雨降る土地にうたが生きる -2ページ目

エゼキエル書第1章


ぼくらは空の果てまで飛べるかな
神様が約束してくれる場所まで

ぼくらは見たこともない乗り物に乗り
神様がくれる力で夜空まで飛ぶ

不確かな希望などいらない
悲しみや苦悩などいらないいらない

見たこともない神の業はぼくらを運ぶ
どこまでも深い霧の向こう側まで

火花を散らし遠い星の渦まで
野性を纏い暗い銀河の果てまで

贖い


何をもっても償えない
何をもっても赦されない
俺の独り言が
独房で響くと

看守がやってきて
警棒で檻を撫でる
お前の場所はここだけだと
言って看守は歪んだ笑顔を見せる

どんな神でもよかった
場合によってはどんな悪魔でもよかった
いや悪魔には魂を売らない
売らないとあの日決めた

俺がしてしまったこと
俺がしてしまったことが
俺を苦しめる

いっそ死んでしまったほうが
良かったかもしれなかった
精神はどん底に落ち込んで
時には壁を血が出るまで殴った

お願いだ
あの時間に
あの時間の前まで
戻しておくれ

あいつの言葉も
あいつの心も
受け止めて見せるから

九十四年


九十四年の人生を閉じたあなたは
コーラのことを黒い水と言って嫌った
耳は恐ろしいほど遠く
隣山まで叫んでいるようなボリュームでしか届かなかった

ちょうちょが飛んできてあなたの頭にとまる
何事もないようにあなたは庭の景色を見ている

いつになっても名前を覚えてもらえなかった
大きな声で怒鳴るように叫んでも
まるで上の空だった

あなたが息を引き取るとき
九十四年の人生が逆回転でよみがえる
妻の他界
ひ孫の誕生
孫の誕生
娘たちの結婚
仕事の頓挫
妻との不仲
娘たちの誕生
貧しい新婚生活
戦争
戦争
戦争

 あなたの誕生した日に
 多くの笑顔と祝福が
 あなたを包み
 あなたはそっと涙を流した


墓参りに行けなくてごめんね
今は遠い場所で生きているよ

九十四年の歴史と共に
歩んだあなたは
まだ記憶の中で生きているよ
頭にちょうちょを乗せて
庭をじっと眺めて

午前1時


こんなに人恋しい夜なのに
空からは冷たい雨
あなたの電話はつながらない
ひとり商店街を歩く
ほとんどのシャッターは閉まっている
いつか聴かせてくれた歌のフレーズが
頭の中をぐるぐると廻る
忘れないでいて、という歌詞だった
たまらずコンビニに入って
飲みたくもない酒を買った
こんなに人恋しい夜なのに
空からは冷たい雨
涙ならば温かいのに

