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劇部屋24シアターズ

劇部屋24のオリジナル作品「月羽妖夢伝」制作近況や
劇部屋24での上演記録を残していきます!!

雪音版~四十九条賭場物語 エピソード2
アキラ>ここは四十九条街。東西7区画、南北7区画に基盤目状に整備された都。
ツボミ>この街では、沢山の人が生活を営んでいた。
アキラ>ボク、アキラは昼間は,とある力仕事の商売についていて、
夜や休日は催し物屋として賭場をひらいている、
ツボミ>アタシはとある組の要請で賭場をひらくことを生業としている。
その手の口から依頼があれば、場所を確保しては会を催している。
 
ツボミ>はじまりは、とある晴れた非番の日。
アタシが街に遊びに行った時のこと。
アキラ>このとき ボクは いわゆる仕事の日。
ボクはサイコロ相手ではなく、眼前にある「荷物」と戦っている日だった。
アキラ>よいっしょ・・・よいっしょ・・・ふう。これで6つ。

アキラ>あ!お客さん! いらっしゃいませ。あ、商品準備でございますか?
ええ。ええ、ええ。もう、もう、出来ておりますよ。
これでございますね。毎度ありがとうございます。
アキラ>え?これ一式を。ご自宅まで? 了解しました。早速お届けしますので。
はい、はい・・・それでは ありがとうございました。
ツボミ>やあっ! アキラ!!
アキラ>え? だれ? ボク・・誰かに呼ばれた?
ツボミ>こっち こっち! 呼んだのは アタシだよ!!
おーい! アキラーー!
 
アキラ>!? こ、こんにちは・・・?
ツボミ>よおっ 近くを通りがかったものだから、
お邪魔してみたんだよ。元気だったか?
アキラ>あ、あの・・どちらさま・・でしょうか?
ツボミ>・・・!?
本気で言っているのか? 私だ!ツボミだ!!
アキラ>ツボミさん!? ほ、本当!?
・・・感じがちがうから びっくりした・・・
ツボミ>失礼だぞ!コラ!
アキラ>ゴメン・・・
 
アキラ>ところで、ここがよく分かりましたね
ツボミ>ああ。 いろいろ 歩き回ったからな・・・
アキラ>で、 何の用なんです?こんなとこに
ツボミ>用か。・・いや・・さ・・・
アキラ>ん?
ツボミ>・・・用ってのがなかったらきちゃいけないのかい?
アキラ>あ、いや・・・そんなことないですけど。
あ、そだ・・んじゃ、今晩、ウチ来ます?
ちょうど、職場の人に野菜たくさんもらっちゃって・・・
一緒に食べません?今宵は、鍋で。
ツボミ>ああ・・いいねぇ ごちそうになろうかな・・
でも、ちょっと待って。
アキラ>えっ?
ツボミ>お誘いいただく身でわるいのだけど、
鍋の中身は野菜だけ?
アキラ>ま、そうだけど・・・
ツボミ>そんな・・・それはダメだよ さみしいよ。
どれ、アタイが買いに行ってきてやろう。
アキラ>え・・でも・・・悪いよお
ツボミ>大丈夫だ。任せろ。
どうせ、アタシはキミが仕事が終わるのを待たないと
いけないんだ。
アキラ>しかし・・・
ツボミ>大丈夫だ。任せておけ。
夜には とてもおいしい鍋の 準備をしておくからさ。
アキラ>そうか? じゃあ、お言葉に甘えて・・・
ツボミ>うん、うん。・・・じゃあ、またあとで。
アキラ>うん。またあとで。

ツボミ>どんな食材がいいかな?アキラってば、筋肉質なのよね。
日頃から労務系の仕事してるから、栄養のあるもの準備しなきゃ
それにしても、あの腹掛け良く似合ってるな
あぁゆうのが アキラの趣味なのかな?
アキラ>へ、へっくしょん!
ちょっと、風が吹いてきたな・・・
仕事、早く 終わらさないとな・・・
ツボミさんも、まってることだし、もうひと頑張りするかなっ・・・

ツボミN>・・というわけで、わたしは、この町の市場にやってきた
意気込んで、鍋の具を求めて奔走(ほんそう)した。したのだが・・・

アキラ>ええええーっつ。
市場で売り切れが続出してて、結局やさいだけになっちゃった?
ツボミ>ああ。ウマい肉をさがしていたら、いつの間にか売れちゃっていてだな
気づいたら、閉店とか 売り切れになっちゃってたんだ・・・
アキラ>あれまあ・・・
でも、あきらめちゃったら終わりだから、一緒に行ってみよう。
ツボミ>すまない・・・

アキラN>ということで、市場に来てみたわけだが・・・
アキラ>本当だ。売れきれちゃってる・・・・
ツボミ>だろ・・・・

ツボミ>あれ? おい、 アキラ・・・
アキラ>え?なに?
ツボミ>だれか・・・ゴロツキにかこまれちゃってる・・・・
アキラ>ほんとだ・・・

ゴロツキ>てめぇ!これじゃ全然たりねえんだよ!
さっさとカネだせやカネ!
なに!?無いだと!? 使えねえ・・・・
これでも 売りさばいてやるかな~
え?ダメだぁ?
ほおおおお! おめぇ ええ度胸してるじゃないか!
ゴロツキ>・・・・!? 痛でぇ痛でぇ痛でぇ・・・・!
てめぇ! なにしやがんだ!!
ツボミ>・・・・やめなよ。 いやがってるじゃないか・・・
アキラ>(はるか遠くへ向けて)
たいへんだ~~ ケンカだケンカだ!
誰か来てくれ~ おーい!!
ゴロツキ>ちっ!面倒な手をつかいやがって。
おい!今日のところは ひきあげるぞ!!
<<間>>
アキラ>大丈夫。居なくなりましたよ。
ツボミ>・・大丈夫ですか?
レナ>・・・ハイ・・ありがとうございます・・
アキラ>ところで・・ アナタ 見ない顔ですけど・・・
レナ> はい。世にある珍品を売り歩く 名もなき行商人ですから・・・
ツボミ>名もなき 行商人さんが なんでゴロツキたちに
からまれていたんですか?
レナ>露店を開いていたからなんです。
なんでも、このへんでの出品には 組合への加盟がいるとかなんとかで・・・
アキラ>ひ、ひどい・・・
レナ>来ても日が浅い、貧乏行商人の悲運とやらいうやつですよ・・・
アキラ>・・・売れない行商人・・・?
そうだ! あの すみません・・・
レナ>どうしました?
アキラ>鍋の具になる「お肉」って持っていらっしゃいませんか?
レナ>肉、ですか・・・
アキラ>ハイ!
レナ>ないことも・・・ありませんが・・・
とても めずらしい 食材なので、お口にあいますか どうか・・・
アキラ>いいですよお。いいですよお。
ちょうど 買いそびれていた ところでして・・・
ツボミ>わくわく☆
アキラ>ほら、連れも期待していますし・・・
レナ>・・・そうですか・・・わかりました。
これです。いかがですか。
ツボミ>これは!? 鶏肉?
やったぁ~~
アキラ>これで いいです 売ってください!!
レナ>わかりました。いいでしょう。
ツボミ>やった♩やった♩やった~
アキラ>ありがとうございます。感謝です。
レナ>そうですか?良かったです。
そうだ、忘れないうちに・・・
ツボミ>えっ?
アキラ>なんでしょう?
レナ>これです。 この首飾りも差し上げます。
ツボミ>これ、勾玉(まがたま)?
レナ>似たようなものです。でも、お二人には大切なものです。
あなたには・・・これ
アキラ>ボクには・・・赤いやつ?
まるで燃えるような・・・輝きがある・・・
レナ>火の神の使い・・・
アカオオカミの魂が込められているといわれています。どうぞお納めを。
レナ>あなたには・・・これです・・・
ツボミ>わたしには青い・・・やつ?・・・
夜空にまれに浮かび上がる・・・青い月のよう・・・
レナ>月狐(ゲッコウ)・・・
月の魔力を浴びて生きるといわれる狐の魂が込められています。どうぞ。
ツボミ>素敵♩気に入った。
レナ>今日差し上げる食材は「ヤタガラス」とよばれる稀有なものです。
助けてくださったお礼です。天の加護があなた方にあらんことを。
アキラ>ほんとうに、ありがとうございました。
レナ>どういたしまして。では、わたしはこれで・・・・

アキラ>あ、そうだ。お代金は・・・
あれ?
ツボミ>ん?どうしたの?
アキラ>いない・・・どこに行っちゃったんだ・・・
消えたみたいだ・・・もしかして・・妖夢?
ツボミ>はやくいこうよ~~
アキラ>おう・・・おう!


ツボミ>アキラの家って・・・ここ?
アキラ>ええ、そうですよ
河原の前なんですよ・・・だから家賃は安くって・・・
ツボミ>大丈夫なの?川が氾濫しちゃったら オシマイだよ?
アキラ>はい。だから引っ越しとかは もう慣れちゃいましたよ。
ツボミ>なるほど・・・・
アキラ>さ、そんなことより、どうぞどうぞ~
ツボミ>あのさ、台所借りちゃっていいか?
これ、下ごしらえしなきゃなんだ。
まったくあの商人、血のついたところもくれちゃって・・
アキラ>新鮮な証拠ですね・・・今時、そんなん 売ってる店・・そうないですから・・・
ツボミ>アタイも今日初めて見たけどね・・・・あんな行商人・・・
・・・と、鍋準備しておいてよ。ざくっと入れちゃいたいんだから
アキラ>うん。わかった。・・・あっ・・・
ツボミ>ん? どうした?
アキラ>鳥の血が、手についちゃった・・・・
ツボミ>ありゃ。それは・・いけない・・・
アキラ>大丈夫。拭いてしまえば大丈夫だから
これが仕込みサイコロについたんだったら、どうなるかわからないけどね。
ツボミ>ははは。確かにそうだね
アキラ>いいよ、別に。気にしてない。
それより、早くご飯にしよう。時間頭とお腹がくっつきそうだ。
ツボミ>ゴメン。 もうちょっとだけ待って。 もうちょっとで できるから。 
そうだ・・・ねえアキラ。
アキラ>ん?
ツボミ>聞いたこと あるかな?うわさ話なんだけど・・・
紅の賽(クレナイのさい)って知っている?

アキラ>:紅の賽(クレナイのさい)?いや、知らない。なんだ?それ
ツボミ>:どんな状況で だれが振っても決まった数の出る賽なんだってさ
アキラ>:へえ・・でも、それ、全部の面が同じ印刷とか、重心がズらされている、
単なる イカサマ賽のことじゃないのか?
ツボミ>:いいや、どうも違うみたいよ。誰がどうみても、普通の賽みたい。
アキラ>:へえ・・・それは 気味が悪いな。
ツボミ>でね・・・そのサイコロは特別な理由で1の目が赤いらしいの。
アキラ>特別な理由? ちょっとまて、
サイコロって1の目は全部「赤」なのが常識じゃないのか?
ツボミ>ちがうんだよな これが。ちゃんと理由があるんだ。
アキラ>へええええ どんな
ツボミ>知りたい?
アキラ>うん 知りたい
ツボミ>どうしても?
アキラ>うん どうしても。
ツボミ>わかった。それじゃあさ・・・
アキラ>ん?
ツボミ>化粧してくれないか?
アキラ>え?
ツボミ>化粧だよ。ほら、賭場のときやってる あれ。
アタイもするからさ~
アキラ>別にかまわないけど・・どうして?
ツボミ>あなたのそれが とっても凛々しくて、好きだからさ~
アキラ>ん~べつにいいけど。こちらは減るもんじゃないし・・
それにしても、ボクのこれに需要があるなんて初耳だぞ?

