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Nature | Photography | Music | Art

日々好奇心の趣くまま

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久しぶりに動画を作ってみました。


先日の東北旅行の際に撮影した月夜の三陸海岸の断崖。
若干実験的な作品です。


 

撮影時の詳細は以下で。

http://ameblo.jp/delphinus1024/entry-12268813756.html

(うまく行ったかどうかは別として)今回、ある新しい挑戦をしてみました。

それは「星が出演しないNight Time Lapse」。

そもそも満月の時期の撮影だったので星はほとんど写らない。
そこでどうせならそれを逆手に取り、星や空を極力フレームアウトして刻々と変わる白波の表情と海面に反映する月だけで時間の推移を表現してみようとした。

長時間露光特有の白波のシルキーな感じを出すためいろいろ画像処理を試行錯誤してみたのだが、動画にしてみるとなかなか頭で描いているような滑らかな絵にはなってくれない。とりあえず複数の技法を駆使して頑張ってみたがまだまだ理想とは遠く、将来の課題とします。



音楽について。

今回の撮影をしていたときにずっと頭の中で鳴っていた曲があって、それは畏れ多くもMaurice Ravel大先生のとあるピアノ曲。ちなみに"jeux d'eau"ではない。
おそらく月の光を青白く反射しながら刻々と表情を変える海面の動きが硬質なテンションノートたっぷりのRavelの曲を彷彿とさせたのだろう。

で、そんな感じの音楽を映像につけたかったのだが、Ravel先生のような凄い曲っぽいものを即興で弾けるわけがない…
ということで、とりあえずテンションノートてんこ盛りの感じだけ拝借して曲を仕上げてみた…が、実際映像に付けてみると静謐な映像なのに音楽だけが前に出てしまって五月蝿くて仕方がない。故に残念ながらボツ。

その後上記のようなこだわりを廃して何とか映像に合う曲を即興で何テイクか録りなおしたうちの一つが今回のものです。当初の計画から比べると随分丸く大人しくなってしまったが…

ただし、折角なので映像の最後の方でボツにしたバージョンをちょっとだけつなげてます。最後ちょっとだけRavelっぽい響きでしょ?

「頭の中のイメージをそのまま具象化して作品にする」という簡単そうな作業が実はとても難しい。まだまだそのあたりのスキルが全然足りていないようです。

 

 

少々デリケートな場所なので書くかどうか迷ったのだが、そこで見た風景が想像以上に絶景だったので番外編として記しておこうかと思います。


もちろん、WW2時にここで犠牲になられた方々には敬意を持ちながら。

GW最終日、石垣~羽田の直行便が取れなかったので那覇経由で沖縄本島に一泊して帰る事にした。

毎回、沖縄本島の最終日はお気に入りの糸満の海で素潜ってから帰ることが多い。
糸満の南岸は那覇空港からさほど遠くない場所にあるにも関わらずあまり開発されることもなく今でものどかな沖縄の風景を残しており、おそらくそれはWW2の時の惨劇の舞台となったために幾分アンタッチャブルな場所になってしまっていることと、断崖が多くて港が作れないことの二つが大きな要因になっていると思う。

一方このあたりの海岸は地元のサーファーや釣り人にとってはごく日常の活動フィールドだし、ダイバーにとっては断崖がそのまま海の中まで続くダイナミックな地形とあまり荒らされていない海が楽しめる隠れ人気ポイントとなっている。

