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Nature | Photography | Music | Art

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きっかけは先日購入したこういうマニアックすぎる本。
 

超拡大で虫と植物と鉱物を撮る—超拡大撮影の魅力と深度合成のテクニック (自然写真の教科書1)


内容が素晴らしくディープで感化されたのと当面は梅雨全開であまり外出できなさそうなので、ちょっとばかり超拡大沼に嵌ってみることにしました。

個人的に興味があるのはこんな感じに現実世界から離れて抽象画に近くなってくる拡大率数倍から数十倍のあたり。




本格的に究めるなら高価な顕微鏡などを揃えなければならないだろうが、そこまでの甲斐性はない。
とりあえず始めてみたのは、この本にも紹介されていた200mm前後のマクロレンズの前面に顕微鏡の対物レンズをくっつける方法。

学術目的でもないしまずは安価に始めたいゆえ、格安の割には評判の良いAmscope製対物レンズをebayで買ってみた。
とりあえずx4とx10のInfinity Plan Achromaticを2本。いずれも破格値で数千円程度。




更にはマクロレンズに装着すべくアダプターが三段階。




対物レンズの多くはRMSマウントと呼ばれる規格で装着されるため、まずはRMS->M37mmのアダプタ、これも日本では手に入らないのでebay購入。
次にM37mm->M62mm、最後に所有しているTamron SP AF 180mm F/3.5 Di LDのフィルタ部分に装着するためM62mm->M72mm。

更にはこんな台も購入。もともとは複写用テーブルだがマクロ撮影にも使える。
 

LPL コピースタンド コピースタンドCS-A4 L18142


照明として演奏時に使う譜面ライトを流用。都合よく2灯式スポット照明になってくれる。

 

 

MIGHTY BRIGHT 譜面台用ライト Xtra Flex Duet2 BLACK


全体を組み合わせるとこんな感じ。




 

ちょっとでも絞るとケラれてしまうので、こういう用途にはフルサイズよりM3/4マウントあたりの方が使い勝手がよさそうです

以下、いずれもウチの周りに自生で咲いているものを撮ったものです。Tamronの特性が原因なのかトロトロの画。

 

 


この撮り方+倍率だと被写界深度が極端に浅くなるので、本来は複数枚撮ってFocus Stackingするのが常道なのだがそのあたりは次ステップとします。 

…が、こういうトロトロのままの方が好きかもしれない。

 

 

 

 

まずは白山登山道で見つけたもの。




最近Web界隈でも人気になっている濡れると透明になる花・サンカヨウ。
まだ朝露が乾いていない時間だったので半透明程度にはなっている。

もっと綺麗な個体がないか探すがこの程度が精一杯。




やはり朝露程度では完全透明にはならないみたい。
試しに飲み水をかけてみたが、時間差をおいて透明になるようで、先を急ぐので完全透明バージョンの撮影は諦めた。

もう一つは通り道の白馬村にある姫川源流。
姫川はここから北アルプスの雪解け水を引き込みながらフォッサマグナを貫いて糸魚川まで続く美しい薄蒼の川。

そんな姫川の流れはこんな綺麗な苔の隙間から始まる。

 


残念ながら水量が少ないので水中撮影できるほどの水深はないが。
バイカモの花がぼちぼち咲き始めている。




普段水流のある所で咲いていることが多いのでブレたり水中に咲いていたりしてなかなかマクロ撮影が難しい花だが、水量の少ないここはとてもマクロ向き。鮮やかな翠を背景にした白。




更に拡大。




いずれも本当に詩的な植物だと思う。
 

と言われているとかいないとか。
もしくは「越後の上高地」とも。

目も眩むような断崖に囲まれた渓谷を遡っていくと、突然広大で緩やかな川が流れる天上の平原が現れる。
しかしマイナーな地域である上に渡渉の危険や登山道の崩落があり、そこに立ち入る人は多くない。 

糸魚川の山深い場所にある「海谷渓谷」そしてその上流にある「海谷高地」。
人気の百名山・雨飾山の裏手でもある。

この場所の存在を知ったのは実はつい最近で、糸魚川ジオパークの一つとして紹介されていたのがきっかけ。
他人の山行記録を見るたびに、その無名度とは裏腹な壮大な景色に惹き付けられ是非散策してみたいと思っていた場所。

ということで今回、白山の帰りに若干遠回りしてここを散策してみた。
写真の多くは断崖の岩肌を強調すべくHDR風味に仕上げています。

起点は「海谷三峡パーク」という無料ながら素晴らしすぎるキャンプ場。
ここにある展望台からの光景が既に異世界。




しばらくは十分整備された登山道を通って渓谷に下りていく。




しかし道中いたるところに脅し文句の看板が執拗に現れる。


 

 



降りきって河原に出る。周囲の断崖との高度差が凄い。





雪渓の隙間があったので内部を。




雪渓から見上げる。




さて、問題の対岸への渡渉箇所。

 


雪融け時なので水量は多く水深が目視では分からない。とりあえず突っ込んでみる。
結果、水深は最大で膝上ほど。転ばない限り流されることはないが当然ながら痛くなるほど冷たい。

対岸に渡ると大岩と流木をやり過ごし、あとはひたすら渓谷沿いに登るだけ。

薮に見えるが登山道。やはり渡渉箇所以降はあまり人が来ないのだろう。

 


