巡りめぐりて ③ | Prose 

巡りめぐりて ③

海沿い<東浜街道>を北上し、
気仙町に至る左カーブを切ると
高田の街が見えてくる‥はずだったかが、愕然とくる。


まったく灯りがない。
ましてや 先だって目にした建物も
ほぼ綺麗に解体され整理され、
見当がつかないまま気仙大橋なる、
あの軌跡の(希望の)一本松が立つ高田松原に降りていく。 



Prose -一本松 ヨコ


しばらく その暗闇に
目も慣れぬままナビに導かれ、
かの地付近に近づく。
目的地付近に到着‥のアナウンスを待たぬまま、
この検索サイトのデータが、
今尚 古いまま書きかえられていないことを
早々と知る。


我が目を疑う・・というか、
思い返せば腑に落ちる・・というか・・。


もう一度、ダーツ検索サイトを開き、
そのサイトにリンクされていたストリートビューに気付き
今さらながら開けてみる。 更地の映像が映し出された。


「(そっか‥ そうだよな・・)」


遠くから 、、なんだろう? 太鼓の練習であろうか、
規則正しい、かつ力強い音が聴こえた。


不審を承知で、その灯りを頼るように、
寂しさを払うように、その太鼓の音のする元へ
ステアリングを切っていた。若人が誰ぞに届けてと
一生懸命太鼓を叩く。きっと この街の人にも
届いていることだろう。しばし、それを車の中から眺めていた。


基本、店舗データは 読者やらそのオーナーらが
情報提供し改変されるというシステム。


しかし、事情が事情、それどころではなかろうこと想像に難くない。
暗闇は、どこまでも深い。 東京では気づかぬこと。