wordsvideo キャン待ち当選(「当選」で、いいんですよね? 当選というには目出度さがちと足りないようだが…ウソウソとっても嬉しいです。南無光宗大明神御勘気あらせられるな)で話がそれましたが、まだ「アイサレルトイウコト」。
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OVAと映画になったものの、CD売り出しがなかったため長い間「マボロシの名曲」であった「アイサレルトイウコト」。でも人気がなかったわけではない。リクエストアワーでは60位台ながら2008年、2009年と連続ランクインしている。
古き良きAXの習わしで、当時すでに脱退した後だった今井の姿を見ることも出来る。しかも全員「ICE」のコスプレ。
特にAX2009は、伝説の名コンビ、今井佐藤(N)による「
劇団NY」のおまけ付き。
けっこうちゃんと「お芝居」してたのね。
でも残念ながら2010年以降のリクエストアワーにこの曲が登場することはなくなり、このまま人々の記憶から消え去るかと思われた。
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時は流れて2010年11月、「ICE」から約3年半。
翌年年明け早々のリクエストアワー、AX2011を控え、AKBの主要メンバーがDJを勤めて自分の好きなAKB48の楽曲ベスト3を選ぶというラジオ番組がbayfmではじまった。「
SONGS~HEART OF AKB48」というタイトルのその番組は、シングル曲だけじゃなくステージソングなど隠れた名曲をリスナーに聞いて貰おうという意図だったのだろう。
時代背景を確認しよう。
前年2009年8月に「組閣」が行われ、かつてのチームは分解され、翌2010年3月には新Team Kの「RESET」公演が初日を迎えていた。
6月には「総選挙」が行われ、大島(優)が前田を押さえて第1位となり、8月に発売された「ヘビーローテーション」で初のセンターポジションに立った。「ヘビーローテーション」は、ミリオンセラーこそ逃したものの、初動52万枚を売り上げ、前作「ポニーテールとシュシュ」と初動連続50万枚という初記録を達成した。
10月には20枚目(メジャー18枚目)のシングル「Beginner」が発売され、AKB48初のミリオンセラーとなった。
AKBはもう完全に「国民的アイドル」への
ティッピングポイントを越えていた。
「SONGS~HEART OF AKB48」全13回、いわゆる1クールの初回DJを勤めたのは、高橋みなみ。
彼女の選んだベスト3は、第3位「片思いの卒業式」、第2位「涙売りの少女」、第1位「月のかたち」だった。どれも良曲だけど、世に名前の知られることの少ない曲たち。
1位2位はA3の、いわゆる(つーか僕が言ってるわけだが)「A dark side of AKB」。一般リスナーとは縁遠い「ダークな」AKBの魅力を世間に伝えるとともに、作曲者である大御所後藤"ゴッキー"次利&ミスターAKB井上"よすす"ヨシマサへの配慮もうかがわれる、さすがのたかみなチョイス。他にも秋元(オ)なんかしぶいよ。第2位に「ロマンスロケット」だもん。
最終回のDJは前田敦子。あっさんの選曲は、3位「RIVER」2位「大声ダイヤモンド」で1位「言い訳Maybe」。おいおい。「隠れた名曲」を紹介するって意図はどうしたの? 3曲全部シングルのタイトル曲を選んだメンバーはあっさんだけ。「ええ~、だって好きな曲ベスト3でしょ~、あたしこれ好きだもん」。らしかったっちゃらしかったですよね。
さて、第8回放送、11月21日にはDJとして大島(優)が登場した。
彼女の選んだ第3位は「誰かのために」、第2位は「10年桜」だった。
そして第1位。
第1位は、「アイサレルトイウコト」です。
これ多分すっごくみんな、びっくりしたことだと思います。
SONGS~HEART OF AKB48 2010年11月21日
なぜ、この曲が1位なのか。
彼女は2つの理由を挙げた。
人は一人じゃ生きていけないことなんだよ、という風に歌っているのが、何か、すごく響いてですね。
ibid
「人は一人じゃ生きていけないこと」。
そしてもう一つの理由は、
そしてこれまたえれぴょんがいいんですよね。えれぴょんの声が切なげで。うん。響くんですよ。もう一回歌いたいですね、コンサートとかで。何回か歌わせていただいてたんですけども。
またいつの日にかね、えれぴょんが帰って来た時にでも歌えたらな、なんて思います。
ibid
大島(優)とともに「ICE from AKB48」のメンバーであり、Team Kのエースでもあったえれぴょんこと小野恵令奈は、前年の「組閣」で各チームのメンバーがシャッフルされる中、大島(優)、ツインタワー、梅田らとともにTeam Kに留まった。
しかしそれから約1年後の2010年7月、彼女は海外留学を理由に突然AKBからの「卒業」を表明し、9月27日の公演を最後に去って行った。
「SONGS~HEART OF AKB48」大島(優)回はそれから約2ヶ月後。
アイサレルトイウコト/人は1人じゃ/生きていけない
アイサレルトイウコト/誰かそばにいてよ
Team Kの末娘にして誰からも愛された小野。
大島(優)は、突然1人で去って行った小野への惜別の念と再会の想いをこめて、この曲を1位に選んだのかもしれない。
「いつか帰っておいでよ、えれぴょん」って。
それから1年数ヶ月、大島(優)が中心メンバーとなったユニット、Not yetが発表したシングル「西瓜BABY」のカップリング曲として、「アイサレルトイウコト」はカバーされることになった。大島(優)が小野ともう一度一緒に歌いたいと言っていたこの歌、「切なげで、響く」と評した歌い出しの小野のパートは大島(優)自身が歌った。
掌(てのひら)は/未来にも似ている
いつの日か/つかむもの 知っているから
あの日の大島(優)の手のひらは、今日つかんだものを、本当に知っていたのだろうか。
そして小野。
結局彼女は「留学」はしなかったし、AKBに帰ってくることもなかった。
ずっと迷っていたのかも知れない。でも確かに別の道を歩み始めた。
止まった時計が動き出した
もしひとつ願いが叶うのならば
(中略)
どんな試練あろうとも 敵は味方なんだろ?
君も一緒に目指そうよ これが僕の歩む道だから
「えれぴょん」という緩いタイトルのクセにドライブ感あふれるアイドルっぽくない歌詞と楽曲。
加工されエフェクトはかけられているが、その向こうには少し鼻にかかった懐かしい声。
詞を書いたのは彼女自身だ。少々とっちらかってはいるが、新しい何かに挑もうとする小野の決意が素直に表れていて心地いい。
それは「野心」と呼んでも差し支えないだろう。何しろ曲名は自分自身のニックネームなのだ。
あのカワイイカワイイえれぴょんが「野心」。
年月を経て、確かに小野の手のひらも何かをつかもうとしている。
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愛されるということ。
結局それはいったいどういうことだったんだろう。歌は答えなんか出してはくれない。
ただ思うのは、空前の人気を得た今、彼女たちが愛されるゆえの孤独にさらされているんじゃないか、という杞憂。
なに、酔っぱらって泣き崩れるあっさんの姿を見てちょっと思っただけ。
「ICE」から「AKB0048」までの3年半。
それはまるで30年のような年月だった。
大事なのは「愛されるということ」ではなくて、まず「愛するということ」。
愛を探しても/すぐに見つからないよ
自分の方から/誰か愛してみるんだ
聖なるリリックがそう言ってるよ。