薮に隠れているが実は非常に狭い崖っぷちを歩いている。慎重に。


足元は頼りないが、見上げるとずっとこんな壮絶な光景。


 





途中、足裏+αほどの幅を残して崩壊している場所があり、そこが道中で一番危険を感じた。
踏み外すと谷底。岩の出っ張りがなく掴む場所もあまりない。

ついたようだ。ゆっくり撮影しながらで出発から2時間ほど。


今までの鬱蒼とした悪路とは裏腹な別天地が現れる。

 


確かに上高地にそっくり。帝国ホテルも河童橋も人ごみも喧騒もない分こちらの方が居心地がよい。


唯一の人工物であるこじんまりとした発電所施設があるが(どうやって通っているんだろう…)、周りの風景が雄大すぎてあまり気にならない。
河原沿いに先に進んでみる。

 




山の様相も渓谷内と比べて幾分優しげになる。おそらく紅葉の時期などは天国だろうと思う。




この先に登山道などはないが、その気になればどこまででも奥に行けそう。
だが、時間も限られているので今回はここまでとした。
 

長年ずっと撮影したいと思っていながら関東からのアクセスの悪さや気象条件などが合わず先送りになっていた白山にようやく一泊二日で行くことができました。
以前から白山に登るならこの時期だと決めていた。

この時期である理由は後述するが、夏場は人でごった返すであろうこの山もまだまだ雪渓トラバースなど危険箇所もあってそれなりのスキルの人しか来ない。平日だったこともあり、まあまあ静か。

梅雨時なので快晴の持続はあまり望めないが、ドラマチックな雲などが出現してくれればそれはそれで嬉しい。
梅雨時の登山はある種の賭けのようなところがある。

登山口である別当出合からアクセス時間の比較的短い砂防新道経由で室堂小屋を目指す。

道中最大の難所・雪渓トラバース。踏み外せばそのまま崖下へ。空身ならなんでもないが、荷物が重いので少々緊張する。




重荷ゆえ時間がかかるが、とりあえず山小屋に到着。

探検は明日にして小屋前のベンチで御前峰を眺めながらのんびりすることにする。
雪原に落ちる夕日。





若干の仮眠の後、星撮影タイム。梅雨時の尋常でない湿度のためレンズが曇ってしまい難儀する。

 


ここの星景撮影の難しいところは山小屋のある室堂平から御前峰山頂方向が北になる点と御前峰以外はのっぺりした平原のためにいい構図が限られる点。


無理やり天の川をフレームに入れる。




南側にもいい風景があるが、勝山・大野方面の光害がひどくあまり撮影向きではない。

理想を言うと山頂の裏側から南方向に狙いたいところだが、夏の昼間でもルートが分かりにくい場所の上に雪渓のトラバースなどしなければならないという話なので暗黒の中ではなかなか難しい。

翌朝、夜間登山をして御前峰山頂で黎明を待つ。
晴天予報で実際に上空は晴れているのだが周囲にガスが発生してご来光はこんな感じ。




時折隣の剣が峰の先端が顔を出す。これはこれで趣がある。




さて、白山は三つの山頂を取り囲んだ広大な高層平原がありそこに7つの池が散りばめられている魅力的な山。


そして今回の主目的は登頂ではなくてこれらの池々とそこに広がる風景を撮って廻ることだった。
お池巡りをするために御前峰から反対側に降りていく。ここから先は夏でもルートが分かりにくいと聞いていたが、雪の上に最低限のマーキングをしてくれているのでなんとか辿ることができた。

そして見えてきた以前からずっと見たかったもの。ガスが残念だが。




雪解けの時限定で見られる残雪の上に浮かぶ蒼い池。水底が白だとこんなに美しい色になる。
グリーンランドの氷の峡谷や八幡平のドラゴンアイもたぶん同じ原理。


近づいてみる。




いつもなら水中も撮るところだが、さすがに危険なのでやめておきました。

別の蒼い池も発見。後ろの剣が峰を従えて神々しい。




その他地形的な見所が盛りだくさん。白山は圧倒的に裏側の方が面白い。


 

 



梅雨時にガスや雲と格闘する登山もなかなかよいものです。
 

巷では足尾アルプスなどと銘々されている稜線。
以前書いた松木渓谷の山側なのだが、低山なのに絶景目白押しという話なので行ってみた。

基本的には登山道ではないので標識などは一切ないが、取り付き点さえ押さえればあとは道迷いはほとんどない。
延々と林道歩き+延々と滑りやすい急登を3時間ほどでようやく気持ちの良い稜線に出る。低山だが時間がかかる。




かつて足尾銅山の煙害のために植生が失われたため、標高1500~1600m程度の稜線なのだが視覚的には2000m後半レベルの風景が続く。 要は人災のおかげで擬似的に森林限界を超えているということ。

谷底には以前歩いた銅山の残骸。




このコース一番のランドマークであるブナ。煙害から生き残った個体らしい。


ここだけ見ると街中にある公園のよう。




稜線を歩いている限りでは文句無く気分がよい。




今回一番の難所…だが、見た目ほど怖くない。




不思議な光景。銅山側は煙害のため樹がなくガレていて、反対側は樹が鬱蒼と。




生と死が稜線上にも繰り広げられる。複雑な気分になる。



 

 



稜線で一泊しても面白そうだが、荷物が重いと序盤の滑り急登地帯で地獄を見そうです。