アキラ>・・・・はい。おわった。おまちどおさま
って ・・・えええええ?
ツボミ>じゃん♩ ついでにわたしもやりました
アキラ>おお! にあう!!
って・・・ ツボミさんまで やることないのに・・・
ツボミ>いいの。アタシも、これがすきなんだから
アキラ>そうか?ツボミさんがすきなら、それでいいんだけど・・・
・・・ところで。あのさ。
ツボミ>わかってる。1が赤の理由だろ?
アキラ>うん
ツボミ>あれは、じつは 獣の目なんだってさ・・・
アキラ>なんだって・・・・
ツボミ>遠い昔に異人の地で生まれたサイコロは、
はじめ、鳥の骨がその材料だった。
賭け事が盛んな国だったこともあって、
サイコロの材料として、たくさんの鳥の命が奪われていった。
そして、とある雷の夜。サイコロに雷が落ちた・・・
アキラ>そ、その瞬間に、獣の怨念がサイコロに乗り移った・・・?
ツボミ>らしいな。その証拠に、その時の直後に行われた賭場で
ピンゾロを出した人が、獣に化けた事件が起きた。

アキラ>:なんだって・・
アキラ>:人が獣に化けてでるって・・・まさかぁ?
ツボミ>:でも、実際にあったんだよ。ピンゾロ出した人の目が突然・・
アキラ>:突然?
ツボミ>:赤くなった。そして、狼に姿を変えた・・・

アキラ>:なん・・・だと・・・。
ツボミ>:そう、人が身も心も獣と化して、血をもとめ、すすりつくす・・・
アキラ>:なんだって・・・
ツボミ>:原因不明、因果まで不明ときてる。だから、巷ではこの噂だけはご法度とされてきたんだ。
アキラ>:そうだったのか・・知らなかった・・・
ツボミ>:でさ、でさ、最近でたっていうのがさ・・・
アキラ>ううう・・・ううう
ツボミ>どうしたんだ?アキラ?
アキラ>いや、ごめん。ちょっと目がシバシバしてきちゃったもんだから・・・

あと・・・気持ち悪い・・・・
ツボミ>大丈夫か?
アキラ>ゴメン・・・。ちょっと横にならせてもらう。
ツボミ>うん。そうするといい。

アキラ>:ZZZZ・・・
ツボミ>寝息をたてたか・・・
アキラのやつ 大丈夫かな?

吐いたりしてないから、それほどじゃないんだろうけど・・・

仕方ない。医者はこの辺にいないし。

夜遅いからな・・・・

アキラ>:ZZZZ・・・

ツボミ>あした、すぐに礼を言わなきゃな。
ふぁあ・・・眠くなってきた。アタシも寝よう・・・
・・・・すーすーすー


アキラ>:はあ・・・はあ・・はああ・・・
ツボミ>:!?
アキラ>:はあ・・・はあ・・・はあああ・・
ツボミ>:どうしたんだ・・・アキラ?
アキラ>:焦がれる・・・体が・・熱い・・・
ツボミ>:おい!おい!しっかりしろ!!
アキラ>:ううううう・・・・っ!!
ツボミ>:おい!アキラ>!おいっ!!
アキラ>:ほしい・・・ほしいんだ・・・
ツボミ>:!?
アキラ>:血が、ほしい・・・血が・・・(やあっ!!)
ツボミ>:わあっ・・・!なにするんだ・・!
アキラ>:血がほしい・・・肉がほしい・・・おまえ・・たべる・・たべられる・・・
ツボミ>:!!!
アキラ>:(刃抜いて)やあっ!
ツボミ>:うあああっつ・・・あ、あしが・・・
アキラ>:足に一本ずつ刀を突き刺せば・・逃げられないんだ・・知ってたか?・・・ククク・・・逃がさない・・・絶対に!!
ツボミ>:うあああっつ!!・・・両足が・・うごかない・・・・
アキラ>:おまえの・・・心臓をもらう・・・歯ごたえ抜群のな!
ツボミ>:うあああ!・・・砕かれる・・砕かれる・・・
やめて・・やめて・・・あああ!!
ツボミM>(わたしを・・・よんで・・・召喚の詩を・・・詠んで・・・)
ツボミ>だ、だれ・・・? そ、そうだ・・!
天空に召します 月の神。わが身に宿りて妖狐と成せ!
アキラ>ガブッ・・・・ううっ・・・・
ツボミ>ふう・・・狼に噛まれても 妖狐は死なない・・・
噂のとおりだったということね・・・
ツボミ>今度はこっちの番・・・妖狐の力で、魔力を吸う・・・
アキラ>やめろ・・・あああっつ・・・力が・・すいつくされていく・・
アキラ>:ああああ!!!! やめろ・・やめろおおお!!

アキラ>声が枯れると思うくらい、ボクはのたうちまわり、叫び続ける。
アキラ>・・・ほどなくして、ボクは力尽き、意識を手放してしまうのだった。

se>ちゅんちゅん・・・ちゅんちゅん・・・・
アキラ>:!!朝?
ツボミ>:おい!アキラ どうしたんだよ!突然寝込んじゃって!
アキラ>:!?
ツボミ>:びっくりしたよ。サイコロの話しの途中、熟睡しちゃって・・・
起こしても起こしても起きないんだもん。
アキラ>:・・・・ご、ごめん
ツボミ>言い忘れてたけど、サイコロの1の目が赤いのは、製造業者のせいなんだってさ。
諸説あるけど、一番これが有力らしいよ。
アキラ>そう・・:なんだ・・・そっか・・・あれは 夢か・・・
ツボミ>ん?なに? あれって・・・・
アキラ>:なんでもないよ! さあ、今日もがんばろっ!
また、週末には賭場をださなきゃいけないしな。
ツボミ>:ああ、そうだねっ! きょうもがんばろう!!
ツボミ>あ、そうだ・・・・
アキラ>え?
ツボミ>妖狐は狼に噛まれても死なないんだよっ
アキラ>え、えええええええ・・・・・・

夢じゃ・・・なかったのか・・・・

=END=

雪音版~四十九条賭場物語 エピソード1~

<登場人物>

ツボミ>元とある組の構成員。今は要請などにより賭場を開いて、腰元を行う「賽振り」
和服を着用し、両肌、もしくは片肌脱ぎをしている(袖があると邪魔になるため)

年齢24 口調は現代風 一人称 アタシ

アキラ>やくざの世界で横行している賭場ネタをダシにイベントを開いている、アマチュア「賽振り」

もちろん、当人はカタギの人間である。赤いさらしを巻き、和服を着用。こちらも、両肌、もしくは片肌脱ぎをする。
年齢22。口調は現代風 一人称 ボク

N>話は元禄の世。戦乱無く太平なりし頃の話。表の世では町人文化華やいだ世の中となっていたが、その背景裏側では、止められぬ闇がひそんでいた。
ここは東西7区画、南北7区画に、碁盤目状に開発された、町人の都 通称「四十九条街(しじゅうくじょうがい)」。

この都市では、今日も事件が起きようとしていた。
これは そんな都市で起きたことの事件簿。
その渦中を駆け抜けた、男と女のちょっと変わった、物語。
オーディオドラマ「四十九条賭場物語 第一話」

 

アキラ>サアサアサアサア、みなさん寄ってらっしゃい見てらっしゃい!

お待ちかね!丁半勝負の時間だよっ!取り決めは簡単。

種も仕掛けもないこのサイコロ。こうやって入れ物の中でカチャカチャして

出てきた目をあてるというものだよ~

サアサアサアサア賭けた賭けた!丁か半か、さあ、さ、はったはった!!

ツボミ>・・・・

アキラ>サアサアサアサア・・丁がでました半もでました。

その割合は丁がちょっと多いか?

さてみなさん!いかがでしょう?いかがでしょう?

ツボミ>フン!・・・

アキラ>(ちょっとムッとして)・・さあ。出そろいました~出そろいました~

いかさま、八百長、口八丁に手八丁、その類の仕事はやっちゃいませんやりません。

ささ、はったはった~~~~

アキラ>(でたことを確認してから)さてまいります!よござんすねっ!

しょうぶ!!

アキラ>7!でございましたっ!!

 

アキラ>さてさて、お客人方・・宴(えん)ならぬ賭場(とば)たけなわではございますが・・・ここいらでおひらきといたします。今宵のごひいき、まいどありがとうございました・・・

 

ツボミ>ちょいと・・・

アキラ>!?ん?

ツボミ>・・・あそばせてもらうよ

アキラ>おい、おい、だめだよお。もう花会はおひらきなんだから。

またこんどきなよ?な?

ツボミ>そんなこと言ってにげるのか?

アキラ>ええ!?

ツボミ>アタシは ただ、あそばせてほしいといっただけだ

アキラ>・・・

ツボミ>ははーん さては、、おぬし、アタシがこわいのだな?

アキラ>そ、そんなわけ・・ないだろ・・・ただ・・

ツボミ>ただ・・なんだ?

アキラ>ここの場所が、閉館時間なんだ。

どうしてもやりたいなら、別室にでも、行かないと

ツボミ>なるほど・・



アキラ>近くの旅館に、部屋を借りた。どうだ?

ツボミ>うん。いいね。文句はないよ。

アキラ>ところで・・・これは、いったい何の真似なんだ?

ツボミ>へ?

アキラ>こうやって、勝負を挑むことの意味・・・わかっているのか!?

ツボミ>わかってるよ。なにかを賭けて戦うということ。でしょ?

そうねえ・・・アタシはこれでもかけようか。この身、一夜(いちや)。どう?

アキラ>どう?って・・・大きくですぎだ!! この身一夜(いちや)なんて、非常識だろ!!

ツボミ>どうしたの?臆病風にでもふかれた?

アキラ>・・・わかったよ・・ボクは・・・ボクは、負けたら、君の言うことをひとつ、かなえるよう、努力してやろう。これで、どうだ?

ツボミ>そうか。それでいい。

アキラ>では・・・はじめるぞ・・・

ツボミ>いいよ。はじめよう。

アキラ>よござんすね・・・・勝負!

ツボミ>丁!!

アキラ>はやい・・・?

ツボミ>へへーんだ。丁だよ。はようあげな

アキラ>なっ・・・!あああ!!

ツボミ>どうした?結果はどうだった?

アキラ>ち・・・ちょう・・・・

ツボミ>ふふふ・・・あーっはっはっは!アタシの勝ちね!


アキラ>く・・くそ・・・望みはなんだ・・・・

ツボミ>手を・・・

アキラ>え?

ツボミ>ここにこうやって・・・手をさしだして。

アキラ>手‥を? なんだ、これ、注射!?
 

うああああああ!!・・・ぁぁぁ・・・・・

ツボミ>悪い。ひとつはひとつだ・・・・

 
 

アキラ>どれだけねむったのだろう。ボクはぼうっとしたあたまで周囲をみる。ここが何かの会場なのはわかった。

ツボミ>お、やっと目覚めたか

アキラ>こ、ここは・・・?

ツボミ>ここか?ここは、あれだ。

アキラ>なになに・・・第37回記念特別花会 開催会場・・・? 

ツボミ>そのとおりだ。それでな。あと1時間で賭場が開く。準備をしてくれ。

アキラ>え。ええええええええ・・・・・

ツボミ>早く準備しな。さもないと殺されるよ。

アキラ>・・・!!ひ、ひいい・・・ホンモノ、ホンモノだああ!!

ツボミ>おっと、うろたえるんじゃないよ~。何度か賭場は経験してるんだろ?

緋色の晒の賭場師「(ひいろのさらしのとばし)アキラ」くん

アキラ>そ、そりゃそうだけど・・・よく その 通り名をご存じで・・・

アキラN>ボクは急に背筋がピンとなるのを感じていた。同じムジナのナントカというやつだろう

アキラ>た、たしかに、初めてじゃない・・・・はじめてじゃないけど・・・・唐突すぎるよ・・・

ツボミ>・・・すまないな。

アキラ>これだけはハッキリとしてほしい。どうして、こんな真似をしたんだ?ボクなんて、そんじょそこらに転がっている一般人じゃないか!

ツボミ>だけど、立派な賭場はひらいていたじゃないか

アキラ>!

ツボミ>・・・この記念特別花会はな、来賓ふくめて50人ほどの規模で行われる大規模なものだ。おまけに、ここに来る奴はみんな血気盛んなやつらばっかだ。

アキラ>50人・・・だとっ!

ツボミ>なにかコトが起これば、責任を取らされてこの世とオサラバ。そんな状況で賽打ち押し付けられたら、キミならどうする?

アキラ>・・・・・! たぶん・・緊張のあまり・・なにも手につかないと思う。

ツボミ>そうだろ?アタシもいっしょだ。緊張のあまり、フラフラとあの場に立ち寄ってみてたんだ。そしたらキミが見事な賭場をひらいてた。

アキラ>・・・!

ツボミ>それをみていた私は、喉から手が出るくらいに君が欲しくなった。

アキラ>・・・・!

ツボミ>・・・その喉から手が出てしまったということさ。まあ、諦めてくれ。

アキラ>・・・・ああ、わかったよ・・・今宵のことは・・・あきらめよう・・・

ツボミ>さすがだな。物分かりが早くてたすかる。

 

アキラN>僕たちは化粧をしたり、衣装に着替たり、道具の確認や差し入れの手配などに手を焼いた。そうこうしているうちにあっという間に時間は過ぎ、開場の6時を迎える。

ツボミ>ささ、みなさま、今一度静粛におねがいします。開場までいましばらくおまちくださいませ

アキラN>言うが早いか、ツボミは2人に目配せを送る。

アキラ>!?

