那須川天心 vs ルイス・グスマン | R I N G C H E C K !

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打撃系格闘技の練習や試合についてのブログでしたが、
現在は海外ボクシングとムエタイの記事が中心です。
知り合い・近親者向けに書いています。










神童 のボクシング転向2戦目。 初戦 にも増して高い注目度 … 試合後既に3日が経っているが、天心関連だけでヤフーニュースが200件近く上がっているのには … 驚いた … 。





▼ 那須川天心 vs ルイス・グスマン







有識者(?)の方々とは真逆の意見で申し訳ないのだが、重心におけるマイナーチェンジはあれど、基本的な所作回りや手癖、カウンターのタイム感など、幼少期から見てる身としては、そんなに変わってないんだよなぁ … 以前から言っている通り、キックボクシング時代からムエタイ由来の所謂キック的なスタンス、キック的なパンチ打法など、そうした要素は ほぼゼロだったので。





幼少期からフットワークをはじめパンチに関してもキックボクシングトレーナーではなくボクシング専門の(それも超凄腕の)トレーナーに叩き込まれていたのだから、天心に限っては「キックボクサーのパンチの癖が抜けない」とか「キックボクシングのスタイルのままボクシングに来ている」とか、そういう話は的外れも良い所。青木真也の話 に至っては笑ってしまった。こんな凄まじいタイム感のスリップカウンターを打つキックボクサーなんか天心以外に一人も居ないでしょうが … ^ ( 但し、天心がボクシングの試合に於いても パンチ技術に関しては元々ボクシング寄りだったキック時代から然程変化してない、という観点/視点から見ると、当ブログ管理人と同意見とも取れる。)





" キックのままボクシングをしている " のは天心よりも寧ろ武居由樹選手の方である。「倒せるか倒せないか論」の所為で滅茶苦茶になってしまっているが、ボクサーとしての所作回りの精度が高いのは間違いなく天心の方で、相変わらずスリップカウンターの正確さ、またウィービング&アングルチェンジ、ショルダーロール、スリッピングアウェー、スレスレで被弾を防ぐディフェンスワークの多彩さ流麗さ … トップアマ上がりでもなく、プロ2戦目でメキシコ王者を相手に こういったベクトルでの所作回りを魅せた日本人ボクサーを自分は見た事がない。





個人的に想うのは、本人も陣営も世間の意見に流されず、資質に合ったボクシングを志して欲しい、という事。当ブログ管理人は今回の試合も、無理に倒しに行かずに通常の精度でカウンターによるポイントピックに集中していたら、倒しに行く以上のKOチャンスが逆に生まれていたと思っている。ヤフコメ民一人一人に教えてあげたい … ボクシングの世界/歴史上には時代時代に様々なスタイルのスター/レジェンドがいて … パーネル・ウィテカー、フロイド・メイウェザーJr. 、ジョージ・ベントン、ニコリノ・ローチェ、こういったディフェンス/カウンターマスターのレジェンド達を志す日本人選手が居たって全然良い事だと思うのだが … 誰も彼もが井上尚弥選手のようなKOパンチャーを目指すような世界線など全く面白味がない。





( ※ ちなみに 「 天心は ロマチェンコ のスタイルで行くべき ! 」 という意見も散見するのだが … 天心とロマチェンコのボクシングスタイルには余りにも乖離がありすぎて … この声に関してはナンセンスと言わざるを得ない。)





天心の テッテ的 に被弾を嫌う性格/性質は、リング上の所作回りにしっかりと出てしまっているし、それは何も悪い事ではない。 例え1%でも負ける要素は本能的に避ける … この高過ぎる危機管理能力 … これは勝者としての必須条件の一つでもあるし、 やはり資質的にはアウトボクサー気質なのだと思う。加えて初回に見せたようなカウンターショットに関しては既に倒せるだけの切れ味があり、錬磨次第でキック時代と同じくKOに繋げる事の出来る大きな武器となる筈なのだ。





しかしながら そうではなく、飽く迄も強引に詰めてのKOを狙うスタイルで行くのであれば、ディフェンス回りの所作をある程度の幅まで絞って、クロスレンジで相手を削る為のブロック&リターンなど被弾覚悟のシンプルな近接攻防シーンをもっともっと増やしていかなければならない … それこそメインの拳四朗選手は一つ一つの攻防の細やかな所作精度や被弾量は天心より下回るが、長尺Rを通してみれば、被弾しつつも確実に後半には削り取って倒す為の布石を 前半からシンプルなパンチとコンビネーションをもって しっかりと撒いている。





( ※ 今回 試合2週間前に三迫ジムにて加藤トレーナー、拳四朗選手と交流する機会が偶々あったが、距離感がバグっている期間を経て、条件マス的に距離感を正しく設定する練習と上下に的確な強打を捻じ込む練習を並行して行なっていた。 加藤トレーナーと拳四朗選手のミット打ちは本当に凄まじかった。)





話を天心に戻すと … 元来持っている資質を伸ばす方向か、持っていない部分を新たに身に付けていく方向か … いずれにせよボクオタも格闘技ファンも一般人もアンチも、天心の一挙手一投足には注目せざるを得ないのだ … さてさて、引き続き天心のボクシング世界王座奪取に大いに期待していきたいと思います。





■ キック出身のボクシング世界王者 → ポベトキン、 クリチコ、 トロヤノフスキー、 リピネッツ、 アルジェリ、 ディリアン・ホワイト、 マヌエル・チャー etc …

■ ムエタイ出身のボクシング世界王者 → センサック、 サーマート、 カオサイ、 ソムジット、 ポンサワン、 ウィラポン、 シリモンコン、 ワンヘン、 ノックアウト、 アムナット、 ヨックタイ、 ヨーサナン、 タノムサク、 チャッチャイ、 サマン、 シーサケット、 ソット、 テーパリット、 デンカオセーン、 ポンサクレック etc …













〇 結果:那須川天心 8R 判定勝利(80-70×3)