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巡りめぐりて ④

我は、気を取り直し、まだおそらく浴びるように呑み、
復興支援の名目で舌づつみを打つ同僚っが待つ‥
(ぃや待ってないだろうけどw)気仙沼に戻る。


ふと、ここにも たしかあったという
アメリカン・ダーツバー「A」さんという
お店の場所を見たくなった。


Prose -A

市内を案内するアナウンスを見たら、
ぁぁ‥やはりこちらも・・という気になる。
実際、更地ではなかったものの爪跡露わは
一目瞭然だった。


それを眺めつつ、
ゆっくりと車を走らせ あたりを見渡しつつ進めば、
この地域は、ネオンが目立ち、ポーターらしき男性もちらほら。
なるほど・・ここら一帯はネオン街?‥などと
何気なく仮設の店舗ひしめく場所に目をやると、
目に飛び込んできた「A」なる文字。

そして ダーツ云々という文字も。ぉおーー! 


勇んで仮設プレハブの階段を登ると、
すでにダーツの音が聴こえる。


「(やってる、やってる。)」


静かに、そしてしっかりその扉を開けてみる。


Prose -A

たしかに外観こそプレハブではあるけれど
立ち並ぶ酒のボトル、カウンター、パブライト。


お客さんたちも いつもこの目で見ている風景。


そう 投げつ呑みつ談笑しつつダーツに興じる人達。
これを見る限りでは、もちろんまだまだ日常では、
それぞれひび割れ傷ついた心を完治などできないまま
なんとか取り戻そうと生活しているような気がした。


一呼吸し、店内をあおぎ、カウンターの末席に腰掛ける。


たった3本のダーツを持っていればこそ、
そう改めて感慨深く思う。
さきほどまでの顛末をぼちぼちとオーナーさんと話す。
ダーツを辞めてしまった人も多いとオーナーが、
残念そうに、かつそれも仕方ない現状と吐露した。


・・・たしかに・・


そして、喜ぶべきことに、
どうやら陸前高田、森の前で営まれていた
ダーツバー「ループ」さんも、再開しているとの情報を聴けた。
どこの場所で‥とまでは判らないものの
山の方で再開されているという確かな事実。 

(マジでか?!!)


そして、改めて、別の手段で検索をかけてみた。
すると、たしかに少々屋号も変更されたようだが
たしかに営業されていることがうかがえた。

巡りめぐりて ③

海沿い<東浜街道>を北上し、
気仙町に至る左カーブを切ると
高田の街が見えてくる‥はずだったかが、愕然とくる。


まったく灯りがない。
ましてや 先だって目にした建物も
ほぼ綺麗に解体され整理され、
見当がつかないまま気仙大橋なる、
あの軌跡の(希望の)一本松が立つ高田松原に降りていく。 



Prose -一本松 ヨコ


しばらく その暗闇に
目も慣れぬままナビに導かれ、
かの地付近に近づく。
目的地付近に到着‥のアナウンスを待たぬまま、
この検索サイトのデータが、
今尚 古いまま書きかえられていないことを
早々と知る。


我が目を疑う・・というか、
思い返せば腑に落ちる・・というか・・。


もう一度、ダーツ検索サイトを開き、
そのサイトにリンクされていたストリートビューに気付き
今さらながら開けてみる。 更地の映像が映し出された。


「(そっか‥ そうだよな・・)」


遠くから 、、なんだろう? 太鼓の練習であろうか、
規則正しい、かつ力強い音が聴こえた。


不審を承知で、その灯りを頼るように、
寂しさを払うように、その太鼓の音のする元へ
ステアリングを切っていた。若人が誰ぞに届けてと
一生懸命太鼓を叩く。きっと この街の人にも
届いていることだろう。しばし、それを車の中から眺めていた。


基本、店舗データは 読者やらそのオーナーらが
情報提供し改変されるというシステム。


しかし、事情が事情、それどころではなかろうこと想像に難くない。
暗闇は、どこまでも深い。 東京では気づかぬこと。


巡りめぐりて ②

二日目、
あのいくつもの争議を生んだ大川小学校など
被災した沿岸部に鎮魂の祈りを捧げつつ巡り巡る。


Prose -おおかわ

Prose -大川

(ここ大川小学校脇には、慰霊碑が建っているが、

 この「慰霊碑の前で写真を撮るのはご遠慮ください。」

 と貼ってあった。と云う事は、この慰霊碑をバックに

 記念撮影でもしている人がいるということを

 意味しているのだろう。‥はぁ・・)