ツボミ>ああ、君には言ってなかったな。あそこにいるのは、雅(みやび)と辰(たつ)。私の部下だ。

アキラ>そ、そうなんだ・・・で、彼らとあわせて4人で、どう動くんだ?

ツボミ>アタシがおもうに、彼らには順番に壺振りをやってもらおうと思っている。

アキラ>ちょ・・・ちょっと待て!ひい・・ふう・・・みぃ・・・

アキラ>じゃ、じゃあ、中盆は?もしかして一人でやろうっていうんじゃないだろうな?

ツボミ>そうだが・・・

アキラ>やめておけ。危険すぎる!監視が甘い!もし、誰かが物言いを打ち上げてみろ・・・見張りが薄いと指摘され、場は壊れる!

ツボミ>なっ・・・では、どうしろと!

アキラ>提案だが、中盆は最低でも3にしてはどうかと思う。雅さんと辰さんはぼくらと合わせて4人で座ればいい。

ツボミ>!

アキラ>俺が進行を担当し、あとの二人は俺たちの隣に座って、ひたすら不正がないかを見張るんだ。君はそのまま壺振りを担えばいい。

ツボミ>なっ・・・

アキラ>カタギのボクがいうのも変だが、どんな状況でも不正はしこりをのこす。未然に防ぐこと、それは雰囲気よりも大事な鉄則だ。ちがうか?

ツボミ>アキラ!・・・

アキラ>丁半のばあい、イカサマをするのは賭け手のほうだ。ボクがやってる時も一緒だったさ。いいか。目の前にいるのはみんな野獣だと思ったほうがいい。やつらがヘンなことをしないよう、いざこざが起きないよう、管理するのだ。

ツボミ>・・・!

アキラ>大丈夫だ。これで、秩序と公正は、保たれる・・・・

ツボミ>アキラ・・・

アキラ>さあ、時間だ。はじめよう・・・場がひらく・・・・

ツボミ>そして、私は、声を発した。

ツボミ>みなさま今日はよろしくいらっしゃいました。

頭に座す、わたくしめは、名を。ツボミともうします。

身にまといしは ?色の羽織。

つらづらと咲き乱れまするは、?の花。

そして、この絢爛たる絵図(けんらんたるえず)の姿にあやかりまして・・・

通り名を・・・桜花(おうか)のツボミと名乗っております。

なにとぞよろしくおねがいします。

 

アキラ>さすがは、ツボミさん・・・すげえな・・貫禄がちがう・・・

ツボミ>でははじめます・・・・・よござんすね・・・・方々、いざ尋常に!・・しょうぶ!!

アキラN>サアサア どちらさまも はったはった! 上方さまも 下方さまも、かけ忘れはご法度ですよ~

さあはった!さあはった! 丁が15、半が11.半はおらんか 半はいませんか・あ、半に賭けますか。半ですね、半ですね。

はい、そろいました!! 賭け、成立しました!!

ツボミ>では、アガります。・(ふんっ!・・・・)・・・丁!!ニロクの丁!!

アキラ>途端に眼前の盆台(ぼんだい)で金子(きんす)が駆け巡る。右へと左へと左へと右へと・・・

ツボミ>場が進むたび、賭けに出される金子の量が少しずつ増えてくる。あわせて、場の空気も上気してくる・・・

アキラ>こういう時に物言いがつくと、場は一気に崩壊する・・・それは、カタギの催し物のときも変わらない。だから、ボクは常にそれを恐れていた。

ツボミ>アキラ・・・そこのつづら・・・

アキラ>えっ?・・ああ!

アキラ>そこには氷嚢で冷やされた、食べ物が用意されていた。ボクは一区切りついたところで

声を上げる。

アキラ>さて、さて、さて~ここでちょいと一服いれましょう!

手前どものこしらえました「鉄火巻き」でございます。どうぞ、めしあがれ。

アキラ>ツボミさん・・・

ツボミ>賭けのレートが急に上がり始めたから一息いれたんだ。

アキラ>なっ・・・

ツボミ>場の雰囲気が狂気に変わらないように、な・・・

アキラ>暑い・・ボクの緋色のさらしは腹のほうまで汗でびっしょりになっていた。
思わずツボミをみやる。 ツボミは額に汗を浮かべながら凛とした顔つきで場の動向を統べていた。一重の瞼が時折引きつけを見せる。緊張が最高潮に達している証拠だった。
ツボミ>ふぅ・・・暑い・・・・

アキラ>その声に、ふとその背中をみやる。ツボミは胸から上をすでに脱ぎ去っていたが、さらけ出した肌は汗でびっしょりに濡れていた。

アキラ>ボクは布を出すと、汗しぶきを拭きぬぐってやることにした。
ツボミ>!ッ
アキラ>不意に敵意と憎悪を感じたボクは思わずその手を止める。
アキラ>ごめん。拭き上げてあげようかと思ったものだから、つい・・・
ツボミ>・・・あ、いや・・
アキラ>・・・・
ツボミ>続けてくれ。頼む。

アキラ>ツボミさん・・・

ツボミ>すまない。後ろを見せるのは嫌いなのでな・・
アキラ>・・・・・・・・じゃ、はじめるね・・・
ツボミ>ああ・・・

アキラ>・・・ほんとに・・・ゴメンネ・・・

ツボミ>勘違いするな。背後を預けるのはお前ががはじめてなだけだ。

アキラ>・・・・!

ツボミ>よろしく頼む。あと、鉄火巻き・・・

アキラ>・・!

ツボミ>キミのぶんまで準備がなくって申し訳ない。

アキラ>あ、いや・・・そこは気にしなくっていいよ・・・
アキラ>・・休会のあいだも、ツボミの肌からは汗がとめどなく噴き上げてきていた。

アキラ>あのさ・・・ツボミ・・・?

ツボミ>・・・どうした?

アキラ>あ、いや・・・・雅さんと辰さん・・・両名の動きがおかしい。

ツボミ>おかしい?どういうこと?

アキラ>先ほどから なにやら 観衆に目配せを送っている。

ツボミ>なんですって!

アキラ>本来、賭け手との不正をみつける役目だから、観衆に目配せを送るのは場違いだ。

何かが起ころうとしている。用心を。

ツボミ>了解した。だけどな、アキラ・・・

アキラ>!?

ツボミ>本日の私たちの役目は、まず第一に賭場の仕事をおわらせることだ。

アキラ>そう・・だな・・・

ツボミ>あの2人がなにをしているのかは、ここがはけた後で、私が直々に聞いてみることにする。それで、いいか。

アキラ>わかった。

ツボミ>ありがとう・・・さあ、時間だ。再開しようか

 

アキラ>さあ~さあ~さあ~次です次です、次の場に入ります。

僕たちはまた、緊張の渦中に飛び込んでいった。

再開後、第一場 サンミチの丁

第二場 グサンの丁

第三場 サブロクの半

第四場 サニの半

そこまで来た時に、恐れていたことが起きた。

アキラ>はい、そろいました!! 賭け、成立しました!!

ツボミ>では、アガります。

鉄蔵>ちょ~~いと まてや!

ツボミ>!?

鉄蔵>とぼけんじゃないわい!このアマ!わりゃ、イカサマしかけおったな!

ツボミ>イカサマとはおだやかじゃないな。貴様はだれだ。まずは名をなのれ!

鉄蔵>ワイか。ワイは金属の鉄の蔵と書いて、鉄蔵っちゅうもんや。

休会後の四回の賭場。なんかおかしゅうないか?

ツボミ>おそれながら、どういうことでしょうか。

アタシはこの場をただただ公正にとりしきっているにすぎない。

不躾な侮辱は、賽打ちとして、断固、ゆるさないよ!

鉄蔵>それじゃあ、聞くが、前後の四回の結果はなんぞ!?

四回のうち四回とも一つの賽は三から動いてはおらん

これをどう説明する!

ツボミ>それは・・・賽の目の気まぐれよ!

声>なんだと!

ツボミ>お天気様(おてんとうさま)でも、次の目は予測できんと嘆いた賽の目。所詮は人では測れないのではなくて?

声>ぐぬぬぬぬ・・・

ツボミ>そこまで言うのなら、賽をあらためてよ!さあ!!

もし、いかさまや、細工があったらアタシらは喜んで罰を受ける。

声>おう、しかれば、すぐに!

ツボミ>だけど!!もし、賽に小細工がなかったとしたら、鉄蔵さん、オトシマエつけていただきますからね!

声>望むところだ!さあ、賽をみてくれ!!

ツボミ>アキラ! さあ!

アキラ>ツボミさん・・・

ツボミ>かまわん!アキラ!!やりいや!!あけや!!

アキラ>(冗談・・きついぜ・・・)

ツボミ>アキラ!!!

アキラ>・・・・・!!!・・・・・どうぞ・・・・

ツボミ>賽の目は・・・・・・ピンゾロの丁!!・・・

ツボミ>くりかえす!!賽はピンゾロの丁!!

声>くそう・・・・くっそう・・・くっそう!!!・・・・絵図かきやがったな!!

ツボミ>結果は出ましたえ。 これでよろしいでございましょう?

雅、辰。この場のオトシマエはそなたらにおまかせしましたえ。

アキラ>お客人方!今一度もうしあげます!

厳粛に行われしこの場は残念ながらあれてしまいました。

今宵はこれでお開きにしたいとおもいます。本当にありがとうございました!

 

ツボミ>こうやってこの日は乗り切ることができた。

 

ツボミ>アキラ・・・今日はありがとう。

アキラ>いや。キミがすばらしかったからだよ。そして、君の部下も、すばらしいじゃないか・・・

ツボミ>ありがとう。

アキラ>それじゃ、ボクはここいらで。

ツボミ>はい。また・・・・

ツボミ>そのとき、私は背後から鋭い視線の存在を感じる。

気のせいかなと考えていたのだが、この気のゆるみがこのあと、

事件を引き起こすことになろうとは考えてもみないことだった・・・・

エピソード1 END

次↓ エピソード2

 

days off 〜散華ノ秋桜〜 daytime4
注意1★この作品はメイリオ・太字書体で読んでください
注意2★ト書き併記法を採用しています。読み方は下記のとおりです
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
●一宮 昴(イチミヤスバル) イメージカラー 黒 退魔師
あきさくら学院教諭 年齢45 生徒相手「~だ」ナミ相手「執事口調」
●一宮 奈美(イチミヤナミ) イメージカラー 赤 退魔師
あきさくら学院三年 年齢17 「~なさい」誇りとプライドが高い。
●衛宮 明(エミヤアキラ) イメージカラー 青
あきさくら学院二年 年齢16 「ボクは~」
●衛宮 美姫(エミヤ ミキ) イメージカラー 紫
あきさくら学院二年 年齢16 「ミキ、〇〇っておもう」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

15時30分 ビオトープ前
アキラ>
ここで一宮先生が殺害されたのか・・・
ミキ>
お兄ちゃん
アキラ>
美姫・・・お前、帰らなかったのか
ミキ>
お兄ちゃんの姿が見えなくなってたんだもん
アキラ>
ここはいいからお前先にかえれ
ミキ>
いやよ私お兄ちゃんと一緒にいる
アキラ>
美姫・・・
ミキ>
今から帰っても 一人じゃ心細いし・・・
それに お兄ちゃんだって 連れがいた方がいいでしょ?
ミキ>
・・・・それとも私は邪魔?
アキラ>
しょうがないなぁじゃあ一緒に行こう
ミキ>
やった♪

