俳句をはじめた頃の話です。当時の私は、海外出張が頻繁に入るため、句会に出られないだろうと思い、結社に所属することを躊躇っていました。しかし、やるからには基礎を押さえた方がいいと思い、朝日カルチャーセンターの通信学習を受けました。毎月二句を出して添削を受けるのですが、テキストは有名な藤田湘子の『20週俳句入門』でした。
このテキストでは、各章ごとに「今週の暗誦句」として有名俳人の名句が4句掲載されています。これらを暗誦することは非常に効果的だったと思います。暗誦しているうちに自然と俳句の十七音の型が体に沁み込んでいったからです。それともう一つは、俳句の基本型をしっかり叩き込まれたことです。最初の半年は自由に作らせてもらえず、「や」切りの句ばかりでした。早く自由に作りたいと思いつつも、今思えば、基本型を徹底的に作らされたことはよかったと思います。
その基本型の一丁目一番地が、<「上五は「季語」+「や」、中七・下五は季語とは別のことを表現し、名詞で止めるという型>でした。最初の3か月くらいはこの型の句を徹底的に作らされました。あの頃は、この型の句はおもしろくないなあと思っていましたが、今は違います。「季語」を「や」で切るため、季語が主役として強調され、明白な句に仕上がります。また、下五を名詞で止めるため、安定感が生れます。さらに「や」の切字が句全体に切れを生み、俳句らしいリズムに仕上がります。
私は、「破調」や「句またがり」の句が好きですが、この基本型も大切な型としていつも頭に置いています。『20週俳句入門』は多くの俳人がお世話になっているテキストかもしれません。俳句の入門書として非常に優れた書だと思います。今では、「角川ソフィア文庫(900円税別)」で購入できます。 (栄司記)






