思い込みの満足と現実
他人の価値観と、自分の価値観は違う。
頭では理解できていても、実際は自分の価値観を重ねてしまう。
帰り際に誰と最後に話すのか、誰と最後に挨拶するのか。
オレはそれを大事なことと思っている。
最近、帰り際に目を合わせて帰ってくれる。
そこにオレは二人だけの世界を作っている。
ただ彼女がそこに重要性を感じているとは限らない。
二人の世界があるなんて一切思っていないだろう。
たまたま目が合った程度。
それが現実。
だがオレはその別れ際の顔を目に焼き付けて、その二人の世界の雰囲気を心にしまって大事にする。
現実に背を向けて。
興味を持ってもらえていない現実は事あるごとに突き刺さる。
ただ今は、思い込みの満足、虚実の満足だけで充分幸せを感じている。
それを感じられなくなったとき、どうなるのか。
現実的な未来が見えない。
しかし、いつかは冷酷な現実が突きつけられるのだろう。
過ぎ去った楽しみと小さな奇跡
終わった。
ただ小さな奇跡があった。
絶対に起こりえないと思っていたバスでの座り方。
流れの中とはいえこんなに自然に訪れるとは。
もう見ることはできないと思っていた寝顔をもう一度見られた。
それだけで満足だった。
募る思いは真冬の雪のように増えていく。
でも、その雪は解けて消え行く。
いつかは消えてなくなるものなんだ。
雪解け水はやがて川となり、大海へとそそぐ。
そんな壮大ことにはならぬ想い。
きっと地下水となり汲み上げられるのを待つのが関の山。
訪れた奇跡を今は喜びたい。
過ぎ去る
楽しみにしていたことも終わってしまえば楽しかった思いと、終わってしまった淋しさ残る。
楽しかったことも過ぎてしまえば、心の高揚は得られない。
いざ行かん、楽しみの中へ。
いざ帰らん、一人の寂しさの中へ。
突きつけられる現実へと。
次はまだない。