おもてなしの雑巾

https://ameblo.jp/dapanda45/entry-12192754668.html

 

先日この名古屋の料亭さんに結婚式の撮影で再訪することになりました、

2年半経っていますが、また雨が降ったら雑巾出てくるのかな、

今度は「これで拭いてください」って、

昆布とか出てきたらおもしろいのにと一人で妄想していました。

 

色々な会場に行って撮影していると、

ブログにも書いているような色々な"いけず"な技が会場の数だけ、

人の数だけあるので、

ちょっとやそっとのことでは同じない心と身体になってきています。

むしろ次はどんな手で来るのかとかの方が楽しみな感じです。

ほぼ使い古された嫌がらせとか、想定内なのがくるとむしろゲンナリします。

やっぱりドMなのかなって思います('A`)

 

名古屋での撮影当日は天候も良く、

今日は雑巾ないのだななんて撮影をしていたところ、

「カメラマンさん糸がほつれていますよ」

と女将さんが優しい声をかけてくれました。

スーツの袖のボタンの糸が2cmぐらいほつれていました。

 

スーツの袖にある使い道のないあの飾りボタンです。

「ありがとうございます。でもよくこんな小さなほつれがわかりましたね」

「細かいことが気になってしまってすみません」と笑顔で答えてくれました。

そして「良かったらこれ使って下さい」とあるものを渡されました。

 

持ち運びできる裁縫セットでした、

これは気が利いていますよね老舗料亭、

2年半前の出来事は何かの勘違いだったかなと思い、

ほつれた糸を切ろうか縫おうかと考えながら、

裁縫セットの入れ物を開けてみると画鋲が4つ入っていました。

青い画鋲抜きも入っています。

 

ハサミは切ってしまうので結婚式にはふさわしくないという忌み言葉を避けているのか。

と色々考えているとその言葉を払拭するようなことを女将さんから言われました。

 

「同じ色のボタンだったので取れているのかと思いました」

 

スーツのボタンは黒の飾りボタンだったのですが、画鋲は金色です。

女将さんの心でみると金のボタンも黒く見えるのでしょうか。

その場を離れ、別部屋に置いてある自身のカメラバッグの中にある、

裁縫セットのハサミを使おうとしたら、

「そんな隅でやらないで、明るい部屋使って下さい」と別室に案内されました。

そこは小さな窓のがある備品が収まっている暗い部屋でした。

電気は最初ついていましたが、女将さんが出ると3秒で消えました。

暗視スコープでもないと意図では無くて指を切ってしまいそうです。

ここにいても意味が無いか、変な引き籠もりと勘違いされそうなので、

すぐさま退室したところ、その様子を見ていた女将さんが、

 

「あらもういいのですか、ゆっくりされていいのに」というと、

今度はスーツの前のボタンを見て、

「少し緩んでませんかね」と笑顔の女将さんがいました。

スーツの前のボタンはカメラがどうしてもあたるので引っかかって緩んでしまいます。

けれどそんなゆるくもまだなっていなかったのですけどね。

 

「やっぱりこれ使った方がいいのかななんて思うのですが」

 

女将さんの袖から大きな裁ち切りばさみが出てきました。

まあたしかにボタンを裁断してボタンをなくせば、ボタンも緩みませんからね。

と妙に納得をしている僕もいましたが、

女将さんの目はボタンだけを切って収まるような目ではなかったので、

一抹の狂気を感じてスルーしてその場をあとにしました。

 

そして撮影も完了して女将さんに挨拶をして帰る際に、

「お世話になりました、出会ったのも何かの縁です、これはうちのお店からの気持ちです」

と紙袋をいただきました。

 

きっと画鋲かハサミかなで。と察しはつきましたが、

知らない振りして「ありがとうございます。大変お世話になりました」

とお店をあとにしました。

しばらく歩いて燃えたり爆発したりするものだったら嫌だなと、

公園で紙袋を開けてみたところ、中に入っていたものは…。

 

白い粉でした。

お茶碗2杯分ぐらいはありました。

まさかの違法薬物???

 

テレビで見る刑事のように少しなめてみたら、塩でした。

ひたすら動き回って撮影していたので、

塩分補給して下さいということなのでしょう(笑)

もしくは塩まいて、女将さんとモンゴル相撲でもとって良いのでしょうかね(‘A`)

 

僕にそんなに構わずにお客様にその尽力を向けて欲しい、

そう思ったある料亭での結婚式でした。

 

(写真と本文は関係ありません)

 

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