第4話 ときめき
今日もいつもどおり予備校。授業は新鮮だった。長野では考えられない大きな教室で沢山生徒のいるのクラス。そして講師の気合の違い。負けてられない。ペース早いが、まとを得てる。ノートに一言一句書き取った。それだけで、90分の授業が終わった。
これが一流の予備校。すごい。と圧倒された。
休み時間、喫煙所に行くと、幸一、ヒロ、ゆうの三人がいた。
「おい、けんじー。昨日あの後、パチすろで大勝してよー。」と幸一。
「もうお前の自慢話はききたくねーよ。」とふてるゆう。
それを笑うヒロ。授業とは違うなんか安らぐ空間。
ビルの間から見える太陽がまぶしかった。
そんな感じで、予備校とアルバイトという2重生活が1週間続いた。授業にも慣れ、アルバイトの方もみんなやさしく、楽しく働けた。最高の東京生活。こんなにうまくいくとは思ってもみなかった。
今日は土曜日。授業もすくないせいか予備校には生徒が少なかった。
いつもどおり喫煙所にいくと3人が待ってた。
「けんじ今日暇?なんかひろの友達が新歓コンパ行くらしくてよー。俺らもどうかって?」
と、ゆうが身を乗り出して言ってきた。
「えっ、でも俺大学生じゃないし。それに今日バイトだよー。」
「大丈夫。適当な大学名いっときゃいいし、バイトさぼっちゃえよ。なんか今日の新歓コンパさー。いいとこの女子大の子結構くるみたいだぜ!!」と幸一
「でも、バイトは?」
「そんなもん風邪ひいたって言えばいいだろ。せっかく東京きたんだからあそばねーと。」
と幸一は俺の肩を叩いた。
正直いってみたかった。合格してたら今頃、味わってた感覚だ。なにかが自分の中ではじけた気がした。
「わかった。いくよ。」と抑えきれない興奮を隠し言った。
「じゃ、決まり。とりあえず渋谷に服買いに行こうぜ」と幸一。
自分も最近仕送りがはいったばかりだ。確かにお洒落しないと。
みんなで渋谷に行った。109-2で服を買った。
「じゃ、6時にアルタ前で待ち合わせなー」と幸一がいってみんな一度解散した。
楽しみだ。浪人生なのに気分はもう大学生だった。足早に家に帰った。
バイトの店長に風邪で休ませて下さいと電話した。申し訳ないと思ったが、でもどうしても行きたい気持ちの方が強かった。
駅から家までの道は散った桜がまだ残るそんなあたたかい土曜の午後だった。
明日のかなとの約束はすかっかり忘れていた。