ずっと大昔から、私たちは毎日の生活をより快適にするために身の回りのあらゆるものに手を加え、道具を作ってきました。こうした行動の始まりは、先史(原始)時代にまで遡ることができるでしょう。 およそ 200万年前、すでに人類は石から鏃(矢じり)や刃物(ナイフ)を作り、マンモスやトナカイ、野牛などの動物を狩猟する道具にしてきました。

 

 薄く鋭利に薄く剥がれる黒曜石から作られた石のナイフは、動物の皮を剥いだり肉を切るために、つまり調理の道具として使われたのです。 デザインという言葉は、20 世紀になってから使われるようになったと前述しましたが、旧石器時代に作られたこれらの「モノ」を作る行為もデザインではないでしょうか。

 

 道具の始まりは人間の手や足、眼や耳などの感覚器官の機能の拡張であると言われています。水やスープなどの液体を口に運ぶためのスプーンは、水を救う手の形からインスピレーションされただろうし、焼きたての熱い肉を口に運ぶフォークは素手で持てないことから突き刺して食べるために発明されたと考えられます。

 

 デザインは、モノの役割を「見つける」ことに始まり、その結果便利さや快適さを求めるようになります。靴は安全な歩行を求め、草や石、あるいは昆虫や蛇などから足を守るために、朝、葉っぱについた夜露の丸い水滴がものを大きく見せることに気づき、虫眼鏡や老人の視力を補うためのメガネ(凸レンズ)を思いついたに違いありません。

 

 人は生活に役立つ便利なものを欲します。そしてもっと良いものを望むようになります。欲求は、どんどんエスカレートし、やがて良いものを作りたいという思いが行動を起こさせたに違いありません。そこに、デザインという概念があったのたのだと考えられます。