スバル>
16時00分 ビオトープ内旧作業倉庫
ミキ>
ビオトープの中にこんな空洞があったなんて
アキラ>
空洞じゃない
使われていないだけだ
ミキ>
そうなんだ・・・まあいいけど
アキラ>
ん?んんんん?
どうしたんだ みく?
ミキ>
ここの部屋の壁なんかおかしいよ
アキラ>
おかしいってどういうこと
ミキ>
なんか二枚壁みたいになってるような気がするの・・・
アキラ>
2枚岩?
それって、どういうこと?
わからないよ・・・・
ミキ>
たしか、このへん・・・
うわあっ・・・・
アキラ>
・・・!!
かべが・・・動いた・・・!
アキラ>
壁の奥に、部屋がある・・・・
なんなんだ!?これは!
ミキ>
これ・・・まるで・・・祭壇のよう・・・・
アキラ>
祭壇のようだって・・・
どういうことだ・・・。
ミキ>
分からないけど・・・
ここのくぼみは 祈りを捧げるところだし・・・・
ここのくぼみには 神様像を祀るところだし・・・
・・・そして これは 生贄をはりつけにしておくところ・・・
アキラ>
み、美姫!!
ミキ>
見て!あの天窓! あの方角は北。
だから、あそこから入る光は夜のためのもの。
アキラ>
えっ・・・・
ミキ>
つまり、ここは祭壇なの。それも、何かの呪術に使われる
アキラ>
美姫・・・おまえ・・・いったい・・・・
ミキ>
お兄ちゃん。誤解しないで・・・
わたしはこんなの見たこともないし、知らない・・・
だけどだけど、頭の中に、画像が浮かんでいるの・・・・
ああ・・あれは・・・あれは邪神・・・
ああ・・ああ・・・あああああ・・・・・・
アキラ>
美姫!おい!美姫!!しっかりするんだ!!
ミキ>
お兄ちゃん!助けて!
落ちていく・・・深い闇に・・・
あああ・・・わたしは・・・おちていく・・・
アキラ>
美姫!おい!美姫!
堕ミキ>
・・・汚らしい手で 触るな・・・! 下等生物よ
アキラ>
美姫・・・!
堕ミキ>(呪文詠唱・・・)
月の魔の慟哭(どうこく)は鳴り、
怠惰を刻んだ時は世の終焉を告げるものなり。
まもなく、邪神は降臨し、新たなるの儀式に 降臨す。
堕美姫>(変身というか変化・・・)
ぐあああ・・・ぐあああ・・・ぐあああああ!!
(身体の中から美姫という殻を破ってプレデターみたいなのがでてきます。)

アキラ>
なっ・・・・
堕ミキ>
そこをどけ。目障りだ。
はあっ!!
アキラ>
があっ・・・・・
アキラ>
(ふっとばされた・・・すごい力だ・・・・)
堕ミキ>
ふははははっ・・・・
小物よ。今、問おう。
貴様は・・誰だ・・・何者だ・・・名を名乗れ・・・
アキラ>
グ・・・グググググ・・・・
(く、くびを・・・すごい力だ・・・)
堕ミキ>
もういちど、問おう・・・
貴様はなんという? 
・・そして何者だと聞いている。
アキラ>
グ・・・グググググ・・・・
(気、気が遠くなってきた・・・もうダメだ・・・))
堕ミキ>
それにしても、この娘・・・我が偽装を見破るとは
・・・その娘、なかなか 見上げたものよ
アキラ>
美姫をどうするつもりだ・・・・

堕美姫>
この娘はヒトながらも 高い魔力を持つようだ。
この者こそ わが 娘にふさわしい・・・
ナミ>
隙あり!
今だ!聖なる炎よ!
この魔を切り裂け!ホーリー・カッター!!
だ美姫>
・・・なっ・・・なにやつ・・・?
ナミ>
・・・待たせたな。二人とも。

聖なる上級精霊よ

我らに聖属性の加護を

プロテクション・キューブ!!

アキラ>

センパイ!これは?

ナミ>

簡易結界だ! 長くはもたないが、これで時間を稼ぐ!!

ぼやぼやするな!アキラ!

アキラ>

は、はい!

 

 

スバル>

17時00分 ビオトープ内 旧作業倉庫

ナミ>

硬直状態にもちこむことができたか・・・ふう・・・・
アキラ>

やや 間・・・・・

ナミ>

そうだ。アキラ。おくれてすまない。
傷はないか?
アキラ>
大丈夫です。かすり傷です。
しかし、美姫が・・・
ナミ>
あれか・・・・あの状態ならば・・・
魔物に・・とりこまれている・・・・状態だな・・・
アキラ>
なんだと!! バカな・・・美姫!!
堕美姫>
ふぉふぉふぉ・・・ その小僧の言う通りじゃ。
たまたま魔力の大きい娘を見つけたので、
魔力をつかって、逆に誘導してやったわい
ナミ>
ひどい・・・貴様、なんてことを!!
堕美姫>
ふぉふぉふぉ・・・・
さあ、どうするのかな?
愚かな人間どもよ・・・・
ナミ>
・・・まずいな とりこまれつつある・・・、
・・・なんとかしないと・・だな
ナミ>
もし、このままだったら 美姫は
完全にとりこまれてしまう・・・
アキラ>
そ、そんな・・・
ナミ>
それを防ぐには・・・
聖水晶、クリスタルで作られた武器をつかうしかない。
・・・これだ・・
アキラ>
これ・・・ナイフ・・・
ナミ>
敵の心臓に打ち立てるんだ。
そうすれば、勝てる・・・
アキラ>
ナミ・・・先輩・・・
ナミ>
幸いとりこまれてからは 
あまり時間が経過していない
・・・大丈夫だ。美姫は・・まだ無事だ。
アキラ>
でも、どう攻めるんですか?
これをどうやって 突き立てるんですか・・・
攻撃力は圧倒的に向こうが上。
こっちに戦力の増援はなし・・・
とすると・・・
ナミ>
明。ちょっとこっちへ来てくれ。
アキラ>
は、はい・・・
ナミ>
いまから わたしが あいつに切り込む。
ナミ>
少し遅れて、お前も突入しろ。
アキラ>
え・・・
ナミ>
そして、チャンスがあったら 一思いに刺すんだ。
アキラ>
えっ・・・・
ナミ>
いいな!
アキラ>
は、ハイ・・・・
ナミ>
忘れるな。
今一番重要なことは
お前の妹を助けることだ・・・
アキラ>
は・・はい・・・
ナミ>
いくぞ・・・

アキラ>

ナミ>

アキラ>

ナミ>

アキラ>
ゼロ・・・
ナミ>
突入!!
やああああああっ
堕美姫>(硬化した触手で振り下ろす)
フン!
ナミ>(堕美姫の斬撃を額の上で刀を使って受ける)
!!
ナミ>(受けるが重くって、精一杯)
・・・ぐっ・・つ、つよい・・・・
ナミ>(重いそれを左に払い、間合いを取るため後ろに飛ぶ)
はあっ・・・・
堕美姫>(余裕があるため、間合いを取ったナミを追撃せず見下す)
ふむ。逃げたか。
ナミ>(体力を消耗していて、肩で息をしている)
はあ・・・はあ・・・はあ・・・
堕美姫>(バカにしたようにほくそ笑む)
フ・・退魔師が・・・
笑わせてくれる・・・
ナミ>(疲れは隠せないが気力で奮起)
どうかな? まだ決着は・・・
 ついていない!!
ナミ>(気力で飛び込む)
はああっ!!
堕美姫>(さっきと同様)
ふん! 無駄なことだ!!
今度は・・・にがさん!!
堕美姫>(背面にある尻尾をのばし、)
ふん!!・・・・はあっ!!
ナミ>(背後から尻尾で突き刺され、絶叫。)
ぐああああっ!!
アキラ>(絶叫をきいて、こえをかける)
ナミセンパイ!
ナミ>(痛みをこらえながら、)
アキラ!! いまだ!!
アキラ>(ナミの声を聞いて、奮起)
やあああああああ!!っ!!!
堕美姫>(背後から首のうしろ うなじのへんにナイフが突き立てられる)
・・あ・・・ああああああっ・・・・!!
堕美姫>(蒸発するような感じで脱力してゆく・・・・)
ぐぅ・・・こ、こしゃくな・・・・・

(描写メモ>アキラにナイフをつきたてられた堕美姫は空気が蒸発するようにちぢんでいきます。そしてあたかもバッグに収納されるかのように美姫の体内にしまわれてゆきます。5分くらいののち、収納が終わり、あとには傷一つない美姫が残されます・・・)
アキラ>
か。勝った・・・・美姫!!
ミキ>(静かに寝息をたてています)
ZZZZZZZ・・・・・
アキラ>(生きている美姫のすがたに歓喜+感慨を感じています)
よかった・・・生きてる・・・・生きてるっ・・・・
アキラ>(おもいついたように傍に駆け寄る)
・・・・そうだ、センパイ!! センパァイ!!
アキラ>(ナミは身体を突き抜かれ、血だらけになって虫の息になっています。それを見て絶望)
・・・・・せ、センパイ!
ナミ>(虫の息で・・・)
    アキラ・・・ よくやった・・・ 素敵だったよ・・・・
アキラ>センパイ!!センパァイ!!
ナミ>
 わたしは・・・もう・・・
アキラ>
 そ、そんな・・・・
ナミ>
 バッグに・・いしょが・・・
 ・・・あとは・・・おねがい・・・・

アキラ>
 センパイ!! ナミセンパイ!!
 センパーーーイ!!!!

ミキ>
 その後がどうなったのかは 私は知らない。
 このことを知るのは、兄アキラが このときのことを語ってくれた時だった・・・

アキラ>この時のことを 語るようになるためには・・・
 ボクには じつに約1年の時を必要としたのである・・・・





 

days off 〜散華ノ秋桜〜 daytime3
注意1★この作品はメイリオ・太字書体で読んでください
注意2★ト書き併記法を採用しています。読み方は下記のとおりです
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
●一宮 昴(イチミヤスバル) イメージカラー 黒 退魔師
あきさくら学院教諭 年齢45 生徒相手「~だ」ナミ相手「執事口調」
●一宮 奈美(イチミヤナミ) イメージカラー 赤 退魔師
あきさくら学院三年 年齢17 「~なさい」誇りとプライドが高い。
●衛宮 明(エミヤアキラ) イメージカラー 青
あきさくら学院二年 年齢16 「ボクは~」
●衛宮 美姫(エミヤ ミキ) イメージカラー 紫
あきさくら学院二年 年齢16 「ミキ、〇〇っておもう」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


午前11時20分
ナミ>
・・・ん?なに?緊急メール着信
ナミ>
一宮?執事からだ・・・
何々?緊急事態発生智積寺食堂に来られたし
ナミ>
昼の時間、食堂・・・
よっし・・・ちょうどいいか・・・

スバル>
午前11時50分 
ナミ>
さあ来てやったわよ。さあ、案内なさい。
アキラ>
相変わらずだね・・・
今度はどこに案内してばいいんだ?
ナミ>
今度は食堂に案内なさい
アキラ>
食堂!?
弁当・・持ってきてるんじゃないのか?
ナミ>
もちろん持ってきてるわよ!
でも、ちょっと興味があるから いいのよ。
アキラ>
興味があるって、どんなことだよ
ナミ>
ばかね! それを聞くのは無粋というものでしょ?
アキラ>
・・・そうなのか?
ナミ>
ほらほら、はやく はやく!
いいから いいから。早く案内しなさい!
アキラ>
しょうがないな・・・
来て。こっちがうちの高校の学食だよ。

スバル>
午前12時05分
アキラ>
さあ、着いたよ。ここが食堂だ
ナミ>
ヘー。思ったより 綺麗なのね。
アキラ>
さあ、行こう。
毎回毎回すごい列になる人気メニューがあるんだ。
ナミ>
人気メニュー!?
それは 興味あるわね・・。
アキラ>
これだ。この列だ。
これが ここの一番の人気メニューにつながっているんだ。
ナミ>
これは・・・オムライス?
アキラ>
そう!調理師自ら作るオムライス!
外はふわふわのあのオムライス!
ナミ>
ふーん。じゃあ、わたしも もらおうかしら、
アキラ>
じゃ、じゃあ、並ばないと・・・・
ナミ>
そんな必要はないわ、
・・・もしもし。
アキラ>

ナミ>
ああ。わたし。
ちょっと、食堂のオムライスを届けてもらえるように
言ってもらえるかしら。
ええ。そう。 人気一番メニューの。
よろしく。
アキラ>
ど、どういうことだよ・・・・
ナミ>
こういうことよ。 さ、いくわよ。
ぐずぐずしないで。時間がないの。
アキラ>
え・・・ええええ
ナミ>
学食・・か。
あいにくだけど、それよりも私は別のところに用事があるの。
あなたにも来てもらうわ
アキラ>
そ、それって・・・どういう・・・?

