こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当です
先日、短い法律にはどんなものがあるか、2回にわたってご紹介しました。
(「真・最も短い法律①」「真・最も短い法律②」)
その中で、「元号法」をご紹介したとき、こんな条文がありました。
第1項
元号は、政令で定める。
この「元号は、政令で定める。」という規定は、11文字です。
また、「陪審法ノ停止ニ関スル法律」には、こんな条文がありました。
陪審法ハ其ノ施行ヲ停止ス
この「陪審法ハ其ノ施行ヲ停止ス」という規定は、12文字です。
これらの規定は、一つの条項がとても短いものですが、もっと短い規定はあるのでしょうか。
一つの文の構造をちゃんと盛り込んだものとしては、11文字、12文字といったところが限界という気がしますが探してみたところ、10文字の規定が見つかりました。
どんな規定なのでしょうか。
○会議に幹事を置く規定は、10文字になりやすい
まずは、「国家安全保障会議設置法」という法律から見てみましょう。
(幹事)
第10条第1項
会議に、幹事を置く。〔※10字〕
「会議に、幹事を置く。」
これで10文字です。
ほかにもあります。
(幹事)
第58条第1項
本部に、幹事を置く。〔※10字〕
「本部に、幹事を置く。」
これも10文字です。
中央省庁の組織について定めた「国家行政組織法」にも、同様の規定があります。
(副大臣)
第16条第1項
各省に副大臣を置く。〔※10字〕
こうしてみると、何かの組織に、何かの役職を置く・・・という規定が並んでいますね。
まずは、その役職を置くことを宣言し、その役職がどんな業務をするかについては、
その後に、条項を改めて規定しているようです。
すると、「こういう役職を置くよ!」と宣言する最初の条項は、短くてすむわけです。
さて、上の3つの規定を見比べてみると、
「幹事」という役職は2文字なのに対して、「副大臣」という役職は3文字です。
一方、幹事を置く規定のほうは「、」が入っており、
副大臣を置く規定のほうは「、」が入っていません。
こうした微妙なところが、文字数に影響してきます。
ということは、役職名が2文字で、「、」を使わなければ、
もっと短い条項ができるかもしれません。
が、そのようにうまく条件がそろっている規定は、見つかりませんでした。
○ある団体を法人とする規定は、10文字になりやすい
10文字の規定の中には、別のパターンも見つかりました。
例えば、「国家公務員共済組合法」の第4条です。
(法人格)
第4条
組合は、法人とする。〔※10字〕
これも10字です。
この規定も、「、」がなければもう一文字短くなっていました。
有名な法律にもこのパターンがありました。
それは、「会社法」の第3条です。
(法人格)
第3条
会社は、法人とする。〔※10字〕
このように、ある団体が法人格を有することを宣言する規定にも、
10文字でおさまる例が出てくることが分かりました。
○最短? 9文字の規定(※ただし今はありません)
ということで、短い規定には、あるパターンがあるようですが、
現行の規定を色々探しても、最短で10文字でした。
・・・ですが、すでに改正されて無くなってしまった条文の中に、
9文字の規定を見つけましたので、ご紹介しておきます。
それは、昔の「国家公務員共済組合法」第3条の規定です。
見てみましょう。
(組合の管理)
第3条第1項
組合は法人とする。〔※9字〕
このように、9文字という短さです。
上の方で見た、現在の「国家公務員共済組合法」の第4条も、
同じ内容を規定した条文ですが、そちらは、
「組合は、法人とする。」
となっていて、「、」があるため、10文字でした。
これに対して、昔の「国家公務員法」第3条第1項は「、」がないため、
9文字だったわけです。
現在使われている法律では、このように「、」のないものはあまりなく、
9文字という条項は見つけられませんでした。
もし見つけた方がいらっしゃったら、ぜひご連絡ください!
(この記事は、2018年4月17日時点の法令情報に基づいています)
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いかがでしたでしょうか。
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是非、次回もお楽しみに
by 第一法規 法律トリビア編集担当