ザ、上京物語 -7ページ目
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第1話 はじまり

昨日降った雪のまだ残る寒い2月。僕は、手に20012番と書いた受験票を握りしめ合格発表の掲示板の前にいた。小さい頃から憧れていた早稲田大学。入れれば将来エリートコースを進める。夢である弁護士に近づける。そう思ってた。

19997・20005・20011・20021・・・。

番号がない。

握りしめた受験票が地に落ちた。

自信はあった。この1年何よりも勉強に力をいれてきた。

ただただ茫然とする自分。回りで合格を喜ぶ人たち。大勢で溢れかえった人ごみの中、この現実を受け止められず悔しさとむなしさがこみ上げてきた。

高田馬場までの帰り道。母親と彼女にメールをいれた。

携帯を持つかじかんだ手に涙がこぼれた。ぽつぽつと降り出した冷たい雨。

傘なんていらない。涙でかすむ目の前には、濡れたアスファルト。すれ違う人々の間を涙を袖で拭いて駅に向かった。

僕の名前はけんじ。長野の進学校に通う古着が好きで髪を茶色に染めた普通の高校生。

趣味はバスケとカラオケ。勉強に、部活に恋愛。人並以上でもなく人並以下でもない。

そんな感じの男。

3月。卒業式も終り、みんなそれぞれの進路に進む。ごくあたりまえのように、僕も高校生から浪人生へとなった。滑り止めの大学は合格していたが、どうしても諦めきれず浪人という道を選んだ。

親に頼みこみ、東京の予備校に通わせてもらうことになった。仕送りは家賃と学費の一部。

でも、どうしても合格したい。いい授業を受けてみたい。純粋にそんな気持ちだった。

そう。この時は。

4月。予備校から近い、家賃5万のアパートを借りた。狭くて、決して綺麗とは言えない部屋だが、勉強するのには充分。部屋にあるのは、沢山の参考書と小さな机。テレビもなければ、ゲームもない。窓から見える神田川の景色が唯一の憩い。

まずは、アルバイトをしなければと思いコンビニにある無料の求人誌を取りに行った。

沢山あったが、賄いつきのある新宿の居酒屋に面接の電話をした。すると明日面接を入れてもらえた。明日は、いよいよ予備校初日。緊張と期待で布団に入った。

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