スバル>
12時10分 食堂別室
スバル>
来たか。待ってた。
ナミ>
それで先生何がわかったんですか
スバル>
これだ。この物質を解析していたら、大変なことに気付いたんだ
ナミ>
大変なこと!?
スバル>
単刀直入に言おう。
スバル>
このサンプル・・・
ビオトープの土は、この世ならざる物でできている・・・。
ナミ>
なんですって!?
それ・・本当なの!?
スバル>
ハイ・・・
残念ながら・・・
アキラ>
ちょ・・・ちょっとまってくれ
先生・・ そしてナミ先輩。
この世ならざる物って・・・どういうことだ?
スバル>
そうか・・・衛宮くんは初めてだったな
ナミ>
そうね・・・ウッカリしてたわ
彼は知らないのよね
アキラ>
ど、どういうことだよ
ボクが知らないことってなんだよ
ナミ>
先生。いえ、スバル。
アキラ>
スバル!? 先生のことを・・どうして・・・
スバル>
衛宮君。このことは絶対に口外しないように。
まあ、君のことだから大丈夫だろうから、今から説明しよう。
ナミ>
まず、ここにある土は 午前中、あなたに案内してもらったときに
採集したものなの。これを、先生は実験していてくれてたというわけ。
スバル>
まず、これを見てもらおう。
なあ、衛宮君。土を700度の高温で熱したら、どうなると思うかね
アキラ>
それは・・・まちがいなく・・・生物は死にます。
スバル>
そうだろう。じゃあ零下10°に凍らせたらどうなると思う?
アキラ>
生物は凍死してしまうと思います。
ナミ>
そうよね・・・でも、先生の実験結果では・・・・
スバル>
どちらの場合も、生物反応が検出された・・・生きているものがあったんだ・・・・
アキラ>
なんですって!?
スバル>
驚くことがもうひとつ。
この土の中には、この生物しか、存在していない。微生物などをふくめ
一切、存在してはいなかった。こいつしか、生きてはいない・・・・
アキラ>
ま、まさか・・・・
ナミ>
それにこの世ならざる者という
もう一つの理由があるの。
ナミ>
これを見て
アキラ>
何だ?これ・・・・
スバル>
X 線照射をしてみたんだ。
かなり強いものを照射しても細胞には何ら影響はなかった、つまり・・・
アキラ>
つまり
ナミ>
やつは核ミサイルが落ちても
しぶとく生き残る可能性がある。
いわはバケモンというわけ。
スバル>
こんな生物である以上、植物として
他の生物との共存は不可能。
ナミ>
残る道は排除するしかない
・・・それが上からの指示だった。
アキラ>
・・・やろうよ排除
ナミ>
・・・
アキラ>
そんな危険なものならやろうじゃないか
ナミ>
しかし今この場で動くわけにはいかない
スバル>
そうだ。まだ、動くには早すぎる・・・・
アキラ>
なんでだよ!?
スバル>
被害がまだないからだ・・・・
アキラ>
なっ・・・・
スバル>
わたしたちは、警察でも、自衛隊でもない・・・
ナミ>
・・・・だから事件にすらもできない・・・
アキラ>
じゃあ、いま、僕たちにできることは・・・?
スバル>
・・・ただ単に監視し、報告するということ・・・
ナミ>
そして有事の時に力を振るうこと
常にその発生に備えるということだけよ
アキラ>
そんな・・・それじゃ、遅い・・・
ナミ>
分かってる、
分かってるの
でも・・・
スバル>
今の我々にはそれしかできんのだ・・・・
冷静に・・・かんがえてくれ・・・・
アキラ>
暗く重いランチタイムが過ぎてゆくのだった。

スバル>
13時40分 ビオトープにて
スバル>
君にはあのようには言ったが
俺にもできることはある・・・
スバル>
このビオトープ・・・
元はと言えばこれは校庭用に作られた人工の山。

生命体だったとして、
今この地に進出するとして最初に成そうとすること
それは拠点作りにほかならない。
もしも奴の目的が拠点づくりだったとして、
やつが欲しがるもの・・・
それはビオトープの内部の旧保管室だ・・・
もともと体育の時間で使う用具を治めていた場所だったが、
今の保管庫の成立をもって使われなくなった場所だ・・・
高温多湿、しかも普段は人気のない場所。監視の目はほぼゼロだ
場所として、これほど絶好の場所はない・・・・
スバル>
姫の手・・・煩わさせぬ・・・

スバル>
13時50分 ビオトープ保管室
スバル>
着いた・・・
ん!?鍵が外されてる!?
誰かが入ったというのか!?
スバル>
お、お前は・・・っ!?

スバル>
14時00分 教室にて
ナミ>
あきら!いる?
アキラ>
ナミ先輩!どうしたんですか
ナミ>
一宮先生の授業が突然自習になったの。
なにか しらない?
アキラ>
えッ・・・
ナミ>
昼まで学校にいたのに
突然いなくなるなんて不自然すぎる
アキラ>
いや僕は何も知らない。
それに一宮先生の授業だったら
これからだけど?
ナミ>
その一宮先生のことで
職員室の掲示場にこれがあったわよ
アキラ>
休、休講届・・・だって!?
ハ?なんだって?どういうことだ
ナミ>
理由 急用発生のため
アキラ>
は?急用ってなんだ!?
ナミ>
やっぱ知らないか・・・
もうすぐ授業ね・・・
動くのは、授業のあとよね・・・・
アキラ>
幸い僕は部活動に所属してない
だから放課後なら 集まることはできるよ
ナミ>
そうねそれはいい考え。
じゃあ、そうしましょう。
放課後、図書室前。いいわね。
アキラ>
あ、ハイ
アキラ>
実習の間・・・
僕らのクラスは雑談をするもの
勉強するもの
寝るものの大きく三つに分かれていた
僕はそのうち勉強している者に入ってたとは思うが・・・
先ほどの波さんたいから言われた時点で頭がいっぱいになっていた

スバル>
15時00分  図書室前。
話は校内放送にて急展開する。

ピンポンパンポーン
ミキ>
全校生徒にお知らせします。
本日の授業は警察からの指導により、6限の終了を以って放課とします 。
なお、部活動を含む、放課後活動についても停止となります。
明日からについては、同様に警察からの指導により、学校を閉鎖いたします。
再開については、緊急連絡網と学校ホームページにて連絡します。
繰り返しお知らせします・・・・・・
アキラ>
なんかやばいことになってきたぞ。
どういうことだ?これは・・・。
ナミ>
アキラ!
いい?落ち着いて聞いてちょうだい
先生が・・・一宮先生が亡くなったわ
アキラ>
なくなった!?
どうして?いったいどこで?
ナミ>
学校のビオトープよ。
殺されたの・・・
アキラ>
なんだって・・・。
ナミ>
私は今から病院に行く。
一通りの事が終わったら学校に戻るから。
あなたは情報収集でもすすめていて。
じゃあね。
アキラ>
情報収集って言ったって、どうやって・・・!
・・・行っちゃった・・・
・・・たく、しょうがないな・・・
ボクもビオトープ行ってみよう。
そこに 何が あるのかな。
















 

days off 〜散華ノ秋桜〜 daytime 2
注意1★この作品はメイリオ・太字書体で読んでください
注意2★ト書き併記法を採用しています。読み方は下記のとおりです
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
●一宮 昴(イチミヤスバル) イメージカラー 黒 退魔師
あきさくら学院教諭 年齢45 生徒相手「~だ」ナミ相手「執事口調」
●一宮 奈美(イチミヤナミ) イメージカラー 赤 退魔師
あきさくら学院三年 年齢17 「~なさい」誇りとプライドが高い。
●衛宮 明(エミヤアキラ) イメージカラー 青
あきさくら学院二年 年齢16 「ボクは~」
●衛宮 美姫(エミヤ ミキ) イメージカラー 紫
あきさくら学院二年 年齢16 「ミキ、〇〇っておもう」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
スバル>
★4月25日 午前10時10分
スバル>
『もののふの 八十(やそ)乙女らが 汲み紛(まが)ふ 寺井が上の かたかごの花』
これは万葉集にある大伴家持の歌だ。
ミキ>
寒い・・・風邪かな?
スバル>
訳すると
たくさんの娘たちが、来ては水を汲んでいく、
お寺の井戸には、かたかごの花が咲いている。
となる。
スバル>
娘たちがよりつどうということと、
地味だが清楚な感じがする花を掛けているんだ
スバル>
ン・・・どうした?衛宮?
ミキ>
すいません。先生・・・
ちょっと突然寒気がしてきたんです
スバル>
風邪でも引いたのか?
ミキ>
いや・・・今朝は 大丈夫だったんですけど・・・
なんか、突然・・・
スバル>
ふむ・・・大丈夫か?
みんなの迷惑になっても困るから、保健室に行って休んでなさい
ミキ>
は、ハイ・・・

スバル>
★4月25日 午前10時30分 剣道場にて
アキラ>
よし・・相手は手首の動きが鈍い。
ここは胴を打つと見せかけて・・・
アキラ>
コテッ!!
アキラ>
よっし!はいった・・・・
ナミ>(物陰からみている。心の声)
あの間合いで・・・見事ね・・・・
アキラ>
よっし、かかりげいこも終わったし、体育は男女別だから
逃げおおせればいいし、やっと静かな業間が・・・・・
ナミ>
な~んか いったかしら?
アキラ>
え、えええええ!?
ナミさん・・・自分のところの授業は・・・?
ナミ>
言わなかった?あたしは今日、一日は転校生。
分かんないことだらけだし、時差ボケで頭痛いから授業はやすんだの。
アキラ>
って、そんな時差発生する場所だっけ?
このせま~いニッポンが。
ナミ>
だから、早く着替えなさい。
次の授業の前に知っておきたい場所があるの
アキラ>
わ、わかったよお・・・・

スバル>
★4月25日 午前10時55分 更衣室前にて
アキラ>
お、おまたせ・・・・
ナミ>
予想通り、はやかったわね。
じゃ・・・い
くわよ・・・
アキラ>
行くって、そっち下駄箱・・・え?外に行くのか?
ちょ・・ちょっと待って!
スバル>
★4月25日 午前10時55分 ビオトープ前にて

アキラ>
ここ・・学校のうらがわの
ビオトープじゃないか。
ナミ>
へえ・・・ 昨今の学校は
校庭のことをビオトープって言うのね 洒落てる。
アキラ>
・・・で、ここには なんの用で?
ナミ>
ちょっとね・・
この辺のとあるものが欲しくってね・・・
アキラ>
なんだよ?ほしいものって・・・
ナミ>
こっちみないで。
それよりも 周囲の様子みててくれない?
アキラ>
あ、うん・・・いいよお・・・・
ナミ>
・・・いまのうちに・・・
アキラ>
・・・まだ?
ナミ>
とりあえず・・この弁当箱に・・・
1コ・・2コ・・3コ・・4コ・・・
よっし・・・こんなもんでいっか・・・
ナミ>
アキラ。もういいわよ
アキラ>
何だよこれ土でも食べるつもりなのか
ナミ>
失礼ね!そんなわけないでしょ!!
・・・ちょっと気にかかることがあったので調べてみようと思って・・・
アキラ>
調べる!?どんなことを?
ナミ>
今、説明している暇はないわ・・。
とりあえず・・行きましょう。
もう少しで授業が始めるわ・・・
アキラ>
そう・・・だね。
ナミ>
先生持ってきました
スバル>
ご苦労様ありがとう
スバル>
おい、一宮。ちょっと。
スバル>(ヒソヒソ)
お嬢、後はつけられていませんか?
ナミ>
私一人ではやっていません。
チェックもつけましたので、大丈夫だと思います。
スバル>(ヒソヒソ)
わかりました。サンプルについては とにかく検査してみます
終わったら呼び出します。お待ちを。
ナミ>
わかりました。先生。
なにか気づきの点がありましたら、またご連絡ください。
スバル>
ああ。また何かあればまた呼び出す。
その時はよろしく頼む。
ナミ>
ハイ。先生。

★スバル>
午前10時20分 保健室横 科学準備室兼薬品庫にて
スバル>
実験1環境温度を40°に設定
スバル>
実験2環境温度を零下10°に設定
スバル>
な、なんだと・・・
スバル>
実験3顕微鏡レベルで微生物の生態調査
スバル>
こ、これは・・・
なんということだ
スバル>
実験4放射線レベルの実証調査。
スバル>
なんだと!?信じられん!
ナミ>
コンコン!コンコン!!
先生!あ、あのっ・・・
スバル>
・・・
ミキ>
失礼して・・よろしかったですか?
スバル>
・・・ああ。ああ。
なんだ、衛宮か。どうした
ミキ>
保健室でしばらく休んでいたのですが・・
だいぶ良くなってきたので、授業に戻ろうと思うんですが
スバル>
ああ・・・ああ・・・
構わないぞ。いつでもクラスに戻ったらいい
ミキ>
先生、大丈夫ですか!?顔色悪いですよ
スバル>
大丈夫だ。ちょっと、実験結果が
思わしくなかっただけだ・・・
ミキ>
本当ですか!?大事にしてくださいね
スバル>
ああ・・・ああ・・・
ミキ>
失礼します
スバル>
こんなことが 起きてしまうなんて
・・・信じられん
スバル>
・・・
こうしてはいられない。
本家に連絡する書類を作らなければ

