こんにちは、第一法規「法律トリビア」ブログ編集担当です。
山間の地域に行くと、山の斜面に棚田が広がっていることがあります。
水をたたえた棚田が整然と並ぶ様子は、心が洗われるような美しい風景ですね。
この棚田について、昨年、「棚田地域振興法」という法律が制定されたので、
どんなことが定められているのか、見てみたいと思います。
◯棚田は貴重な国民的財産
まず、法律の目的を定めた第1条は、棚田は貴重な国民的財産であると述べ、
棚田が持つ色々な機能を維持・増進することによって、棚田のある地域を発展させ、
国民生活の安定・向上に役立つことを目的として掲げています。
(目的)
◯棚田の定義
続いて、棚田の定義が述べられています。
この法律では、棚田を「傾斜地に階段状に設けられた田」と定義しています。
第2条 この法律において「棚田」とは、傾斜地に階段状に設けられた田を・・・いう。
◯棚田は色々なことに役立っている
第3条には、棚田のある地域をどのように振興するかという基本理念が示されています。
その中で、棚田のある地域が色々な機能を持っていることが述べられています。
列挙してみると、
・農産物の供給という、田んぼの最も主要な機能のほか、
・国土の保全、水源の涵養といった、土地や水源を守る機能
・生物の多様性の確保などの、自然を守る機能
・良好な景観の形成、伝統文化の継承といった、人々の心を豊かにしてくれる機能
というように、たくさんの機能があると書かれています。
そして、私たちが将来にわたってこうした機能の恩恵にあずかれるように、棚田を保全し、
棚田のある地域への定住や、他の地域との交流を促進するように、
棚田のある地域の振興を行うことが宣言されています。
◯国は基本方針、都道府県は振興計画、市町村は活動計画を作る
それ以降は、具体的に国・都道府県・市町村の役割が規定されています。
国は基本方針を定め、都道府県は、棚田のある地域の振興に関する基本的な計画を定めます。
都道府県の計画には、地域の振興の目標、振興のために講ずる施策を盛り込むことと
されています。
(基本方針)
(都道府県棚田地域振興計画)
◯市町村の役割
大臣から振興の施策を講ずる対象として指定された棚田地域がある市町村は、
関係者からなる協議会を設け、振興のための活動計画を策定します。
(指定棚田地域振興協議会)
・・・
盛り込みます。
◯棚田地域を振興する人材を育てよう
また、第16条は、国と地方公共団体に対し、棚田地域の振興活動を担う人材を育てる
努力義務を課しています。
このようにして、国や地方公共団体、また地域の人たちも参加して、皆で棚田を守り、
棚田のもつ色々な機能を維持していこうという法律だということが分かりました。
なお、棚田地域の振興に関しては、内閣府のホームページに解説があります。
参考にご覧になってみてください。
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tanada/index.html
(この記事は、2020年7月27日時点の法令情報に基づいています)
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