こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当です
先日、「条」のない法律を2回にわたってご紹介しましたが、
思っていた以上にたくさん見つかりました。
その中には、法律の豆知識を紹介するサイトなどで、
「最も短い法律」として紹介されているような法律もいくつかありました。
しかし、一口に「最も短い法律」といっても、
法律の長さをどう測るかによって基準は色々あって、簡単には決められなさそうです。
そこで、今回・次回は、本ブログなりに、
「最も短い法律」について考えてみたいと思います。
◯法律の長さ、どう測る?(1)…本則だけか、附則も含めるか
「最も短い法律」としてよくとり上げられているのが、
陪審法ノ停止ニ関スル法律
という法律です。
この法律の本則は、次のようになっています。
陪審法ハ其ノ施行ヲ停止ス〔※12字〕
これだけみると、12字ということになります。
しかし、この法律には、次のとおり附則がついています。
★陪審法ノ停止ニ関スル法律(昭和18年法律第88号)
附則
〔第1項〕
〔第2項〕
〔第3項〕
〔第4項〕
以上のように、本則が12字、附則が169字ということで、合計すると181字になります。
ここで、
①本則の字数だけで長さをみる
②附則の字数も含めた長さをみる
という二通りの測り方がありそうです。
①の測り方と②の測り方では、別々の法律が「最も短い法律」となるかもしれません。
◯法律の長さ、どう測る?(2)…条項番号も数えるか
複数の条項からできている法律については、
条項番号を入れるかどうか、という問題もあります。
また、附則も含めてカウントする場合は、
「附則」という文字を入れるかどうかも問題になります。
たとえば、「元号法」という法律は、次のようになっています。
1 元号は、政令で定める。〔※11字〕
2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。〔※22字〕
附則
1 この法律は、公布の日から施行する。〔※17字〕
2 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。〔※30字〕
ここで、「1」「2」という項番号や、
「附則」という文字を字数に含めるかどうかが問題になります。
「元号法」についていえば、これらを含めない場合は80字となりますし、
含める場合は86字となります。
法律を表記するために必要な文字を厳密に数えることを重視すれば、
「1」「2」という文字も含めることになるでしょう。
ただ、昔の法律は項番号を付けていませんでした。
そこで、昔の法律と今の法律を同じ土俵で比較することを重視すると、
「1」「2」という数字は含めない方がよい、ということになるでしょう。
また、「附則」という文字を含めるかという点については、
附則がある法律は、附則がない法律に比べて、
常に2文字分は多くなるということになります。
これも、法律を表記するために必要な文字を厳密に数えることを重視すれば、
「附則」の2文字も含めることになるでしょうし、
「決まり」の内容がどれだけコンパクトに書かれているかということを重視すれば、
含めないことになるでしょう。
◯法律の長さ、どう測る?(3)・・・題名の文字数も数える?
法律の題名の文字数を含めるかどうか、という問題もありますね。
例えば、「記名ノ国債ヲ目的トスル質権ノ設定ニ関スル法律」をみると・・・
★記名ノ国債ヲ目的トスル質権ノ設定ニ関スル法律〔※22字〕(明治37年法律第17号)
民法第三百六十四条ノ規定ハ記名ノ国債ニハ之ヲ適用セス〔※26字〕
となっていて、本文だけなら26字ですが、題名を含めると48字ということになります。
○どうやって比べればいいの?
以上のように、法律の長さの測り方には色々な方法がありそうです。
そこで、次回、いくつかの比較方法を設定して、
それぞれの比較方法でみた場合に、どの法律が最も短いかをご紹介していきたいと思います。
(この記事は、2018年3月18日時点の法令情報に基づいています)
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いかがでしたでしょうか。
ブログ本『法律って意外とおもしろい 法律トリビア大集合』もぜひご覧ください!
是非、次回もお楽しみに
by 第一法規 法律トリビア編集担当