 

days off 〜散華ノ秋桜〜daytime1
注意1★この作品はメイリオ・太字書体で読んでください
注意2★ト書き併記法を採用しています。読み方は下記のとおりです
役名>(ト書き)
セリフ・・・・・・・・
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
役表・年齢・職業・紹介・語調(クセ)・イメージキャラ(FATE//STAY NIGHT)
●一宮 昴(イチミヤスバル) イメージカラー 黒
あきさくら学院教諭 年齢45 生徒相手「~だ」ナミ相手「執事口調」
一宮家 第39代目当主。武器は太刀。退魔師としてはいぶし銀の腕を持つ。
イメージ>葛木宗一郎(実直・寡黙)
●一宮 奈美(イチミヤナミ) イメージカラー 赤
あきさくら学院三年 年齢17 「~なさい」
一宮家の娘で退魔師。ベテランの域にある。誇りとプライドが高い。
常に他人を見下すような偉そうな態度が特徴。武器はレイピア。 イメージ>遠坂凛
●衛宮 明(エミヤアキラ) イメージカラー 青
あきさくら学院二年 年齢16 「ボクは~」
衛宮家の次男。故あって両親と長男とは別居。(退魔師的事情による)
退魔の事などは何も知らない普通の少年。イメージ>衛宮 士郎
●衛宮 美姫(エミヤ ミキ) イメージカラー 紫
あきさくら学院二年 年齢16 「ミキ、〇〇っておもう」
 兄である明を慕う。衛宮家の家事を担う。明の妹。 イメージ>間桐 桜



スバル>
学校法人 あきさくら 学園
この学校を運営している組織の名だ。
ナミ>
秋桜と書いてコスモス。
花言葉は秩序。
アキラ>
その花言葉のとおり、秩序を重んじた校風が
特徴的な学園だった。
ミキ>
なにもなければ平々凡々で終わる
高校生活のはずだったんだけど・・・
スバル>
定めと宿命は
戦いにその運命の舵をきるのだった
ナミ>
オリジナルオーディオドラマ
days off  〜散華ノ秋桜〜
(さんげのあきざくら)
アキラ>
その一幕目は あきさくら学園から歩いて
15分くらいのところにある
ボクの家から はじまる。


スバル>
4月25日 午前7時00分
ミキ>
午前7時!!朝だよっ!!
その着メロでハッとした私は、
急いで寝室のドアを叩く。
ミキ>
お兄ちゃん!!朝だよっ!!
遅れちゃうよーー!!
アキラ>
うう・・・ううん・・・
ミキ>
寝返りうってもなお
安らかにひびく
寝息にやきもきしながら
秘術を使うことを決意する。
ミキ>
私の大好きなお兄ちゃん
起きて・・・
チュ。


スバル>
4月25日 午前7時15分
アキラ>
ハッ!!
ミキ>
おっはよ。お兄ちゃん。
アキラ>
おはよ!!って・・・
やっば!!今日、学校の風紀委員会の会議が
あるんで 早出なんだった!!忘れてた!!
アキラ>
やばい・・・
やばい・・・
やばい・・・
顧問の一宮、厳しいからな・・・
ミキ>
大丈夫よ。お兄ちゃん。
お弁当はバッグに入れておいたから。
ミキ>
今から全力ダッシュすれば、
なんとかなるから。
アキラ>
お、おう・・・

ナミ>
そんなせわしない姿で登校する男を
あたしは黒塗りのクラウンの車中から
目にすることになる。
スバル>
さくら様。ターゲットをごらんいただけます。
ごらんになりますか。
ナミ>
ええ。興味があるわね。みてみようかしら。
どれ?
スバル>
あそこでさえない顔をして走っている男子生徒がそうです
ナミ>
あぁあれ?
彼のプロフィールは?
スバル>
氏名 衛宮 アキラ。 男 
私立あきさくら高校2年
成績  中の下。
異性交際歴は・・・
ナミ>
そこまででいいわよスバル。
ナミ>
どうせ、居ないでしょうから・・
ナミ>
ハーッ それにしてもなんてザマ。
人相は悪いし、モテそうもないし
ダサいし・・・
まあいいわ。
素行 だけは いいんだよね、多分。
スバル>
はい。彼はここ2年、無遅刻無欠席です。
校則もきちんと尊守してます・・・
しかし、ながら・・・
ナミ>
肝心の学力が芳しくない・・・と
スバル>
察しの通りでございます。マイロード。
ナミ>
とりあえずここはもういいわ。
行きましょう。学校へ
スバル>
かしこまりました
ナミ>
おっと、忘れていたわ。
学校に着いたらあなたは先生。
私は生徒の立場だから。
忘れないでね
スバル>
承知しております 。奈美さま。

アキラ>
ハッハッハッ・・・
どこのリッチマンなんだ?あれ
アキラ>
憎々しそうにボクはその車を見つめていた


スバル>
4月25日 午前7時30分
アキラ>
はぁはぁはぁ・・・
ま、まにあったぁーーー
スバル>
ようし。
みんな揃ったな。
では定例の風紀委員会を始める。
スバル>
まずは抜き打ちの制服調査の結果を報告する。
アキラ>
カーッ。始まったよ。あのいわくつきの制服抜き打ち検査。
結果発表だってよ。
学生たちの中でとっても評判の悪い検査だってこいつは分かってんのかな
スバル>
・・・というわけで、ひきつづき、風紀委員は綱紀粛正に努めてくれ。
ところで、今日は皆に紹介したい人がいる。
転校生だが風紀委員をやってもらうことにした。
アキラ>
なんだと!?転校生!?
聞いてないぞ・・・
スバル>
君。入りたまえ
アキラ>
うわ・・うわ・・うわ・・・
すごい美人ー
ナミ>
一宮奈美です。よろしくお願いします。
アキラ>
奈美さんかー素敵な名前だな〜〜
こんな人が学年にいたら
僕の学校生活はハッピーになるだろうな
ナミ>
・・・。
アキラ>
うわ・・・目が合っちゃったよ。
スバル>
今日は時間だから委員会は終わる。
彼女は今日からこの学校の一員として、
この委員会での仲間となるので
仲良くするように。いいな。
アキラ>
わーーすげぇ わくわく。
アキラ>
その時一宮何と呼ばれたその少女の目が僕を追っていることに気がつかなかった


スバル>
4月25日 午前8時00分
ミキ>
兄が登校してから30分後。
ようやく私も制服に着替え、
学校に到着する。
ミキ>
お兄ちゃん、大丈夫だったかな
また先生に怒られていないかな
ミキ>
ああっ!!
いっけない!!
お弁当に箸入れるの忘れてた!
ミキ>
・・・あ、だけど、
お昼に渡せばいいか
どうせお昼は 人知れず ひとりで
屋上で食べるんだもんね。
あ、そうだ!
おやつも持って来たから
いっしょに 食べよっと。
ミキ>
・・・うふふ
お兄ちゃん。


スバル>
4月25日 午前8時20分
ミキ>
私立あきさくら高校の朝は
ホームルームから始まる
アキラ>
偉そうな一宮先生が教壇の上に立ち、
抑揚のない声で出欠をとる。
その後だった。
スバル>
みんなに話がある。
今日から一人転校生を受け入れることになった
おーい!入って来い
ナミ>
失礼します。
ナミ>
初めまして!一宮奈美と申します!!
アキラ>
わお!!
なんてラッキーなんだ。
あの可愛い娘がボクと同じクラスだなんて
これは、見てるだけで楽しい。
ウン、楽しいな〜〜〜
ナミ>
何笑ってんの。
気持ち悪い。
アキラ>
え・・・?
ナミ>
隣、座るわよ。 クズ。
アキラ>
く・・・クズ・・・
ボクには衛宮アキラという名前がある・・・
ナミ>
知ってる。だけど、そんな立派な名前
名乗るだけの 器量なんてないから
クズで上等よ。
アキラ>
え、えええええ
アキラ>
ショックを受けるボクの傍らで
始業のチャイムが鳴った。


スバル>
4月25日 午前9時20分
ナミ>
ちょっと!あんた
アキラ>
・・・?
ナミ>
あなたのことよ!クズ
アキラ>
ひどいなァ クズだなんて。
ボクには・・・
ナミ>
アキラって名前があるんでしょ
分かってるわよ。
ナミ>
じゃあ・・・
ナミ>
アキラ!って呼んであげるから
言うことを聞きなさい
アキラ>
え、えええええ・・・
ナミ>
ここ、案内して。
アキラ>
え?
ナミ>
この学校よ。
今日、来たばっかりなんだもの
どこが どこだかわかるわけないじゃない
だ、か、ら・・・
ナミ>
案内させてあげるわ。
昼休みによ
アキラ>
昼休みに・・・か・・・
ナミ>
何?何が不満?
アキラ>
いいよ。わかったよ
案内するよ。


スバル>
4月25日 午前9時50分
ナミ>
まずはこの校舎が一望できるところが良いわ。
案内なさい。
アキラ>
そうだな・・・

アキラ>
ここでは、どうだろう
一望できるとしたら、ここだ。
校舎3階の音楽室だ。
ナミ>
うん。確かに・・・ここからなら一望できるわ
アキラ>
お気に召したようで、良かったよ・・・
ナミ>
それにしても、この学校は・・・
えらい広い中庭を備えているのね
アキラ>
まーねー。
学校案内にも載ってるくらいだからね
ナミ>
ここはもういいわ・・・
そしたら、次は保健室を案内してもらえるかしら
アキラ>
保健室!?
わかった。こっちだけど・・・
ナミ>
誰もいないのね・・・・
アキラ>
ああ。
ここの保健室の職員は非常勤制になってるからな・・・
いないこともあるんだ
ナミ>
え?そんなんで大丈夫なの?
アキラ>みたいだよ
万一のときには電話連絡すれば
駆けつけるようになってるし
アキラ>
じぶんで処理できる 程度のケガのときのために
薬品庫の一部はオープンになっているんだ
ナミ>
へえ~~~
アキラ>
もっとも、学校なんかでケガするなっていうコトなんだけどね
ナミ>(15センチの地球儀状のモノを設置しながらあいずち)
ふ~ん
ナミ>(設置おわって)
これでよしと。
アキラ>
あれ?なんだ?それ?
ナミ>
あれ?「聖なる泉」知らないの?
アキラ>
聖なる泉?何だ?それ?
ナミ>
これを置くことにより、治療薬に聖属性が付加されるの。
アキラ>
セイゾクセイ・・・?
ナミ>
敵から受けた傷は魔属性なもの。
だから聖属性が良く効くの。
オーケー?
アキラ>
う・・・うん・・・
ナミ>
ちょっと待って。あなた本当に何もしらないのね・・・
アキラ>
だから、そういってるじゃないか
ナミ>
まーったく
これが本家一宮を守る家柄
衛宮の一族の今なのかしら?
ご先祖様の泣いて悲しんでる姿が
目に浮かぶわ
アキラ>
・・・悪かったよ
ナミ>
そうよ わるいわよ 大悪党ものよ!!
アキラ>
ごめんって・・・
ナミ>
まあ、それもこれも 全部、わたしたち一宮家が強すぎたせいなのだけど。
これもやむなし というところなのかもしれないわね
ナミ>
あ、予鈴・・・
アキラ>
次は体育・・・剣道か。
ナミ>
剣道!?ほう!これは楽しみね!!
ゆっくりと見物させてもらおうかな
アキラ>
えええ
ナミ>
当然でしょ!?一宮を守る 宿命を持つ エミヤの練習姿を見るのは
主として義務みたいなものよ
アキラ>
まあ、そう だけど・・・
ナミ>
まあ、せいぜい 頑張りなさいな
期待しないで楽しみにしてるから

