葛城の迷宮 -28ページ目

『ドラゴン・タトゥーの女』

監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ダニエル・クレイグ
    ルーニー・マーラ
    ステラン・スカルスガルド
    ロビン・ライト
    クリストファー・プラマー

ミカエル・プロムクヴィスト(ダニエル・クレイグ)は、月刊誌『ミレニアム』で財界汚職事件の中心人物ヴェンネルストレムの告発記事を書いて世間を揺るがした。
しかし彼から名誉棄損で訴えられ、決定的な証拠がなかったために敗訴が確定。
賠償金の支払いで全財産を失うことになる。
彼は交際しているミレニアムの編集長エリカ(ロビン・ライト)に、ほとぼりが冷めるまで雑誌から離れることを告げて、意気消沈の日々を過ごすこととなる。

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そんな彼のもとに、一本の電話がかかって来た。
スウェーデン有数の財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリック・ヴァンゲル(クリストファー・プラマー)から面会したいとの申し出を受ける。
ヘンリックから必要な資料には全て目を通しても構わないので、ヴァンゲル一族史の編纂してほしいという依頼を受けたミカエル。
しかしそれは表向きの内容で、真の目的は今から40年前に起きた孫娘ハリエット失踪事件の真相究明だった。
報酬のひとつに、ヴェンネルストレムを有罪に追い込む決定的な証拠となる資料があることで、彼はこの依頼を引き受けることにした。
橋ひとつで本土と結ばれた孤島から、何の痕跡も残さずに消えた少女ハリエット。
ヘンリックは、彼女が一族の誰かに殺害されたと、今まで信じて生きてきた。

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順調に調査を進めていたミカエルだが、ある一線から自分一人では手掛かりが掴めず調査に行き詰まることに気付く。
そして彼はヴァンゲル財閥の顧問弁護士に、優秀な助手を手配してもらうように頼んだ。
紹介された彼女の名前は、リスベット・サランデル(ルーニー・マーラ)。
黒のレザージャケット、鼻と眉にピアス、奇抜な髪形と顔色の悪いルックス。
そして肩口には、大きく黒いドラゴンのタトゥーが彫られていた。
卓越した情報収集能力と、常人には理解し難い行動力を持つ彼女は、ミカエルの過去や私生活の全てを調査し、顧問弁護士に詳細な報告をしていた天才ハッカーだった。

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彼女の協力のもと、飛躍的に調査が進むようになる。
それと同時に警告とも思われる事件が、ミカエルの周りで起こり始める。
そしてついにミカエルとリスベットは、成功の裏に隠されたヴァンゲル一族の血塗られた過去に辿り着く。

やがて二人は、この少女失踪事件裏にある、身も凍るような真実を突き止めることになる・・・

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原作も読んでいない。
スウェーデン版のDVDも観ていない。
スティーヴン・ザイリアンが脚本、デヴィッド・フィンチャーが監督に決定した時点で、一切の情報をシャットアウト。
それくらい期待してました、この作品。

デヴィッド・フィンチャーは前作『ソーシャル・ネットワーク』で、どんなキャラクターが主役でも素晴らしい作品に演出できるコツを掴んだようで、この作品でも存分にその手腕を振るっている。

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前作から引き続き作曲を担当するトレント・レズナーとカレンOによる、レッド・ツェッペリンの『移民の歌』のカヴァーがオープニングで流れた時点で、テンションMAX!!

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物語の重要なシーンはあえて静かに、移動シーンでは前後左右に分離する音響効果を施し、フィンチャー独特の色彩を抑えた映像が158分間、集中力を途切れさせずスリリングに進んでいく。
目を凝らし、耳を澄ませば、その情報量の多さにきっと気付くハズ。

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ダニエル・クレイグ演じるミカエルは、知性とセクシーさを兼ね備えたキャラクター。
離れて暮らす一人娘が心配だったり、雑誌編集長と不倫をしていたりと、ジェームズ・ボンドとは違う人間臭さを見せてくれる。
そういえば、彼が007の主役に決定したとき、「こんなジャガイモみたいなボンドはイヤ!」って言ったヤツがいたっけなぁ。
(答え:おすぎです)

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そしてこの作品のタイトルでもある”ドラゴン・タトゥーの女”ルーニー・マーラ演じるリスベット。
まるで体温を感じさせない爬虫類のようなルックス
瞬きひとつせずに見つめる姿は、リアルイグアナの娘
凶暴な性格で自分に危害を加える者には、想像を絶するような復讐をする。

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雪が積ったモノトーンの世界の中を、エンジン音を唸らせて真黒なバイクで疾走する姿は、
まるで漆黒の鱗に包まれたワイヴァーン(飛竜)の咆哮のよう。
近寄り難い雰囲気と、人間関係の構築が苦手な彼女に、世間が”異常者”のレッテルを貼ってしまうのもわからなくもない。

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そんな不器用な彼女も、自分のことを認めてくれたミカエルには動物のように心を開く。
彼に褒められたら無愛想なリスベットも、照れて俯いてしまう。
究極のツンデレだな、これは。

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そんな彼女の乙女な場面を見て、
「もしかして、リスベット結構可愛いかも・・・」
などと思ってしまわせる展開の上手さ・・・?

あぁ、彼女のハダカ見たからか!(←中学生レベル)

ミカエルが主役のように思われたこの物語も、リスベットが駆け抜けるための道案内に過ぎないことがわかってくる。
彼女が存分に動ける舞台を作ってやるのが、ミカエルの存在なのだ。

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物語が進むうちに、意外と早く犯人の見当が付いたり、オチが読めたりする。
そんなことは作品の完成度の高さに較べたら、何の問題もない。
隅から隅まで楽しめる素晴らしさ!
などと感心していると上映後に後ろの席から、「メッチャ長かったなぁ・・・」との声。
やっぱりぼくの周りにも、あんまり盛り上がらなかったって意見を聞いた。

みんなドンデン返しや、007のようなアクションを望んでるんだな。
うーむ、やっぱり人それぞれ捉え方が違うわ。

同じ男としてミカエルにひとこと言っておくと、
美人編集長も素敵な女性だと思うけど、
リスベットほど魅力的な女は他にいないぞ!