今回はあいにく海が思いのほか荒れていたので潜るのはやめて、たまには糸満南岸の陸上側を散策することにした。

喜屋武岬…荒々しい断崖が続く糸満南岸の中でも最も迫力がある風光明媚な場所なのだが、WW2の悲惨な出来事の舞台ゆえ戦跡としての側面が語られることがほとんど。

喜屋武岬展望台から見る糸満の海。高低差は30m以上。


展望台横にある灯台の近くに獣道があって、崖ぎりぎりの場所まで行くことができる。 写真では迫力が表現できないが、実際は眩暈がするほどの高低差。




ここを訪れる観光客は慰霊碑に手を合わせた後に展望台と灯台で風景を一眺めすればその他には何も無い場所なのでここであまり長居する用事はない。自分も以前はそうだった。


しかし今回、泊まっていた宿の人から喜屋武岬の崖上から磯釣り用に崖下に下りられるルートがあることを聞いた。

上から眺めると足がすくむような崖なのにそんなルートが本当に存在するのか半信半疑ながら興味を持ったので探検してきた。

おそらく地元の磯釣りのおっちゃんしか行かない場所。
かなり危険なルートなので、磯や岩に慣れている人以外はやめておいたほうがよい。自前ロープ持参の方が安全かも。

そのルートへの入り口は公衆トイレの裏側にひっそりと観光客に気づかれないよう(?)隠されている。




しばらくは薮道。




薮道の終端にルート上最大の難所がいきなり来る。
ここから足を踏み出す勇気を持たなければまずは始まらない。

 


頼りないロープはある。
難しいのは、降り口が大岩になっていて、次の足場がその大岩下部の奥の方にしかない。つまり体を思いっきり「つ」の字に曲げないと次の足場に届かない。
もしここで滑ったとしたらその落下方向によっては崖下滑落もありうる。

その後は若干緩やかになり、ロープを頼りに下りていく。すでにかなりの絶景。これだけ見ると山岳の岩稜帯のバリエーションルートと言っても騙せそう。




崖上部では風が強かったが、ここまでくると無風になる。海側にも岩がそそり立っているので深い渓谷のような地形。潮騒の音も遠く静寂で、なにやら異空間に下りていくような気分。


最後は梯子で、それを下りると一段落。梯子から難所を見上げる。




ゴロタ岩の上を慎重に岬の崖下あたりまで降りてくる。巨大な岩に囲まれた特異な空間。上にある展望台からは想像できない風景。





喜屋武岬を見上げる。もはや海岸にいるという雰囲気ではなく深い山にいる気分




降りきってから海側に方向を変えると次の世界への門が開いている。




門をくぐり振り返って海側から。異空間に結界が張られているよう。


海岸に出ると雰囲気は一変して別の惑星のような風景が広がる。





この海面下には地上に負けず劣らずの絶景が広がるが、それはまたの機会。




この場所、リーフがあるので船ではアプローチできないし、崖降りコース以外にここに来る方法はなさそう。
今後も地元の釣り人だけが眺める風景であり続けると思われます。
 

 

フォトジェニックな被写体に溢れる西表。いくら時間と体力があっても足りない。
事が許すなら数ヶ月ほど長期滞在して片っ端からくまなく撮り歩きをしてみたいほど。事は許さないが…

個別説明は割愛して順不同に。
簡単に撮れるもの、少々苦労したものいろいろ取り混ぜて。


 

 

 

 

 

 

 

 



ということで、西表シリーズを終了とします。
 

西表は無数の濁った川が海に流れ込む島なので、船で沖に出ない限りは海の蒼さや透明度は過剰に期待できないところが多い。(そのあたりを求めるのであれば川の無い宮古諸島の方が最適)
その代わりにその川が運ぶ栄養分がよいのだろうか、サンゴの種類の豊富さや魚影などは群を抜いている。

難点はGoogle Mapの航空写真で見れば分かるのだが西表は総じてリーフエッジが非常に遠く、島の大きさの割にはビーチエントリーで簡単に素潜りができる場所は多くない。

今回、そんな西表の2箇所で素潜ってみた。

まずは「まるま海岸」。今回初めて潜る場所。


上原港のすぐ横にあって、隣の中野海岸と比べて駐車もしやすいし砂浜なのでエントリーもしやすい地元民向け隠れビーチ。

 


少々リーフエッジが遠いが、ここの沖のサンゴがなかなか凄いらしい。

かなり泳いでリーフエッジに到着。西表とは思えないような透明度と有人島らしくない健全なサンゴの群生。




 


港に近いほど水深が深くなってダイナミックだが、あまり近づくと航路なのでほどほどの所まで。




そしてもう一箇所「うなり崎」。

この「うなり崎」とその対岸にある「トゥドゥマリ浜」に関しては好ましからざる遍歴がある。
そもそもこの二つの場所は西表でも神聖な場所だったらしく、「トゥドゥマリ」とは「神がとどまる」の意味を持つらしい。