 


days off 〜散華ノ秋桜〜

〜秋桜(あきさくら)高校退魔部興亡記〜



紹介

この話は現実にありそうな高校で繰り広げられる

学校に住み着く悪霊との戦いを描いた作品です。



悪霊と戦う存在は「退魔師」と呼ばれ、

悪霊に対して有効な施術を施された武器で戦います。

武器は太刀や弓矢、杖や槍、水晶玉などで

統一して、とある禊ぎが施されています。

退魔師は世襲制で、なるためには血筋が影響します。

つまり、一般人が退魔師となりたくてもなれないです。



今回登場する退魔師は一宮家で、由緒ある名門です。

なんといっても支援を行う専属の家もあるくらいです。

衛宮家がそれにあたります。字の如くです。



今回の舞台では 一見平穏な高校に

退魔師が送り込まれてくるという

設定になっています。



ストーリーボード

退魔師赴任→学校生活群像劇→生徒の重傷事件発生

→退魔師として雑魚を狩る→大きな事件発生

ボス戦準備→ボス戦→敗北→先生と先輩が悪霊化、封印

失意のまま明日ヘ・・・



設定ポイントは

1、高校生活シーンは楽しく日常を描く。

2、他の一般生徒は巻き込まない。

3、退魔は地下の封印された場所でのみ行う。

4、つまり、登場人物たちはそれほど強くない。

世界を変えたりはできない人

5、地元のヒーローレベル。



ネタバレ

この戦いで先生と先輩が霊に取り込まれる

これによって明と美姫は悲しみ憎しみ

でも誰にも言い出せず、話が終わる。



登場人物

先生→一宮(いちみや)昴(スバル)先生

年齢45

一宮家 第39代目当主。武器は太刀。

おっさん口調?執事口調?。

退魔師としてはいぶし銀の腕を持つ。



先輩→一宮(いちみや)奈美先輩

年齢17

突然転校してきた 。偉そう。○○なさい。口調。

一宮家の娘。姉弟が居るかは伏せる。

武器は細身の刀。



生徒♂→衛宮明

年齢16 

衛宮家の次男。故あって両親と長男とは別居。

(退魔師的事情による)

退魔の事などは何も知らない普通の少年。

だが初陣以降、退魔師としての潜在的な能力が開花する。

愛する者親しいものを守ろうとする情熱的な性格。

身長170センチ 中肉中背。



生徒♀→衛宮美姫 兄である明を慕う。

年齢15

衛宮家の家事を担う。明の妹。

補助魔法に素質があり本編にて覚醒する。

身長150センチ やや痩せ気味。

退魔師としては能力は低いが、初陣以降、兄貴を護ろうとするあまり覚醒する。 

補助魔法の使い手となる。戦闘時の状況の分析力は高い。

退魔師としては終章にて覚醒予定



 


第二条~黎明編 四十九条賭場物語 エピソード4~
サヤカ>話は私たちが四十九条街に帰還した時に始まる。
アキラ>ボクたちは、宿敵、妖魔との戦いに身を投じることになり、初の登庁の日を迎えていた。
サヤカ>第4条にある妖討衛士(ようとうえじ)本陣。そこが私たちの新しい拠点となる。
アキラ>門を潜ると、ボクたちは直ちに妖討衛士の長に会うようすすめられる。
サヤカ>その長(おさ)は狩衣姿(かりぎぬすがた)で、戦士というよりは、さながら陰陽師だった。
アキラ>おひさしぶりでございます。阿部さま。
サヤカ>あべ・・さま? こいつ、そういう名前なのか・・・戦うって、どういうことだ?
私は終始、戦うという意味に違和感を隠せないでいた。
四十九条賭場物語 妖夢編・・・・

アキラ>・・・報告を続けます。賭場を運営していく中で、ここにいるサヤカと出会いました。
正しくは彼女から接触を受けたわけですが、結果的にここ四十九条にほこびる「闇の部分」に立ち入ることができ、ある一定の調査をすることもできました。
サヤカM>そりゃそーだ。私がいなかったら、立ち入ることすらもできんからな。あそこは
アキラ>その末に、鉄蔵という、闇の頭を排除したことで、組織的な力は失われたと考えております。その排除がもとで逮捕されるわけにはいかなかったので、四十九条外へ脱出したというわけです。
サヤカM>そうだそうだ。命からがら逃げ落ちたもんな・・・・
アキラ>四十九条外の生活は文字通り、旅情のそれでした。
ゆく先々でいろいろな人に出会い、いろいろな事件を解決していったのです。
ここにいる、サヤカといっしょに。
サヤカM>そうだよそうだよ。あたいとアキラは一蓮托生みたいなもんだったからね。
サヤカN>しかし、次の瞬間、アキラは口を尖らせた。
アキラ>え、もういいって・・どういうことですか?僕らの旅は無意味だったのですか?・・・て、え?・・新手が出現している・・?この四十九条で、ですか?
サヤカN>話を続けるうち、アキラの顔はみるみるうちに青ざめていく・・・
アキラ>なんですって・・・その妖魔は強大すぎて、犠牲者はすでに百を超えている。と。もう、阿部さまにも手に負えないということなんですって・・・?
サヤカN>なるほど。それで、加勢が必要で、アキラを呼び出した、ということなのか・・・
阿部と名乗る陰陽師は最後にこう結んだ。それは私に向けての言葉でもあった。
サヤカN>今宵より、アキラは陰陽術の補佐として、わたしと行動を共にする。それが阿部の言い放った言葉だった。
サヤカ>て、てめえ!なに勝手にあたいのものに手ぇ出してるんだ!!
アキラ>やめろ・・・サヤカ・・・
サヤカ>アキラ!
アキラ>サヤカさんの言うことはよくわかってる。今までやってきたもんな。でも、それとこれとは訳がちがう。今度の敵は強大ということらしいから、下調べでもして備えないと勝てないと思う。だから、今は阿部様の方針に従おうと思うんだ・・・
サヤカ>アキラ・・・・
アキラ>頼む。サヤカ・・・・
サヤカ>わかったよ・・・しかたないなァ・・・・
アキラ>あの、サヤカ。それと、もうひとつ・・・
サヤカ>わかってるよ。ここにいるのが邪魔なんだろ?精神統一しなきゃならんから、だったよね?
アキラ>すまない・・・
サヤカ>謝んなくてもいいよ。これが、仕事だもんな
アキラ>ゴメン・・・・
サヤカ>あたいはもう・・・用済みなのかな・・・・?
アキラ>用済みだなんて、そんな・・・
サヤカ>・・・・嘘つき・・・
アキラ>・・・サヤカ・・・
アキラN>ぷぃっと背をむけて出ていくサヤカの後姿がなんだか切なかった。
しかし、時間は感傷に浸る余裕を与えてくれなかった。背後で儀式の準備をしていた阿部は、部外者が部屋の外へ出たのを見図ると、かがり火を灯し、護摩を焚いた。
・・・結界の形成である。結界を形成した後、ボクたちは幽体離脱の状態になり、妖魔の出現場所へ、まずは偵察に出かけようというのだ。
阿部の呪文詠唱が進む中、ボクの意識は徐々に薄れてゆくのだった・・・
サヤカ>ちぇっつ・・・つまんない!
サヤカN>そのころ私はカヤのそとになったことに苛立ちを隠せず、近くの居酒屋で酒をひっかけていた。
サヤカ>おっやじ~~おかわり~~おかわりもってきて~~~~
サヤカ> (やや間)そのときだった
<<爆発音>>
サヤカ>!?爆発!なに、この衝撃音!?
サヤカN>あわてて外に出る。見ると、四十九条の街中で人が集まっているのが見える。
サヤカ>あの方向は・・・もしかして・・・!
サヤカN>私はおもわず走り出していた。さきほどいた、第4条の長屋の方向に・・・

サヤカ>ちょっと、どいてくれ!!関係者以外は立ち去ってくれ!ここは妖討衛士(ようとうえじ)の本陣だ!
関係者以外は入れない!!繰り返す!関係者以外は立ち去ってくれ!
サヤカM>よし・・・これでいい・・・
サヤカN>人払いをしたのち、私は本陣に入る。入るなり、私は息をのんだ。
かがり火がたかれていた祭壇は爆散してしまっており、あとには気を失った2人の姿があったのだ。
アベ>う・・・ううう・・・
サヤカ>大丈夫ですか!?しっかりしてください!!
あべ>サ・・サヤカさん・・・か・・・・
サヤカ>な、何が起きたんですか!?
あべ>妖魔の仕業だ・・・妖魔のやつ、とある人間の憎悪を取り込んでそのまま暴発させおった・・・おかげでわしも、このありさまじゃ・・・・
サヤカ>・・!?すごい火傷!!
あべ>わしのことはいい・・・それよりも・・・あやつのこと・・・
サヤカ>!?アキラ!? アキラッ!
アベ>大丈夫じゃ。死んではおらん。ただ、幽体離脱中に暴発にまきこまれたもんじゃから、精神が戻る先を見失ってしまっておる。
サヤカ>ど、どうしたら・・・!
アベ>戻るべきところを示してやる以外にない。それができるのは、そなたをおいてほかにはおらん。
サヤカ>あたいをおいて、ほかに・・・?
アベ>そうだ。あやつの傍に常にいた、キミ以外にそれを為せるものはおらん。
サヤカ>ど、どうしたら・・・
アベ>彼との接点を思い出すのだ。2人の絆の接点を見出すことができたならば、それがこたえとなるはずだ・・・
サヤカ>絆の・・接点・・・
アベ>急げ。次に妖魔が出現したとき、有効打を持つものはおらん。
サヤカ>・・・!
アベ>おい、こやつを奥の部屋に運べ。結界は常に張り巡らせておくように。いいか、何が何でも守り抜くのだ。
サヤカ>あ、アベ・・どの・・・・
アベ>我々が時間稼ぎを担おう。・・・すまない。我々にできるのはここまでだ。
サヤカ>・・・・

サヤカN>アキラの状態は外傷こそないものの、静かに寝息を立てるばかりでピクリとも動かない。
三日三晩・・・私は心が折れそうになりつつも、呼びかけ続けた。けれども、たたいても揺らしても、呼んでも怒鳴っても、帰ってくる言葉はなかった。
サヤカ>アキラ・・・どうしちゃったんだよお・・・
アキラ>すーすーすー
サヤカ>ねぇ、アキラ・・・目を覚ましてよぉ・・・
アキラ>すーすーすー
サヤカ>くっそう!!アキラ!!あんたはあたいのものだ!思い出せ!!あんたはあたいにこれをくれたじゃないか!
散ることのない、永遠の花! 背に輝く、桜の花をさ!!
サヤカN>これが思いつく最後の手段だった。痛みを伴うかもしれなかったが、目覚めてくれれば、それでいいと考えたからだった。
真夜中から彫り初め。終わったときには夜が白みだしていた。
サヤカ>はあ・・・はあ・・・終わった・・・・
サヤカ>気づけば、アキラの背中と私の手のひら、腕の辺まで・・・真っ赤な血で染まりあがっていた。
その横にはころがる刺青用の色素の瓶が凄まじさを物語っていた・・・
サヤカ>血をふき取り終わったその時だった
アキラ>う・・・・うううう・・・
サヤカ>アキラ!
アキラ>サ、サヤカ?
サヤカ>アキラ~!
サヤカN>私はアキラに縋り付いていた。
アベ>!!
サヤカN>ちょうどその時。私たちの変化に気づいたアベは部下たちに命じて、アキラの処置を行った。
処置が終わるころ・・・疲弊しきったアキラが横たわる布団の前に私は座ることが許された。
アキラはようやく口を開くことができたようだった。
アキラ>サヤカ・・・
サヤカ>アキラ・・・心配したんだぞ!
アキラ>すまない・・・・
サヤカ>もうっ・・・!!
アキラ>さっそくだが・・・
サヤカ>えっ?
アキラ>夢・・・見たんだ・・・・
サヤカ>夢・・・?
アキラ>煌びやかな遊郭の中・・・
なじみの花魁・・・
誓いの盃・・・・
そ、そして・・・・
サヤカ>そ、そして・・・どうしたんだ?
アキラ>はああ・・・はああ・・・はあ・・・・・
サヤカ>あんた・・・あんた!!
アキラ>はあ・・・はあああ・・・はああ・・・クビ・・・・つった・・・
サヤカ>なんだって・・・どこで・・・どこで・・・クビ吊った・・?
アキラ>はあ・・・はああ・・・はあああ・
サヤカ>おちついて!あんた!!
アキラ>はああ・・・・・はあああ・・・・・はあああ・
サヤカ>ほら、これを見て! これが、あんたのさくら!そして、これがあたいの!
アキラ>!?
サヤカ>背中同士、ピッタリ合わせたら、一輪の花になるじゃないか!
アキラ>一輪の・・・花?
サヤカ>そうだよ!あんたはひとりじゃない! あたいと2人なんだよ!!
アキラ>!!
サヤカ>だから!さあ、教えて!夢で見たもうひとつは・・・なに!?
アキラ>・・・五条大橋の 杉の木の・・・そば・・・・
サヤカ>!!
サヤカN>私は直ちにかけだした。額から流れ出す汗もそのままに、目的地をめざす。
到着した私は、絶句する。なぜならそこは過去に遊郭が存在した場所であり、かつて私が厄介になっていた組が取り仕切っていた場所だったからだ。組の最も太いカネヅルだった遊郭は、遊女を使って金を搾り取る施設であり、そこに勤める者は文字通り生える毛一本まで吸い取られる生き地獄だった。
サヤカN>聞いたことがある。見たことがある。かつて花魁となじみの客が逃亡を図ったという物語だ。客は花魁に惚れ、借金を返し、上納金を収め、契りも結んで、あとは出るだけという日の前夜・・・かれらは、新しい日々の門出を子を宿すことで、結わえたのだ。
 このことを察知したとある組員は、この行為が店の商品を傷つけ、損壊させてしまっているとして、2人に法外な請求をおこなった。
絶望をおぼえた、客は店の近くの杉の木に首をくくって自殺。花魁のほうも、奥座敷でカミソリで首を掻っ切って跡を追ったという・・・
 のちに、2人の関係を察知して、店の損害を防止したという功績から、この組員は若頭連中の一人に昇進したのだという。
 その組員こそが鉄蔵だったといわれている。争いごとが好きだった鉄蔵の性格を考えると、死んで、なおも、混乱を作り出そうと画策(かくさく)することは想像できた。
 私は一目散に本陣へ帰った。

