ボディブロー
あれから一週間が経った。
ちょうど一週間前の今は一緒にお酒を飲んでいた。複雑な気持ちを抱えながら…
しかし、あの時は酒に酔うようにしていたのと、慣れ親しんだバーテンダーのおかげで複雑な気持ちは表に出てくることはなかった。
一週間後の今、考えることはこれまでと同じ。
やっぱりつらく切ない。
あのあと、そんなにつらくないって思っていたのに、今は違う。
徐々に気持ちが追い詰められ現実逃避していく。
実際、信じられないって思いのほうが強いみたいだ。
あの人が彼と一緒にいるところを見てしまったらどうなるのか…
おそらく発狂するだろう。
できることなら好きって想いをなくしたい。
好きだったことも忘れてしまいたい。
今自分にできることは何もない。
理性を保ち続けるだけだ。
オレのこのトンネルはどこまで続く。
光は見えない。
何度叫んでも何も変わらない。
一万一回目はこない。
それでも叫び続け想い続ける。
いつかを信じて。
そのいつかはオレが死んだときかもしれない。
肉体を脱ぎ捨てて目に見えない存在になったとき初めて通じるのかもしれない。
信じてる。
想いはいつか届く。
きっと、いや絶対。
躁鬱
スーパーのレジに並んでたら急に泣きそうになった。
我慢せずに泣いてしまいたい衝動に駆られた。
今日、仕事中に見た幻覚。
あの人の名前などない印刷物にあの人の名前が見えた。
たまにチラッと見たものの残像が残って前のページのものがそのページにも見えることがあったりする。
今日のもそれだって思った。そして探した。ほんとにその名があると思って。
しかし、どこを探してもその名前はなかった。
普段の生活の中でそんなにダメージがあるという自覚がない。
ただ、独りのとき、ふとした瞬間に現れるものが深層に受けたダメージを物語っている。
今は独りでいるのがしんどい。
でも、助けはない。
だから、独りでこの苦しい時期を乗り越えねばならない。
今後、仕事でも厳しい状況が続く。
そんな現状でも、なんにもいいことがない。
人生は不公平だ。
オレは誰にも愛されなかった。
オレに足りないものとはなんだ。
何度も観た舞台の台詞。
存在自体が劣等の塊、卑屈に生き、悪巧みを考える。
今のオレだ。
その舞台の彼の歌が口をついて出てくる。
表面ではいい人を装い。
裏では狂気を秘める。
オレはきっとどんどん狂っていく。
さぁ、これからどんな不幸がオレを待っているのか。
楽しみで仕方ない。
心を闇に。
それがやっぱりオレの本来の姿だ。
心の在り処
オレの心はどこにある。
自分でもわからない。
ショックなはずなのに、悲しいはずなのに切なくてどうしようもないはずなのに。
そのことで涙は一滴も流してない。
あれから2日。
昨日も今日も彼女の名前はたくさん見るし、何度も聞く。
ただ意識しているからなのか、偶然か。
たくさん名前を見るようになったとき、やっぱり何かあるからなんだと勝手に解釈していた。
しかし、結果から見れば止めておけっていう警告であったんだろう。
そして今でも見るって事は、早く諦めろ、ずっと憧れなんて考えは捨てろ。
別れた後になんて考えは持つな。そんな警告なんだ。
3日前のあの日。
待ち合わせ場所は橋の上。
橋だから当然歩道は二つある。
北と南。
もう一人とはすぐに会うことができた。
彼女は時間になってもいなかった。
オレは北、彼女は南。
それは当然だ。前回待ち合わせたところと約束したんだから。
その前回は南側だった。
だから、それを伝えるためにメールしようと携帯を取り出し文章を作っていたら、メールが来た。
彼女だと思った。
しかしそれは過去にすべてをささげ愛していた女性から。
そのメールに返事したのは次の日だった。
オレにとってとても大きい存在の彼女がそのときにメールしてきた意味を考えるべきだった。
ただそのときはこれから待っているであろう楽しい食事と明るい未来に浮かれていた。
メールをくれた彼女は何かを感じる能力を持っている。
それは何かの暗示だったに違いない。
オレにはその何かが『何か』あるって事はわかっても、その『何か』の正確な意味を汲み取ることができない。
それができればもっと幸せな生き方ができるのかもしれない。
涙も出ないオレの心はどこにある。
やはり過去に置き忘れたのか。
ただ単にただの憧れで恋愛の感情が幻だったのか。
今はただ愛が欲しい。
誰かにつかんでもらわないとオレの心は帰ってしまう。
生きていることをもっと大事にできるように。
もっと生きたいと思うように。
死にたくないと思えるように。
この世の愛を手に入れたい。