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Nature | Photography | Music | Art

日々好奇心の趣くまま

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西表島…今回の旅の主目的地であり、八重山で最も心惹かれる奥深い島で、今回が三回目の訪問。

事が上手く運べば数年のうちに世界遺産に登録されるかもしれない…いやきっとされるだろう。

そうなると不適格な人々の訪問も増えてこの島の手付かずの部分も整備もしくは荒らされ、それに準じていろいろな制約事項が増えていくだろう。

そうなる前になるべくこの島を撮影しておきたい。

GWの限られた日数で廻れるのは高々数箇所に過ぎないのだが…


浦内川やピナイサーラ滝をはじめ一般的なルートは既に廻っているので、今回はそこから一歩踏み出して少々難易度の高いルートを攻めて見ようと思った。


とはいえ、西表の探検に関しては際限なく上級者が数多くおられるので、そのあたりから比べるとまだまだヒヨっ子なのですが…

まずターゲットにしたのがユツン川上流にあるユツン滝。


西表にはアクセス不可能なものも含め無数の滝があると思うが、あるものはアクセスするのに本格沢登り装備や幕営装備やカヤック必須だったりするので、とりあえずはそこまでの装備が必要なくて、そこそこ歩き甲斐がありそうで秘境感もありそうなのがこの滝だった。もちろん滝の美しさも選定基準。

通常ここはガイドツアーで行く場所なので標識などは何も無い。こんなガードレールの隙間から入る。


川沿いに上がっていく。途中まではルート明瞭。




いかにも西表らしいマングローブに飾られた川。




湿気の多い苔の森。もののけの世界。

 

 


撮影できなかったが、途中八重山イノシシに遭遇。とにかく湿気が多い。

雨が降り出す。 この時点で少々嫌な予感。

渡渉を繰り返しだんだん道が不明瞭になってくるが、テープが必要最小限にあるため道迷いはあまりない。

その後、巨大なナメに出て、それを登る。ここが最も苦労した場所で、とにかく滑る。仕方ないので四つん這いになり最大静止摩擦力を最大限にして慎重に登る。

 


滑って死ぬことはないだろうが、制止できなかった場合は周囲に大岩もあるので場合によっては危険。

その後ナメ登りと森歩きが交代で来る。そして事前情報がありながら罠にハマってしまった。
何度目かのナメを詰めていくとこんな大岩で囲まれた空間が現れてそこでルートが途切れる。




周囲を見てもルートの続きらしいものはなく、テープもない。


ここが事前に聞いていた騙しポイントだと気づき、滑りがちなナメを再び下る。戻ってみると正しいルートが見つかった。時間ロスをした。


つまりは、最後のナメは登らず横断するべきなのだが、ナメ登りと森歩きが繰り返すのでリズムに乗ってしまって最後のナメも登ってしまう。更には横断する先のテープが少々下流にあるので知らなければ見過ごしてしまう。 すこぶる人間工学に反したルートになっている。

そして、ふと足元を見ると嫌な予感が的中。閲覧注意ゆえ縮小しております。




亜熱帯モノなのでデカい。しかも左右の足に複数… 久しぶりにやられた。
無理に剥がすと血が止まらなくなるのでそのままにして進む。塩を持ってくればよかった…

更に森の中の急登を行くと突然視界に現れる。すごい。壮麗すぎる滝。



 



西表はこのレベルの滝を多数擁しており、その多くは人の侵入を拒むような場所にある。ここはまだアクセス容易な部類に入る。 それだけでもやはりタダモノではない島です。

折角なので撮影もしながら(ヤツらをぶら下げたまま)滝行を。



 


雨が本降りになってきた。
そのまま滝上にも行けるのだが、雨が激しくなって危険なのと、吸血鬼の襲撃で鬱になっていることもありここで退散としました。

このようなルートは少々寒くても冬に行ったほうがよろしいようです。

GWを利用して久しぶりに八重山を探索してきました。

八重山の島々の中で竹富と小浜は観光地過ぎたり海が期待できなかったりして訪れるモチベーションがあまりないので、それらを除く最後の未訪問だった島が鳩間なのです。

一方、知人の中にも「鳩間しか行かない」と豪語している人がいたり(実際今回現地で鉢合わせした)、この島にリピートしている話は多く、ある種の人々を惹きつける何かがある島のようです。

…ということで実際に行ってみた。

散策してみた鳩間の唯一の集落はこんな感じ。


 

 



島一周道路はあるが、集落を離れるとずっと景色は変わらずこんな感じ。




所々で海岸に出ることができるが、どこも風景は同じ。




干潮であれば海岸沿いに一周することもできそう。

 


