「慣習」も大事なルール | いくつ知ってる?法律トリビア【第一法規】

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こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当ですカナヘイピスケ

 

法律は、私たちが社会で暮らす上での大事なルールを示すものですが、

私たちを取り巻くルールのすべてが法律で決められているわけではありませんね。

多くの人が共有しているモラルや慣習といったものも、

社会生活の上での大事なルールです。

法律の中にも、「慣習」を尊重することを明記しているものがあります。

◯法律と同一の効力を有する慣習がある

昨年6月10日の記事(「法律の使い方を決めている法律」)でご紹介した

「法の適用に関する通則法」という法律は、法律の使い方を定めた法律ですが、

この法律では、

・法令の規定で認められた慣習
・法令に規定されていないことがらに関する慣習

には、法律と同一の効力があると規定されています。

 法の適用に関する通則法(平成18年法律第78号)
 (法律と同一の効力を有する慣習)
  第3条

   公の秩序又は善良の風俗に反しない慣習は、法令の規定により認められたもの又は法令に規定されていない事項に関するものに限り、法律と同一の効力を有する。

 


◯溝の幅を変えてもよいか?

「民法」には、溝や堀の流れや幅を変える際の決まりについて、

民法の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う…と書かれています。

 民法(明治29年法律第89号)
 (水流の変更)
  第219条第1項

   溝、堀その他の水流地の所有者は、対岸の土地が他人の所有に属するときは、その水路又は幅員を変更してはならない。

  第2項

   両岸の土地が水流地の所有者に属するときは、その所有者は、水路及び幅員を変更することができる。ただし、水流が隣地と交わる地点において、自然の水路に戻さなければならない。

  第3項
   前2項の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。


◯土地の囲いや、境界線近くの建物も、慣習に従うことがある

また、「民法」には、土地に囲いを設置することや、

境界線近くに建物を建てることについても、
慣習が優先されることがあると規定されています。


◯お墓は誰が相続する?

お墓の相続を誰がするかについては、

・亡くなった方が指定していれば、指定された人が相続する
・指定がなければ、慣習に従う
・慣習が明らかでないときは、家庭裁判所が決める

とされています。

 民法(明治29年法律第89号)
  第897条第1項
   系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
  第2項
   前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。


◯商慣習に従いましょう

「商法」には、商売に関して、法律に規定がない事柄は商慣習に従うとの規定があります。

 商法(明治32年法律第48号)
  第1条第2項
   商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法・・・の定めるところによる。

これを見ると、商売をするときに、

 ・まず商法に規定があるかを探す
 ・商法に規定がない場合は商慣習に従う
 ・商慣習がない場合は、民法の規定による

という順番で、ルールに従うとされています。
ということは、商売の場面では、商慣習は民法よりも優先するということになるわけです。


◯祭礼などの慣習上、やむを得ず刀剣類を所持することが認められる場合もある

「銃砲刀剣類所持等取締法」という法律には、
祭礼などで使う刀剣類で、所持することが慣習上やむを得ない場合は、
公安委員会の許可を受けた上で所持できるという規定があります。

 銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)
  第3条第1項
   何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、銃砲又は刀剣類を所持してはならない。
   三 第4条・・・の規定による許可を受けたもの・・・を当該許可を受けた者が所持する場合
  第4条第1項
   次の各号のいずれかに該当する者は、所持しようとする銃砲又は刀剣類ごとに、その所持について、住所地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。
   七 祭礼等の年中行事に用いる刀剣類その他の刀剣類で所持することが一般の風俗慣習上やむを得ないと認められるものを所持しようとする者

 


このように、

地域の長い歴史の中で培われてきた慣習が重要な役割を果たす場面が

いくつもあるということが分かりました。

(この記事は、2017年7月26日時点の情報に基づいています)

 

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いかがでしたでしょうか。

ブログ本『法律って意外とおもしろい 法律トリビア大集合』も、

是非お手にとって見てくださいねつながるうさぎ

 

 

 

 

 

 

是非、次回もお楽しみにつながるうさぎつながる花1

by 第一法規 法律トリビア編集担当