やっと私にも宿った命、彼のDNAはほんの少しの間しか私をこの苦しみから開放させてくれなかった。

悲しい別れ、私にはやはり彼の子を抱くことはできなくて、彼女だけの幸せなのか?

本当に辛かった.


しかし、泣いてばかりはいられない、まだ私達二人の子をが私を救ってくれる・・・と信じて恥ずかしいながらも不妊クリニックを受診した。


私のホルモン値、卵巣、子宮、基礎体温、一通りみてもらったが、問題ないでしょう。

うまくタイミングをとっていけば妊娠できますよと。

後はご主人の精子検査が必要ですから、次回いらしてくださいと言われた。

結果は調べなくてもわかっている。

彼のは授精可能な状態なのだ。


私だけが悪い。私は必死に不妊クリニックに通い、とうとう人工授精までやった。

しかし、妊娠できなかった。

半年が過ぎていた。


不妊、私のとって思いもかけないことだった。

ただの不妊ならいい、が、彼には彼女との間に子供がちゃんといるんだ。

私にはそれさえもできない。

彼の心がここにあってもそれだけでは隠し子を乗り越えることはできない。


どうして私より年上の彼女にできて、私にはできないのだろう。

神様はずるい。


隠し子の存在に耐えるだけでなく、私に不妊の道まで歩ませる気なのか?









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私は自分が隠し子のことで辛くならないようにするにはどうしたらいいのか考えた。


なぜ辛いのか。

私は彼と一番近いところにいるのに彼の遺伝子をもっていないし、継ぐものももっていない。二人で一緒にいた時間はあっても、それを残す手段がない。

彼女は子供という彼の遺伝子を持っている。私もそれを得たらそれほどくるしまないのではないだろうか?


私たちにもし子供ができたら、、、そうしたら彼女と同じだ、

私も仕事をしていく上では子供はいらないと思っていたが、結婚するならばやはり子供が欲しいと、家族が欲しいと思ってきた。

まして私は兄弟が多く楽しかったので、もし結婚するなら4人は欲しいと以前から公言していた。


もし私にもあのビオレママのようなはじめての赤ちゃんをパパとお風呂に入れるような喜びが持てたら、彼女の子も許せるようになるのではないか?


挑戦してみよう、この子供地獄から抜け出すには、私たちが子供を得ることが一番早道で、母親になってみたら、彼女の気持ちもわかるのかもしれない、と思った。


彼は子供はあまり欲しくないといっていた私が欲しいと言い出したので少しびっくりしていたが、とても喜んでいた。

私たちは一緒に住み始めてからは避妊はしていなかった。

が積極的に子作りをしてきたわけではなかった。


そこで半年くらい排卵日を狙いタイミングをとってみることにした。

2ヵ月後、妊娠反応が陽性とでた。


すぐ彼にメールをうつと、嬉しい!ありがとう!と返事がきた。

私も心が温かくなり、これで『子供』というと全て彼女の子しか想像できなかったが、パンパースのCMをみても自分の子を想像することで、子供の亡霊から逃れることができてきた。

明るくなった私を見て、彼もとても喜んだ。


そう思っていた矢先、私は流産した。



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私は悩んだ。

彼の母親はいわうる職業婦人で定年退職まで勤め上げた昔の立派な女医だった。

しかも産婦人科医であるので、世の中のシングルマザーの酸いも甘いも散々診てきた人だ。


その人にこの隠し子のことを相談していいのだろうか?


私が母親であったら、静かな余生を送っているとき、やっと自慢の息子が再婚相手を連れてきたのに、幸せになろうとしているその息子の失態を聞きたいと思うのか・・・・・


いや、私にはできない

真面目に生きてきた彼らに私のような苦しみを、彼の辛さを、知られてはならない

どうしてもあの人たちを悲しませることはしてはいけない。

私のことをとても喜んでくれた人たち、今後彼らを守るのは私たちなのだ。

私は世の中の誰に知られようとかまわない、自分の親と彼の親、この人達にだけは知られてはいけないと心に誓った。

これはやはり二人で乗り越える問題で、他の人に話しても不幸が広まるだけだ。


よく、悲しみも共有すれば半分に減る、喜びは倍になるというが、私は信じていない。

喜びは倍増するのはわかるが・・・・

悲しみは共有する人がいればいるほど、辛くなる、もっと悲しい事実が大きくなってのしかかってくると思っている。

一人なら、私一人辛いなら乗り越えられても、私が辛いために私の大事な人の辛い姿を見るのはもっと辛いことだ。共有は辛さの倍増、

私が辛くなくならなくてはならない。

私は誰かに相談したい、誰かに言いたい、気持ちを封印した。

彼にもそのとおり告げた。彼は僕にあたっていいよ、これからは僕がその辛さをなぐさめていくから、いつでも僕をせめていいんだよ、といった。


責める毎日が二人にとってよいことではないということなど、わかっていたので、

私が辛くなくなる努力をしようと私は思った。


しかし、この努力がギャクに自分を真綿でしめるような新たな苦しみを呼ぶものになってしまうとはこの時全く考えていなかった。


私の心はもっと恐ろしいところにはまって、地獄の谷はより深くなった。





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