その一周道路も一時間もあれば歩けてしまう。歩き足りないので内陸にある観光マップに載っていないトレースを見つけて踏み込んでみる。ハブのいない島なので安心である。

立派なガジュマルを発見。




本来であれば名前を付けられて観光スポットに加えられてもいいレベルなのだが、何故かほったらかしで藪漕ぎをしないと近づけない。

という感じで歩き回ったが、それも数時間もあれば陸上で探検する所がなくなってくる。

さて、次に海の中の探検にとりかかるが、鳩間でダイビングをする話しもあまり聞かず、離島.com以外の海中の情報はほとんどない。


google mapの航空写真を見ると、鳩間のリーフは東西に大きく広がり、特に東の方は隣の西表に達しそうな長さ。

干潮になると遠方にリーフの長い浮島ができて西表まで歩けそうな錯覚を起こすほど。




島の南は航路になっているので安全に素潜りはできなさそう。
従って、リーフ外で水深を取って素潜るのであれば島の北側が唯一の選択ということになる。

ということで、島の北にある島仲浜から沖に出て左右に振って探索をしてみた。




生きたサンゴはそこそこいる。





沖縄によくあるダイナミックなリーフエッジのようなものはなく、なだらかに深くなっていく感じの海であまり地形的な面白さはなさそう。

 


とはいえ、所々に白砂の水路があって気持ちの良い場所もある。川もないので透明度はまあまあ。





魚影は平均的だが、ウミヘビがやたら多く巨大なものもいて寄ってくる。ウミヘビは人を見ると隠れ場所と思って寄ってくる習性があるようで、噛まれれば命はないし少々おっかない。温厚なので噛むことはまずないが。


サメと遭遇。大人しいネムリブカなので襲うことはない。


左右に泳いでみたが、あまり様子は変わらない。どちらかというとノッペリした海という印象。


ということで、海の探索も一時間ちょっとで終了。

正直なところ、今回探索した範囲では海の中目当てで訪れる島ではないようです。
ちなみに有料でよければ近くのバラス島に舟でスノーケリングに連れて行ってくれるそう。

集落の明かりも少ないので、夜になると八重山の隠れた名物でもある満天の星。




簡素な宿が数軒あるだけで商店もアミューズメントもなく、綺麗な色の海があるだけ。 




それぞれが自分の居場所を見つけてただただのんびりする、もしくは同じ香りのする旅人を見つけて飲んだくれる…
この島で沈没する人々の気持ちが少しばかり分かったような気がした。
 

 

旅の終盤、翌日秋田からフェリーで帰るという日、フェリー会社からTELが。
折からの強風のため(少なくとも)翌日の欠航が決定したとの連絡。
さて困った…

明後日に確実に就航するのであれば一日待つのだが、風予報はしばらく弱まる気配がないしその保障はない。
思案した結果、フェリーを払い戻して秋田~東京を陸路で帰る事に。


高速で帰るのはつまらなさすぎるしなるべく下道で。 ついでに通り道なので当初予定に入れていなかった鳥海山麓を少しばかり探索することにした。
もちろん天候さえよければ鳥海山そのものに登るのだが、フェリーが欠航するほどの天候なのでそれは無茶だろう。

鳥海山麓はいろいろ面白そうなスポットが多くてまだまだ探索しきれてないのだが、未探索の場所の中で「獅子ヶ鼻湿原」を選ぶ。
まだ雪の多い時期にここを散策するスキモノはあまりいないと思うが、ここにした理由は植生保護のため積雪が多い時期しか森の中を自由に歩けなさそうだったから。

ここの見所はいろいろあるのだが、個人的には「異型ブナの森」と「出つぼ」という鳥海山からの湧水が地上に出る蒼い淵が見たかった。

アクセス道と駐車場までは無雪だが、一旦森に入るとまだ深い所だと1m近く積雪があるためスノーシューを装着。この時期なので当然だが、誰一人いない静かな森。


まずは異型ブナの親分である「あがりこ大王」と呼ばれる300歳のブナに謁見に行く。

森の中は遊歩道が設置されているはずだが、積雪で完全に覆われていてトレースもないためまったくルートが分からない。
GPSと事前にヤマレコでダウンロードしたルートデータ(いつも大変お世話になっている)を手がかりに森の中を進む。

大王様以外にもそこかしこに異型の人たちが棲んでおり、それぞれの造形が面白くて足がなかなか進まない。


新緑や紅葉の時もよいのだろうが、こういう樹木は裸の方が凄味があるように思う。
そもそも無雪期にはおそらくこんなに近づけないが。

大王謁見への道。


大王様と対面。


随分人為的に補強されているが、やはり立派。しかしさすがにこの歳だとあとは朽ちて行くしかないのだろうか。

 


