栃木県・日光東照宮 その1/5 五重塔、神厩舎(三猿) | 神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2022年4月14日 栃木県日光市山内の日光東照宮に参拝しました。

 

彫刻が多いため、5回に分けて記載します。

  ・栃木県・日光東照宮 その1/5 神厩舎(三猿)、五重塔

  ・栃木県・日光東照宮 その2/5 陽明門 「唐子遊び」の彫刻(正面・背面)

  ・栃木県・日光東照宮 その3/5 陽明門 「唐子遊び」の彫刻(東側・西側)

  ・栃木県・日光東照宮 その4/5 陽明門 「仙人や賢人」の彫刻

  ・栃木県・日光東照宮 その5/5 唐門、奥宮

 

由緒

江戸幕府初代将軍・徳川家康を神格化した東照大権現を祀る神社。1617年に創建。現在の社殿群は、そのほとんどが寛永13年3代将軍家光による「寛永の大造替」で建て替えられたものです。境内には国宝8棟、重要文化財34棟を含む55棟の建造物が並び、その豪華絢爛な美しさは圧巻です。全国各地から集められた名工により、建物には漆や極彩色がほどこされ、柱などには数多くの彫刻が飾られています。 1999年に 「日光の社寺」 として世界遺産に登録されました。

 

参道

 

石鳥居(一の鳥居)
高さ9.2m、柱間6.7m、柱の直径(太さ)3.6m。元和4年(1618)、筑前国福岡藩初代藩主・黒田長政(黒田官兵衛の子)の奉納で国の重要文化財。

 

日光東照宮 五重塔
高さは36m。五重塔の心柱は屋根から吊るされている形で地上から浮かせている。その理由は、地震が起きた際に横揺れ、縦揺れを振り子のように揺れ、力を逃がす役割を果たしている。

 

この時は五重塔内部が特別公開されていました。300円を払い、拝観。

 

五重塔の蟇股には、干支が彫刻されています。

 

干支12体の内、鳥と猿を載せます。

 

 

1階部分の心柱の周囲には仏像が置かれて、心柱は金色で神仏に見立てているという。(撮影禁止)

 

五重塔にあった説明用の心柱の写真:

塔を貫く心柱は、懸垂式という4層部分から吊り下げる構造で、振り子の作用で振動を逃がすという免震機能になっている。

礎石から約10cm浮いているらしい。心柱の直径は60cmなので、赤矢印で示した部分が浮いている部分だと思います。(赤矢印、赤文字は自分で付け加えました)

心柱の中心は出っ張っていて、その出っ張りが礎石に空いた穴に入っているのだと思う。

 

実際に見た心柱の写真。心柱をライトアップしていて、羽目板の間から見えました。

 

 

日光東照宮 神厩舎

神厩舎は神馬をつなぐ厩。古くから猿が馬を守るとされていることから、長押(なげし)上には猿を描いた8面の彫刻が並んでいます。これらは猿の一生を人間の一生になぞらえて世代ごとに風刺され、なかでも幼年期を表現した「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿は有名。

 

① 親子の猿、遠方を眺める母猿
母親が子供の未来を望んでいる場面「小手をかざして遠くを見ている母親は、空間としての遠方ではなく、時間としての遠方、即ち未来(この将来)を見ている。その方向には、実を付けた枇杷と朱色の雲がある。 ビワと朱色の雲はバラ色で実り豊かな子供の未来を暗示している。」

 

② 三猿
幼少期には、純真で周囲の影響を受けやすい。だから世の悪事は見聞きさせず、悪い言葉を使わせず、良いものだけを与えよ。この時期に、良いものを身に付けておけば、悪いものに触れても正しい判断(行動)ができるという戒め。

 

③ 孤独に耐える一匹の猿
孤独に耐えつつも、これからの自分の将来を考える一匹の猿。いよいよ自立する時が訪れます。(未だ自立していない)

 

④ 上方を見上げている二匹の猿
希望を胸に上を見上げる青年期の猿。右上に青雲が配され、青雲の志を抱いた青年の志を表しています。

 

⑤ 励まし合う猿
左端の猿は(木から落ちた)中央の猿の背中に手を当てて、慰める、あるいは励ます姿。右の猿は、正面を凝視しています。

 

⑥ 物思いにふける猿
右側の猿は座って腕をおなかの前で交差させ、正面を凝視している。左側の猿は何か考え、決断を迫られている。

 

⑦ 恋が成就して結婚した猿たち
左下に逆巻く波、右側の根本にはバラの花。右側の猿は長い左手を波に差し伸べ、左側の猿は腕組みをしている。二匹とも猿の上には赤い雲。(二人で力を合わせれば『人生の荒波』も乗り越えられる)

 

⑧ 身ごもってお腹が大きくなった母猿
結婚した二人が協力して荒波を乗り越え、平安な家庭環境を整え、子宝に恵まれ、子供が生まれれば、親となり、最初の面の子育てへと辿ることになる。(そして永遠の生命が受け継がれていく)

 

コメント:日光東照宮の不思議の1つに、「五重塔の心柱が浮いている」があり、特別拝観をしていたので拝観してみました。