旅の終盤、翌日秋田からフェリーで帰るという日、フェリー会社からTELが。
折からの強風のため(少なくとも)翌日の欠航が決定したとの連絡。
さて困った…
明後日に確実に就航するのであれば一日待つのだが、風予報はしばらく弱まる気配がないしその保障はない。
思案した結果、フェリーを払い戻して秋田~東京を陸路で帰る事に。
高速で帰るのはつまらなさすぎるしなるべく下道で。 ついでに通り道なので当初予定に入れていなかった鳥海山麓を少しばかり探索することにした。
もちろん天候さえよければ鳥海山そのものに登るのだが、フェリーが欠航するほどの天候なのでそれは無茶だろう。
鳥海山麓はいろいろ面白そうなスポットが多くてまだまだ探索しきれてないのだが、未探索の場所の中で「獅子ヶ鼻湿原」を選ぶ。
まだ雪の多い時期にここを散策するスキモノはあまりいないと思うが、ここにした理由は植生保護のため積雪が多い時期しか森の中を自由に歩けなさそうだったから。
ここの見所はいろいろあるのだが、個人的には「異型ブナの森」と「出つぼ」という鳥海山からの湧水が地上に出る蒼い淵が見たかった。
アクセス道と駐車場までは無雪だが、一旦森に入るとまだ深い所だと1m近く積雪があるためスノーシューを装着。この時期なので当然だが、誰一人いない静かな森。
まずは異型ブナの親分である「あがりこ大王」と呼ばれる300歳のブナに謁見に行く。
森の中は遊歩道が設置されているはずだが、積雪で完全に覆われていてトレースもないためまったくルートが分からない。
GPSと事前にヤマレコでダウンロードしたルートデータ(いつも大変お世話になっている)を手がかりに森の中を進む。
大王様以外にもそこかしこに異型の人たちが棲んでおり、それぞれの造形が面白くて足がなかなか進まない。
新緑や紅葉の時もよいのだろうが、こういう樹木は裸の方が凄味があるように思う。
そもそも無雪期にはおそらくこんなに近づけないが。
大王謁見への道。
随分人為的に補強されているが、やはり立派。しかしさすがにこの歳だとあとは朽ちて行くしかないのだろうか。
さて、謁見が終わったので次の目的地の湧水に向かう。
大王への道より格段に足元が悪く雪が腐っている。ひどい所だと3歩に1歩は踏み抜いてしまう。
到着。
雪の白に蒼と碧が映える。
味は…普通に美味しい湧水です。
いつもの如く水中を。
過去にも幾つか鳥海の湧水を廻ったが、どこも本当に綺麗だと思う。
ということで「東北でよかった」のバズワードが一世を風靡している日にタイミングよく東北旅シリーズをとりあえず終了します。
当初の予定を天候によってことごとく覆された東北旅だったが、想定以上の収穫があった「東北はよかった」旅となりました。