葛城の迷宮 -60ページ目

『英国王のスピーチ』

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アルバート(ジョージ6世:コリン・ファース)は、幼い頃から左利きやX脚の矯正、そして重度の吃音症というコンプレックスを抱えており、乳母からの虐待もされていたという過去があった。
威厳があり人々から尊敬される父王ジョージ5世(マイケル・ガンボン)と、洒落者で奔放な兄デイヴィッド(エドワード8世:ガイ・ピアース)の二人と比較して、自分に自信が持てないまま成長した彼は、人前に出ることを嫌う内気な性格となってしまった。
厳格な父はそんな息子を許さず、様々な式典の度にアルバートにスピーチを命じるがことごとく失敗。
アルバートは妻のエリザベス(ヘレナ・ボナム=カーター)に付き添われて、何人もの言語障害の専門家を訪ねるが一向に改善する気配は見えない状況に陥っていた。

ある日、エリザベスはオーストラリア出身の売れないシェイクスピア俳優ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)のもとへ夫を連れていく。
彼は俳優業の傍ら、言語聴覚士として治療を行っていたのだ。
ライオネルは、診察室の中では王太子と臣下ではなく、同じ人として平等に応対すると宣言。
アルバートを愛称の『バーティ』と呼んでみたり、ヘビースモーカーであることを知った上で禁煙させる。
短期で癇癪持ちのアルバートは、この治療は自分には合わないとライオネルに告げ、足早に立ち去ってしまう。

1936 年、ジョージ5世が崩御した。次の王エドワード8 世として即位した兄のデイヴィッドは、王位を捨ててかねてから交際していた離婚暦のあるアメリカ人女性のウォリス・シンプソンとの恋を選択する、『王冠を賭けた恋』事件が起こる。

全く望んでなどいなかった王位を継承することとなったアルバートはジョージ6世を名乗ることになり、再び診療を受けるためライオネルを訪ねる。


ヨーロッパではナチスのヒトラーが台頭し、世界に戦争の足音が近づいていた。
彼は大英帝国全土に向けて国民の心をひとつにするため、ラジオの生放送でスピーチに挑むことを決意する。

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第83回アカデミー賞12部門ノミネート、作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞を受賞した作品である。
アカデミー好みの作品であり、ウィリアム王子のロイヤルウェディングなど御祝儀も手伝って、対抗馬『ソーシャル・ネットワーク』に圧勝した。

アルバート(ジョージ6世)を演じたコリン・ファースは、『イングリッシュ・ペイシェント』で妻に浮気されて心中を試みる夫、『恋に落ちたシェイクスピア』では、財産を目当てに婚約者をシェイクスピアと取り合う高慢な貴族を演じていた。
僕の中では、振られ役が似合う英国人俳優№1の座に君臨していた。
(もちろんモテる役№1は、ヒュー・グラント!!)
しかし『ラブ・アクチュアリー』あたりから恋愛が少しずつ成就するようになって、今では貫禄たっぷりに気弱な優男を演じる素晴らしい俳優となった。
アカデミー賞のスピーチで「今日が俳優としてのピークなのではないか?」
なんて冗談も言えるほど、今は何を演じても素晴らしい。

妻役のヘレナ・ボナム・カーターは、どんなエキセントリックな役でも演じることのできる女優だから、王太子夫人など簡単な役作りだったに違いない。

そして怪優ジェフリー・ラッシュ、今回も大活躍です。
ピアニストから海賊、マルキ・ド・サドまで変幻自在の演技の幅を持つこの俳優。
とんでもなく目立つ役なのになぜか主人公を引き立てる、バイプレイヤーの鏡!!
今作品でもあんなに藪睨みの眼差しから、こんなにも安心感を得られるなんて…

脚本担当のデヴィッド・サイドラーは、30年以上前にこの作品を書き上げたけど、ジョージ6世の王妃エリザベスから、
「当時のことはあまりに辛い記憶なので、自分の生きている間は発表しないでほしい」
と言われていたため、2002年に101歳で亡くなるまで映画化の計画を待っていたそうだ。

驚くような展開や、見たことのない派手な演出があるわけでもないけど、素晴らしい作品です。
ドラマ好き、英国王室モノ好き(そんなジャンルあるのか?)、完成度の高い映画が好きなら必見です!


監督:トム・フーパー
出演:コリン・ファース
    ヘレナ・ボナム・カーター
    ジェフリー・ラッシュ
    ガイ・ピアース



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