私は彼と一緒に住み始めた。

新婚のような生活、ようなとはまだ入籍は迷っていたから。


でも私の中ではほとんど彼を許す覚悟はできていた。

やはり辛いことを乗り越えれば真の幸せがまっているのだと考えるからだ。


彼も私も毎日朝から夜遅くまで仕事だ。当直でお互い帰らない日もある。

でも遅く帰ってきてふたりで食べるおうちご飯、やはりこれは私たち外で戦う者にとっては大きな安らぎだ。

高い、美味しいものでなくてもふたりで夜遅くにすするお茶漬けで十分。

彼は普段は仕事に行って帰ってくるだけで、コンビニに寄ってくるわけでもなく、本屋によって帰ってくるわけでもなく、家と職場の往復のみである意味ストイックな生活だった。

二人でおうちご飯を食べた後、お互いPCに向かって文献検索したり、ペーパーを読んだりして過ごした。なにかを二人でするというわけではないが、二人で一緒に同じ時間を過ごすという毎日だった。


休みの日は映画を見にいったり、銀座に買い物に行ったり、ぶらり近所を歩いたり、

穏やかな日々が続いた。


私たちには両方の親にも言えない隠し事を共有している。

でもそれは二人の心の奥にしまっていて普段は決して覗くことはない場所にいれてある。


このままこの隠し場所にしまっておけば誰も傷付くことはない。

彼の親も知ったら悲しむだろし、私の親はましてだ。


一度私は夜急に悲しくなって、彼に

どうしても辛い、子供を見るのが辛い、誰かに私の気持ちをわかってもらいたい。

誰かに言いたい、友達にも親にも言えない、相談もできない、小さな部屋に心を閉じ込めているようだ・・・と


彼は

わかった、おふくろに相談していいよ、おふくろなら親父よりこの手のことは慣れている、話していいよ。と


私と彼のお母さんは文通をしている。結婚しているわけでもないのに、電話でも良く話すし、長い手紙も交わしている。


私はお母さんに相談して、どうするのが一番良い方法なのか尋ねてみたくなった。

私はどうしたらいいの?あなたの息子を信じていいのか?

子供はどう心に納めたらいいのか?

教えて欲しかった。




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彼にはださないけど、やはり迷いがあった。

許そうと決心したものの、心がついていかないのだ。

妊婦や子供をみるのがとても苦痛になっていたから。

一生私はこのままなのか?これをしょって本当に生きていかれるのか?

ととても悩んでいた。

ベビーカーを見るのも辛かったし、ビオレママのCMやたまごくらぶひよこくらぶのCMも見ると本当に悲しくなった。

彼女は今頃彼の子供を抱いている。


どうして子が、しかも前妻の子ではなく、戸籍上にもない子に悩まされなくてはならいないのだろう、、、、心が決まらないと彼にも素直に話した。


彼はどうしても結婚してくださいとなんども頼んできた。


結婚、私にとっては失うものが多い。

跡取りの私、家を捨てるのか?

仕事に生きてきた私、彼と結婚したら私が仕事を辞めなくてはならない、

仕事なんていくらでもあるのだが、外科医は一線で働いていないと仕事は難しい。

そして、子供だ・・・・・


私は明答しなかった、こんな日々が2ヶ月くらい続いた後、彼はいきなりあの指輪を買ってきた。

お願い、受け取って欲しいんだ、

絶対悲しませるようなことはしない、

僕のすべてを本当に投げ出していいんだ。

yuriが結婚で失うものが大きいのもわかる、

でもそれ以上を僕の全力をかけて補ってあまるものにするから、一緒に歩いて欲しい、

もし、yuriが歩けなくなったら、おんぶして春には桜を、秋にはもみじをみせにいくよ、

目が見えなくなったら、いつも一緒にいて全部僕が口で説明するよ、

一生yuriのために働き続けるよ、だからお願い


もうそこまで思ってくれるのなら私も踏み込んでみよう か・・・・・




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じゃ~私と彼女どこか違うの?とたずねてみた


根本は僕のことを生活能力者としかみていない点だという。

詳しく聞くと、今の職場でしたいことができていないと彼が悩んでいたら、彼女は仕事なんて医師ならどこでもあるわよ、と年収5000万の田舎の老人ホームの院長を勧めてきたと言う。

彼にはれっきとした家もあるし、専門もある。

僕はまだ手術をしていたいと言ったのに、彼女はココの方が年収がいいからとその職場の求人広告をもらってきて彼にみせたという。その老人ホームの連絡先まで調べてあったという。

君は長年勤めた大手保険会社をやめるの?とたずねたら、私は結婚したらやめるつもりだったから、どこにでもいけると答えてたらしい。



女性が夫となる男の職を決めてくることがあるだろうか?

まして私たちは専門職だ。ただ、年収がいいのならいくらでも仕事はある。

しかし自分の今までの知識や技術や専門を生かした充実した仕事をしたいのだ。

お金のために自分の専門を投げるなんて、まだ私たちの年代ではできることではない。


私は以前彼に仕事の相談をされたとき、

生活には困らないのだから、自分が満足行く仕事をすればいい。

私は一生懸命働いているのなら、仕事や収入にはこだわらない、

opeがしたければそれだけできる環境を追求すればいいし、

もう年収はどうでもいいから9時5時で楽な検診医になりたければ、それでもいい

あなたには変わりがないのだから。でもopeがしたいのでしょう?

だったら諦めず、年収悪くても探したらどう?

事実私が以前付き合っていた人は床屋さんだったのよ、

一生懸命、自分が満足してやれるのなら、職種なんてなんでもいいのよと言ったことがある。

その私の答を聞いた時、やはり彼女とは違う、仕事に対する価値観が似ていると思ったと言う。

そしてこの老人ホームの話がとてもショックだったと言う。

経歴詐称はまだ本人がよい人ならば許せたけれども、寝てしまってから彼女はことあるごとにお金にこだわったという。

僕のことを考えてくれていない、僕を生活能力者としか見ていないとだんだん遠ざかり別れを告げた直後に9秒の過ちが起こったのだった。




それからしばくして婚約指輪をもう1度見にいった。彼は一生懸命選んでくれて、

給料3か月分、360万の指輪を選んできた。

これでいいよね?といわれても私は素直に選べなかった。


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