トゥドゥマリから見たうなり崎。




実に美しい岬だが、以前は不気味な巨大廃墟が岬の先端に建っていて景観を害していた。その昔、島の有力者が拝み所を無理やり破壊して建てたものの、そのままポシャったらしい。 今は取り壊されてセンスは良くないながら公園になってマシになったが、もはや神聖な雰囲気は感じない。

そしてうなり崎から見たトゥドゥマリ。




優美な浜はそのまま浦内川のマングローブの茂る広大な河口に続き日本でも屈指の美しい浜なのだが、その真後ろにある住民の反対を無視して建てた某豪華リゾートが環境と景観をぶち壊している。こちらは今でも絶賛営業中だ。
トゥドゥマリは神聖な浜から風光明媚な浜にグレードダウンしてしまったように感じる。




同社はこれに懲りずに舟浮のイダの浜も食指にかけようとしているという話も聞く。

どうして(ごく一部だろうけれども)人は権力や富を持つとこういういらんことををしたがるのか…なんとかならんものだろうかといつも思う。

さておき、幸い彼らも海の中の景観までは荒らしてはこない。うなり崎は西表で一番好きな素潜りポイントのひとつ。
公園が出来てから隣の浜からエントリーしやすくなった。




サンゴの豊富さはまるま海岸には敵わないが、かなりのもの。




とにかく地形がダイナミックで飽きさせない。





無数の水路は迷路になっており、全体的にさほど深くないので通り抜けて遊ぶことができる。




個人的に勝手に「アントニオ・ガウディ」と呼んでいる水中洞窟。天井に美しい穴が開いていて光が漏れてくる。

 


探せば自分だけの遊び場がいくらでも見つかる。
こんな面白い素潜り場所のストックを各地にいくつも持っておきたいものだ。
 

 

これが今回の西表島での主目的だったりします。

西表の中でもとりわけ秘境とされているのが西側の道路の通っていない無人地帯で、陸路なり海路なりでここを突破するのが西表でもトップクラスの冒険となっており、同時に少なからず遭難や犠牲を出している場所。

今回、ここに少々足を踏み入れたのはそんな大それたことではなく、別の理由。

西表の西側にある無人地帯にある二つの湾、崎山湾と網取湾は「崎山湾・網取湾自然環境保全地域」として海域としては国内唯一の自然環境保全地域として保護されており、国内でも有数の貴重なサンゴの生息地となっている。(昨年の異常水温でかなり白化してしまったそうだが)


そのサンゴの海で素潜ってみたいというのが以前からの念願だった。

しかしその実現にはいろいろ障壁が。

楽に行くには網取湾へ行くボートスノーケルツアーが催行されているのだが、昨今海難事故が多くツアー業者は当局からフロートジャケット着用を義務付けられているらしく、要は海面からサンゴを眺めるだけらしい。それではつまらなさ過ぎる。

そうなると自由に素潜るには自力で網取まで行くしか方法はない。

その場合、拠点となる船でしか行けない陸の孤島・舟浮はキャンプ禁止の上に宿も満室だったので連絡船で日帰りする必要があった。 始発の08:45で舟浮に行き、17:10の最終便で帰ってくる必要がある。 


撮影時間・食事時間や途中の道迷いによる時間ロスも考慮に入れるとかなりぎりぎりのスケジュール。

その行程は、まず舟浮から一山越えた場所にあるイダの浜からエントリーして1.5kmほど海岸線を延々と水中歩行、その後標高100m弱の岬(サバ崎)を越えるために悪路+ルート不明瞭な山道を行くと網取湾に着く。更に海に入ってサンゴポイントまでは泳ぎで片道約1kmほど。
これらを往復する変則的なトライアスロンを制限時間内にこなす必要がある。

さて当日、雨予報だったが大ハズレで晴天。気分よく探検ができそう。朝一番の連絡線で舟浮に向かう。

船でしか行けない陸の孤島・舟浮集落。メディアでも時々紹介されている。ここが西表北側終端の集落となる。今回は泊まれないが、のどかで居心地はよさそう。




舟浮から15分ほど山越えした場所にあるイダの浜。一般観光客にとっては西表の最果ての場所だが、今回はここが始発点となる。

 


