これまでデザインについて書いてきましたが、さていったいどのデザインのことなんだろうと思った人もいるのではないでしょうか。デザインの領域を分類してみると、一般に「平面」、「立体」、「空間」といった分け方が 最初に考えられます。平面は2次元であり、立体(平面+奥行き)は3次元、空間は4次元(3次元+時間)とった分け方です。次元は英語でDimention(ディメンション)なので3Dなどといった言い方の方がわかりやすいかもしれませんね。

 

 「ヒト」を中心にデザインの領域を考えると、大きく「生活(Living:リビング)」と「情報(Communication:コミュニケーション)」に分けることができます。そして、「生活」と「情報」を取り巻くものに「視覚(Visual:ビジュアル)」、「生産(Product:プロダクト)」、「空間(Space:スペース)」、「時間(Time:タイム)」、「流行(Fashon:ファッション)」の5分野があります。

 

 

 

 上図でわかるように「デザイン」の中心に存在するものは「ヒト」です。「ヒト(Humen;ヒューマン)」は一般に「消費者(Consumer:コンシュマー)」という言葉で語られることもありますが、ここでは「社会」という大きな枠の中で捉えた「ヒト」という概念です。

 

 デザイナーが何か新しい製品やプロジェクトを設計・計画する際には、必ずその中心に「ヒト」または「人々(People:ピープル)人の集まり」が存在し、そのヒトと人々には「何が必要か ? 」そして、「何を設計するべきか  ?  」を考えます。これが、現代の「デザイン」という言葉の定義において最も重要であると言えます。

 

 常にヒトを中心に考え目的を見出し、その目的を達成するための計画を作成し実現化する。この一連のプロセスこそがデザインという行為であると言えます。

 

 ヒト(人)がモノに関わりを持つ時の最初の手がかりがデザインです。ここでいうデザインとはモノの外観(Style:スタイル)※であり形態(Form:フォルム) ※ のことを指します。わたし達はモノのカタチを見て、それが何の目的で使われるものか判断します。言い換えるとデザインを手がかりにして、さまざまな情報を読み取っていると言えるのです。

 デザインは言語や道具と同じように人間が社会と関わっていくための根源的なメディアです。さらに、デザインはいつの時代も人間の感性や思考に関わり、精神空間のあり方を変えてきました。

 近年の技術(Technology:テクノロジー)の進化は生活様式に変化をもたらし、それに伴って社会が変化していくと、デザインは人間の感情や考え方にも影響を与えるようになリました。人々の生活に大きな変化をもたらした産業革命以降、デザインは近代化のプロジェクトでもあったと言えます。

 

※言葉の説明

STYLE(スタイル)→文芸•建築などにおける時代•流派などの ) 様式、風 ( ふう )、流、( 行動などの独特な ) やり方、 スタイル、…風に、文体、容姿、衣服の形、話しぶり、思想の表現法など

FORM(フォルム)→形,形状 ; 姿,姿態,外観など

 ずっと大昔から、私たちは毎日の生活をより快適にするために身の回りのあらゆるものに手を加え、道具を作ってきました。こうした行動の始まりは、先史(原始)時代にまで遡ることができるでしょう。 およそ 200万年前、すでに人類は石から鏃(矢じり)や刃物(ナイフ)を作り、マンモスやトナカイ、野牛などの動物を狩猟する道具にしてきました。

 

 薄く鋭利に薄く剥がれる黒曜石から作られた石のナイフは、動物の皮を剥いだり肉を切るために、つまり調理の道具として使われたのです。 デザインという言葉は、20 世紀になってから使われるようになったと前述しましたが、旧石器時代に作られたこれらの「モノ」を作る行為もデザインではないでしょうか。

 

 道具の始まりは人間の手や足、眼や耳などの感覚器官の機能の拡張であると言われています。水やスープなどの液体を口に運ぶためのスプーンは、水を救う手の形からインスピレーションされただろうし、焼きたての熱い肉を口に運ぶフォークは素手で持てないことから突き刺して食べるために発明されたと考えられます。

 

 デザインは、モノの役割を「見つける」ことに始まり、その結果便利さや快適さを求めるようになります。靴は安全な歩行を求め、草や石、あるいは昆虫や蛇などから足を守るために、朝、葉っぱについた夜露の丸い水滴がものを大きく見せることに気づき、虫眼鏡や老人の視力を補うためのメガネ(凸レンズ)を思いついたに違いありません。

 

 人は生活に役立つ便利なものを欲します。そしてもっと良いものを望むようになります。欲求は、どんどんエスカレートし、やがて良いものを作りたいという思いが行動を起こさせたに違いありません。そこに、デザインという概念があったのたのだと考えられます。