 

順に手を合わせて気がつけば夕暮れ、
気がつけば気仙沼が間近に迫っていた。
もとより、本日二日中に陸前高田まで入るつもりでいた。


しかし、時間的に押している。


どうしようかと暮れかかった港町で我々は佇み
それぞれの名案を互いに待った。


すると、一番若い後輩が一声、
「経済復興支援ですよっ、なんか喰いましょぉ?!」
とこう着を払うようにおちゃらけながら発した。


Prose -屋台村


Prose -kake

多くの来場者、有名な支援者の写真が壁一面に貼られた
ここ復興商店街、屋台村は、沿岸部の中でも
少なくとも幾分 人の賑わいという点では、
進んでいる方であるやに感じられ 少し安堵する。


食事が済んで時計に目をやれば、

19時を少々回ったところ。(だったと思う)


ふと、「この沿岸部の街まちにダーツバーってなかったのだろうか?」
また、「被災された後、再興を果たしているお店はなかろうか?」と思い立った。


ダーツ投げ場の検索サイト「ダーツで○○」にて
現在地検索をかけてみたところ、
今そこにいる地、気仙沼を始めとして
隣町、明日訪れると計画しなおした陸前高田に1店舗ずつヒットした。


にわかに一人で色めき立ち、陸前高田にあるという、
その「LOOP」さんなるお店の詳細データに目をやりちょっと驚いた。
ひまわりを育て、タネを分けあい、明日 そのお礼に伺うはずの、
佐々木農機さん、そしてその花壇から、わずか20メートルほど先の
住所にあるという事がわかったのだ。


その時点で、
気仙沼にいる我は、その思っていたよりも
人の姿を目にし、まだまだ爪跡露わとは云え、
それなりに賑わいを取り戻しつつ感じたここ気仙沼の街。


その明るさを心のたよりに、かの高田の街に灯る
店のネオンとダーツの音を夢想した。


ここ気仙沼にも一件ダーツバーがあるとヒットしたけれど、
自分の中で、その高田の「ループ」さんなるお店の住所が
あまりに関連深い場所に近かったことで、
まだまだ呑みが進んでいる同僚を置いて、
高田へと車を走らせた。


が、しかし


その想いは、あまりにあっさりと
落胆に変わることとなった。

巡りめぐりて ①

墓参やひまわり便りのご挨拶等々、
幾つかの私的目的を持って、
石巻市から女川、雄勝町を抜け、
北上川を渡って、神割崎を巡り、
志津川、南三陸町、そして沿岸辿って
気仙沼、唐桑半島御崎岬から
陸前高田とお邪魔してきました。


Prose -himawari

今回、これで4回目ではありますが、
ただただ瓦礫やら無残な姿に変わった建物が
解体撤去されたに過ぎず、出口見えない
不安のトンネルの未だ真っただ中を
改めて無常を思い知る訪問であったのに変わりはない。


ここで書くのにも躊躇するような話し。

或いは、愕然と驚嘆、深く胸打つ話しも、
ただただ我が心への置きどころに戸惑い
整理も着かぬまま、今日も、今も、
自分の街でそれらを回顧している。


そんな中で、ちょっと新たな話しがあったので
ここに書いておきたいと思った。


8月は1日の初日、同僚の先輩がこの地に嫁ぎ、
そして被災し亡くなられた墓参に赴き、次いで
就労支援のお手伝いをさせて貰っている
「おだってばりぃで」  さんという団体が、この度、
NPO団体の支援の元から、
独立して企業化への運び。

それに伴って、事務所新規開設、移転という
嬉しい知らせを聴いていた我々はそこにご挨拶。


Prose -おだ


Prose -こまっちゃぐれ

たまたま、
この地前日(7/31)に「石巻川開き祭り」が開催され
前日の荘厳なる灯篭流しこそ御目にかかれないものの、
翌1日の石の森章太郎萬画館 ふもとで

打ちあげられる花火大会に遭遇した。



Prose -isinomori
(旧北上川脇にあったため被災)


しばしのうっ屈した思いを
打ち払うかのように夜空に大輪の花を咲かせる大玉を
無心で眺め一日を終えた。


元気でな、あ~ばよ!

だから イヤなんだよ、まったく。




Prose -ねこ