おやすみ



君の声を聞くたび苦しくなる
君のたたずまいを見ると泣きたくなる
そんなに背負わなくてもいいんだよ
少し休んで持てない荷物は僕が持つから

雨に打たれて穴だらけの靴で
お腹を空かせて砂利道を歩く

お願いだそのかみしめた唇の
力をゆるめてそして僕を見てほしい

君の声を聞くたび苦しくなる
君のたたずまいを見ると泣きたくなる
そんなに気負わなくてもいいんだよ
温かい場所でゆっくりと何も考えずおやすみ

「ノクターン」by sora siori  改作 DEO


 くりかえす光と影 静けさと激しさの中で 
 私の魂を大きく揺さぶるのは せめぎ合う嵐

 こころはさいなまれ グラスを持つ手もひび割れるようだ
 砕けた今日をどうにか取り繕うとして
 無理に浮かべた笑みは鏡の中で歪んで見える

 果てもなくくり返されるような日々のこの孤独が
 あなたを想いながら過ごす日々のこの真っ白な安らぎが
 また時折こころの波を荒げて 沈黙の底へと引きずりこむ
 

 求める声も差し出す手も届かぬこの隔たりに
 影を抱いた孤独は夜のとばりの中へとうずもれてしまい
 達せられぬこの想いの重さを感じずにはいられない

 ああ この胸の熱い想いをあなたの元へ
 無邪気な小鳥のように飛ばせ運ぶ術はないものか

 
  あのほほえみに灯っていたあのぬくもり
  みつめる瞳のあの透き通るほどのすずやかさ


 こころがかなでる声は風となり 
 わたしの身体を冷たく包み込むばかり
すべてが わたしの心を毟るようにかきたてる

 わたしのすべてがあなたのものと同じになればいいのに
 瞬く星はまるで命のきらめきのように空を飾り
 空でほのぼのと照らす月はまるで運命の使者のようだ
 冷たい風にそよぐ木々は私の胸のざわめきと重なって

 あなたの元へと運ばれるならば
 私のすべてを差しだしてもかまわない
 そう思う そう思う 

 恋情の焦がれることこそが唯一の安らぎとなるのなら
 愛のある孤独を友として過ごす日々は永遠に等しいのか

 くりかえす光と影 静けさと激しさの中で

父の歌

愛の歌を歌い
舟をこいできた
それは長い旅路
ひどい嵐にも遭った
いくつかの島から締め出され
また舟をこいだ
あいつと出会ったのは
まるで神の思し召しだ
その島で愛し合った二人には
幾人もの子供ができた
望んで作った子供だ
ひとりよがりではない
愛の歌を今こそ
大声で奏でよう
娘も息子も孫も
それを求めている
愛の歌を歌い
舟をこいできた
俺に残されているのは
その誇り
誰にも馬鹿にされることのない
その誇り
その誇り

$雨降る土地にうたが生きる

「Redemption Song」by bob marley

昔 略奪者どもはこの俺を力づくで捕らえ
奴隷商人の船に売っ払った
そのすぐ後で 
奴らは絶望のどん底に突き落とされた俺を買い取った
だが 俺の手は頑丈にできている
全能の神が授けてくれた手だ
大いなる誇りを持って
この時代を進んでいく
俺が今まで歌ってきたのは
全て解放の歌だ
この自由の歌を
一緒に歌ってくれないか
なぜなら俺が今まで歌ってきたのはすべて救いの歌だ
救いの歌だけなんだ

精神的奴隷の状態から
自分自身を解放せよ
俺たちの精神(こころ)を解き放てられるのは
他の誰でもなく 俺たち自身なのだ

原子力など恐れるな
やつらに時まで止めることはできやしない
あまりにも長いこと 奴らは
俺たちの予言者を殺し続けてきた
俺たちは傍観していただけだった
あるものはそれは聖書に
書かれているという
そして 俺たちは
予言の書を
完成せねばならない
この自由の歌を
一緒に歌ってくれないか
なぜなら 俺が今まで歌ってきたのは
全て救いの歌だけだ
そう 俺の歌ってきた歌は
すべて救いの歌なんだ


p・s・ボブマーリーに愛をこめて

理屈


貧乏が金持ちを妬んだ
なんということもない
自分が持っていないと言うだけだ

男性が美女を追いかけた
なんていうこともない
自然の摂理というものだ

何時しか人間は動物だということを忘れ
何時しか人間は特別な存在だと思い始めた

生活を向上させるために
人間を含む他の生物を切り捨て
愛を語るときも
美辞麗句を並べ立てた

ああ
わたしたちの行く道はどんな方向に我々を誘うだろう
先頭で笛を吹くあの人はなぜ得意顔なのだろう

いろんな疑問が宙に浮く
誰もが安心と安全を求めているに違いない
足元の日常を眺めれば
そんな理屈など言ってられない

金冠日蝕


月が太陽を蝕す
そして太陽は輪っかを残す
むしゃむしゃと月は太陽を蝕し
蝕まれた太陽は文句の一つもない
ただ小さな輝きを示すのみだ
その短いランデブーはすぐに終わる
そして感動した人も
充実した人も
観測用のメガネを捨てて
いつもの生活に帰っていく