方角によって表情が変わって面白い。



さて、謁見が終わったので次の目的地の湧水に向かう。
大王への道より格段に足元が悪く雪が腐っている。ひどい所だと3歩に1歩は踏み抜いてしまう。

到着。
雪の白に蒼と碧が映える。


モネの絵みたい。


味は…普通に美味しい湧水です。

いつもの如く水中を。

 


過去にも幾つか鳥海の湧水を廻ったが、どこも本当に綺麗だと思う。

ということで「東北でよかった」のバズワードが一世を風靡している日にタイミングよく東北旅シリーズをとりあえず終了します。
当初の予定を天候によってことごとく覆された東北旅だったが、想定以上の収穫があった「東北はよかった」旅となりました。

実は三陸海岸に来た主目的はこの絵を撮ることでした。
ずっと昼間にあちらこちら探索していたのも、これを撮りたいためのロケハンを兼ねていたりします。

高所俯瞰・海原・月の光の3つが揃うとそれらの相互作用によってそれはそれは美しい絵になることは今まで無数に海岸探索や島旅をしていて体感している。

月の明るい夜に高所から見渡すと海原には月が反映して壮大な光の道ができる。


もしくは強風による荒波が作り出す飛沫を長時間露光すると海面に紗のような美しいパターンを描き出し、そこに印象的な岩礁があればそれだけで非常にフォトジェニックな風景となる。

 



満月前後における強風の三陸海岸というのはこれらすべての要素を満足する場所。絶好のタイミングかつ滅多に来られない場所ゆえ、昼間の歩き疲れや睡魔と闘いながらなるべく多く撮影した。
必ずしも頭で描いていた通りの絵になったわけではないが…


 

当然のことでもあるのだが、多くの場所をロケハンしたものの結局は人工的な展望台からしかこういう高所俯瞰の絵は撮れないことを実感した。
もちろん岩礁はいたる所にあるのだがほとんどの場合樹木が邪魔になって撮影に不適。いい場所があったとしても断崖の上の不安定な場所のため夜中に踏み込むにはあまりにも危険過ぎたり。あと、クマの危険も。

 


 

展望台のようなアクセスの簡単な場所で撮るのはあまり達成感がないのだが、今回実地調査した限りではそれ以外の選択肢はないようです。


 

前回割愛した部分で、今回の三陸海岸探索で一番時間をかけた場所です。

 

鵜の巣断崖…どんな岩手のガイドブックにも載っているだろうし、風景写真誌のお勧めスポットにも頻繁に取り上げられる場所。
駐車場から10分ほど歩いて展望台に立ってシャッターを押すだけでこんな壮大な風景が撮れるわけです。

 

 

逆に言うと船でアプローチするかドローンを使わない限りこのアングルの写真しか撮れないわけで、どうもそれだけでは満足できない性分で…
もっと他の切り口がないだろうか? もっとこの断崖を楽しむすべはないか? そう考えて更に周囲を探索してみた。

 

途中で少々危なげな場所を通る必要があるため場所は伏せておくが、こんな所を見つけた。

 

 

一本の木が邪魔をするので風景写真的にはつらいが、断崖の全貌をより前方から見ることができる。

 

その他のアプローチも探索してみたところ、更にマップをよく見てみると展望台と断崖の間に位置する海岸に降りられる林道が延びているようで、より断崖を近くで見られそう。車で突っ込んでみた。

林道はすぐに砂利道となり、そのまま4kmほど進まなければならない。

 

 

途中三陸鉄道と交差する。断崖の中の地中を鉄道が走っていたとは…

 

 

海岸が見えてきた。

 

 

もともとは何か建造物があったのだろうが、今は瓦礫と流木のみの海岸。

 

 

折からの強風で海は大荒れだが、断崖を下から見たらどう写るのかを見たかったので海岸線に近づいてみた…すると。

 

 

隧道? 断崖の真下に??

