葛城の迷宮 -29ページ目

『J・エドガー』

監督:クリント・イーストウッド
出演:レオナルド・ディカプリオ
    アーミー・ハマー
    ナオミ・ワッツ
    ジュディ・デンチ

1960年代アメリカ。
時代は黒人公民権運動が盛り上がりを見せ、マーティン・ルーサー・キング牧師が黒人として初のノーベル平和賞の候補となっていた。
自分を批判した彼のことを苦々しく思っていたFBI長官のジョン・エドガー・フーヴァー(レオナルド・ディカプリオ)は、ノーベル賞を辞退させるための弱みを探るため、キング牧師宅の盗聴を命じる。
それと並行して、自身の栄光に満ちた半生を伝記として後世に残すため、スミス捜査官に口述でタイプをさせていた。

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1919年アメリカ。
ソビエト連邦の建国を受け、共産主義者や労働運動家の過激派によるテロが活発化しており、ついには司法長官のパーマー宅が爆破されるという事件が起こった。
司法省は、過激派を一掃するための特別捜査チームを編成、まだ24歳と若いジョン・エドガー・フーヴァーをその責任者として任命する。

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支配的な母親のもとに育ち、吃音のために内気で女性と接することが苦手なフーヴァー。
勇気を出して司法省の新人秘書ヘレン・ギャンディ(ナオミ・ワッツ)を誘うことに成功するが、数回のデートでプロポーズしてしまい、あえなく断られてしまう。
しかし、仕事に生きたいという彼女を個人的な秘書にすることには成功した。

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犯人特定のための指紋データの管理など、科学技術を犯罪捜査にいち早く導入し、先進的な方法で過激派を次々に検挙していったフーヴァーだが、共産主義勢力の衰退と共に捜査チームの必要性を疑問視されていく。
彼にとっての正義とは、国家の秩序を乱そうとする者たちを、法を犯してでもスキャンダルの証拠を掴んで処罰することだった。
そのためにフーヴァーは連邦捜査局(FBI)を新たに立ち上げて、新任捜査官のクライド・トルソン(アーミー・ハマー)を副長官に任命し、連邦捜査局を時代のヒーローとなるように画策していく。

トルソンとの友情以上の関係は、フーヴァーの人生に大きく影響を及ぼすことになる。

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1932年3月、大西洋単独無着陸飛行で有名になった英雄、チャールズ・リンドバーグ(ジョシュ・ルーカス)の長男が誘拐されるという事件が起こる。
フーヴァーはこの事件を利用して、連邦捜査局の権限の拡大をトルソンと共に計画する。


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とんでもなくハードルが高い作品だ。
いや、ハードルかと思って近づいたら、棒高跳びだったってくらい高い。

・大好きなレオナルド・ディカプリオ主演の映画だから
・クリント・イーストウッド監督なら、きっと素敵な作品だろうから


と思って映画館へ足を運ぶと、全然思ってたのと違うーッってことになる。

アメリカ近代史に登場する
チャールズ・リンドバーグ(ビリー・ワイルダー監督『翼よ!あれが巴里の灯だ』の主人公)
マーティン・ルーサー・キング牧師(アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者)
リチャード・ニクソン第37代大統領

この三人を知らないと睡魔との激しい闘いを繰り返すことになる。

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レオが年を重ねるとフレンチ・ブルドッグになるとは知らなんだ。
アーミー・ハマーは、関根さんがマネする大滝秀治に激似。
この二人が出てくると、『ドリフの大爆笑』のコントに見えなくもない。
対照的に、ナオミ・ワッツは婆さんになっても美しい。

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周りの評判もすこぶる悪い。
アメリカを牛耳った闇の権力者フーヴァーを見たかったのに(実際予告編もそんなコト言ってるし)
フタを開けたらオッサン二人が一緒に昼食しようだの、休暇を取って競馬しようだの、
みんなが期待していた物語と全然違う。
ゲイ映画に見られるような、ロマンティックの欠片もない。
そこにあるのは、権力欲に取り憑かれた男の滑稽な半生。
オマケにレオは超マザコン!
ジュディ・デンチは、なるほどレオ演じるフーヴァーの母親に見えるルックスだわ。

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クリント・イーストウッド監督の演出も、今回は少しキレが悪い。
巨匠も少し鈍ったかと思ったけど、御大自ら作曲した楽曲はすごくイイ!
しかしその曲が、またも睡魔を呼び寄せるのも事実。
(映画館内でかなりの数の闘いが繰り広げられていた)

この雰囲気、デヴィッド・フィンチャー監督の『ゾディアック』に似てるんだな。
映像や演出は向こうの方が出来が良かったけど、観客が待ち望んでいた物語とズレがあったところが一緒。

じーさん二人の
”超プラトニックな禁断の恋”
が観たい!って言う人にオススメ☆
って、そんな需要あるのか!?
伝記映画が大好きなので個人的には面白かったけど、上記の三人を知らなかったら、やめときって言うだろうな。

そりゃあ、売れないわな~