扱いをされるんだ
みんな分かってないんだわ!!この気持ちは当人にしか分からないのよ
ウンスは小さな不満を募らせていた
「なんですかそれは?」
質問の意図が分からないと、苦虫を潰したような顔をして見返してきた
「いいから答えて。どっち?」
んっ、と乞うようにヨンに言うと
「嫌です。毎日会い、すれば良い」
ウンスが出した質問の選択肢を、まったく無視した答えが返ってきた
「ちょっと、だから、どっちか選んでって言っているじゃない」
第三の答えが返され気に食わない
「なんですか?」
だがそれよりも強い口調で、真顔のヨンが言い返してきた
「だっ、だから…」
それに少し怯え返す言葉に詰まると…
「だからそれは、何なんですか?ありえもせぬ事。なに故選ばねばならぬのかと」
ヨンからすれば面白くもなんともない
「そっ、それは…ほっ、ほら、つまりは、究極の選択ってやつよ」
何とか名分をつけようと思いつく
「きゅうきょくのせんたく?」
「どちらも選び難い事を選ぶの。ねっ?だからどっちにするの?」
現代人のウンスには理解できることが、高麗人のヨンには理解が出来ない
「そんな事考えるだけ無駄だ」
ありもしない望みもしない状況を考えるなど、なんてふざけた嗜好があるものか
それもあまり下らなすぎる二択に、考えるだけ時間の無駄だと思う
「あっ、ちょっと」
手首を掴まれると、力任せにクイとチェヨンの元へと引き寄せられるウンス
「もう、夜も更けました。イムジャ、そろそろ閨へ参ろうか」
その言葉に唖然茫然とし立ち尽くす
「ちょっと、ねぇ、聞いてた?」
慌てて詰め寄るウンスに、くすりと笑いを漏らしてから視線を外す
くっ、悔しい!!鼻で笑われたわ
全く相手にされてないのだと悟る
「ねぇ、ヨンァったら。ちゃんと私の質問に答えてよ!どっちか選んでってば」
ぴょんぴょんと飛び掛かるよう、纏わりつくウンスを避けるように首を横に動かした
「そのような不毛な問いの答えを考えるだけ無駄です。この話は終いだ」
ウンスが何日も悩みぬいた末、決死の覚悟で(?)問いかけた究極の選択
そうして、無残にも相手にもしてもらえず、あっさりと流される事となった


 真夜中の事 

「イムジャ。選んでください」
「いやっ」
「嫌ではありませぬ。どうしますか?きゅうきょくのせんたくです」
「なっ、何が究極よ」
「次は上ですか?下ですか?」
「ヤァ!究極の選択って言うのはね、どっちも選びたくないような二択なのよ?そんなの、ヨンァはどっちに転んでもいい思いじゃない。並行よ!並行!絶対並行!」
「並行?分かりました」
「はっ…あっ…ちょっ、やぁ、並行っていうのは、背中を下に付けてよ」
「そんな条件は聞いておらぬ」
「ねぇっ、ちょっと、あっ、こんなの並行だけど、並行じゃない!!」
「でも、俺だけですか?良い思いをするのは…?イムジャは、まったく良い思いをしておらぬという事か…?」
「あ~もう、だからどうしてそうなるのよ!!ヨンァのばか!!!!!!!!」


と、七夕の年に1回のお話でした♪


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