高波を被っているためこれ以上近づくのは不可能。

 

 

更に海岸を散策してみるとこんな道標を発見。

 

 

「みちのく潮風トレイル」、知らなかったのでググってみるとすごいことが判明した。

 

http://www.env.go.jp/jishin/park-sanriku/trail/

 

なんとこれ、青森の八戸から福島の相馬に至る総延長700kmに及ぶ海岸線を巡る壮大なロングトレイル計画であること、昨日歩いた黒崎~北山崎間にあった遊歩道もこの一部であること、ひいては東北地方の太平洋岸の散策路を網羅していること、更にはこのトレイルを完歩した人々がいて情報を上げてくれていること等々。
もしこの情報を事前に知っていれば今回の探索の効率も格段に上がっていたのに…と少々悔しがる。

 

展望台に戻ってよく探してみると、先ほどの隧道の情報もあった。

 

 

なんと、通行困難箇所があるものの幾つかの隧道を経て鵜の巣断崖の下の海岸を徒歩で通行できるみたい。 つまり鵜の巣断崖を下から眺めながら歩くことができるということ。


これは是非とも歩いてみたいが、Web上にも詳しい情報、特に震災後の状況の詳細はざっと見た限りでは見つからなかった。


そこで、波が高くない日の干潮時に改めて突入してみることにした。行けるだけ行って通行が無理そうなら帰ってくればいい。

 

注. 結果から言うとこのコースは非常に危険。三点支持など基本的な登山の技能、不安定な浮石・滑り石や流木などを判断/対処できる磯歩きの技能、高波に流された時にリカバリできる技能は必須。崖上からの落石を常に気にかけながら、海況平穏な干潮時限定。潮が満ちている時、海が荒れている時はまず無理。

 

そしてトライの日、風は強いものの沖出しの風。この方向の風はかえって波の発生を抑えてくれるので好都合。干潮の時間を狙う。


まず下見として、先ほどのマル秘スポットに行って600mmレンズを使って全行程のチェックを。

 

 

遠目で見る限りは通行困難な場所は見受けられない。強いて言えばゴロタが続いている箇所と海岸が狭くなっている箇所くらいか。

 

いざというときのために山と海の双方の装備を持って、まずは展望台駐車場の横から冒険は始まる。

 

 

先日の海岸(真木沢海岸というらしい)までは非常に整備された快適な山道で危険箇所はなし。

 

 

先日は大荒れだったが、本日の波は皆無に近い。やはり沖出し風が波を抑えてくれているようだ。これなら仮に波にさらわれてもなんとかなりそう。

 

さて、昨日高波のため遠くからしか見られなかった真木沢隧道に近づいてみる。

 

 

穴は塞がってなさそう。入ってみる。

 

 

すると内部はいきなりこれ。

 


もともと作ってないのか、津波で破壊されたのか定かではないが乗り越えるのはたやすい。


なかなかフォトジェニックな隧道。

 

 

隧道出口の地形。

 

 

狭い海岸。次の隧道が見えている。

 

 

鵜の巣を見上げる図。目も眩むような断崖。地震がきたらひとたまりもなさそう。

 

 

さて、次のながおり隧道に入ってみる。内部は流木だらけだが、注意して進めば問題なさそう。

 

 

ながおり隧道は次のみひき隧道にほぼ連続している。

 

 

みひき隧道内部。何の問題もなし。 撮影忘れ。

 

みひき隧道出口。ここは少々高低差がある。三点支持遵守で慎重に下りる。

 

 

次の海岸は落石の嵐。結果的に一番緊張したのはここだった。

 


最近と思われるような落石もあった。足元も悪く、浮石に注意しながらなるべく早急に通り過ぎる。

とはいえ、上を見ると絶景なのだが。

 

 

さて、次のにごり隧道だが、穴が二つ開いているが、左側が正解。右はただの窪み。

 

 

にごり隧道内部。びっくり、胸くらいの高さの大岩が行く手を塞いでいる。津波の威力恐るべし。乗り越えて進む。

 

 

にごり隧道その後は問題ない。

 

 

出口の高低差はかなりある。三点支持で慎重に。

 

 

その後、かなり広い海岸が続く。

 

 

見上げると相変わらず絶景の連続。

 

 

 

最後のにわが隧道。全く問題なし。

 

 

さて、ここからが海岸侵食で通行困難と記されていた箇所になる。

 

 

当面は何の問題もなさそうだが、確かに干潮時以外の通行は危険だと思われる。

 

 

ここが震災前から一番難所とされている一番狭い部分だが、干潮なのであっけなく通過。

 

 

美しい滝発見。

 

 

少々厄介な流木とゴロタの地帯。足場がかなり不安定だが、慎重に乗り越える。

 

 

もう一箇所狭路。

 

 

さて、最後の海岸。ゴールの車道が見えてきた。

 

 

ゴール。

 

 

展望台から見ると風光明媚な鵜の巣断崖だが、あまり知られていない反対側のエンドはこんな感じ。
まだ津波の爪あとが濃厚です。

 

 

ちなみに、この後車道と林道を通って展望台まで徒歩で戻ったのですが、大回りをするため2時間程度、しかも高低差もかなりあり帰路の方が体力を必要とします。