長野県・上洗馬神社 | 神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2022年10月31日 長野県上田市真田町傍陽字上平の上洗馬神社に参拝しました。

 

由緒

創立は不詳です。応永元年(1394年)とも、享禄四年(1531年)諏訪神社の分霊をうつし祀ったものともいわれています。旧上洗馬村の産土神です。元正元年(1621年)に再建の記録があり、また天正年中(1573年~91年)真田昌幸公より洗馬郷の高辻の内、永弐百文除地社附せられ、元和八年(1621年)8月仙石越前守が上田へ入部以来社寺領の改革がありましたが、明治3年10月社号を上洗馬と改称しました。なおここには戸隠信仰があり、干ばつの時には戸隠神社から御水をいただき神前に捧げ降雨祈願したといいます。また、奉納年代は不明ですが「黒馬と白馬」「赤馬と白馬」などが描かれた絵馬が奉納されています。

 

鳥居

 

拝殿

 

覆屋

 

本殿

 

右面の胴羽目:黄安仙人
列仙伝という中国の道教にまつわる説話集で、70人の仙人たちの伝記が載せられている。その一人が黄安。黄安は中国前漢の武帝時代の仙人。家にいる時には三尺程ある大亀に乗っている。逸話に、今年で何歳になるかと聞くと、この亀は三千年に一度顔を出し、今まで五度頭を出しているので一萬五千歳と答えたという。長寿、永遠の象徴となっている。

 

背面の胴羽目:寿老人
寿老人は、福禄寿と同じく星の化身で、にこやかな微笑みをたたえ、手には巻物を括り付けた杖、そして団扇や桃などを持ち、鹿を従えた姿が一般的に知られている。団扇は難を払い、桃は長寿のしるしで、鹿もまた長寿の象徴である。長寿延命、富貴長寿の神として信仰されています。

 

左面の胴羽目:費長房  (巻物を持っているので費長房とします)
費長房は市場で役人をしていたが、その市場で薬を売る仙人・壺公と知り合いになり、壺公の弟子となり、仙界に行き様々な仙人になるための試練を受けるが最後の試験に失敗し、その道を諦めることになる。しかし、人間界に戻っても万病を治し、百鬼を祓い、土地神を使役するという能力は失うことなく活躍したと伝わっている。巻物を見ながら鶴に乗っている姿で表現されることが多い。

 

右面の脇障子:蝦蟇仙人の劉海蟾
中国の列仙伝中の一仙人で、蝦蟇を使って妖術を行ったという。後足が一本しかないという三足蝦蟇を引き連れており、蝦蟇仙人の名称で知られる。絵画には鉄拐仙人と対幅に描かることが多い。

 

左面の脇障子:李鉄拐
八仙の一人。鉄の杖(拐)をついて歩いたとの言い伝えから「鉄枴」の名前が付いたといわれています。逸話に、鉄拐は弟子に「7日経って戻ってこなければ焼いてよい」と告げて、太上老君に会うために自分の魂を肉体から遊離させて崋山へ出かけて行った。6日目、弟子の母が病気になり、弟子は鉄拐の体を焼いて母の元へ行きました。7日目に鉄拐の魂が戻ってきたものの、体は既に焼かれて無く、仕方なく付近にあった乞食の死体に入ったということである。そのため、鉄拐がボロを身に纏い、かつ魂が抜け出している姿で表現されることが多い。

 

妻飾り

 

上部:化け鯉

 

海老虹梁:波

 

コメント:胴羽目と脇障子とも仙人の彫刻の神社。覆屋から彫刻が見やすく、素晴らしい彫刻が見れました。

 

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