アキラ>あ、サヤカ・・・おかえり・・・
サヤカ>ア、アキラ!!大丈夫なの?
アキラ>ちょっと・・・まだ背中がうずくけどな・・・なんとか大丈夫・・・
サヤカ>ゴメンね・・・アキラ・・・
アキラ>わかってるよ・・・それより・・・何かわかったのか?
サヤカ>そうだ、忘れてた!いろいろと分かったことがあったのよ!
サヤカN>私はまくしたてるように話した。五条大橋でのこと、遊郭のこと、そして、花魁をめぐる悲哀のコト・・・
アキラ>すると・・・諸悪の根源は・・・あの妖魔化した鉄蔵というわけか・・・
サヤカ>私は無言でうなずく。
アキラ>まいったな・・・
サヤカ>アキラはいつになく苦い表情で舌打ちを繰り返した。
アキラ>生身の人間だったら、まだ対応は変わるが・・・妖魔は、陰陽師じゃないと傷つけられないからな・・・
サヤカ>・・・・!
サヤカN>その時だった。それまで閉じられていた襖(ふすま)が勢いよく開かれた。
アベ>あきらめるのは、まだ早いぞ!
サヤカ>あなたは! アベさま!!
アキラ>い、いけません!寝てなくては、治るものも治りません!!
アベ>控えよ!アキラ!! もはやわしは助からん。気休めは止すのじゃ。
アキラ>・・・・!
アベ>そうじゃ。サヤカ殿、じゃったか・・・・?
サヤカ>ハイ。そうです・・・・
アベ>そなた・・・いい目をしているな。度胸もしっかりと、ある。今回であれば、上手くいくやもしれん。やってみるとしようか
アキラ>ど、どういうことです?これ以上、いったい、何を試そうというのです?
サヤカN>アベの戦略はこうだった。鉄蔵は強いものに惹かれて憑依を繰り返し、妖魔としてこの地に降臨しているため、わざと弱い人間に憑依させて、その人間の肉体もろとも、退治する。
アキラ>なんですって・・・それじゃ、アベさまが!
サヤカ>アキラ!いい加減にしろ!
アキラ>サヤカ!
サヤカ>アベさまは・・もう、死期を悟っていらっしゃるんだ・・・だから・・これが最後の戦いだ・・・
アキラ>そうなんですか・・・アベ様・・・
サヤカ>感傷に浸るな。アキラ。
アキラ>えっ・・
サヤカ>もう時間がない・・・今宵が新月のとき・・つまり、妖魔がもっともその魔力を落とすときといわれている・・
アキラ>なんだって・・・
サヤカ>早く!決断をして!
アキラ>わかった・・・アベ様・・初めましょう・・・
サヤカ>まもなく、アベ様の呪文詠唱が始まり・・・その祭壇の中央からは煙と共に妖魔が実態を表そうとしていた。
そして間もなく、現れた実態は阿部の体に収まろうとしていた。憑依しようとしていたのだ。
アキラ>サヤカ・・・・いまだ!
サヤカ>やああああああっ!
アキラ>やああああっ!
サヤカ>アキラの声で、私たちはほぼ同時に刀をぬくと、一目散に駆け出し、ほぼ同時に、アベの体を貫いたのだった。
アキラ>赤い血の飛沫が飛び散り、ボクたち二人の体を紅に染め上げた。
サヤカ>やがて、アベの体から力が失せるのがわかる。アベはまもなく、地面に、崩れ落ちた。
アキラ>ボクたちはそれを見届けたうえで。剣を抜いた。
サヤカ>その途端、アベの体からシューという空気が抜けるような音が響く。白い煙を伴って。
アキラ>天にのぼる白い煙が、アベの体から出なくなった、そのときだった・・・・
サヤカ>アベの体はこの世にとどまることできなくなくなったらしく、ほどなく、この世の空気に溶けるかのように、静かに、静かに、消えうせたのだった・・・

アキラ>サヤカ! やったぞ!! 勝利だ!!
サヤカ>アキラ!  


アキラ>こうして、長い戦いが終わった。鉄蔵との戦いに終止符を打ったといってもいいだろう。
サヤカ>その後、私たちはあくまで、お客様と楽しむ形で、賭場を開くのだった・・・
アキラ>新政府が樹立されるまでの数十年間、ボクは仲良く暮らす。サヤカと共に。
サヤカ>私たちは二つの背中で一つの桜の花を咲かせて生き続けるのだった。

おわり
 

第二条~黎明編 四十九条賭場物語 エピソード3~
N>素人賭場師アキラと玄人賭場師サヤカが宿敵鉄蔵を
葬り去り、四十九条街の外を放浪していた時代の物語だ。

サヤカ>さてさて、みなさん 今宵は丁半、されど、サイの目まで賭けとおす、丁半札差しで勝負あそばせていただいております。イカサマはご法度ということで。
サアサア賭けた賭けた、サイの目賭けた!
アキラ>・・・今夜もサヤカは賭場をはっているのか。
丁半に規則のひねりを加えた、丁半札差し。サイコロの目まで予想するものだが、ピン目が出たら、親の総取り。だが、目を子に予想されたら、そこは親の倍払い。・・・もうけも多いが危険も多い危険な遊戯。か・・・サヤカの奴、 イカサマを封印しても勝てるのだから、まったく恐ろしい・・
サヤカ>サイの目はピンゾロの丁!繰り返す!ピンゾロの丁!!
N>コス劇企画 ボイスドラマ 四十九条賭場物語エピソード3
アキラ>さて・・湯加減も、OKっと・・・おじやも味噌汁も出来たし、あとは、あいつが帰ってくるのを待つだけ・・か。・・・と、噂をすれば・・・
SE:柱を叩く音
サヤカ>アキラ!今帰ったよ!アキラ!
アキラ>おっかえり! まってたよ! お!
サヤカ>刺身だ!チョッともうけが出たんで、つくってもらったんだ!
アキラ>こいつはすげえや!あと、こっちは、これ・・・
サヤカ>・・・ん?この匂い・・もしかして、味噌汁!?
アキラ>ああ!待ってる時間に作ったんだ。風呂も、わいてるぜ
サヤカ>ありがてえ!持つべきものは相棒とはよく言ったものだな!ささ、食べよう食べよう!
アキラ>ああ!いただきますっ!
サヤカ>いただきますっ!
アキラ>この地に流れ着いてから3ヶ月の年月が流れようとしていた。ボクは、なんとかこの地に日雇いの仕事をみつけており、いつしか、定住することも頭の片隅で考えるようになっていた。
サヤカ>なあ、アキラ!ところで、おまえさあ・・・
アキラ>ん?
サヤカ>最近、毎日、昼の仕事ばっかりしているけど、賭場のことは忘れちゃいないだろうな?
アキラ>えっ?
サヤカ>だまっちゃいるけど、もし、大きい賭場を張ることになったら、やっぱり頼りになるのはおまえだ。どんなことしててもいいけどな、勘だけは、忘れてもらっちゃ困る。いいな!
アキラ>ああ・・わかっている。
アキラM>「定住は・・今の状態ではむりか・・・」
アキラ>ボクがそう思っていたときだった。
サヤカ>おお!そういえば・・
アキラ>!?
サヤカ>書留がきてたぞ。
アキラ>書留!?こりゃまた珍しい。いったい誰からだ
サヤカ>えっと・・・これは・・四十九条中務省(なかつかさしょう)
アキラ>中務省からだとっ!
サヤカ>えっと・・極メテ重要ナ案件浮上セリ。至急、省マデ急行サレタシ
アキラ> うううむ・・・
サヤカ>ちょっと、どういうこと!?
アキラ>中務省から俺宛てにわざわざ来るということは
・・この世ならざるものがあるということだ・・
サヤカ>この世ならざるもの・・どういうこと!?
アキラ>・・・
サヤカ>ちょっと、まただんまり!?おまえさん、いつもじゃないか!
アキラ>・・・・できれば、巻き込みたくはなかったが・・
サヤカ>まきこむってどういうことよ! ちょ、ちょっと!!
アキラ>・・・
サヤカ>ねえ、アンタ、最近変よ!急に黙りこんだり、話し込んだり・・・まるで別の顔があるみたい!
アキラ>・・・・
サヤカ>ねえ、なにかあるんなら、言ってよ!隠し事はもう、こりごりなのっ!
アキラ・・・
サヤカ>ここまで、なにがあっても一緒にやってきたじゃない!何!?いまさらのけ者にするってどういうことよ!
アキラ>・・・
サヤカ>分かったわよ!もういいわよ!
アキラ>えっ・・・
サヤカ>こう、信用されてないんじゃ、私たちの関係もこれっきりということよね
アキラ>・・・
サヤカ>私はアンタあっての私。そんなアンタがそうくるんじゃ、もう、私は死んだも同じ。となりゃ、こうするしかない・・
アキラ>おい!刃物なんかもちだしてきて・・も、もしかして!! おい!!
サヤカ>この部屋汚すけど、悪く思わないでね。じゃ。
アキラ>じゃ・・じゃない!
・・・悪かった!すべて話すよ!すべて話す!!
サヤカ>うふ♪話が早い♪
アキラ>一緒に来るんなら、わるいけど、早く寝ないといかん
サヤカ>え?
アキラ>入京するのであれば、ここから1時間。今回は危急扱いなので、営みが始まるより先に入らないとならん。だから・・・
サヤカ>わかってるよ。あとのことは寝床で聞かせてくれ。寝落ちになるかもしれんがな
アキラ>すまないな・・・

サヤカ>ところで、アキラの本職はなんなんだ?まずはそれから教えてくれ
アキラ>中務省直属の陰陽師部の遊撃部隊といえば、わかるかな?各地で出現する妖を偵察、交戦をして各個撃破することを目的としていたんだ
サヤカ>妖(あやかし)ってなんなの?
アキラ>死んだときに、恨み辛みをのこして、成仏できずに残ってしまった悪しき魂のことだよ。
サヤカ>・・・!
アキラ>ボクはやくざ・郎党のいざこざ問題の方面からこれを探っていたんだ。
サヤカ>だから、あんなことしてたんだ・・・
アキラ>うん。ゴメン。騙しちゃって・・・
サヤカ>別にいまさら良いわよ。で、これから、どうするの?どうなるの?
アキラ>朝、行ってみないとわかんないけど、たぶん、これから先は、ボクの助手として認定されることになるんだと思う。
サヤカ>なんだかすごいことになろうとしてるわね。
アキラ>どうだい?これでもついてきてくれるかい?
サヤカ>あったりまえじゃない!ここでやめようものなら、女がすたるというものだわ。私も行く!
アキラ>ありがとう・・。

サヤカ>そして、日が上るころ・・・私たちは久しぶりに四十九条街に帰還を果たす。
アキラ>そしてその1時間後。所要の説明がなされ、新たな任務がいいつけられる。そこにはサヤカも一緒だった。
サヤカ>妖魔討伐衛士(ようまとうばつえじ)、略して妖討衛士(ようとうえじ)それが私たちの階級職となった。

アキラ>翌朝、僕たちは妖討衛士本陣 正門にて夜明けを望んでいた。2人とも、儀式出席用の制服である、紫の陣羽織を羽織っていた。
サヤカ>いよいよね。
アキラ>ああ。いよいよだな
サヤカ>なんか、ワクワクする。だけど、どこか怖い。
アキラ>そんなもんだよ。ボクも・・そうだから・・
サヤカ>みて、アキラ・・・きれいな夜明け。
アキラ>ああ、そうだな。ほんとうに、きれいだ・・・
サヤカN>その太陽に、私は新しい戦いの予感を感じた。
その戦いの話は、また次の機会に話そうと思う。