幸い探検を終えた人とタイミングよくすれ違ったのでいろいろ最新情報を得られた。

荷物を防水バッグに詰め、この浜の左端から入水して海岸線の水中歩行から網取への探検が始まる。干潮時間を逃したので時折胸あたりまで水に浸かってしまう。とりわけイダの浜出発直後が足元が悪くてハード。前半は荷物を浮かせながら泳いだほうが楽かもしれない。

時折上陸して休憩。プライベートビーチがそこかしこにある。




海岸線歩きが終わってサバ崎へとりかかる場所はこんな感じ。

 

 

白いウキが目印と聞いていたのだが、遠目に見るとそれっぽいもの(別のウキとかゴミとか)が多くて見つけるのに若干の時間ロスをした。
分かりやすい見つけ方は遠くから見て森の部分と崖の部分の境目を目指せばよいことを学習した。

こんな湾を徒歩で横断してきた。 水深は深くても膝上くらい。

 


サバ崎の山越え道は先ほど聞いた最新情報によるとテープを追っていけば迷わないとのこと。
確かに種類や色はまちまちだがテープやら紐やらがルート上の樹に括り付けてある。トレースが不明瞭な箇所も多く、もしテープがなければかなり迷ったと思う。

滑る岩が多い以外は危険箇所や通行困難箇所はない。




一番の難所。垂直ロープ3段+よく滑る+足置き場が乏しいという三重苦の場所。




峠の地点。あちらこちらにイノシシが作ったヌタ場がある。スケートリンクかと思うくらいに滑る。

 


撮影を忘れたが、途中に炭焼き小屋の残骸のようなものがあった。こんなところに人が住んでいたのか。

立派な板根があちらこちらに。




あとは滑りやすい急登を慎重に下っていく。

着いたようだ。




ずっと念願だった網取湾。
プライベートビーチならぬプライベートベイ。(他の探検者がいなければだが…)



 



こちら側にもこんなブドウのようなウキが取り付きの目印。




イダの浜からここまでの所要時間は2時間ほど。
対岸には東海大学の研修施設がある。
この湾から更に島を縦断して南岸にある桃源郷・鹿川湾へ抜ける上級コースがあるが、今回の目的はそこではない。

これからがクライマックスになる。湾外に向かって1kmほど泳がなければならない。
防水バッグを帰りの目印になるよう高いところに吊り下げておいて出発する。サンゴポイントはよく見ると沖にブイが浮いているのでそれを目指せばよい。

当初は砂の浅瀬が長く続く。




しばらく進むと一面こんな海藻の森になる。八重山ではよく見るが名前が分からない。




よく見ると幾何学的・数学的な形状をしている。フラクタル図形によく似たものがあったような、Hopalongだったか。




ぼちぼちと水深とサンゴが増えてくる。まだまだ平均的な沖縄の海で、すごいという感じではない。




沖に行くにつれてサンゴの量が増えてきて地面がだんだん見えなくなってくる…これはすごくなりそうな予感。




そしてブイの周辺でついには多様なサンゴで埋め尽くされた森になる。やはり白化はしているが、生き残っているものも多い。圧巻。

 

 


-20mほどまで潜ってもまだまだ下にサンゴが続く。

 


こんな海中風景はあまり見たことない。似たような風景があるのは国内では小笠原の製氷海岸くらいしか思いつかない。白化前はどんなに凄かったのだろう。




耳の状態が持つ限り夢中で撮影する。




さて、一通り撮影を終えて同じルートをピストンして最終便まで一時間以上の余裕を持ってイダの浜に戻ってくる。往路の時は楽しむ余裕がなかったが、美しいビーチだ。

 



時間も余ったのでアウトリーフまで泳いでみたが、結構な急深だった。


という感じで、なんとか無事に本望を果たすことができました。

今回は行けなかったが、もう一つ岬を越えた崎山湾は話に聞くと更に凄い海中風景らしいが、スノーケリングでは太刀打ちできないとのこと。
相手にとって不足はないので、次の機会があれば途中一泊でチャレンジしたくなっております。